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なぜ冷えない?中国製エアコン6商品「冷却装置なし」の衝撃

なぜ冷えない?中国製エアコン6商品「冷却装置なし」の衝撃

| 読了時間:約8分

「1秒で部屋を冷やす」——そのエアコン広告の商品は、冷却装置が入っていないただの送風機だった。
国民生活センターの商品テストで、SNS広告で売られる"偽エアコン"の正体が明らかになった。

 

 

 

冷却装置が「丸ごと入っていない」——テスト結果が示した衝撃の中身

国民生活センターが2026年3月11日にテスト結果を公表した。
対象はSNSやネット通販で冷暖房機能をうたう10商品。
すべて中国製だった。

「安い製品だから性能が低いんだろう」と思った人もいるだろう。
冷房の効きが悪い、温度が下がりにくい——そんなレベルの話を想像するのが普通だ。

ところが、冷房機能をうたう6商品すべてに、空気を冷やす部品そのものが搭載されていなかった
性能が低い冷やす仕組みが丸ごと存在しないのだ。

国民生活センターの公式発表によると、6商品を分解したところ、内部には送風ファンしかなかった。
冷房モードに設定しても、吹き出し口の温度は室温とほぼ同じ28.6〜29.1℃。
室温より低い風は一切出ない。

なぜUSB電源では部屋を冷やせないのか

エアコンが冷房できる仕組みはこうだ。
冷媒れいばいと呼ばれる液体が室内の熱を吸い取り、室外機へ運んで外に捨てる。
この熱の移動には数百W以上の電力がいる。

テスト対象商品の消費電力

4商品はUSB電源で、消費電力はわずか3.3〜9W
スマホの充電器と同じ程度の電力だ。

同センターの報告書も「USB電源や容量の小さいバッテリー等の少ない電力で部屋の温度を上げ下げすることはできません」と断言している。

つまり、ファンを回して風を送ることしかできない。
扇風機と変わらない。

 

 

 

暖房テストも全滅。消費電力の表示すら嘘だった

暖房も同様だった。
「数秒で暖まる」とうたう5商品を6畳の部屋で30分動かした結果を、通常のエアコンと比べてみる。

  通常のエアコン テスト対象5商品
30分後の温度上昇 12.3℃ 5℃未満(最大3.7℃)
暖房の仕組み 冷媒で外の熱を集めて室内に放出 ヒーターで局所的に温める
電力あたりの暖房能力 約470Wで2,200W分 消費電力とほぼ同じ

通常のエアコンは30分で12.3℃上昇
テスト商品はどれも5℃に届かなかった。

さらに驚くのは、消費電力の表示すら実態と合っていなかった点だ。
通販新聞の報道によると、交流電源を使う5商品すべてで実際の消費電力が表示値を下回った。
たとえば表示1500Wに対して実測は982W
消費電力を大きく見せることで「これだけ電力を使うなら暖まるはず」と消費者に思わせる仕掛けだろう。

国民生活センター担当者のコメント

「結果として送風されているだけ」「広告で極端なアピールをしているが、これはおかしいと知ってほしい」

では、こうした商品に消費者はどう騙されているのか。
寄せられた相談の中身を見ていく。

 

 

 

「温風が炎のように出る広告に騙された」——3,038件の相談が語る被害

全国の消費生活センターに届いた関連相談は、2020年4月からの5年間で3,038件にのぼる。
2024年度だけで1,354件と急増し、2025年度も12月末の時点で923件。
前年同期を上回るペースだ。

80代女性から50代男性まで、世代を問わず被害が広がっている

国民生活センターの報告書には、生々しい相談事例が記録されている。

80代の女性は、動画SNSで「温風が炎になって吹き出す」映像を見て卓上ヒーターを買った。
広告には「外は冬でも部屋の中は半袖」と書いてあった。
届いた商品は、顔を近づけなければ暖かさすら感じないものだった。

50代男性のケース

「1秒で16〜20度の冷風が出る。AI機能搭載」とうたう商品を購入。
届いたのはおもちゃのようなもので、冷風は出なかった。
さらに購入後に不審な電話がかかるようになったという。
粗悪品をつかまされるだけでなく、個人情報が流出するリスクまである。

70代の男性は「日本の大手電機メーカーと共同開発」という広告を信じた。
届いた商品は、弱い風がどうにか出る程度だった。

FNNの報道によると、相談には「広告のような温度にならない」「冷たい風が出ない」「温まらない」という声が多くみられた。

 

 

 

広告と取扱説明書が完全に矛盾している

被害の構造をよく見ると、単なる「粗悪品」の問題ではないことがわかる。

広告と説明書の矛盾

冷房機能をうたう6商品すべてで、取扱説明書にも冷房機能の記載がなかった
広告では「エアコン並みの冷房」と売り出しておきながら、説明書には風量の調整方法しか書かれていない。
10商品中7商品は説明書が英語か中国語で、日本語の記載すらない。

つまり、広告を作る段階ではじめから冷房機能を「後付け」しているわけだ。

SNS広告の審査が甘いことが被害拡大の温床になっている

この問題は2025年夏にも大きく報じられていた。
関西テレビの調査報道では、パナソニックやヤマダデンキのロゴを無断で使った偽広告の実態が明らかになった。
ヤマダデンキの担当者は「一切関係がなく、正直憤っている」とコメントしている。

