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綾瀬署巡査部長はなぜ13年間バレなかった?遺体撮影の全容と処分

綾瀬署巡査部長が霊安室で遺体の裸を13年間撮影し懲戒免職となった事件の解説アイキャッチ

| 読了時間:約8分

警視庁綾瀬署の52歳の巡査部長が、霊安室で女性の遺体の裸を約13年にわたり撮影していた。
2026年2月27日付で懲戒免職ちょうかいめんしょくとなり、書類送検されている。

なぜ犯行は13年も見過ごされたのか。
発覚の経緯、法的な問題、そして警察全体で急増する不祥事の構造を読み解く。

 

 

 

霊安室で女性約20人の裸を撮影──綾瀬署巡査部長の犯行の全容

読売新聞の報道によると、この巡査部長は2009年から2022年にかけて、勤務先の警察署の霊安室で、変死事案へんしじあんとして取り扱った女性約20人の裸をスマートフォンで撮影していた。

約13年で20人。
平均すると、およそ8か月に1人のペースだ。
小学校に入学した子どもが大学を卒業するまでの時間に相当する。

📰 NHKの報道

この巡査部長は捜査資料の女性の遺体などの写真を盗んだほか、盗撮をくり返したり、子どもの性的な画像を所持したりしていたとされる。

容疑は遺体の撮影だけではない。
遺体撮影、駅での盗撮、児童ポルノ所持という3つの性犯罪が1人の警察官に重なっている。

ニュースの見出しからは「遺体の写真を盗んだ」という印象を受ける。
しかし全体像はさらに悪質だ。


変死事案とは、病院の外で亡くなった人について事件性がないか調べるケースを指す。
遺体は警察署の霊安室に運ばれ、検視けんしが行われる。

遺族は「家族の死因を調べてほしい」と警察を信じて遺体を預ける。
家族が突然亡くなり、遺体を警察に引き渡した経験のある人は少なくないだろう。

その霊安室の中で、この巡査部長はスマートフォンを取り出していた。

📌 外部流出について

読売新聞の報道によれば、外部への画像流出は確認されていないという。
ただし、犯行の異常さは流出の有無で変わるものではない。

ではなぜ、これほど長い犯行が見過ごされていたのか。
発覚のきっかけは、意外な場所にあった。

 

 

 

埼玉の駅での盗撮が「芋づる式」に暴いた──13年間バレなかった構造

犯行が発覚したきっかけは、霊安室での不審な動きではない。
読売新聞の報道によると、2025年9月に埼玉県内の駅構内で別の盗撮をし、性的姿態撮影処罰法せいてきしたいさつえいしょばつほう違反で現行犯逮捕されたのだ。

警察署の霊安室で13年間も遺体の裸を撮影していた人間が、同僚や上司の目ではなく、「駅での盗撮」というまったく別の犯行で足がついた。

逮捕にともなう自宅の捜索で記録媒体が押収された。
そこから遺体の撮影画像が見つかった。

⚠️ 発覚の構造

つまり、駅での盗撮がなければ、霊安室での犯行は今も発覚していなかった

なぜ霊安室は「密室」になりやすいのか

霊安室での変死事案の処理は、少人数で行われることが多い。
遺体を扱う業務の性質上、大勢が出入りする場所ではない。

外部の目も入りにくい。
スマートフォンで何かを撮影しても、「捜査記録のため」なのか「私的な目的」なのか、第三者には区別がつきにくい。

この構造的な密室性こそが、13年間にわたる犯行を支えていたのだろう。


 

 

 

過去にも繰り返された遺体画像の不正持ち出し

警察官による遺体画像の不正な取り扱いは、過去にも起きている。

時期 概要
2021年 山口県警の警部が、遺体の画像を私用スマホに保存し知人女性に送信
2021年 京都府警の警部補が、殺人事件の遺体写真を不倫相手に送り有罪判決
2026年 本件。綾瀬署の巡査部長が13年間にわたり霊安室で遺体の裸を撮影

