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エジプトがFIFAに審判追放を要求——世界最優秀主審のW杯初戦で何が起きたか

| 読了時間:約5分

世界で一番うまいはずの審判が、W杯デビュー戦で最大の批判を受けた。

2026年7月7日、アメリカ・アトランタ。

FIFAワールドカップのラウンド16(ベスト16)で、エジプトはアルゼンチンと対戦した。

78分まで2対0でリードしていたエジプトは、残り13分で3点を失い、逆転負けを喫した。

試合翌日、エジプトサッカー協会(EFA)はFIFAへ正式な抗議文を提出した。

担当した主審と審判団を、今大会から「追放」するよう求める内容だった。


エジプトがFIFAに審判追放を要求——世界最優秀主審のW杯初戦で何が起きたか

エジプトが「大会追放」を要求した理由

「世界王者を大会に残しておきたかったのだろう。

メッシを勝ち残らせたかったのかもしれない」——試合後、エジプト代表の ホッサム・ハッサン監督 がこう語った。

単なる負け惜しみではなく、 EFA が正式文書でFIFAに突きつけた抗議には、具体的な 2 つの場面が根拠として挙げられていた。

物議の中心は後半 13 分の場面だ。

エジプトが1対0でリードしていた状況で、 モスタファ・ジコ がカウンターからゴールを決めた。

しかしビデオ審判(VAR)が介入し、得点は取り消された。

ゴール約 30 秒前に、エジプトのマルワン・アティアがアルゼンチンのリサンドロ・マルティネスの足を踏んでいたとしてファウルを取ったためだ。

もう一つは 90+2 分の場面だ。

スコアが2対2に追いついた直後、エジプトの モハメド・サラー がペナルティーエリア(ゴール前の反則でPKになるエリア)内で倒れた。

しかしPKは与えられず、VARも動かなかった。

その直後にアルゼンチンのエンツォ・フェルナンデスが決勝ゴールを決め、エジプトの逆転負けが確定した。

⚠ EFAはこの2場面を「 重大な誤審と二重基準(ダブルスタンダード) 」と表現した。
Al Jazeera によれば「エジプト代表に対する差別という犯罪行為があった」とまで訴えている。

ジコは試合後に「この大会は仕組まれていたことは明らかだ」と強い言葉で怒りをあらわにした。

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では、エジプトの要求はFIFAに認められるのだろうか。

FIFAはエジプトの抗議に応じるのか

W杯の歴史上、協会の正式抗議によって試合結果が覆ったことは一度もない。

サッカーの競技規則では、試合中の判定の最終権限は主審にある。

試合が終わった後に結果を変えることは、制度上認められていない。

今大会でもエジプト以外の クロアチア フランス がFIFAへ審判問題の抗議文を提出しているが、いずれも結果の変更には至っていない。
Goal.com が伝えるとおり、FIFAは今大会だけで複数国からの苦情対応に追われている状況だ。

さらに踏み込んだ情報もある。

FIFA審判部長の ピエルルイジ・コリーナ が、アルゼンチンの決勝点は正当であり、VARが動かなかったのは正しい判断だったという趣旨の見解を示したとされており、 エジプトの要求が受け入れられる可能性は低い とみられている。


2002年
過去事例
日韓W杯で韓国対イタリア・スペイン戦に不可解な判定が連発。世界中から抗議殺到
FIFA公式DVD
異例の結末
FIFA設立100周年記念公式DVD「FIFA FEVER」で「世界10大誤審」第6〜9位に選出。ただし試合結果は変わらず
2026年7月8日
今回の抗議
EFAがFIFAへ審判団の調査・追放を正式要求。FIFA審判部長は判定を有効と見解を示したとされる
現時点
FIFAの対応
Al Jazeera・Reutersの取材コメント要求に対しFIFAは未回答。帰結は不明

