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2月22日夜、スカイツリーの下りエレベーターが急降下し、地上30メートル付近で緊急停止した。
15〜20人が閉じ込められ、けが人はいない。
当日は東京に強風注意報が出ていた。
原因は未発表だが、2012年にも強風で停止した前例がある。
この記事ではトラブルの詳細に加え、エレベーターの仕組みと閉じ込め時の対処法を整理した。
この記事でわかること
スカイツリーのエレベーターで何が起きたのか
三連休の中日、日曜夜の出来事だった。
テレビ朝日の報道によると、午後8時20分ごろ、エレベーターに乗っていた客から110番通報があった。
「地上30メートルくらいのところでエレベーターが止まって閉じ込められている」という内容だ。
FNNプライムオンラインはさらに踏み込んだ情報を報じている。
通報は「下りエレベーターが急降下し、15人から20人が閉じこめられている」というものだった。
エレベーターの中にいた人からの直接の訴えだ。
閉じ込められた人たちには、しばらくの間、接触すらできない状態が続いた。
日テレNEWS NNNによると、エレベーターが2基止まっているとの情報もある。
共同通信は「20人ほどが乗っている」と伝えており、各社の報じる人数には幅がある。
| 報道機関 | 人数 | 表現 |
|---|---|---|
| テレビ朝日 | 15〜20人 | 緊急停止 |
| FNN | 15〜20人 | 急降下 |
| 日テレ | 約15人 | 緊急停止(2基) |
| 共同通信 | 約20人 | 急停止 |
| TBS | 20〜30人 | 急降下 |
速報段階で情報が錯綜しているが、「15〜20人が閉じ込められた」「けが人はいない」の2点は複数社で一致している。
ここで注目したい数字がある。
分速600メートルのエレベーターにとって、30メートルはわずか3秒で通過する距離だ。
通常なら一瞬で通り過ぎるはずの高さで、乗客は動けなくなった。
では、なぜスカイツリーのエレベーターは突然止まったのか。
当日の天気と、ある過去の出来事に手がかりがある。
原因は「春一番」か――スカイツリーと強風の因縁
エレベーターは建物の中にある。風は関係ないのでは?
そう思う人は多いだろう。
Yahoo!知恵袋にも「室内にあるのに強風は関係ありますか?」という投稿がある。
ところが、超高層のエレベーターでは、風が止まる原因になりうる。
当日の東京は「暴風レベル」の予報が出ていた
ウェザーニュースは22日朝の時点で、「夜は暴風レベルの風が吹き荒れるおそれがある」と警告していた。
実際、気象庁は午後4時6分に東京都へ強風注意報を発表している。
関東では2年ぶりの「春一番」が吹いたとの報道もある。
発達した低気圧に向かって南風が強まり、季節外れの暖かさとともに強い風が東京を襲った。
テレビ朝日も「東京23区では強風注意報が出ています」と報じている。
エレベーターが止まった午後8時すぎは、まさに風が強まる時間帯だった。
2012年の開業初日にも同じことが起きていた
原因は公式には発表されていない。
ただ、スカイツリーのエレベーターが強風で止まるのは、今回が初めてではない。
2012年5月22日、開業初日のことだ。
日経クロステックによると、この日も強風で展望台のエレベーターが停止した。
「故障などのトラブルではなく、運営会社の東武タワースカイツリーが安全を最優先した結果、自主的に止めたものだ」
つまり、壊れたから止まった → 安全装置が正常に働いた結果として止まったのだ。
なぜ「室内」のエレベーターが風で止まるのか
仕組みはこうだ。
超高層建築物のエレベーターには、数百メートルにおよぶワイヤーロープが使われている。
スカイツリーの業務用エレベーターのロープは昇降距離464メートル。国内最長だ。
強風で建物がわずかに揺れると、この長大なロープが振り子のように振れはじめる。
安全装置がロープの異常な振れを検知すると、エレベーターは自動的に速度を落とし、最寄りの階で停止する。
⚠️ ここからは推測
今回のトラブルも、この安全装置が作動した結果ではないだろうか。
当日の気象条件、2012年の前例、そして停止の仕方はいずれも「強風による安全停止」の特徴と重なる。
もちろん、機械的な不具合が原因だったとも考えうる。原因の正式発表を待ちたい。
そもそも、スカイツリーのエレベーターとはどんな機械なのか。
その仕様を見ると、「止まった」ことの意味がさらに見えてくる。
分速600メートルの超高速エレベーター、その仕組みと「弱点」
スカイツリーのエレベーターは、ただのエレベーターではない。
東芝エレベータの公式ページに仕様が記されている。
地上から天望デッキまで直通する「天望シャトル」は、分速600メートル。
時速に換算すると約36キロ。自動車が市街地を走るのとほぼ同じ速さで、垂直に上昇する。
定員は40人。所要時間はわずか50秒。
4階の出発ロビーから、地上350メートルの天望デッキまで一気に駆け上がる。
東京タワーの高さは333メートル。
スカイツリーの天望シャトルは、東京タワーの高さを超える距離を50秒で移動している。
だが、このエレベーターは1種類ではない。
スカイツリーには2系統のエレベーターが存在する。
| 種類 | 定員・速度 | 昇降距離 |
|---|---|---|
| 天望シャトル(東芝)4台 | 40人・分速600m | 約350m |