いずれも、遺体を取り扱う権限を持つ警察官が、その立場を悪用した事案だ。

山口や京都の事案は「外部への送信」で発覚した。
本件は外部流出がなかったからこそ、13年間も隠れ続けた

犯行の長さと被害者数で、本件は過去の事案を大きく上回る。
この巡査部長は法的にどう裁かれるのだろうか。

 

 

 

遺体への撮影は何の罪になるのか──容疑の全容と法律の壁

NHKの報道によると、この巡査部長は窃盗容疑、性的姿態撮影処罰法違反、児童ポルノ禁止法違反で書類送検された。

ここで疑問が浮かぶ。
「霊安室で遺体の裸を撮影した」行為そのものは、何の罪に問われるのだろうか。

⚠️ ここからは法律面の分析であり、推測を含みます

以下の法律の適用に関する記述は、過去の判例やAI知識に基づく推測です。

遺体への撮影を直接罰する法律の限界

2023年7月に施行された性的姿態撮影処罰法は、人の性的な部位を撮影する行為を罰する法律だ。

しかし、この法律が「遺体」に適用されるかには議論の余地がある
同法は生きている「人」の性的姿態を保護する趣旨で作られており、遺体への適用は明確ではない。


刑法190条の死体損壊罪したいそんかいざいはどうか。
これは死体を物理的に損壊・遺棄した場合に適用される。
撮影しただけでは「損壊」に当たらないというのが通説だ。

性犯罪の規定も壁にぶつかる。
不同意わいせつ罪は、生きた人を被害者として想定している。
遺体には適用されない。

法律 遺体への撮影に適用できるか
性的姿態撮影処罰法 遺体が対象になるか不明確
死体損壊罪(刑法190条) 撮影は「損壊」に当たらない
不同意わいせつ罪 生きた人が対象。遺体には不適用
窃盗罪 「捜査資料の写真を持ち出した」として立件

2023年には、東京都の葬儀場で女性の遺体にわいせつ行為をした元従業員の裁判があった。

 

 

 

産経新聞の報道によると、罪名は「建造物侵入罪」と「迷惑防止条例違反」だった。
遺体への行為そのものを罰する法律ではなく、間接的な法律で裁くしかなかった。

本件でも、遺体の撮影そのものではなく「捜査資料の写真を盗んだ」という窃盗容疑が柱になっている。
遺体の尊厳を傷つける行為に対し、現行法が十分に対応できていない構図が浮かび上がる。

📌 処分について

懲戒処分としては最も重い懲戒免職が科された。
ただし、刑事罰としてどこまで問えるかは、今後の検察の判断に委ねられている。

この事件は、52歳の巡査部長1人の異常さだけでは片づけられない。
2025年、全国の警察では過去10年で最多の懲戒処分が出ている。

 

 

 

2025年の懲戒処分337人──警察不祥事が過去10年最多になった背景

警察庁の発表によると、2025年に懲戒処分を受けた全国の警察官・警察職員は337人
前年より98人増え、過去10年で最も多かった。

337人を365日で割ると、ほぼ毎日1人の警察職員が懲戒処分を受けていた計算になる。

📰 FNNの報道

処分理由で最も多かったのは「異性関係」の104人
盗撮、不同意わいせつ、セクハラなどが含まれる。
次いで窃盗・詐欺・横領が63人だった。

「異性関係」で104人ということは、ほぼ3日に1人のペースだ。
本件の巡査部長も、この流れの中に位置づけられる。


なぜ警察官の不祥事は止まらないのか

元警察官OBの安沼保夫氏は、メディアの取材に対し、警察内部の構造的な問題を指摘している。

💬 元警察官OBの証言

「警察内部では『小さな違反』が常態化しています。これが積み重なることで順法精神が麻痺し、一線を越えてしまうのだと思います」(安沼保夫氏)

安沼氏によると、勤務表で「パトロール中」のはずが交番の奥で書類整理をしている、といった小さなルール逸脱が日常化しているという。
「これくらい大丈夫か」という感覚が少しずつ膨らみ、犯罪行為にまでつながるという見立てだ。

