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りくりゅう木原龍一のディープフェイク被害、透け加工はなぜ三重の違法なのか

りくりゅう木原龍一のディープフェイク被害と三重の違法性を解説するアイキャッチ画像

| 読了時間:約8分

りくりゅう・木原龍一の報道写真を衣装が透けるように改変した行為は、肖像権侵害・名誉毀損・著作権侵害の三重の違法行為にあたる。

Esquireの報道によると、フリー158.13点の世界歴代最高得点で逆転金メダルを手にした直後の出来事だった。

この記事では「三重の違法」の中身と、日本のディープフェイク規制に残る意外な空白、そして被害に遭った場合の具体的な対処法を整理する。

 

 

 

「三重の違法」——木原龍一へのディープフェイク被害で何が問われるのか

木原選手への衣装透け加工は、民事でも刑事でも違法にあたる。

性的ディープフェイクの被害者と聞くと、多くの人は女性を思い浮かべる。
2023年には女子陸上選手の写真をAIで裸に加工した愛知県の男が名誉毀損めいよきそん容疑で逮捕されており、報道される事例のほとんどは女性が被害者だ。

被害者はほぼ女性ところが今回、X上で標的にされたのは男性選手の木原龍一だった。

弁護士ドットコムの報道によると、三浦璃来選手をリフトする報道写真が改変され、木原選手の衣装が透けて見えるよう加工されていた。
投稿したのは韓国語圏のユーザーとみられる。


肖像権侵害・名誉毀損・著作権侵害が同時に成り立つ

インターネット問題にくわしい中澤佑一弁護士は、同記事の中で法的な問題を3つ指摘している。

法的問題 内容
肖像権侵害 無断で露出の多い衣装に改変する行為は、受忍限度じゅにんげんどを超える
名誉毀損 あたかも破廉恥な格好で演技していたかのような誤解を招けば、社会的評価を低下させる
著作権侵害 写真を撮影したカメラマンや報道機関の著作権も侵害する

つまり、自分の顔や姿を勝手に使われない権利、社会的な評価を守る権利、そして写真の著作者の権利——3つの権利を同時に踏みにじる行為だ。

よろず〜ニュースの取材に応じた星野有紀弁護士(Authense法律事務所)も、刑事上は名誉棄損罪やわいせつ物頒布等罪に該当すると述べている。
名誉毀損罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金だ。

 

 

 

「問題提起のつもり」でも正当化はできない

この改変画像の背景には、フィギュアスケートの衣装における男女の露出差への問題意識があるようだ。
女性選手はスカートやレオタードで肌の露出が多い一方、男性は足首までのズボン着用が義務づけられている。

しかし、中澤弁護士ははっきりと否定している。

弁護士の見解

「仮に投稿の目的が男女の衣装の差に対する問題提起であったとしても、木原選手の人格権を侵害するような手段をとる必要性はありません」——中澤佑一弁護士

表現の自由は大切だ。
だが、他人の体を性的に改変してまで主張すべき「問題提起」は存在しない。
手段が目的を裏切った時点で、その行為は正当化の根拠を失う。

2023年の女子陸上選手の事件と今回の事件を並べると、被害者の性別も加工の手法も動機も異なる。
それでも法的な結論は同じだ。
肖像権侵害と名誉毀損のラインを越えた時点で、誰が被害者でも違法になる。

これだけの違法行為が重なっているにもかかわらず、日本にはディープフェイクを直接取り締まる法律がない。

 

 

 

日本にディープフェイク専用法がない——海外との決定的な差

日本では既存の法律を組み合わせて対処しているに過ぎない。

「透け加工は違法でしょ? ちゃんと罰せられるはず」。
そう思った人は多いだろう。
たしかに名誉毀損罪や肖像権侵害で訴えることはできる。
だが、それは「後追い」の対処にすぎない。

専門家の指摘

テレビ朝日の報道で、生成AIにくわしい岡田淳弁護士はこう指摘した。
「AI(人工知能)による性的ディープフェイクを正面から想定した規律が存在しません

名誉毀損罪は「画像を公開した後」にしか適用されない。
作成そのものを禁じる法律は、日本にはまだないのだ。


アメリカは48時間以内の削除を義務化した

海外では、この空白を埋める動きがすでに始まっている。

Forbes Japanの報道によると、2025年5月にアメリカでTake It Down法が成立した。
性的なディープフェイク画像の公開を連邦犯罪とし、プラットフォームに対して被害者からの要請後48時間以内の削除を義務づけた法律だ。

  日本 アメリカ
専用法 なし Take It Down法
削除義務 法的義務なし 48時間以内
画像作成 直接禁止する法律なし 連邦犯罪

 

 

 

この法律のきっかけは、ある女子学生の訴えだった。
クラスメートがアプリで彼女のヌード画像を生成し、Snapchatに掲載した。
プラットフォームに削除を求めたが数か月放置され、母親が上院議員に助けを求めたことで法整備が動き出した。

韓国でもディープフェイク・ポルノは深刻な社会問題となっており、規制強化が進んでいる。
今回の木原選手の改変画像が韓国語圏のユーザーから投稿されたとみられることを考えると、国境を越えた法的対処の枠組みがますます重要になっていくだろう。