省エネ大賞しょうエネたいしょうのロゴまでフェイクだった。
「2025年受賞」と書かれていたが、当時はまだ受賞者すら決まっていない時期だった。

なぜ偽広告が放置されるのか

テレビCMには放送局の審査部門が存在するが、SNS広告にはそれに匹敵するチェック機能がない。
海外から出稿された広告の真偽を確かめる仕組みが整っていないのだ。
被害の拡大は、商品の粗悪さだけでなく、広告を配信する側の審査不備にも原因がある

こうした状況で、消費者はどうやって身を守ればいいのか。
国民生活センターが示した具体的なポイントを整理する。

 

 

 

騙されないための4つのチェックと、買ってしまった場合の対処法

消費電力の数字を確認したことはあるだろうか。
実はこの数字だけで、偽エアコンの大半を見抜ける。

広告のどこを見れば嘘がわかるのか

国民生活センターの公式発表が示したアドバイスをもとに、チェックすべき点をまとめた。

チェック項目 見分け方 理由
電源の種類 USB電源やモバイルバッテリーは冷暖房不可 数Wでは空気の温度を変えられない
消費電力の表示 数W〜数十Wは冷暖房能力なし 冷房には最低でも数百W必要
広告の表現 「数秒で室温が変わる」は物理的に不可能 小型機器では実現できない
電気代の宣伝 「1日数円で冷暖房」は実現し得ない 電気代が安い=電力が少ない=冷暖房不可

とくに4つ目がわかりやすい。
「電気代1日数円」を売り文句にしている広告は多い。
だが国民生活センターはこう断言している。

「1日にかかる電気代が数円〜数十円で、空間の温度を短時間で大きく変化させることは、家電では実現し得ない」

電気代の安さは「お得」の証拠ではない。
むしろ「この商品には冷暖房能力がない」ことの物理的な証拠なのだ。

 

 

 

購入前にもうひとつ。「特定商取引法に基づく表記」を確認する

日本語で表示されたサイトでも、販売者が海外の事業者である場合がある。
国民生活センターは購入前に特定商取引法とくていしょうとりひきほうに基づく表記」のページで販売者の情報を確認するよう求めている。

大手メーカーの名前やロゴが広告に使われていても、そのメーカーの公式サイトに同じ商品があるか調べるだけで偽物かどうかは判断がつく。

すでに買ってしまった場合はどうするか

被害に遭ったときの対処法

消費者ホットライン「188」(いやや)に電話すれば、最寄りの消費生活センターにつながる。
広告のスクリーンショット、注文メール、商品の写真を手元に残しておくことが大切だ。
クレジットカードで支払った場合は、カード会社にチャージバック(支払い取り消し)を申請できる場合もある。

国民生活センターは消費者庁に対して景品表示法けいひんひょうじほうに基づく指導を要望した。
ただし販売元の多くは海外事業者であり、法的な取り締まりがすぐに進むかは不透明だ。

夏の需要期に向けて、同じ手口の広告はさらに増えるだろう。
「安くて高性能」という広告を見たら、まず消費電力の数字を確認する。
そのひと手間が、数千円の損失と個人情報の流出を防ぐ。

 

 

 

まとめ

  • 国民生活センターが10商品をテストした結果、冷房をうたう6商品すべてに冷却装置がなかった
  • 暖房をうたう5商品も、30分で5℃すら上げられなかった
  • 関連する相談は5年間で3,038件。2024年度から急増している
  • 消費電力と電源の種類を確認するだけで、偽エアコンの大半は見抜ける
  • 被害に遭ったら消費者ホットライン「188」に相談を

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜSNS広告のエアコンは冷えないのですか?

冷却装置が搭載されておらず送風しかできないためです。国民生活センターが6商品すべてで確認しました。

Q2. 国民生活センターがテストした商品はいくつですか?

冷暖房機能をうたう10商品をテストしました。冷房6商品すべてに冷却装置がなく、暖房5商品も基準未達でした。

Q3. USB電源のエアコンで部屋は冷やせますか?

冷やせません。USB電源は数Wしかなく、冷房には最低でも数百W必要です。物理的に部屋の温度を下げることはできません。

Q4. 偽エアコンを買ってしまった場合どうすればいいですか?

消費者ホットライン「188」に電話して相談してください。広告のスクショや注文メール、商品写真を証拠として残しましょう。

Q5. 冷暖房機器の相談件数はどのくらいですか?

2020年4月から2025年12月末までの5年間で3,038件です。2024年度は1,354件と急増しています。

Q6. 偽エアコンの広告を見分けるポイントは?

消費電力が数Wの商品、「数秒で室温が変わる」という広告、電気代1日数円の宣伝は冷暖房不可能な証拠です。

Q7. パナソニック共同開発の小型エアコンは本物ですか?

パナソニックは公式サイトで無関係であると注意喚起しています。広告にメーカー名があれば公式サイトで確認しましょう。

Q8. 景品表示法で海外の業者を取り締まれますか?

外国事業者も日本の消費者向けに販売していれば景品表示法の対象になりますが、法執行が及びにくい実態があります。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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