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はしか15人感染 なぜワクチン3回接種でも防げなかったのか

愛知県東三河の県立高校で発生したはしか集団感染の解説アイキャッチ。ワクチン3回接種でも感染した事実を強調

| 読了時間:約10分

愛知県東三河の県立高校から、はしかの感染が止まらない。
ワクチン接種済みの生徒や、出入りしていた40代の業者にまで広がっている。

感染者のなかには、ワクチンを3回打った生徒もいた。
なぜ接種済みでも感染するのか。
自分の接種歴は足りているのか。

感染拡大の全容と、生まれ年で分かるワクチン接種歴、今できる対策を整理する。

 

 

 

愛知・東三河の県立高校で15人感染——2か月で去年1年分を超えた

はしかの集団感染が始まったのは2月中旬だった。

愛知県の公式発表によると、3月2日時点で県内のはしか感染者は20人
2025年の通年が19人だったから、わずか2か月で去年の年間感染者数を超えたことになる。

感染の中心は、東三河にあるひとつの県立高校だ。

日付 できごと 累計
2月12日頃 最初の生徒が発熱
2月16日 田原市の男子生徒で感染確認(ワクチン未接種) 1人
2月17日 同校の生徒4人を追加確認 5人
2月18日 さらに2人追加 7人
2月20日 蒲郡市の生徒ら含め拡大 10人
2月21日 豊川市の生徒で11人目 11人
2月23日 12人目を確認 12人
2月27日 教員1人の感染を確認 13人
3月2日 内装工事業者(40代男性)の感染を確認 14人
3月3日 男子生徒1人を追加確認 15人

メ〜テレの報道によると、最初に感染が確認された生徒はワクチンを一度も接種していなかった。
この生徒は2月12日頃に発熱し、17日にかけて市内の医療機関を4回受診している。

高校生だけの問題ではなかった

感染は生徒の間だけにとどまらなかった。

愛知県の2月27日付発表で、同校の教員(40代男性・接種歴不明)の感染が明らかになった。
さらに、感染した生徒の弟(10代・ワクチン1回接種)も発症し、家族間でも広がっている

3月2日時点で、生徒12人、教員1人、内装工事業者1人の計14人が同一高校に関連する感染者として確認された。
3月3日にもう1人追加され、学校関連は15人になっている。

新たに感染した40代の内装工事業者は、メ〜テレの報道によると2025年8月頃からこの高校に出入りしていた。
ワクチンは1回しか接種していない。

 

 

 

感染者の立ち寄り先

愛知県は、感染者が発症前後に利用した施設を公表している。

日付 施設 該当者
2月24日
20:20〜20:50
すき家259号田原店 生徒の弟(10代)
2月25日
14:00〜15:00
ユタカ自動車学校豊橋校 同上
2月26日
12:00〜12:15
すき家151号新城店 内装工事業者(40代)
2月27日
11:30〜12:00
飲食店A(豊川市内・非公表) 同上

いずれも自家用車で移動しており、公共交通機関は利用していない。
ただし、2月20日付の愛知県発表では、蒲郡市在住の生徒がJR東海道本線と名鉄を利用して通学していたことが公表されている。

⚠ 注意

同じ日に上記の施設を利用し、発熱や発疹の症状が出た場合は、事前に医療機関へ電話してから受診するよう愛知県が呼びかけている。

なお、東三河の県立高校の校名は愛知県が公表しておらず、報道各社も「東三河の県立高校」としか報じていない。

ここで疑問が浮かぶ。
感染者のなかにはワクチンを2回、さらには3回打った生徒もいた。
なぜ、接種済みなのに感染するのか。

 

 

 

ワクチン3回でも感染——「打ったから安心」が通じない理由

ワクチンを3回接種していた生徒まで感染した
これが今回の集団感染で最も衝撃的な事実だろう。

愛知県の2月20日付発表によれば、蒲郡市在住の10代男性はワクチンを3回接種していた。
にもかかわらず、2月12日に発症し、遺伝子検査で麻疹ましんと確定している。

接種回数がバラバラだった

集団感染の感染者は、ワクチン接種歴にばらつきがある。

接種回数 該当者の例 備考
0回 最初に感染確認された生徒 定期接種を受けていなかった
1回 40代の内装工事業者、生徒の弟 空白世代または1回のみの世代
2回 複数の生徒 定期接種2回を完了
3回 蒲郡市在住の生徒 3回打っても感染

ワクチンを打てば全員が完全に守られるわけではない。
池袋東口まめクリニックの解説によると、1回の接種で免疫がつくのは約95%。
全員に免疫がつく20人に1人は免疫を獲得できない

2回接種すれば97〜99%まで上がる。
それでも100人に1〜3人は十分な免疫を持てない。

免疫の経年変化

さらに、ワクチンで一度ついた免疫も年数とともに弱まることがある。
接種から10年以上たつと抗体価が下がり、感染が成立するケースが報告されている。

 

 

 

はしかの感染力はインフルの10倍

免疫がわずかに弱まっただけで感染が成立する背景には、麻疹の圧倒的な感染力がある。

感染力の指標であるR0(1人の感染者から何人に広がるかを示す数値)は、麻疹で1人の感染者から12〜18人に広がる
インフルエンザは1〜3人、新型コロナの初期株で2〜2.5人だったから、桁が違う。

感染症 R0 感染経路
麻疹(はしか) 12〜18 空気感染・飛沫・接触
新型コロナ(初期株) 2〜2.5 飛沫・接触・エアロゾル
インフルエンザ 1〜3 飛沫・接触

