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元七十七銀行の行員が、客の1700万円を返さず姿を消した。
不正に預かった期間は、およそ6年におよぶ。
しかも本人は、それが表沙汰になる前に自分から銀行を辞め、いまは所在も分かっていない。
宮城県の地方銀行で起きたこの出来事には、もう一つ意外な事実がある。
被害に遭った客には、すでに銀行が1700万円を全額返しているのだ。
では、返し終えているのに「1700万円が返還されていない」と報じられるのは、なぜなのか。
この記事でわかること
七十七銀行の元行員が1700万円預かり所在不明
不正が続いたのは、2016年ごろから2022年ごろまでの約6年間だった。
七十七銀行 によると、当時この銀行の 村田支店 (宮城県)で営業を担当していた50代の男性行員が、担当する客1人から「運用名目」で現金を預かった。
そのうち 1700万円 を、返していなかった。
込み入っているのは、その後の足取りだ。
この元行員は、不正が発覚する前の2025年2月に、自己都合ですでに退職している。
そして不祥事が公表された2026年8月5日の時点で、その所在は分かっていない。
金を預けたのは、たった1人の客である。
それでも、預かりが始まってから公表までには長い年月が流れた。
姿を消した元行員が座っていた席だけが、静かに空いている。

不正の開始から公表まで、時間の流れで全体像をつかむ。(※イメージ図)
では、その1700万円を預けた客は、いま損をしているのだろうか。
客の1700万円は消えていない、損したのは誰か
預けた1700万円は、実はもう客の手元に戻っている。
銀行が被害に遭った客に対し、返されていなかった金額を全額、埋め合わせ済みだからだ。
ここで多くの人が引っかかる。
「1700万円が返還されていない」と報じられているのに、なぜ客は損をしていないのか。
答えは、この「返還されていない」という言葉が指す相手にある。
返していないのは、 元行員が銀行に対して 、である。
客と銀行のあいだの穴は、銀行がすでに自腹でふさいだ。
残っているのは、その立て替えた分を銀行が元行員から取り戻せるか、という別の問題だ。
つまり、被害の穴埋め(弁済=銀行が客に代わってお金を全額埋め合わせること)と、元行員個人の責任追及は、切り離して進む。
客が救われることと、元行員が逃げ切るかどうかは、同じ話ではない。
損をしたのは、少なくとも今の時点では客ではなく、 1700万円 を立て替えた 銀行のほう だ。

客は救済済みで、回収リスクを負うのは銀行という関係。(※イメージ図)
では、その金は、そもそもどんな形で元行員に渡っていたのか。
「運用名目で預かる」とはどんな手口だったのか
この金は、銀行の窓口も正規の商品も通っていなかった。
元行員は客に「運用名目」、つまり「お金を増やして返す」と持ちかけて現金を受け取っていたとされる。
ここが、ふつうの資産運用との決定的な違いになる。
銀行の窓口で投資信託などを買えば、その取引は銀行の帳簿に記録される。
売買の記録も、手数料も、すべて会社の仕組みの中を通る。
ところが今回のような「運用名目の預かり」は、その仕組みの外側にある。
客と担当者のあいだだけで現金が動き、 会社の記録には残らない 。
だから、増えるどころか元本すら戻ってこない事態が起きる。
正規の商品で値下がりして損をしたのではない。
渡した現金が、そのまま返ってこなかった 。
質がまるで違う。
窓口を通さない預かりなら、なぜ6年ものあいだ誰も気づかなかったのか。
なぜ6年間も発覚しなかったのか
不正は2016年ごろから2022年ごろまで、 約6年 続いた。
相手は1人の客。
しかも会社が動きをつかんだのは、元行員が辞めたあとだった。
長く隠れていられたのには、二つの条件が重なっている。
一つは、記録の問題だ。
もう一つは、人の心の問題である。
行動科学では、人は繰り返し顔を合わせて信頼を寄せた相手に対し、警戒や確認を省きやすくなることが知られている。
相手が「銀行の人」という肩書を持てば、その傾向はいっそう強まりやすい。
長く付き合った担当者ほど、疑う気持ちは薄れていく。
この二つを、今回の出来事に重ねてみる。
窓口を通さない現金の受け渡しは、会社の帳簿に残らない預かりだったと言える。
そして6年続いた一人の客との関係は、長い付き合いが確認を省かせる、あの心の働きにぴったり重なる。
担当者が代わって別の目が入ることもなく、退職して初めて表に出た。

