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警察とコラボし、著名人を集め、国策事業をうたった会社が、5000人から250億円を集めた。
2026年7月8日、被害者弁護団が東京地検特捜部に告訴状を出した。
詐欺罪での刑事告訴だ。
京都市の「合同会社クリアースカイ」は、サーバーを買えば3か月後に10%の利益をつけて買い戻すと約束していた。
しかし被害者が老後資金を預けた先には、実物のサーバーがほぼ存在しなかった。
「安心の証拠」として見せられていたものが、実は詐欺の設計部品だった。
そのからくりを読み解く。
この記事でわかること

250億円・5000人——その数字の正体
5000 人が合計 250億円 を失った。
しかしその会社の従業員は 10人未満 だった。
合同会社クリアースカイ は2020年11月、京都市下京区に設立された。
資本金は 300万円 だ。
代表社員は 辻蘭真 。
同社はデータサーバーの所有権を 1口110万円 で販売した。
「第三者にレンタルして収益を得る。
3か月後に元本に10%の利息をつけて買い戻す」という仕組みをうたっていた。
東京商工リサーチ が報じた。
ところが 2026年2月中旬以降 、代表の辻蘭真をはじめ経営陣全員と連絡が取れなくなった。
合同会社クリアースカイが京都市下京区に設立。
資本金300万円・従業員10人未満
1口110万円でサーバー所有権を販売。
「3か月で10%の利回り」を約束して全国で勧誘
代表・辻蘭真をはじめ経営陣全員と連絡が取れなくなる。
配当の支払いが停止
債権者205名が京都地裁へ第三者破産を申立て。
債権総額は約28億円
被害者弁護団が消費者庁へ預託法違反で告発状を提出
弁護団が東京地検特捜部に詐欺罪等で告訴状を提出。
被害者は全国約5000人・250億円
新規の投資金を原資として、既存の投資家への配当に回す自転車操業だった可能性が高い、という見方が広がっている。
「サーバーの実態がない状態で、後から入ってきたお金で前の人に配当を払う」——この構造を、経済界では 「ポンジスキーム」 と呼ぶ。
では、なぜ5000人はこの会社を信用したのか。
そこには、詐欺師が外側から借りてきた信用を積み上げた仕組みがあった。
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「警察も国もお墨付き」の嘘
「サイバーセキュリティ強化の国策を応援したいと出資した」
——この言葉が、詐欺師の狙いを正確に物語る。
「著名人が来ていた・ 国策推進 ・ 警察とコラボしている会社なら安全 」。
そう感じるのは自然な反応だ。
しかしクリアースカイはまさにその心理を狙っていた。
ITmedia NEWS によると、同社はプロ野球関係者などの著名人や政治家を 広告塔として使用 していた。
元阪神タイガース・ 関本賢太郎 は2024年12月のセミナーに登壇し、「仮想通貨のチャンスを逃してしまったが、(クリアースカイには)乗ります!」と語っていた。
文春オンライン が報じている。
被害者からは「阪神の元選手が深く関わっていると聞いて信用した」という声が出た。
⚠ 公的機関の「コラボ」は投資の安全を保証しない
警視庁サイバーセキュリティ対策本部や大阪府警らとのセキュリティセミナー共催も行われていたとされている。
「国や警察が保証する事業」という誤認を顧客に植え付けたのではないか。
ただし 公的機関が民間の投資商品を推薦・保証することは制度上あり得ない 。
「安全の証拠が多いほど信頼できる」 。
その感覚こそが、詐欺師にとって最も安く手に入る道具だった。
しかしここで立ち止まりたい。
これほど手の込んだ信用の外装を纏っていたとして、この商法の数字そのものは、実は最初から破綻が確定していた。
電卓一つで証明できる。
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最初から破綻が決まっていた数字
配当と紹介料を合わせると、年間で最大 80% の資金が出ていく構造だった。
これは 普通の事業では絶対に成り立たない 。
