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『どうすればよかったか?』父がお茶に入れていたものは何か──書籍で明かされた新事実

映画『どうすればよかったか?』書籍版で明かされた父の無断薬物投与の新事実を解説するアイキャッチ画像

| 読了時間:約8分

映画『どうすればよかったか?』の書籍版で、映画には入れられなかった衝撃の新事実が明かされた。
医師である父が、統合失調症の姉のお茶にスポイトで向精神薬こうせいしんやくを無断投与していた──その全容と、書籍でしか語れなかった理由を解き明かす。

 

 

 

映画では描けなかった"3つ目の衝撃"──父が姉のお茶にスポイトで入れていたもの

映画『どうすればよかったか?』には、2つの大きな焦点があった。玄関への南京錠。そして25年に及ぶ精神科の受診拒否。だが監督の藤野知明氏は当初から、もう1つ入れたい事実を抱えていた。

藤野家の両親はともに医師で研究者だった。
医学の専門家なら、子どもの異変に最も適切に対応できるはず──そう思うのが普通だろう。


ところが、この家庭で起きていたのは真逆の事態だった。

📌 藤野氏の証言(ENCOUNT)

「父がですね、どうやら向精神薬こうせいしんやくを姉に承諾を得ずに与えていたのではないかと見える場面を僕は何度も目撃していて」
──ENCOUNTのインタビューより

父はポケットからスポイトのような容器を取り出す。
そして台所で、姉に出すお茶にだけ液体を入れていた。

正式な診断も、本人の同意もない。
10年以上にわたる無断投薬だった。

 

 

 

なぜ両親は「自分たちで治す」道を選んだのか

姉に統合失調症の症状が現れたのは1983年。
医学部に通う24歳のときだった。

救急搬送された姉を迎えに行った父は、帰宅するなり「姉は病気ではない」と弟に告げた。

📌 母の発言(文藝春秋)

文藝春秋のインタビューによると、母も同じ姿勢だった。
「姉は医学部へ行くことを強要され、親の教育虐待を恨んでいる。だから統合失調症のふりをしている」。
そう自分に言い聞かせていたという。

藤野氏はこう推測する。
精神科を受診すれば、姉の医師や研究者としてのキャリアは終わる。
だから両親は、こっそり自分たちで治すことに賭けたのだろう、と。


 

 

 

弟はなぜ、姉を救えなかったのか

「なぜ弟は病院に連れていかなかったのか」。
映画の観客から最も多く寄せられた疑問だ。

しかし精神科の入院には制度上の壁がある。

成人の入院には本人の意思が最優先される。
本人が拒否した場合、家族の同意で入院させる方法もある。
だが、その同意権は両親がきょうだいよりも上位に位置する。

⚠ 制度の壁

藤野氏はENCOUNTにこう語っている。
両親が反対しているものを、きょうだいが違う考え方で入院させるということはできない

自分や他人を傷つける恐れがあれば警察の介入で入院させられる。
だが姉にはそれもなかった。
弟に残された手段は、両親を説得する以外になかった。

しかし、なぜ映画ではこの薬物投与を取り上げなかったのか。
そこにはドキュメンタリーならではの、苦渋の判断があった。

 

 

 

 

カメラを向けたら父は手を止めた──映像に残せなかった理由と、弟への"投薬"疑惑

藤野氏が2001年に撮影を始めた直接のきっかけ。それは家族の日常を記録するためではなかった。家族の日常記録父の投薬行為を映像として残すためだった。

しかしカメラを回し始めると、父はある変化を見せる。

💡 藤野氏の証言(ENCOUNT)

「多分、僕が撮影してるのに気づいて、こっから先はやっちゃいけないというふうに父は思ったからやめたんじゃないかと」
──ENCOUNTのインタビューより

カメラを向けていると、父はその行為をやめた
つまり父自身、それが不適切な行為だと自覚していたのではないか。

決定的な映像は、ついに撮ることができなかった。


 

 

 

「映像がない事実」をどう伝えるか

撮影開始から数年後、父はある向精神薬の名前を口にした。
「ただ、もう使ってない」「だからうちにはない」と付け加えたという。

だがその薬品名を含め、投薬行為を裏づける映像は存在しない。
藤野氏は映画への採用を断念した。

📌 映画で描けなかった理由

「映像の作品で映像がないのに、これを事実ですって文字だけで出すのは無理がある」
──ドキュメンタリーという表現形式が、事実の伝え方を制約していた。

書籍という別の表現媒体に移ったことで、ようやくこの事実を公にできた。
映画制作時には存命だった父が、執筆前に亡くなっていたことも書きやすくなった理由の1つだという。


弟自身にも使われた疑い

投薬の対象は姉だけではなかった。

藤野氏は大学生のころ、母から頭痛薬として渡された薬を飲んだ。
すると、ほかの薬とはまるで違う反応が起きた。
意識がもうろうとした。

💡 弟への投薬疑惑

「根拠はないんですけど、もしかして姉に使ってた向精神薬を僕にも使ったんじゃないかなって思いました」
それ以来、親からどんな薬も受け取らないと決めた。

映画では描けず、書籍で初めて語られた家族の真実。
では、25年間の未治療の果てに、姉はどうなったのか。

 

 

 

 