麻疹が空気感染する点も厄介だ。
同じ部屋にいるだけで感染しうる。
マスクや手洗いだけでは防げない

95%の壁——集団免疫の仕組み

ワクチンは個人を守る武器であると同時に、社会を守る仕組みでもある。

周囲の大多数が免疫を持っていれば、ウイルスは広がる先を失い、流行が止まる。
これが集団免疫しゅうだんめんえきだ。
麻疹の場合、流行を抑えるには人口の92〜94%が免疫を持つ必要がある。

ワクチンの効果率を考慮すると、接種率にして95%以上が求められる。

今回の集団感染が意味すること

愛知県の公式発表によると、同一高校の感染者14人のうち、生徒が12人、教員が1人、出入り業者が1人。
限られた空間のなかで、接種歴にばらつきのある集団が長時間接触したことで、集団免疫の穴を突かれた形だ。

ワクチンは「打てば自分だけが助かる道具」ではない。
社会全体の接種率が高くなければ、麻疹の圧倒的な感染力の前には個人の免疫も突破されうる。

では、自分自身は何回接種しているのか。

 

 

 

あなたは何回打った?——生まれ年で分かるワクチン接種歴

最後にワクチンを打ったのはいつだろうか。
母子手帳がすぐに出てくる人のほうが少ないはずだ。

日本の麻疹ワクチンは、時代によって接種回数が変わってきた。
生まれた年で、自分の接種歴の目安がわかる。

生まれ年 接種回数 リスク
1972年9月以前
(53歳以上)
0回 多くは自然感染で免疫あり
1972年10月〜1990年4月
(約36〜53歳)
1回のみ 空白世代。免疫が不十分なおそれ
1990年4月〜2000年4月
(約26〜36歳)
1〜2回 特別措置の対象。要確認
2000年4月以降
(25歳以下)
2回 定期接種2回。母子手帳で確認を

空白世代と40代男性の接点

今回感染した40代の内装工事業者は、まさに空白世代にあたる。

1972年10月〜1990年4月生まれの人は、定期接種としてワクチンを1回しか受けていない。
1回接種では20人に1人が免疫を獲得できず、獲得できた人も年数とともに免疫が弱まる。

「記憶」と「記録」は違う

この世代は「子どもの頃に注射を受けた記憶がある」という人がほとんどだろう。
しかし記憶があれば安心接種は1回だけだ

愛知県の公式発表では、この40代男性のワクチン接種歴は「1回」と記録されている。
空白世代の脆弱さが、現実の感染として表れた。

2000年4月以降生まれの世代は2回接種が定期化されており、免疫はより強固だ。
ただし今回の集団感染では、2回接種済み・3回接種済みの生徒も感染している。
接種回数だけで安心はできない。

 

 

 

今できる3つのこと

①母子手帳で接種歴を確認する
手元にない場合は、かかりつけ医や自治体の保健センターに問い合わせる。

②接種歴が不明なら、ワクチンを打つ
すでに抗体がある状態で打っても害はない。
免疫がブーストされるメリットがある。

③麻疹患者と接触した場合は72時間以内に緊急接種
愛知県の公式発表でも、接触後72時間以内のワクチン接種で発症を防げる場合があるとしている。

結論

接種歴がわからなくても迷ったら打つ。それが最も確実な対策だ
抗体がある状態で接種しても健康上のリスクはないとされている。

とくに空白世代にあたる36〜53歳の人は、子どもや高齢の家族と接する機会も多い。
自分が感染すれば、まだワクチンを打てない0歳児や、免疫が落ちている家族に広げてしまう。
自分を守ることが、周囲を守ることにもなる

 

 

 

まとめ

  • 愛知県東三河の県立高校を起点に、はしかの感染が拡大。3月3日時点で学校関連の感染者は15人。県全体では20人を超え、2025年の通年を2か月で上回った
  • ワクチン2回・3回接種済みの生徒も感染。麻疹はR0が12〜18と感染力が圧倒的に強く、免疫がわずかに弱まっただけでも感染が成立しうる
  • 1972〜1990年生まれの空白世代は1回しか接種していない。今回感染した40代の内装工事業者もこの世代だった
  • 母子手帳で接種歴を確認し、不明なら追加接種を検討する。迷ったら打つ。それが自分と周囲を守る、最もシンプルな行動

よくある質問(FAQ)

Q1. はしかのワクチンを2回接種していても感染しますか?

2回接種で97〜99%に免疫がつきますが、100人に1〜3人は十分な免疫を得られません。年数経過で免疫が弱まることもあります。

Q2. 愛知県東三河のはしか集団感染は何人まで広がった?

3月3日時点で学校関連の感染者は15人。県全体では20人を超え、2025年の通年19人をすでに上回りました。

Q3. はしかの感染力はどのくらい強い?

R0は12〜18で、インフルエンザの約10倍、新型コロナ初期株の約7倍です。空気感染するためマスクだけでは防げません。

Q4. はしかワクチンの「空白世代」とは?

1972年10月〜1990年4月生まれの人です。定期接種が1回のみで、免疫が不十分なおそれがある世代です。

Q5. 自分のはしかワクチン接種歴はどう確認する?

母子手帳で確認するのが確実です。手元にない場合はかかりつけ医や自治体の保健センターに問い合わせてください。

Q6. はしか患者と接触したらどうすればいい?

接触後72時間以内にワクチンを緊急接種すれば発症を防げる場合があります。事前に医療機関に電話してから受診してください。

Q7. はしかの症状は風邪とどう見分ける?

38℃前後の発熱と咳・鼻水で始まり風邪に似ますが、その後39℃以上の高熱と全身の発疹が現れるのが特徴です。

Q8. ワクチン接種歴がわからない場合はどうする?

接種歴が不明でもワクチンを打って問題ありません。すでに抗体がある状態で接種しても健康上のリスクはありません。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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