| 業務用EV(東芝)2台 | 27人・分速540m | 464m(国内最長) |
注目すべきは業務用エレベーターだ。
昇降距離464メートル。国内最長である。
ロープが長いほど、風の影響を受けやすくなる。
2012年に強風で停止したのは天望デッキと天望回廊を結ぶ日立製のエレベーターだったと報じられている。
今回止まったのがどの系統かは、まだ明らかになっていない。
ただ、通報内容が「下りエレベーター」であること、停止位置が地上30メートルであることから、天望シャトル(地上〜天望デッキ間)の下降中だった可能性が高いだろう。
もし自分があのエレベーターに乗っていたら、何をすべきだったのか。
エレベーターに閉じ込められたら――3つの対処法
三連休にスカイツリーを訪れた人は多いだろう。「自分だったらどうする?」と考えた人もいるのではないか。
答えはシンプルだ。
落ち着いて、3つのことをやればいい。
閉じ込め時の3ステップ
1. すべての階のボタンを押す
特定の階のボタンが動かなくなっていても、別の階では扉が開くことがある。
動いた階があれば、慌てず降りて非常階段へ向かう。
2. 非常ボタン(インターホン)を押す
エレベーター内には外部と連絡がとれる非常ボタンがある。
押し続けて応答を待つ。スマホの電波が届かなくても、この回線はつながる。
3. 救助を待つ。ドアは絶対に開けない
3番目が最も大事だ。
最も危険なのは、ドアを無理にこじ開けて脱出しようとすること。
エレベーターと建物の間には隙間がある。転落すれば命に関わる。
救助までの時間の目安
エレベーターの閉じ込めが起きた場合、救助までの時間は通常、数分〜数十分程度とされている。
ただし大規模な災害時は数時間に及ぶこともある。
今回のように地上30メートル――ビル10階分の高さで、なおかつ最寄りの階に到着していない状態では、救助にとくに時間がかかる。
FNNの報道でも「閉じこめられている人たちに接触できていない」と伝えられていた。
超高層ビル社会が抱えるリスク
このトラブルは、スカイツリーだけの話ではない。
首都直下地震が発生した場合、エレベーターの閉じ込めは約17,000件起きると想定されている。
東京には超高層ビルが集中し、日常生活がエレベーターに依存している。
止まれば、そのまま「閉じ込め」になる。
2012年の開業日にも止まり、2026年にもまた止まった。
スカイツリーのエレベーターは世界最高水準の技術で作られているが、自然の力には逆らえない。
むしろ、止まるべきときに止まることが、乗客を守る設計なのだろう。
まとめ
- 2月22日夜、スカイツリーの下りエレベーターが地上30mで緊急停止し、15〜20人が閉じ込められた
- 原因は未発表だが、当日は強風注意報が出ており、2012年にも強風で同様の停止が起きている
- スカイツリーのエレベーターは分速600m・ロープ長464mで、長大なロープが風の影響を受けやすい
- 閉じ込められたら「全階ボタン → 非常ボタン → ドアを開けずに待つ」の3ステップが基本
よくある質問(FAQ)
Q1. スカイツリーのエレベーターはなぜ止まったのか?
原因は未発表だが、当日は強風注意報が出ており、2012年にも強風で同様の停止が起きている。
Q2. スカイツリーのエレベーターのメーカーはどこ?
天望シャトルは東芝エレベータ製。天望回廊用は日立製作所が納入した。
Q3. スカイツリーのエレベーターは何秒で展望台に着く?
地上4階から天望デッキ(350m)まで約50秒。分速600メートルで国内最速級。
Q4. エレベーターに閉じ込められたらどうすればいい?
全階ボタンを押す → 非常ボタンで外部と連絡 → ドアを開けず救助を待つ、の3ステップが基本。
Q5. スカイツリーのエレベーターは過去にも止まったことがある?
2012年5月22日の開業初日に強風でエレベーターが停止した前例がある。
Q6. エレベーターに閉じ込められたら救助まで何分かかる?
通常は数分〜数十分程度。大規模災害時は数時間に及ぶこともある。
Q7. スカイツリーは強風だと営業中止になる?
過去に強風でエレベーターの運行を自主的に停止した例がある。風の状況次第で展望台への運行が止まる。
Q8. なぜ室内のエレベーターが風の影響を受けるの?
エレベーターの長いワイヤーロープが建物の揺れで振れるため、安全装置が検知して停止する。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- テレビ朝日「東京スカイツリーでエレベーター止まり15〜20人閉じ込めか」(2026年2月22日)── 事実確認
- FNNプライムオンライン「東京スカイツリーのエレベーターが緊急停止」(2026年2月22日)── 事実確認
- 日テレNEWS NNN「東京スカイツリーのエレベーターが緊急停止 15人ほど閉じ込めか」(2026年2月22日)── 事実確認
- 共同通信(沖縄タイムス経由)「スカイツリーでエレベーター急停止」(2026年2月22日)── 事実確認
- 東芝エレベータ「東京スカイツリー 施工事例」── EV仕様データ
- ウェザーニュース「強まる南風で『春一番』の可能性」(2026年2月22日)── 気象情報
- THE HEADLINE「東京都の強風注意報・波浪注意報が更新」(2026年2月22日)── 気象庁注意報
- 日経クロステック「強風で2度停止、スカイツリーのエレベーターはなぜ止まった?」(2012年5月31日)── 2012年前例・技術解説