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高市首相が核保有を否定──なぜ発言した補佐官は更迭されないのか

高市首相が核保有を否定しながら発言した補佐官が留任している矛盾を図解したアイキャッチ画像

| 読了時間:約6分

高市首相は官邸幹部の「核保有すべき」発言について「提言を受けたことはない」と述べた。
ただし尾上定正補佐官の更迭には触れていない。

この答弁の裏にある3つの論点を整理する。

 

 

 

高市首相が語った3つの否定──核保有・核共有・報道へのコメント

首相は核保有提言を否定し、核共有も否定した。だが発言そのものの是非は語らなかった。

2026年2月24日の衆院本会議。
中道改革連合小川淳也代表が、官邸幹部の核保有発言について「更迭の要否」を問うた。

首相の答弁(朝日新聞より)

朝日新聞によると、高市首相はこう答えた。
「政府高官から核保有に関する提言を受けたことはない」
さらに「私自身は核不拡散条約かくふかくさんじょうやくを重視する立場」だと述べている。

注目すべきは「提言を受けたことはない」という表現だ。
発言そのものを否定したわけではない。

問題の発言が存在したかどうかにも触れていない。
あくまで「自分への提言はなかった」と述べただけだ。


毎日新聞の報道では、核共有についても踏み込んだ否定が出ている。

首相は日米の核共有、いわゆるニュークリアシェアリングNuclear Sharingについてこう述べた。
「私としては認められない」

NATOで行われているこの仕組みは、米国の核兵器を同盟国の領土に配備し、有事に共同運用するものだ。

見逃せない3つ目の答弁

「報道の逐一についてコメントすることは差し控える」。
核保有発言の事実関係を確認も否定もせず、発言者の処分にも言及していない。

3つの否定をまとめると、構図はこうなる。
核保有の提言は受けていない。核共有も認めない。
だが発言そのものの是非は語らない。

では、発言した人物はどうなったのか。

 

 

 

発言したのは「核軍縮担当」の首相補佐官──更迭どころか再任

核保有を主張した人物は更迭されず、第2次高市内閣でも同じ職責で再任された。

2025年12月18日。
首相官邸で行われた非公式取材の場でこの発言は生まれた。

「日本は核保有すべきだ」。
そう語ったのは、週刊文春の取材で判明した尾上定正・内閣総理大臣補佐官だ。

元航空自衛隊の空将で、防衛大学校26期卒。
ハーバード大学ケネディスクールで修士号を取得した安全保障の専門家である。

職責と発言の矛盾

尾上氏の正式な肩書きは「国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当」の首相補佐官だ。
核兵器を減らし、拡散を防ぐ担当者が「核を持つべき」と発言した。

この矛盾は、与野党を越えて批判を呼んだ。
自民党の中谷元・前防衛大臣でさえ「本当だとしたらけしからん話だ。しかるべき対応をしなければいけない」と述べている。

公明党の斉藤鉄夫代表は「罷免に値する重大な発言」と断じた。


木原長官も撤回指示を避けた

2025年12月19日。
木原稔官房長官は記者会見で発言の撤回を指示するか問われたが、明言しなかった。

ロイターによると、木原長官は「個別の報道の逐一についてコメントすることは控える」と繰り返すにとどまった。

政権として更迭も撤回指示もしない姿勢が、この時点で固まったといえる。

第2次内閣でも同じ「核軍縮担当」のまま

そして2026年2月18日。
衆院選の圧勝を受けて発足した第2次高市内閣の補佐官名簿が公開された。

核保有発言から約2か月後の人事

首相官邸ホームページによると、尾上定正氏は第2次高市内閣でも同じ職責のまま再任されている。
更迭されるどころか、改めて「核軍縮・不拡散問題担当」に就いた。

文春の取材に対し、尾上氏はノーコメントを貫いている。
「首相と同郷の奈良出身のお友だちで、防衛問題のブレーン」という距離の近さが、更迭を困難にしているのだろう。

国会答弁で「核保有の提言を受けたことはない」と語った首相が、その発言者を留任させている。
この事実が、答弁の言葉以上に政権の姿勢を物語っているのではないだろうか。

