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群馬県が移住希望地ランキングで2年連続の全国1位を獲得した。
年間7万件超の相談が集まるなか、2位には栃木県が初めて入った。
その裏には「生成AIが群馬を推薦する」という想定外の現象も絡んでいる。
この記事でわかること
群馬県が2年連続1位を獲得した理由――「魅力度ワースト圏」からの大逆転
群馬が選ばれた最大の理由は、東京に通える距離と、東京では払えなくなった家賃の組み合わせだ。
都道府県の「魅力度ランキング」で、群馬は毎年40位台前半に沈んでいる。
ネットでは「グンマー帝国」とネタにされることも珍しくない。
ところが、実際に窓口を訪れて相談した人が選ぶ移住希望地としては、2年連続の全国1位。
しかも全年代で首位を独占した。
核心ポイント
魅力度が低い県には人は集まらない → 「魅力度」と「住みたい」はまったく別の指標だ。この2つのランキングは調査対象が根本的に異なる。
なぜここまで結果がずれるのか。
答えは調査の仕組みにある。
| 魅力度ランキング | 移住希望地ランキング | |
|---|---|---|
| 回答者 | ネットモニター(一般の印象) | 窓口を訪れた相談者(行動済み) |
| 測るもの | その県のイメージ | 実際に住みたい場所 |
| 群馬の順位 | 40位台前半 | 1位(2年連続) |
旅行先として「行きたいかどうか」と、家を買って子どもを育てる場所として「住みたいかどうか」は別の話だ。
よい旅ニュースの報道でも、調査対象の違いが順位差に直結すると指摘されている。
では、群馬の何が「住みたい」を引き出しているのか。
産経ニュースの報道によると、相談の中心は30代の子育て世帯だ。
都内への通勤を前提にした物件探しや、家賃高騰を背景にした相談が目立つ。
高崎から東京まで新幹線で約50分。
通勤電車で新宿から町田へ行くのとほぼ同じ時間で着く。
東京の家賃を毎月払い続けるより、高崎で一軒家を手に入れるほうが合理的――そう判断する30代が増えている。
移住者数も過去最多を更新
上毛新聞の報道によると、県が把握する移住者数は2024年度で1,560人。過去最多を更新し、年々増え続けている。
この勢いを支えるのが「オール群馬」の体制だ。
公式プレスリリースによると、群馬県は全35市町村が移住支援の協力自治体に登録している。
県内すべてのまちが受け入れ態勢を整えている県は珍しい。
山本一太知事がトップダウンで旗を振り、県庁の担当者が有楽町の窓口にひんぱんに足を運ぶ。
知事の発信力と末端の町村まで巻き込んだ組織力。この両輪が、群馬を「1位を取れる県」に変えた。
では2025年ならではの新しい動きはあったのか。
注目すべき変化が3つある。
生成AIが移住先を提案する時代――2025年ランキングの3つの新潮流
2025年のランキングには、前年まで見られなかった変化が3つある。生成AIの影響、栃木県の「移住婚」戦略、そして東京に近い県への集中だ。
ChatGPTに「どこに移住すべき?」と聞く人たち
2025年夏以降、有楽町の相談窓口に変わった来訪者が増えた。
「AIに群馬を勧められたのですが」と切り出す人たちだ。
公式発表が明記した新事実
公式プレスリリースは、2025年夏以降「相談者が生成AIに相談した結果を踏まえた来訪が急増」したと明記している。
AIで特定の地域を勧められ、追加情報を求めて窓口を訪れるパターンだ。
「東京から近くて物価が安い県は?」とAIに聞けば、交通アクセスや生活コストのデータから群馬が上位に挙がりやすいのだろう。
AIの回答が検索行動を経由せず、直接リアルの窓口につながる。
移住相談の入り口が変わり始めている。
⚠️ ここからは推測
