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2026年2月28日、バーレーンの米海軍第5艦隊施設にイランのミサイルが着弾した。
同日に始まった米国・イスラエルのイラン攻撃への報復で、標的は湾岸5カ国に広がっている。
なぜ東京23区ほどの小さな島国バーレーンが狙われたのか。
そこにはアメリカの中東戦略と、日本のエネルギー供給に直結するホルムズ海峡の問題がある。
この記事でわかること
バーレーンの米海軍基地にイランがミサイル攻撃──何が起きたのか
バーレーン政府が自国への攻撃を公式に認めた。
バーレーン国家通信センターの声明
アラブニュースによると、バーレーンの国家通信センターは「第5艦隊のサービスセンターがミサイル攻撃を受けた」と声明を出した。
「バーレーンで爆発音」という速報を見て、テロや事故を思い浮かべた人は多いだろう。
バーレーンと聞いても場所がわからないという声もある。
ところが、今回の爆発はテロでも事故でもない。
イランの軍事精鋭部隊革命防衛隊が発射した弾道ミサイルだ。
AFP通信の記者は首都マナマでサイレンと複数の爆発音を確認している。
沿岸付近から灰色の煙が立ち上った。
住民の携帯にはバーレーン内務省から即時避難を呼びかける警報が届いた。
標的はバーレーンだけではなかった
ここが重要な点だ。
攻撃はバーレーン1カ国にとどまらなかった。
ロイターの報道では、カタール・UAE・クウェート・ヨルダンの4カ国でもイランのミサイル攻撃や迎撃が確認されている。
いずれも米軍基地がある場所だ。
UAEの首都アブダビでは住宅地にミサイルの破片が落下し、アジア国籍の民間人1人が亡くなった。
5カ国に広がった大規模報復攻撃
「バーレーンで爆発」は、5カ国に広がったイランの大規模報復攻撃の一部だった。
2025年6月のイスラエル・イラン衝突ではカタールの1基地だけが標的になったが、わずか8ヶ月で攻撃範囲は4倍以上に膨らんだ。
なぜイランはバーレーンを標的に選んだのか。
その答えは、この小さな島国に置かれた巨大な軍事拠点にある。
なぜバーレーンが標的に──イランから「目と鼻の先」にある米軍中東拠点
バーレーンが狙われた理由は1つ。
ペルシャ湾を挟んでイランからわずか約200kmの場所に、米海軍第5艦隊の司令部があるからだ。
200kmとはどのくらいか。
東京から静岡までとほぼ同じ距離だ。
CNNによると、バーレーンはペルシャ湾における米国の主要同盟国であり、首都マナマに第5艦隊司令部が常駐している。
東京23区サイズの島国に「中東の番人」
バーレーンは東京23区よりやや広い程度の面積しかない島国だ。
人口も約150万人ほどにすぎない。
だがこの小国に、中東全域をカバーする米海軍の中枢がある。
第5艦隊はペルシャ湾・紅海・アラビア海からケニアまでの東アフリカを管轄し、約1万5000人が任務にあたる。
イランによるミサイル攻撃の確認
イランの半国営通信ファルス通信は、バーレーンの米軍基地をミサイル攻撃したと伝えた(CNN)。
つまり第5艦隊は、中東の石油輸送ルートを守る「番人」のような存在だ。
イランにとっては、すぐ目の前にある最も目障りな米軍拠点にほかならない。
イランが持つ短距離弾道ミサイルの射程は300〜500kmとされる。
200km先のバーレーンは完全にその圏内に入っている。
⚠️ ここからは推測です
攻撃の数日前、バーレーンの港から米海軍の艦艇が次々と出港していたとの報道がある。
米軍は基地を「守り抜く」のではなく「避ける」選択をしていたのだろう。
世界最強の海軍でも、至近距離からのミサイルには別の対処法をとるしかなかったとみられる。
バーレーンの第5艦隊は標的の1つにすぎない。
イランの報復ミサイルは湾岸諸国の米軍基地を次々と襲った。
そしてこの攻撃には明確な引き金がある。
米・イスラエルのイラン攻撃と報復──なぜ4カ国が同時に狙われたのか