FOOTBALL ZONE によれば、2002年の騒動ではFIFAは後に「世界10大誤審」として自ら認める異例の対応を取ったが、試合結果は変わらなかった。

今回も同じ道をたどる可能性がある。

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では、今回の批判を受けた主審とはどんな人物なのか。

そして、なぜこれほど大きな騒動になったのか。

「世界最優秀主審」がW杯初戦で的になった皮肉な構造

2024 年の世界最優秀主審——。

その人物のW杯デビュー戦が、過去最大規模の審判批判に発展した。

フランソワ・ルテクシエ は1989年生まれのフランス人審判だ。
2016 年、 26 歳でフランス1部リーグ「リーグ・アン」の主審デビューを果たした。

その後、EURO2024(欧州選手権)の決勝まで担当するなど、FIFA・UEFA双方から最高の評価を受けてきた人物だ。

国際サッカー歴史統計連盟( IFFHS )が選ぶ2024年の世界最優秀主審にも輝いており、フランス人審判の同賞受賞は 35 年ぶりの快挙だった。

Sports Illustrated も彼を「UEFA欧州リーグ決勝も担当した実績ある審判」と紹介している。

そして今回が、 W杯への初出場だった

公正世界仮説(こうせいせかいかせつ)とは

「世界はつじつまが合うはずだ」という思い込みのこと。

心理学者メルビン・ラーナーが提唱した概念で、人間は「努力した人が報われ、ルールを守った人が守られるはずだ」と無意識に信じやすい傾向がある。

今回の騒動では、この心理が「前回王者アルゼンチン×フランス人主審×アフリカ代表エジプト」という組み合わせに向けられ、判定の内容よりも先に「不公平の証拠」として受け取られやすい状況を生んでいた可能性がある。

ここに一つの逆説がある。

通常、「世界最優秀」という肩書きは信頼の証になるはずだ。

しかし心理学では「公正世界仮説」と呼ばれる認知のゆがみが知られている。

人間は「世界は公平なはずだ」という思い込みを持ちやすく、その思い込みが裏切られたと感じると、怒りが一気に増幅される傾向がある。

「前回王者アルゼンチン×フランス人主審×アフリカ代表エジプト」という組み合わせが、この心理に火をつけた可能性がある。

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「最高評価を受けた審判が選ばれた」という事実が、 「だから意図的に選ばれた証拠だ」という疑惑に転化 されやすくなるのではないか。

実際、ハッサン監督は「フランスとアルゼンチンは前回大会の決勝で対戦した縁がある。

我々はそもそもこの審判の起用に試合前から異議を唱えていた」と主張している。

ルテクシエへの批判の激しさは、 判定の正確さとは別の層で増幅されていた 可能性がある。

🗣 職場で話すなら:「うまい審判を選んだはずなのに、それが逆に『わざと選んだ』証拠みたいに見えてしまうって、サッカーって怖いな」

では、実際の2つの判定は、ルール的に正しかったのか、おかしかったのか。


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問題になった2つの判定を並べてみると

VARが動いた場面と動かなかった場面——同じ試合の中で、なぜ扱いが違ったのか。

VAR介入
ジコのゴール取り消し

エリア外の接触を約30秒遡って適用。

ゴールを取り消した

VAR静観
サラーへの接触

エリア内でサラーが倒れたがVAR動かず。

直後に決勝点

Al Jazeera によれば、元イングランド代表の ジェイミー・キャラガー は「この程度のプレーではゴールを取り消さない審判の方が多いだろう」と指摘した。

元イングランド代表の アラン・シアラー もSNSで「どちらもファウルか、どちらもファウルでないか」と投稿し、 一貫性のなさに疑問を呈した

コリーナ審判部長の説明によれば、「ペナルティーエリア外の接触はより厳密に遡及適用し、エリア内は通常の衝突として判断する基準の違いがあった」とされる。

しかしこの説明に対しても、 審判専門家の間では判断が割れている とされている。

「同じ試合の中で基準が変わって見える」という点が、批判の核心だ。

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エジプトの問題は、実はこの試合だけの話ではない。

今大会の審判騒動はエジプトだけじゃない

クロアチア、フランス、そしてアメリカ——今大会でFIFAへ審判問題の抗議を出した国はエジプトだけではない。

  • クロアチア :ポルトガル戦の判定についてFIFAへ抗議文を送付。ゴール取り消しに対し「テクノロジーの乱用」と批判
  • フランス :パラグアイ戦でのイエローカード取り消しをFIFAへ上訴
  • アメリカ :バログン選手のレッドカードによる出場停止が、トランプ大統領のFIFA介入報道を機に撤回される異例の事態が発生