東京商工リサーチ の会見報道によると、投資家への配当は約 10% 、紹介者への報酬も約 10% だった。
3か月ごとのサイクルを1年繰り返すと、年間で最大 80% の資金が外に流出する計算になる。
「このような高利回りは通常の事業では成立し得ず、資金循環に依存した破綻前提のモデルだった」と指摘している。
📐 「年間80%流出」の計算
配当(3か月10%)× 年4回 + 紹介料(投資額の約10%)
= 年間最大 80% の資金が外部へ流出
元本100万円を預けると → 年間で 80万円 が配当・紹介料として出ていく計算
実感として言い換えると、銀行の定期預金の利率が年 0.1% 程度であることを考えると、その異常さが際立つ。
ポンジスキーム(自転車操業型詐欺)とは
新しいお金を集めて、前に入った人への配当に回すだけの仕組み。
利益を生む事業は実在しない。
クリアースカイの場合、「3か月で10%の配当体験」を繰り返させることで、投資家が数字の異常さに気づく前に追加投資へ誘導していた疑いがある。
「3か月で10%」という配当を何度も受け取るうちに、損失への感覚が麻痺し、追加投資に踏み切りやすくなるという人間心理の働きがあるのではないか。
行動経済学では「プロスペクト理論」として知られる、 利得が続くと損失への感度が下がる現象 に近い構造だ。
「毎回ちゃんとお金が返ってくる」という体験が、数字の異常さを覆い隠す仕組みになっていたと考えられる。
💡 毎月ちゃんと入金されると「これは本物だ」と思って、どんどん突っ込んでしまう——それが詐欺師の本当の狙いだった。
250億円 ÷ 5000 人で計算すると、1人あたりの平均被害額は約 500万円 になる。
退職金や老後の蓄えをすべて注ぎ込んだ被害者が複数いる。
「だまされた側の油断」という話ではない。
最初から人の心理を狙って設計された仕組みだった。
では、この明らかに成り立たない数字の商法が、なぜ法律で禁止された後も4年近く続けられたのか。
そこには制度の「穴」ではなく「執行の壁」がある。
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禁止されていた商法がなぜ通った
法律は 2022年 に整った。
しかし摘発は 2026年7月 になった。
その4年間に、250億円が消えた。
2022年6月1日 、 改正預託法 (販売預託商法を原則禁止した法律)が施行された。
安愚楽牧場 (被害約 4200億円 )・ ジャパンライフ (同約 2000億円 )などの大規模被害を受けて整備されたものだ。
「本質的に反社会的な性質を有する」と明記され、違反した場合の罰則も設けられた。
①サーバーを販売する
②同社が預かる
③高配当で買い戻しを約束
→ 改正預託法の禁止要件を 3つすべて 満たす
消費者庁が全事業者を
事前に監視する体制はない
→ 配当が続く間は 問題が表面化しにくい 構造
クリアースカイのスキームはこの禁止行為に当てはまる。
「①サーバーを販売する→②同社が預かる→③高配当で買い戻しを約束する」という3ステップが、改正法が禁じる販売預託商法の要件をそのまま満たしていたとされる。
にもかかわらず、クリアースカイは法施行後も勧誘を続けていたとされており、消費者庁の監視体制が追いつかなかった可能性がある。
「法律がある=守られる」ではない。
消費者庁はすべての事業者を事前に把握できるほどの人員も予算も持っていない。
配当が続く間は被害者からの通報も起きにくく、問題が表面化しづらい構造がある。
「法律を作るだけでは詐欺は止められない。
消費者自身が法律を知り、疑わしい話を見抜くことが最後の防衛線になる」 ——これが過去の大型詐欺事件が共通して残した教訓だ。
では告訴状が出た今、被害者たちは実際にお金を取り戻せるのか。
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告訴されて、次は何が起きるか
告訴は「捜査のお願い」であり、 逮捕の保証ではない 。
被害者が今知っておくべき現実がある。
弁護団長・ 加藤博太郎弁護士 は 東京商工リサーチ の取材に「近日、大阪府内にて被害を受けた被害者を代理して大阪地方検察庁特捜部にも告訴を実施する予定だ」と語った。