同じ2月28日、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を始めた。
イランの報復は、その数時間後に始まっている。
これを「イスラエルとイランの2カ国の争い」と捉えると全体像を見誤る。
2カ国間の紛争 → 5カ国に拡大した多国間の軍事衝突だ。
核協議の決裂から48時間で開戦
BBCによると、トランプ大統領は「大規模な戦闘作戦が進行中だ」と発表した。
ネタニヤフ首相も「存亡の危機を排除する作戦に着手した」と述べている。
2月26日、スイス・ジュネーブでイランの核開発をめぐる協議が行われた。
だが合意には至らなかった。
核協議の決裂からわずか48時間。
外交の席から戦場への転換は、あまりに速かった。
イラン革命防衛隊の声明
ロイターによると、イラン革命防衛隊は「全ての占領地域と米軍基地はイランのミサイルの強力な攻撃を受けた。この作戦は敵が決定的に敗北するまで容赦なく継続する」と通告した。
各国の被害と迎撃の状況
| 国名 | 米軍施設 | 状況 |
|---|---|---|
| バーレーン | 第5艦隊司令部 | 施設に着弾、死傷者は未発表 |
| カタール | アルウデイド空軍基地 | パトリオットで迎撃成功 |
| UAE | アル・ダフラ空軍基地ほか | 民間人1人死亡 |
| クウェート | 複数の基地 | 領空内のミサイルに対応 |
| ヨルダン | 複数の基地 | 弾道ミサイル2発を撃墜 |
航空会社は中東全域で運航を止めた。
イラン上空の空域はほぼ空白になっている。
2025年6月との比較──8ヶ月でどれだけ拡大したか
2025年6月、イスラエルとイランは「12日間戦争」と呼ばれる衝突を起こしている。
そのときと今回を並べると、エスカレーションの速度がはっきり見える。
2025年6月
報復先:1基地
2026年2月
報復先:5カ国
| 比較項目 | 2025年6月 | 2026年2月 |
|---|---|---|
| イランの報復先 | カタール(1基地) | 5カ国の米軍基地 |
| 米軍の参戦 | 開戦9日目から | 初日から共同作戦 |
| きっかけ | イスラエル単独の攻撃 | 米・イスラエル合同攻撃 |
| 民間人被害(湾岸) | 報告なし | アブダビで1人死亡 |
報復先が1基地から5カ国へ。
米軍が初日から加わったことで、イランも報復の規模を一気に引き上げた。
⚠️ ここからは推測です
革命防衛隊が「容赦なく継続する」と宣言した以上、この衝突が数日で終わるとは考えにくい。
戦闘がどこまで広がるかは、今後の停戦交渉の行方しだいだろう。
中東全域で戦火が広がるなか、日本にとって最大の懸念はペルシャ湾の出入り口にある。
ホルムズ海峡と日本──ガソリン価格に直結する「海峡リスク」
中東の戦争は遠い世界の話に思える。
だが日本のタンカーの約8割がこの海峡を経由している。
ホルムズ海峡が止まれば、ガソリンも電気もガスも値上がりする。
世界の原油の2割が通る狭い水路
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾の出入り口にあたる幅約50kmの水路だ。
東京から横浜までよりやや長い程度しかない。
ここを通過する原油は日量約1650万バレル。
世界の原油消費の約2割にあたる。
日本への影響
日本が1日に使う原油は約300万バレル。
ホルムズ海峡が1日止まるだけで、日本の約5日分の原油が滞る計算になる。
原油価格はどうなるのか
日経新聞によると、ホルムズ海峡が封鎖された場合、原油価格は1バレル90ドル超との見方がある。
ただし、ホルムズ海峡の全面封鎖はイラン自身の原油輸出も止めてしまう。
合理的に考えれば長期の封鎖には踏み切りにくい。
⚠️ ここからは推測です
だが追い詰められた局面で、合理性が通用するとは限らない。
2025年6月の衝突では、部分的な航行制限も報じられた。
原油価格が短期的に急騰し、数週間〜数ヶ月後にガソリンスタンドの価格に反映される展開はありうるだろう。
