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生活保護の追加給付はいつ届く?対象者・金額・手続きと全額返還でない理由

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| 読了時間:約8分

生活保護の追加給付が2026年3月1日に始まる。
対象は約300万世帯、1世帯あたり概ね10万円だ。

厚労省は2026年2月20日、追加給付の計算方法を定めた告示を公布した。
2013〜15年に行われた生活扶助せいかつふじょ基準の引き下げを、2025年6月の最高裁判決が違法と判断したことへの対応である。

ただし、この追加給付は単純な「全額返還」ではない。
原告と原告以外で金額が違い、すでに生活保護を離れた人は自分で申し出る必要がある。

 

 

 

追加給付の対象・金額・時期——1世帯あたり約10万円の中身

対象になるのは、2013年8月から2018年9月までに生活保護を受けていた世帯だ。

厚労省の対応方針

厚労省の対応方針によると、追加給付の額は「1世帯当たり概ね10万円」。
訴訟の原告だった約700人には特別給付金が上乗せされ、概ね20万円になる。

「10万円が一律でもらえる」と思うかもしれない。
しかし実際には、世帯の人数・年齢・住んでいる地域によって金額はかなり変わる。

世帯タイプ別の給付額はどれくらいか

しんぶん赤旗が入手した厚労省の提出資料に、世帯タイプ別の金額が載っている。

世帯タイプ 1級地-1
(東京23区等)
3級地-2
(地方の町村等)
夫婦+子ども2人 約23万6千円 約18万4千円
高齢単身(75歳) 約9万5千円 約7万6千円

※原告にはさらに約10万円が上乗せされる

金額に3倍近い開きがある。
「1世帯10万円」はあくまで平均の目安だ。


支給はいつ届くのか

上野賢一郎厚労大臣の2月20日の会見で、スケジュールが示された。

❶ 原告(約700人)
→ 2026年3月以降、個別に支給

❷ 受給中の世帯
→ 各自治体の準備に応じて順次。2026年度中の支給を想定

❸ 元受給者(すでに生活保護を離れた人)
→ 2026年夏頃から申し出を受付。その後に支給

自治体ごとにスケジュールは異なる。
世田谷区の内部資料では、受給中の世帯への支給が6月、元受給者は7月以降の見通しだ。

世田谷区の規模感

世田谷区だけで対象は11,404世帯、扶助費は約11億4千万円にのぼる。
全国で2000億円規模という数字のリアリティが、この一区の数字からも伝わってくる。

なお、死亡した当時の受給者は対象外。
外国人は対象に含まれる。

では、なぜ違法とされた減額分がそのまま全額返ってこないのか。
その仕組みを知ると、追加給付の意味合いが変わる。

 

 

 

なぜ全額返還ではないのか——「再減額」という異例の手法

最高裁が「違法」と断じたなら、減額分はそのまま全額戻るのが自然だろう。
原告側もそう主張してきた。

ところが、国は別の計算方法で再び2.49%を差し引いた
全額返還ではなく、「やり直した基準」との差額だけを支給する仕組みだ。

最高裁は何を違法と判断したのか

2025年6月27日、最高裁第三小法廷は、2013年の生活扶助基準の引き下げを違法と判断した。

判決のポイント

問題とされたのは、物価の下落率(4.78%)だけを根拠にしたデフレ調整だ。
専門家への諮問しもんを経ずに厚労省が独自に算出した点が、裁量権さいりょうけん逸脱いつだつにあたると認定された。

一方、世帯の人数や年齢に合わせた「ゆがみ調整」は適法とされた。

判決は減額処分の「全部」を取り消した。
つまり、2013年の引き下げ前の基準に戻すという結論だ。

 

 

 

国はどう「やり直した」のか

厚労省は専門委員会を立ち上げ、2025年11月に対応策を決めた。

違法とされたデフレ調整(▲4.78%)を廃止し、代わりに低所得世帯の消費実態と比較する「高さ調整」を新たに行った。
この新しい減額幅が▲2.49%だ。

  デフレ調整
(違法)
新しい高さ調整
減額幅 ▲4.78% ▲2.49%
根拠 物価下落率のみ 低所得世帯の消費実態
専門家の関与 なし(違法の理由) 専門委員会で検討

月額15万円の世帯に当てはめると、デフレ調整では月約7,200円のカット。
新方式では月約3,700円のカット。

差額の月約3,500円が数年分積み上がって、「1世帯約10万円」になる。

原告側はなぜ反発しているのか

日弁連の会長声明は、この対応策を「本判決の趣旨に背く」と批判している。

札幌弁護士会の声明も、国が裁判中に主張して退けられた論拠を再び持ち出した点を「訴訟の蒸し返し」だと指摘する。

反復禁止効とは

行政法には反復禁止効はんぷくきんしこうという考え方がある。
裁判で退けられた主張と実質的に同じ理由で、もう一度処分をやり直すことは許されないという原則だ。
原告側は、▲2.49%の再減額がまさにこれに該当するとみている。