毎日新聞の2022年の報道でも、専門家が「盗撮行為に似た要素を含む業務に日々接することで、盗撮へのハードルが低くなる傾向がある」と分析している。

警察官は業務上、防犯カメラ映像の確認や証拠写真の撮影など、「撮影」に近い行為を日常的に行う。
その延長線上で感覚がまひする構造があるのだろう。

 

 

 

免職44人の中の1人

項目 2025年 前年比
懲戒処分・合計 337人 +98人
うち免職 44人 +14人
うち停職 97人 +21人
逮捕者 64人 +7人
処分理由最多 異性関係 104人

免職44人のうちの1人が、この綾瀬署の巡査部長だ。
警察庁が「過去10年最多」を発表してからわずか22日後に、また新たな異例の不祥事が世に出た。

📌 本件が示す構造的問題

警察官は変死事案という業務を通じて、遺族が預けた遺体に自由にアクセスできる。
この権限が悪用されたとき、外部からのチェックはほとんど機能しない。
それが本件の13年間という数字が示している事実だ。

 

 

 

まとめ

  • 綾瀬署の52歳巡査部長が、霊安室で2009年から2022年にかけて女性約20人の裸を撮影していた
  • 発覚のきっかけは遺体撮影ではなく、2025年9月に埼玉の駅で行った別件の盗撮逮捕だった
  • 遺体への性的撮影を直接罰する法律に限界があり、「捜査資料の窃盗」で立件された
  • 2025年の警察の懲戒処分は337人で過去10年最多。「異性関係」が104人を占めた
  • 元警察官OBは「小さな違反の常態化」が一線を越えさせる構造的原因だと指摘している

よくある質問(FAQ)

Q1. 綾瀬署の巡査部長の名前は公表されたのか?

報道では「綾瀬署の男性巡査部長(52)」とされており、実名は公表されていない。

Q2. 遺体の写真は外部に流出したのか?

読売新聞の報道によると、外部への画像流出は確認されていないとされている。

Q3. なぜ13年間も犯行が発覚しなかったのか?

霊安室は密室性が高く外部の目が入りにくい。2025年9月の埼玉での別件盗撮逮捕で初めて発覚した。

Q4. 遺体の裸を撮影する行為は何の罪になるのか?

遺体への性的撮影を直接罰する法律に限界があり、本件は「捜査資料の窃盗」容疑で書類送検された。

Q5. 懲戒免職になると退職金はもらえるのか?

懲戒免職の場合、退職手当は全額または一部が不支給となるのが原則。

Q6. 書類送検と逮捕の違いは何か?

書類送検は身柄を拘束せず書類のみで検察に送ること。逮捕は身柄を拘束する手続き。

Q7. 2025年の警察官の懲戒処分は何人だったのか?

警察庁の発表で337人。過去10年で最多となり、うち免職は44人だった。

Q8. 過去にも警察官が遺体の写真を不正に扱った事件はあるのか?

2021年に山口県警の警部が遺体画像を知人に送信、京都府警でも遺体写真の外部流出事案が起きている。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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📚 参考文献

  • NHKニュース「女性の遺体などの写真盗んだか 52歳巡査部長を書類送検 警視庁」(2026年2月27日)
  • 読売新聞「霊安室で女性20人の裸をスマホで撮影、警視庁が52歳巡査部長を懲戒免職」(2026年2月27日)
  • 警察庁「令和7年中の懲戒処分者数について」(2026年2月2日)
  • FNNプライムオンライン「警察官・警察職員の懲戒処分過去10年で最多の337人」(2026年2月5日)
  • 弁護士JPニュース「警察官の"不祥事"なぜ止まらない?」(2025年10月1日)
  • 朝日新聞「検視した遺体の画像を送信 知人女性に複数回 山口県警が警部処分へ」(2021年10月15日)
  • 京都新聞「殺人現場の遺体写真を不倫相手の女性に送る 元警察官に有罪判決」(2022年7月19日)
  • 産経新聞「遺体安置室侵入の罪で有罪 葬儀場元職員」(2023年2月3日)