25年間の空白と3か月の劇的変化──ある精神科医の反論が突きつけるもの

2008年、転機が訪れた。母の認知症が進み、父が1人で姉の面倒を見られなくなった。皮肉にも、姉を医療から遠ざけていた構造が崩れたことがきっかけだった。

25年ぶりの精神科受診で、統合失調症の診断はすぐに出た。

✅ 藤野氏の言葉

診断が出たことが一番うれしかった」と藤野氏は振り返っている。
──ENCOUNTのインタビューより

通常、診断は治療のスタートラインにすぎない。
だがこの家族にとっては、25年間「病気かどうかもわからない」状態に終止符が打たれた瞬間だった。


 

 

 

25年間の未治療が、わずか3か月の入院で劇的に改善した

入院からわずか3か月
姉は目に見えて変わった。

「きょうだいらしい会話が少しはできるようになったらいいかな」という控えめな願いは、あっさりとかなった。

未治療期間

25年

本人の同意なし(無断投薬)
症状悪化・意思疎通困難

入院治療

3か月

本人の同意あり(正式な治療)
会話可能なレベルまで改善

「こんなに変わるもんなのか」。
藤野氏自身が驚いた。
もう少し早く受診できていれば──その思いがよぎらなかったはずがない。

 

 

 

「両親の判断は正しかった」という精神科医の声

だが話はそれほど単純ではない。

映画公開後、1980年代の精神科病院の状況を知る医師から連絡があった。
当時の病院に入院させなかったことは間違ってはいなかった、という趣旨だった。

1983年当時、精神科の入院環境は現在とは大きく異なる。
長期入院が常態化し、効果的な治療薬も限られていた。
安心して預けられる場所ではなかった、というのがこの医師の主張だ。

📌 藤野氏の姿勢

藤野氏は姉の人生について、明確な結論を出していない。
「幸せかどうかは、やっぱり最終的には本人が判断するしかない」。
ただ、「もっといろいろできることはあったんじゃないか」とも語っている。


映画と書籍──2つのメディアが残したもの

姉は入院後、56歳で肺がんが見つかり、2021年に亡くなった

藤野氏はその後、撮り溜めた素材を編集し映画を完成させる。
2024年12月、わずか4館で始まった上映はまたたく間に広がった。

シネマトゥデイの報道によれば、2025年12月時点で全国145館、観客動員16万人、興行収入2億3000万円を突破している。

VIDEO SALONのインタビューで藤野氏はこう語った。
統合失調症の生涯発症率はおよそ1%。
日本には100万人ほどの当事者がいておかしくない。

サイン会に訪れる人の約3割が、自分や家族が統合失調症だと打ち明けるという。

 

 

 

2026年1月29日には書籍版文藝春秋から刊行された。
全192ページ、1,650円。
発売前に重版が決定するほどの反響だった。

映画で描けなかった薬物投与の事実を含め、1966年から2025年までの家族の歩みが全6章にわたって綴られている。

映画は現在も一部劇場でアンコール上映中だ。

もし自分の家族がある日突然変わってしまったら。
「どうすればよかったか?」という問いに正解はない。
だからこそ、この記録は30年の時を超えて人を揺さぶり続けている。

 

まとめ

  • 映画『どうすればよかったか?』の書籍版で、映画に入れられなかった「3つ目のポイント」が初公開された。医師の父が、姉のお茶にスポイトで向精神薬を10年以上にわたり無断投与していた事実だ。
  • カメラを向けると父は投薬をやめた。映像証拠が残らなかったため、映画では扱えなかった。書籍という表現媒体に移ったことで、初めて公にされた。
  • 25年間の未治療に対し、正式な入院治療はわずか3か月で劇的な改善をもたらした。ただし1980年代の精神科医療の実態を踏まえると、「早く入院させればよかった」と単純には言えない面もある。
  • 書籍は2026年1月29日に文藝春秋から刊行済み。映画は一部劇場でアンコール上映が続いている。

 

 

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 映画『どうすればよかったか?』の姉の死因は?

姉は入院後56歳で肺がんが見つかり、2021年に亡くなった。統合失調症ではなくがんが直接の死因。

Q2. 映画『どうすればよかったか?』の興行収入は?

2025年12月時点で興行収入2億3000万円、観客動員16万人を突破。全国145館で上映された。

Q3. 父が姉のお茶に入れていたものは何?

向精神薬(精神科で処方される薬)。正式な診断も本人の同意もなく、スポイトで10年以上投与していた。

Q4. なぜ映画では薬物投与の事実を描かなかったのか?

カメラを向けると父が行為をやめたため映像証拠がなく、ドキュメンタリーとして提示できないと判断した。

Q5. 映画『どうすればよかったか?』は配信されている?

2026年3月時点でサブスク配信は未定。一部劇場でアンコール上映が続いており、公式サイトで確認できる。

Q6. 書籍『どうすればよかったか?』の内容は映画と何が違う?

映画で描けなかった父の無断薬物投与や弟への投薬疑惑など新事実を含む全192ページのノンフィクション。

Q7. なぜ25年間も姉を精神科に連れていかなかったのか?

医師の両親が「病気ではない」と否定し続けた。弟は入院させたくても、制度上きょうだいより両親の同意が優先され手段がなかった。

Q8. 「両親の判断は正しかった」と言った精神科医の根拠は?

1980年代は精神科の入院環境が劣悪で長期入院が常態化しており、当時の病院に預けても改善した保証はないという趣旨。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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