東京・大阪の両特捜部に告訴状が出ることになる。
組織的犯罪処罰法 ・ 預託法違反 ・ 詐欺罪 の複数容疑が対象だ。
返金の現実は厳しい。
破産申立を行った 205 名の債権総額は約 28億円 だ。
総被害推定 250億円 の約 11% (28億÷250億≒0.11)にすぎない。
残る約 89% に相当する被害者は、正式な法的手続きにも辿り着けていない状況とも考えられる。
破産手続きでの債権届出や、代理店への民事損害賠償請求といった選択肢はあるが、全額回収の見込みは現時点では極めて低いとされる。
特捜部が捜査を進める中で、辻蘭真ら経営陣の所在確認や資産保全が焦点になるだろう。
ただし告訴から逮捕・起訴に至るには、検察が「起訴できる証拠がある」と判断するまでの時間がかかる。
「告訴した」と「逮捕された」の間には、長い捜査の過程がある。
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「制度でも防げず、告訴しても全額は戻らない」——この現実を前に、次の被害者にならないために今すぐ使える判断軸が一つある。
その「うまい話」を見分ける唯一の問い
「著名人がいる・警察とコラボ・国策事業」——この3つが揃ったら、 むしろ疑うべきだ 。
クリアースカイが契約していると公表していたサーバー保管会社に確認したところ、 「クリアースカイと当社との契約関係はありません」 という書面が返ってきた。
https://www.youtube.com/watch?v=-KvTBCOtnl0
が報じている。
少なくとも 2023年8月 以降、どの保管会社とも実際の契約はなかった。
「その商品・サービスは本当に存在するか」という一点を自分で確かめるだけで、見破れた可能性がある。
⚠ 「信用の演出」チェックリスト——3つ揃ったら要注意
- 著名人・有名スポーツ選手がイベントに登場している
- 「国策事業」「政府が推進」などの言葉が使われている
- 「警察とコラボ」「公的機関とセミナー共催」がアピールされている
これらはすべて、詐欺師が 外から借りてきた信用 だ。
投資先の実態とは無関係。
「紹介者がいる・著名人が来ていた・警察とコラボしている」という理由で投資を決めた場合、詐欺師の設計通りに動いていたことになるのではないか。
これらはすべて、詐欺師が外から「借りてきた」信用だ。
次の詐欺は別の名前で来る。
「IPFS」の次は別の技術用語、「サーバー」の次は別の現物が使われる。
しかし仕組みは同じだ。
「高い配当・著名人・権威ある機関との接点」が3つ揃ったとき、あなたが最初にすべき問いは一つ—— 「その実物を、私は自分の目で確認できるか」 。
この事件の本質は「詐欺師が人間の信頼感という心理を設計に組み込んだ点」にある。
安全に見える証拠が多いほど、その実物を確かめる価値がある——クリアースカイ事件が 5000 人の老後資金と引き換えに残した、たった一つの教訓だ。
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まとめ
- クリアースカイは投資家への配当約10%と紹介者への報酬約10%を組み合わせ、年間で最大80%の資金を支払う構造だった。通常の事業では成り立たない数字で、計算上は最初から破綻が確定していた。
- 著名人のセミナー登壇・警察機関との共催イベント・「国策事業」という言葉は、詐欺師が外から調達した信用の装飾であり、投資先の実態とは無関係だった。
- 破産申立205名・債権28億円は総被害5000人・250億円の約11%にすぎない。刑事告訴が出ても全額回収の見通しは厳しく、法的手続きに辿り着けていない被害者が大多数を占める。
- 販売預託商法(商品を買わせ預かって配当するという商法)は2022年6月から原則禁止されていたにもかかわらず被害が続いた。法律の整備だけでは消費者被害を止められないことを、この事件は改めて示した。
「安全に見える証拠が多い投資話ほど、その実物を自分で確かめる価値がある」——クリアースカイ事件が5000人の老後資金と引き換えに残した、たった一つの教訓だ。
よくある質問(FAQ)
Q1. クリアースカイとはどんな会社ですか?