今大会ではほかにも、クロアチアがポルトガル戦の判定についてFIFAへ抗議文を送り、フランスもイエローカードの取り消しを申し立てた。

さらにアメリカ代表FWフォラリン・バログンのレッドカードによる出場停止処分が、 トランプ大統領がFIFAへ電話介入したとされる報道 をきっかけに撤回されるという前例のない出来事まで起きた。

時事通信 はこの件を「ルールに対する権力者の介入を許すという悪しき前例」と批判している。

今大会のW杯では、審判問題が連鎖して起きており、W杯史上例を見ない「審判への信頼危機」が起きているのではないかとの声が広がっている。

あなたが次の試合のVAR介入シーンを見るとき、「これは正当な判定か」と疑う視点が、今大会を機に観戦体験に組み込まれてしまったかもしれない。

エジプトの抗議は、一つの負け試合に対する怒りではなく、 サッカーの審判制度そのものへの問いを突きつけている


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まとめ

  • エジプトはアルゼンチン戦で78分まで2対0リードしながら残り13分で逆転負けを喫し、EFAが翌日FIFAへ審判団の「追放」を正式要求した
  • 物議の2場面は「ペナルティーエリア外の接触でVARが遡ってゴール取り消し」と「エリア内でサラーが倒れてもVAR不介入」で、同一試合内での基準の違いに審判専門家からも疑問の声が出た
  • 批判を受けた主審ルテクシエは2024年のIFFHS世界最優秀主審であり、今回がW杯デビュー戦だった——最高評価を受けた審判が最大の批判を受けるという逆説が、今大会を象徴している
  • W杯の歴史上、協会の正式抗議によって試合結果が覆ったことは一度もなく、FIFA審判部長がすでに判定は正当という趣旨の見解を示したとされる

審判制度への信頼が揺らぐとき、最も傷つくのはピッチで全力を尽くした選手たちだ——エジプトの抗議が残したその問いは、今大会が終わっても消えそうにない。

よくある質問(FAQ)

Q1. エジプトはなぜFIFAに審判の追放を求めたの?

アルゼンチン戦でVARがエジプトのゴールを取り消した判定と、サラーへのPKが認められなかった場面を「重大な誤審と二重基準」と主張し、正式抗議文をFIFAに提出した。

Q2. FIFAはエジプトの抗議を受け入れる可能性はあるの?

FIFA審判部長がすでに判定は正当という見解を示したとされており、要求が認められる可能性は低いとみられている。

Q3. 今回の主審ルテクシエってどんな人?

フランス人審判で、EURO2024決勝を担当した実績を持つ。
2024年のIFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)世界最優秀主審に選ばれており、今回のW杯が初出場のデビュー戦だった。

Q4. VARが動いた場面と動かなかった場面でなぜ扱いが違ったの?

FIFA審判部長によれば、ペナルティーエリア外の接触は遡及適用し、エリア内は通常の衝突として判断する基準の違いがあったとされる。

ただしこの説明に対して審判専門家の間でも判断が割れている。

Q5. 今大会のW杯で審判問題が多いのはエジプトだけ?

クロアチアやフランスも今大会でFIFAへ審判抗議を提出している。

さらにアメリカ代表のバログン出場停止問題ではトランプ大統領のFIFAへの介入が報道されるなど、複数の審判騒動が起きている。

Q6. エジプトが試合前から審判に異議を唱えていたって本当?

Sports Illustratedの報道によれば、ハッサン監督はルテクシエ主審の起用に対して試合前から異議を唱えていたと主張している。

前回大会の決勝がアルゼンチン対フランスだったことが背景にあるとされる。

Q7. 2002年日韓W杯の審判問題はその後どうなったの?

コロンビア人主審が担当した韓国対イタリア・スペイン戦での不可解な判定が大批判を受けたが、試合結果は変わらなかった。

後にFIFAが制作した公式DVDで「世界10大誤審」として選出される異例の結末をたどった。

📚 参考文献

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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