日本政府の対応
高市首相の指示
Bloombergによると、高市首相は情報収集の徹底と邦人の安全確保を関係省庁に指示した。
現時点で邦人被害の報告はない。
外務省の海外安全ホームページでは、バーレーン全土の危険情報がレベル2(不要不急の渡航は止めてください)に引き上げられている。
すでに滞在中の人は、航空便のキャンセルや遅延にも注意が必要だ。
ガソリンスタンドで値段が上がったとき、その原因はこの海峡の向こう側にある。
まとめ
| 何が起きたか | イラン革命防衛隊がバーレーンほか5カ国の米軍基地にミサイル攻撃 |
| なぜバーレーンか | イランから約200kmに米海軍第5艦隊の司令部がある |
| 発端 | 米国・イスラエルが同日イランへの軍事攻撃を開始 |
| 被害 | UAEアブダビで民間人1人死亡。バーレーンの詳細は未発表 |
| 日本への影響 | ホルムズ海峡が止まれば原油・ガソリン・電気代に直撃 |
| 日本政府の対応 | 高市首相が情報収集と邦人安全確保を指示。バーレーンはレベル2 |
情勢は刻々と変化している。
外務省の海外安全ホームページや各報道機関の速報で最新情報を確認してほしい。
よくある質問(FAQ)
Q1. バーレーンで何が起きたのですか?
2026年2月28日、イラン革命防衛隊が米海軍第5艦隊の施設にミサイルを撃ち込んだ。バーレーン政府が公式に攻撃を確認している。
Q2. なぜバーレーンが攻撃の標的になったのですか?
バーレーンにはイランから約200kmの距離に米海軍第5艦隊の司令部があり、イランのミサイル射程内にあるため。
Q3. 米海軍第5艦隊とは何ですか?
ペルシャ湾・紅海・アラビア海を管轄する米海軍の艦隊で、バーレーンの首都マナマに司令部を置く。約1万5000人が任務にあたる。
Q4. バーレーン以外に攻撃された国はどこですか?
カタール・UAE・クウェート・ヨルダンの4カ国でもイランのミサイル攻撃や迎撃が確認された。
Q5. なぜイランは報復攻撃を行ったのですか?
同じ2月28日に米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始したことへの報復。核協議決裂の2日後だった。
Q6. 日本への影響はありますか?
日本のタンカーの約8割がホルムズ海峡を経由しており、封鎖されれば原油・ガソリン・電気代の上昇に直結する。
Q7. ホルムズ海峡は封鎖されるのですか?
全面封鎖はイラン自身の輸出も止めるため合理的には考えにくいが、戦闘が続けばリスクは高まる。
Q8. ガソリン価格は上がりますか?
原油価格は短期的に上昇する見込み。ホルムズ海峡が封鎖されれば90ドル超との専門家予測もある。
Q9. バーレーンにいる日本人は大丈夫ですか?
現時点で邦人被害の報告はない。外務省はバーレーン全土をレベル2(不要不急の渡航中止)に引き上げた。
Q10. 第三次世界大戦になるのですか?
現時点で他国が参戦する動きは確認されていない。ただし中国・ロシアの対応次第で情勢は変わりうる。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- AFP通信「バーレーンの米軍施設に攻撃、カタールではイランのミサイルを迎撃」(2026年2月28日)
- ロイター「イランが湾岸アラブ諸国にミサイル発射、アブダビで1人死亡」(2026年2月28日)
- BBC「アメリカとイスラエル、イランを攻撃と発表」(2026年2月28日)
- CNN「米軍が基地置く湾岸アラブ諸国、爆発の報告相次ぐ」(2026年2月28日)
- アラブニュース「クウェート、UAE、カタール、バーレーンの米軍基地がイラン革命防衛隊の攻撃を受ける」(2026年2月28日)
- 外務省海外安全ホームページ「バーレーンの危険情報(引上げ)」(2026年2月28日)
- 沖縄タイムス/共同通信「バーレーンで爆発音と中東メディア」(2026年2月28日)