京都市に本社を置く合同会社で、資本金300万円・従業員10人未満。
データサーバーの所有権を1口110万円で販売し、3か月で10%の利回りで買い戻すと約束していたが、実態はサーバーがほぼ存在しない疑いが強い。
Q2. クリアースカイの被害者は何人で被害額はいくらですか?
全国で約5000人、未払い額は約250億円とされている。
1人あたりの平均被害額は約500万円になる計算で、老後の蓄えを失った高齢者も多数いる。
Q3. クリアースカイの詐欺で逮捕者は出ていますか?
2026年7月8日時点で、被害者弁護団が東京地検特捜部に告訴状を提出した段階。
告訴は捜査のお願いであり、逮捕の確定ではない。
今後、大阪地検特捜部への告訴も予定されている。
Q4. クリアースカイに投資したお金は返ってきますか?
現状では返金の見込みは極めて低い。
破産申立を行った205名の債権総額28億円は、総被害推定250億円の約11%にすぎない。
破産手続きでの債権届出や代理店への民事損害賠償請求が選択肢だが、全額回収は難しい状況だ。
Q5. クリアースカイはなぜ警察とコラボしていたのですか?
JAPAN WEB3協会を通じて警視庁等とセキュリティセミナーを共催していたとされる。
ただし公的機関が民間の投資商品を保証することは制度上あり得ない。
「警察とコラボ」という言葉は信用を演出するために使われた可能性がある。
Q6. クリアースカイに関わった芸能人や著名人は誰ですか?
元阪神タイガースの関本賢太郎が5周年パーティに出席し、セミナーで「クリアースカイに乗ります!」と発言していたと文春オンラインが報じている。
元選手の糸井嘉男も同社のパーティに参加したとされる。
Q7. クリアースカイの商法は法律的に違法ですか?
2022年6月に施行された改正預託法により、商品を買わせて預かり高配当で買い戻すという「販売預託商法」は原則禁止となった。
クリアースカイのスキームはこの禁止行為の要件を満たすとされており、詐欺罪にも該当する可能性があると弁護団は主張している。
Q8. クリアースカイの代理店として勧誘した人も罪に問われますか?
弁護団は「加担した一部の特別代理店」も告訴の対象としている。
代理店として勧誘行為を行った場合、詐欺への関与の程度によって刑事・民事の両面で責任が問われる可能性がある。
個々のケースは弁護士への相談が必要だ。
📚 参考文献
- ITmedia NEWS「サーバ投資で250億円未払いか 顧客ら、会社を詐欺罪で東京地検特捜部に刑事告訴」 (2026年7月8日)
- 東京商工リサーチ「投資トラブルのクリアースカイ、被害弁護団が告訴へ」 (2026年7月8日)
- 東京商工リサーチ「クリアースカイの債権者が会見 ~ 第三者破産の経緯を説明 ~」 (2026年4月9日)
- MBSテレビ「【クリアースカイ】"国の事業"うたうサーバー事業投資トラブル」 (2026年5月27日放送)
- 読売テレビ「全国で250億円の被害、データ管理会社『クリアースカイ』の経営陣は6年前にも民泊ビジネスの大型破綻劇に関わっていた」 (2026年6月)
- 文春オンライン「元阪神・関本賢太郎が関与した『250億円投資トラブル』《預託法違反の疑いで告発状》」 (2026年4月18日)
- well-lab.jp
- money-police.com
- kabuhikaku.com
- x.com
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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