この流れが続けば、生成AIの学習データや回答傾向がランキングの上位争いにまで影響を及ぼすのではないだろうか。AIが「おすすめ」と答えた県に相談者が集まるなら、ランキングの構造そのものが変わりうる。
ただし、機構の表現はあくまで「追加情報を求めて来訪」だ。
AIの回答を鵜呑みにするのではなく、裏付けを取りに来る。
AIで初動、人の相談で裏付け。
それが2025年型の移住検討スタイルになりつつある。
栃木が初の2位――「移住婚」と「人口未来課」
2位に初めて入った栃木県は、移住と結婚支援をセットにした独自の戦略で伸びた。
「ふるさと回帰フェア」に移住婚ブースを出展し、結婚を考えている人に「栃木で暮らしながら相手を探しませんか」と提案した。
女性相談者の割合が2024年に男性を逆転して以降、2025年もその傾向が広がっている。
栃木県の新たな一手
栃木県は来年度、移住を担当してきた地域振興課を改組し、結婚支援も含めた人口未来課を新設する。「移住」と「出会い」を同じ部署で扱う発想は、人口減少対策の新しいモデルになるだろう。
移住専門記者の分析では、福田富一知事の働きかけで県内25市町のうち21市町が支援会員になった点も指摘されている。
宇都宮のLRT(次世代型路面電車)も「クルマがなくても暮らせるまち」という安心感を後押ししているとみられる。
東京に近い県が上昇、地方大都市圏は下降
3つ目の変化は、上位県の地理的な偏りだ。
| 上昇した県 | 順位変動 | 共通点 |
|---|---|---|
| 群馬 | 1位→1位 | 新幹線で東京50分〜1時間 |
| 栃木 | 3位→2位 | 新幹線で東京48分〜1時間 |
| 福島 | 9位→5位 | 新幹線で東京1時間20分 |
一方、札幌がある北海道は6位→7位、福岡は5位→8位に落ちた。
広島も16位にとどまっている。
相談件数も5年連続で過去最多
産経ニュースの報道によれば、相談全体の件数は73,003件で前年から18.3%増え、5年連続の過去最多となった。その増加分の多くが、東京に近い県に集中した構図だ。
東京の住宅コストが上がり続ける限り、「新幹線で通える範囲で家を探す」人は増え続ける。
リモートワークが週2〜3日の出社に落ち着いたいま、完全な地方移住より「東京に片足を残す移住」が主流になりつつある。
ここまで上位県の動きを追ってきたが、では全体の順位はどうなっているのか。
移住希望地ランキング2025年版 全20位一覧と注目の変動
自分の出身地や気になる県は何位に入っているだろうか。全20位を一覧にした。
| 順位 | 都道府県 | 前年順位 |
|---|---|---|
| 1位 | 群馬 | 1位 |
| 2位 | 栃木 | 3位 |
| 3位 | 長野 | 4位 |
| 4位 | 静岡 | 2位 |
| 5位 | 福島 | 9位 |
| 6位 | 宮城 | 7位 |
| 7位 | 北海道 | 6位 |
| 8位 | 福岡 | 5位 |
| 9位 | 山口 | 10位 |
| 10位 | 東京 | 14位 |
| 11位 | 山梨 | 8位 |
| 12位 | 和歌山 | 12位 |
| 13位 | 千葉 | 13位 |
| 14位 | 富山 | 15位 |
| 15位 | 神奈川 | 17位 |
| 16位 | 広島 | 11位 |
| 17位 | 山形 | 圏外 |
| 18位 | 鹿児島 | 18位 |
| 19位 | 兵庫 | 16位 |
| 20位 | 岐阜 | 20位 |
出典:ふるさと回帰・移住交流推進機構 2025年移住希望地ランキング、産経ニュース
注目すべき3つの変動
最も大きく動いたのは福島県だ。
9位から5位へ4ランク上昇した。
東北新幹線で東京から約1時間20分という距離感が、「東京に近い県」を求める流れに乗った形だ。
もうひとつ意外なのが、東京都が10位に入っている点だ。
「東京から移住したい」人のランキングに東京が入るのは矛盾に見える。