いのちのとりで裁判全国アクションの共同代表・尾藤廣喜弁護士は、2026年1月22日の厚労省との協議で、審査請求・再提訴も視野に入れると明言した。

⚠️ ここからは推測です

原告側が審査請求を行えば、今後再び司法の場で争われる展開になるだろう。
「追加給付で決着」とはならず、紛争はまだ続く見通しだ。

追加給付の背景が分かったところで、最も実用的な問題に移ろう。
自分が対象者かどうかの確認方法と、手続きの流れだ。

 

 

 

手続きは3パターン——元受給者は「申し出」が必要

追加給付を受け取る手続きは、現在の状況によって3つに分かれる。

見落としてはならないのが3つ目だ。
すでに生活保護を離れた元受給者は、自分から申し出なければ1円も受け取れない

受給中の人・元受給者・原告で何が違うのか

区分 手続き 支給時期
原告
(約700人)
個別に対応 2026年3月以降
受給中の世帯 手続き不要
保護費に上乗せ
2026年度中
元受給者 自分で申し出 2026年夏以降

受給中の世帯は何もしなくていい。
毎月の保護費に追加分が上乗せされる。

問題は元受給者だ。
厚労大臣は会見で「当時の世帯主から、保護を受けていた旨の申出を行っていただく」と説明した。

 

 

 

自治体に記録がない場合はどうなるのか

対象期間は最大で13年前にさかのぼる。
大臣も会見で「当時の保護決定に関する詳細な情報やデータがない場合があろうかと思います」と認めている。

記録がなくても受け取れる仕組み

記録が残っていない場合でも、本人の申し出と挙証きょしょう資料(当時の通知書や書類など)をもとに自治体が確認する。
厚労省は問い合わせに対応する相談センターを設ける予定だという。

世田谷区の資料では、廃止世帯(元受給者)だけで6,036世帯が対象になっている。
全国では桁違いの数だろう。

一人ひとりを探し出して通知する体制は整っていない。

心当たりのある人へ

2026年夏以降に、当時住んでいた地域の福祉事務所ふくしじむしょに問い合わせてほしい。
周囲に元受給者がいれば、この情報を伝えることが大切だ。

 

 

 

まとめ

  • 対象は2013年8月〜2018年9月に生活保護を受けた約300万世帯
  • 金額は1世帯あたり概ね10万円。原告は約20万円。世帯類型・地域で異なる
  • 2026年3月1日から順次開始
  • 受給中の人は手続き不要。元受給者は夏以降に当時の自治体に申し出が必要
  • 全額返還ではない理由は、国が▲2.49%の再減額を行い差額のみ支給するため
  • 原告側が審査請求を表明しており、紛争は継続の見通し

元受給者で心当たりがある人は、当時の書類があれば手元に保管しておくこと。
2026年夏以降、当時の自治体への申し出が受付開始となる。

相談センターの詳細が発表されたら、厚労省のサイトで確認してほしい。

 

 

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 追加給付の対象者は誰ですか?

2013年8月から2018年9月に生活保護を受けていた約300万世帯が対象。死亡者は対象外、外国人は対象に含まれる。

Q2. 追加給付はいくらもらえますか?

1世帯あたり概ね10万円。訴訟の原告は特別給付金を含め約20万円。世帯の人数・地域で異なる。

Q3. いつ届きますか?

原告は2026年3月以降。受給中の世帯は2026年度中。元受給者は2026年夏以降に申し出を受付後、順次支給。

Q4. 元受給者はどう手続きしますか?

当時住んでいた地域の自治体に自分で申し出る。厚労省が相談センターを設置予定。

Q5. なぜ全額返還ではないのですか?

国がデフレ調整(▲4.78%)に代わる新計算で▲2.49%の再減額を行い、差額のみ支給するため。

Q6. 原告と原告以外で金額が違うのはなぜ?

原告には争訟の経緯を踏まえた特別給付金が上乗せされ、再減額分も免除されるため約2倍になる。

Q7. 自治体に記録が残っていなくても受け取れますか?

本人の申し出と挙証資料(当時の通知書等)をもとに自治体が確認する仕組みになっている。

Q8. 審査請求とは何ですか?

行政の決定に不服がある場合に見直しを求める手続き。原告側は再提訴も視野に審査請求を表明している。

Q9. 追加給付は収入認定されますか?

追加給付は過去の減額分の補償であり、通常の収入認定とは異なる扱いになるとみられるが、詳細は告示を確認する必要がある。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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