 

 

 

「NPT重視」と言い切れるのか──迫るNPT再検討会議

首相はNPT重視を語ったが、過去の著書では非核三原則を「邪魔」と書いていた。

首相は国会で「核不拡散条約を重視する立場」と述べた。
これを額面どおりに受け取れるかは、過去の発言と照らし合わせる必要がある。

首相自身の過去の記述

しんぶん赤旗の報道(2025年10月27日)によると、高市首相は2024年9月出版の編著『国力研究』(産経新聞出版)の中で、非核三原則は「邪魔」だとして安保3文書からの削除を求めていた。

非核三原則の堅持を国会で語りながら、著書では「邪魔」と書く。
この食い違いは見過ごせない。

もちろん、首相になる前の著書と、首相としての国会答弁は立場が異なる。
就任後に方針を修正したという解釈もありうる。


⚠️ ここからは推測です

今回の答弁で気になるのは、首相が「非核三原則を堅持する」とは言い切っていない点だ。
毎日新聞の報道を読み返すと、首相の発言は「政府は非核三原則を政策上の方針として堅持する」という形になっている。
主語は「政府」であり、自身の信条としての堅持ではない。
自民・維新の連立政権合意で非核三原則の見直しが論点になっている文脈では、この区別は意味を持つのではないだろうか。

推測はここまでにして、確認できている事実に戻る。

2か月後に迫るNPT再検討会議

外務省の公表によると、NPT再検討会議は2026年4月27日から5月22日の日程でニューヨークで開かれる。
唯一の戦争被爆国として「核不拡散のリーダー」と米国務省からも認められてきた日本が、どのような姿勢でこの会議に臨むのか。
核保有発言をした補佐官を核軍縮担当に据えたまま、各国の理解を得られるのかどうか。
言葉と行動の整合性が問われる局面が続く。

 

 

 

まとめ

論点 首相の答弁 残された疑問
核保有の提言 「受けたことはない」 発言の是非には言及なし
核共有 「認められない」 非核三原則の個人的堅持は明言せず
発言者の処分 言及なし 第2次内閣で同一職責のまま再任
NPT重視 「条約を重視」 著書では非核三原則を「邪魔」と記述

高市首相は「核保有を否定」し「核共有も認めない」と語った。だが発言者は更迭されず、非核三原則の個人的な堅持も明言されていない。4月末に迫るNPT再検討会議で、この答弁が国際社会にどう受け止められるか。言葉と行動の整合性が問われる局面が続く。

 

 

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 高市首相は核保有について何と答弁した?

「政府高官から核保有に関する提言を受けたことはない」と述べ、NPT重視の立場を示した。

Q2. 核保有発言をした官邸幹部は誰?

尾上定正・内閣総理大臣補佐官。核軍縮・不拡散問題担当で、元航空自衛隊の空将。

Q3. 尾上定正補佐官はなぜ更迭されていない?

高市首相と同郷の奈良出身で防衛問題のブレーン。第2次内閣でも同一職責で再任された。

Q4. 核共有(ニュークリアシェアリング)とは?

NATOで実施される仕組みで、米国の核兵器を同盟国に配備し有事に共同運用する枠組み。

Q5. 高市首相は非核三原則を堅持すると明言した?

「政府は政策上の方針として堅持」と述べたが、個人の信条としての堅持は明言していない。

Q6. NPT再検討会議はいつ開かれる?

2026年4月27日から5月22日の日程でニューヨークにて開催予定。

Q7. 高市首相は過去に非核三原則についてどう発言していた?

2024年出版の編著『国力研究』で非核三原則を「邪魔」と記し安保3文書からの削除を求めた。

Q8. 核保有発言に対する各党の反応は?

自民・中谷元氏が「しかるべき対応を」、公明・斉藤代表が「罷免に値する」と批判した。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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