だがこれは、あきる野市など多摩の西部への「東京内移住」を指している。
23区から離れ、同じ都内で自然に囲まれた暮らしを選ぶ人が増えた。
サプライズ
山形県が17位で初のTOP20入りを果たした。前年は圏外だったため、最大のサプライズと言える。
群馬の4年間――偶然ではない上昇カーブ
群馬の1位は突然の出来事ではない。
① 2022年:9位(初のTOP10入り)
② 2023年:2位(一気に躍進)
③ 2024年:1位(初の全国首位)
④ 2025年:1位(2年連続で防衛)
9位→2位→1位→1位。
4年かけて階段を一段ずつ上がってきた。
知事のリーダーシップ、全市町村の協力体制、メディア露出の好循環。
どれかひとつが欠けていたら、ここまでの上昇はなかっただろう。
4年連続王者だった静岡が4位に後退し、代わりに北関東の2県がトップ2を占める。
移住の人気地図は、確実に塗り替わっている。
まとめ
- 群馬県が2025年の移住希望地ランキングで2年連続1位。全年代で首位を独占し、実際の移住者も過去最多の1,560人を記録した
- 「魅力度ランキング」では40位台の群馬が移住1位になる逆転の理由は、調査対象の違い。イメージではなく、実際に行動した人が評価している
- 2025年の新潮流として、生成AIの推薦をきっかけに窓口を訪れる相談者が急増。栃木県は「移住婚」で2位に躍進し、「人口未来課」の新設も決まった
- 東京の家賃高騰を背景に、新幹線で通える距離の県に人気が集中。「東京に片足を残す移住」が主流になりつつある
- 相談件数は73,003件で5年連続の過去最多。地方移住の関心は今も拡大し続けている
よくある質問(FAQ)
Q1. 群馬が移住希望地ランキングで1位なのはなぜ?
東京へ新幹線50分の通勤圏で家賃が安く、30代子育て世帯の相談が集中。全35市町村が受け入れ体制を整えた点も大きい。
Q2. 移住希望地ランキング2025年の全順位は?
1位群馬、2位栃木、3位長野、4位静岡、5位福島。全20位は記事内の一覧表を参照。
Q3. 魅力度ランキングと移住希望地ランキングの違いは?
魅力度は一般のイメージ調査、移住希望地は実際に窓口で相談した人の回答。調査対象がまったく異なる。
Q4. 栃木県が2位に急上昇した理由は?
移住と結婚支援をセットにした「移住婚」戦略が奏功。来年度には専門部署「人口未来課」を新設する。
Q5. 生成AIが移住先に群馬を勧めるって本当?
公式発表で2025年夏以降「AIに相談した結果を踏まえた来訪が急増」と明記。追加情報を求めて窓口を訪れるパターンが増えた。
Q6. 群馬県の移住支援金はいくら?
世帯で最大100万円、単身で60万円。18歳未満の子ども1人につき最大100万円の加算がある自治体もある。
Q7. 群馬に移住するデメリットは?
夏は本州トップクラスの暑さで冬は空っ風が厳しい。車社会のため公共交通だけでの生活は難しいエリアが多い。
Q8. 移住希望地ランキングの調査方法は?
東京・有楽町の窓口を訪れた相談者にアンケートを実施し、希望する都道府県を複数回答で集計している。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- ふるさと回帰・移住交流推進機構「【2025年】移住希望地ランキング公開」(2026年2月24日)
- 上毛新聞「【速報】移住希望地ランキング 群馬県が2年連続で1位 2025年」(2026年2月24日)
- 産経ニュース「移住希望地ランキング『群馬』2年連続トップ」(2026年2月24日)
- note 早川裕章「【速報・解説】群馬V2・栃木が初の2位 移住希望地ランキング2025」(2026年2月24日)
- よい旅ニュース「2025年移住希望地ランキング、窓口相談1位は2年連続で群馬県」(2026年2月24日)