記録に残らない預かりと厚い信頼が重なり死角が生まれた。(※イメージ図)
帳簿に残らない預かりと、長年の担当者を信じきる気持ち。
この二つが重なったことが、6年もの長期化を許した一因ではないか。
書類にも引っかからず、客も疑わなかった。
だから、誰も気づけなかったのだろう。
これは銀行だけの話ではない。
長く任せた相手と、記録の残らないやり取り。
この組み合わせは、町の会計係でも、親の財産を預かる身内でも、同じ死角を生む。
長く隠れていたこの不正で、元行員はこれから何を問われるのか。
元行員はこの先どうなる、罪に問われるのか
銀行はすでに 金融庁 (銀行を監督する国の役所)へ報告し、警察にも相談している。
客への穴埋めは済んでいるが、元行員個人の話はここからだ。
会社のお金や預かった金を自分のものにする行為には、 業務上横領罪や詐欺罪 などが考えられるだろう。
ただし、警察はいま相談を受けた段階にある。
逮捕されたわけでも、罪名が決まったわけでもない。
しかも、肝心の本人の居場所が分かっていない。
穴埋めが終わったこととは別に、責任を問う手続きはこれから動く。
銀行が立て替えた1700万円を誰がどう負担するのかも、その先にある。
では、もし自分が同じように「特別な運用」を持ちかけられたら、どう見分ければいいのか。
もし「特別な運用」を持ちかけられたら
この出来事の教訓は、たった一つの見分け方に集約できる。
銀行の正規の窓口や書類を通さずに現金を預けてほしい、と言われたら、それが危険信号だということだ。
今回、返ってこなかったのは1700万円。
約6年のあいだに預けられたものだから、単純に割れば1年あたり およそ280万円 のペースになる。
まとまった額が、長い時間をかけて少しずつ静かに移っていた。
相手が信頼できる担当者であるほど、その動きは見えにくくなる。

単純計算で年およそ280万円ずつ。規模を実感する。(※イメージ図)
金融機関の人であっても、正規の手続きを通さない現金の受け渡しには応じない。
心当たりのある取引や、自分の口座が心配なときは、まず 七十七銀行 そのものに確かめるのが早い。
七十七銀行は今回の件について、専用の問い合わせ窓口(フリーダイヤル0120-022-677、平日9時〜17時30分。
8月8日・9日も受け付け)を設けている。
自分のお金が、 記録に残る場所を通って動いているか 。
この一点を思い出せることが、今回の出来事から持ち帰れる、いちばん実際的な備えになる。
まとめ
- 「1700万円が返還されていない」のは元行員から銀行に対してであって、被害に遭った客には銀行がすでに全額を埋め合わせている。損をしたのは客ではなく、立て替えた銀行のほうだ。
- 不正は正規の窓口も商品も通らない「運用名目の預かり」で行われ、会社の帳簿に記録が残らなかった。値下がりの損ではなく、渡した現金がそのまま返らなかった。
- 帳簿に残らない預かりと、長年の担当者への信頼が重なり、約6年ものあいだ発覚しなかった一因になったとみられる構図がある。
- 元行員は発覚前の2025年2月に自己都合で退職し、公表時点で所在不明。銀行は金融庁へ報告し警察に相談したが、逮捕も罪名の確定もこれからだ。
- 見分け方は一つ。銀行員であっても、正規の手続きを通さない現金の預かりを求めてきたら応じない。
記録に残る場所を通っているか——自分のお金にその一点を問えるかどうかが、静かに進む不正と自分を隔てる線になる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 七十七銀行の元行員は何をしたのですか?
村田支店の客1人から運用名目で現金を預かり、うち1700万円を返さないまま2025年2月に退職し、所在も分かっていません。
Q2. 預けた1700万円はどうなったのですか?
被害に遭った客には、七十七銀行がすでに全額を埋め合わせ済みです。
未返還なのは元行員から銀行に対してで、客の損は補われています。
Q3. 自分の七十七銀行の預金は大丈夫ですか?
今回は担当者1人が特定の客1人から窓口外で預かったもので、一般の預金口座が被害に遭ったという発表はありません。
Q4. なぜ6年間も発覚しなかったのですか?
窓口を通さず帳簿に記録が残らない預かりだったうえ、長年の担当者を客が信頼していたことが重なり、退職後に判明したと考えられます。
Q5. 元行員は逮捕されるのですか?
銀行は金融庁へ報告し警察に相談していますが、現時点で逮捕や罪名は発表されていません。
本人の所在も分かっていません。
Q6. 「運用名目で預かる」とはどういう手口ですか?
「お金を増やして返す」と持ちかけ、銀行の正規窓口や商品を通さずに現金を受け取る形です。
会社の記録に残らない点が正規取引と違います。
📚 参考文献
リアルタイムニュースNAVI 編集部
reaitimenews.com
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