日本でも法整備は動き始めている

ただし日本にもまったく動きがないわけではない。

2025年4月、AI法案が衆議院を通過した際、付帯決議としてディープフェイクポルノ対策の強化が求められた。
テレビ朝日の報道では岡田弁護士が「必要であれば法律を改正する、新しい法律を制定することも選択肢に入る」と述べている。

とはいえ、具体的なスケジュールは見えていない。
法整備が追いつかない現状で、被害者はどう身を守ればいいのか。
すでに使える具体的なツールがある。

 

 

 

もし自分が被害に遭ったら?——具体的な削除手段と法的対処

SNSに顔写真を載せた経験があるなら、他人事ではない。

「ディープフェイクの被害なんて、芸能人や有名選手の話でしょ?」——そう思うかもしれない。
だがテレビ朝日の報道によると、警察庁への相談は年間100件を超えた
ボランティア団体の代表は「1、2年の間で中高生、もっと小さいと小学生まで被害に遭っている」と証言している。

誰もが標的になり得る

卒業アルバムの写真がAI加工の素材にされるケースも増えている。
金メダリストでも一般人でも、顔写真がネット上にある限り、誰でも標的になり得る。


被害に遭ったらまず何をすべきか

よろず〜ニュースで星野弁護士が紹介した対処法を、ステップごとに整理する。

被害時の4ステップ

① プラットフォームへの削除要請
各SNSが用意している削除要請フォームから、速やかに画像の削除を依頼する

② 画像削除支援ツールの活用
18歳以上ならStopNCII、18歳未満ならTake It Downというツールで、ハッシュ値を登録して拡散を防げる

③ 弁護士への相談
プラットフォームが削除に応じない場合、裁判での削除請求が必要になる

発信者情報開示請求はっしんしゃじょうほうかいじせいきゅう
投稿者を特定するための法的手続き。匿名の投稿者でも身元が判明するケースがある

StopNCIIは、性的画像のハッシュ値(画像の「指紋」のようなもの)を登録すると、提携するプラットフォーム上で同じ画像が自動検出される仕組みだ。
画像そのものをアップロードする必要はない。

 

 

 

「完全な自衛」はできない——だからこそ仕組みが必要

弁護士ドットコムの解説記事によると、2022年の刑法改正で侮辱罪の法定刑が引き上げられ、発信者情報開示請求の手続きも簡素化された。
匿名でも特定される仕組みは、年々整いつつある。

だが、テレビ朝日の報道でボランティア団体の永守代表が語った言葉は重い。
「完全な自衛は、まずできない」。

AIの進化によって加害のハードルは下がり続けている。
匿名で、ワンクリックで、誰の写真でも性的に改変できる時代だ。
法整備と削除支援ツールの整備、そして「これは犯罪だ」という社会の認識——この3つが揃って初めて被害の拡大を止められる。

木原龍一選手の事件は、金メダリストの栄光とテクノロジーの暴力が同時に可視化された瞬間だった。
性的ディープフェイクは技術の問題であり、法律の問題であり、何より人権の問題だ。

 

 

 

まとめ

  • 木原龍一選手への衣装透け加工は、肖像権侵害・名誉毀損・著作権侵害の三重で違法にあたる
  • 「問題提起」名目であっても、人格権を侵害する手段は一切正当化されない
  • 日本には性的ディープフェイクを直接規制する専用法がなく、既存法の「パッチワーク」で対処している
  • アメリカではTake It Down法が成立し、プラットフォームに48時間以内の削除義務が課された
  • 被害に遭った場合、StopNCIIや発信者情報開示請求など具体的な対処手段がある

よくある質問(FAQ)

Q1. 木原龍一のディープフェイク被害とは何が起きたのか?

X上で報道写真の衣装が透けるよう加工された改変画像が、韓国語圏のユーザーにより投稿された。

Q2. 衣装の透け加工はどんな罪になる?

肖像権侵害・名誉毀損・著作権侵害の三重で違法にあたり、名誉毀損罪は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。

Q3. 問題提起のつもりでも法的に罰せられるのか?

弁護士は「人格権を侵害するような手段をとる必要性はない」と明言しており、目的に関わらず違法となる。

Q4. 日本にはディープフェイクを禁止する法律があるのか?

性的ディープフェイクを正面から規制する専用法はなく、名誉毀損罪や肖像権侵害など既存法の組み合わせで対処している。

Q5. アメリカのTake It Down法とは?

2025年5月成立の連邦法で、性的DF画像の公開を犯罪とし、プラットフォームに48時間以内の削除を義務づけている。

Q6. ディープフェイク被害に遭ったらどうすればいい?

まずプラットフォームへ削除要請し、18歳以上ならStopNCIIで拡散を防ぎ、弁護士に相談して発信者情報開示請求を行う。

Q7. 海外から投稿された場合、日本の法律で罰せられるのか?

発信者情報開示請求で投稿者を特定できる場合があるが、国境を越えた法的対処には課題が残る。

Q8. 男性のディープフェイク被害は珍しいのか?

過去の摘発事例や統計では被害者の大半が女性で、男性アスリートが標的になった事例は極めて異例。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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