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福岡市中央区の川で見つかった女性の遺体は、殺害されていた。
ネパール国籍の専門学校生、ラジバンシ・ラクスミさん(25)が那珂川で見つかってから、8月26日で1週間が経った。
福岡県警は遺体の状況から殺人事件と断定し、捜査本部を設置した。
頭部の傷はほぼ1カ所に集中しているのに、なぜ警察は複数人の関与を追っているのだろうか。
この記事でわかること
廊下に血痕なし、運搬に複数人関与か
自宅の寝室には血痕と争った跡があるのに、廊下には何も残っていなかった。
TBS NEWS DIG によると、 福岡県警 は自宅マンションの寝室には争った跡と血痕が残る一方で、部屋の外の廊下には 目立った血痕が確認されていない としている。
この物証の空白から、県警は殺害を実行した人物とは別に、 遺体の運搬に関わった人物がいる可能性 を視野に捜査を進めている。
自宅から遺体が見つかった那珂川までは 約2キロ 離れており、単純計算では徒歩20〜30分ほどの距離にあたる。
この間、血痕は一切見つかっていない。
かみ砕くと、約2キロは歩いて20〜30分ほどの距離で、その道のりのどこにも血の跡が残っていないという意味になる。
この「痕跡の空白」こそが、警察が複数人の関与を疑う直接のきっかけになっている。
ただ、この「複数人」という見立ては、遺体そのものに残った傷の状況と食い違わないのだろうか。
頭部の傷は集中、なぜ複数人関与を追うのか
傷はほとんど頭部に集中していた。
捜査関係者への取材で、被害者のほとんどの傷が頭部に集中していたことが新たに分かっている。
自宅の寝室に血痕が残る一方、その外の廊下には血痕が見つかっていない。
この事実と、頭部の傷が集中しているという事実を、ここで並べてみる。
新情報
刑法には、人を殺す罪である「殺人罪」の条文がある。
遺体を運んだり隠したりする罪である「 死体遺棄罪 」は、これとは別の条文で定められている。
併合罪
一つの出来事から生まれた複数の罪を、まとめて一つとしてではなく、それぞれ別々に数えて処罰する考え方のことだ。
本件に置き換えると、殺害という行為そのものと、その後に遺体をどう扱ったかという行為は、法律上もともと切り離して扱われる仕組みになっている。
この枠組みを本件に重ねると、頭部の傷が集中しているという事実は、襲った行為が単独で起きた可能性を示している。
一方で、廊下に血痕が残っていないという事実は、遺体を運んだ行為に別の人物が関わった可能性を示している。
襲った行為と運んだ行為は、法律上ももともと別のものとして数えられる。
そのため、実行した人物と運搬に関わった人物が同一でなくても、 両者は矛盾しない 。
捜査は「誰が襲ったか」と「誰が運んだか」を分けて追っている。
これは、この2つが法律上もはじめから別々の行為として数えられる枠組みと、どこか重なっているのではないか。

福岡市中央区の自宅から那珂川の発見現場までは約2km離れている。自宅の寝室には血痕と争った跡が残る一方、その外の廊下には目立った血痕が見つかっておらず、警察はこの空白を手がかりに複数人の関与を調べている(TBS NEWS DIG、テレビ朝日の報道より)。(※イメージ図)
遺体の運搬や隠匿が絡む事件では、実行した人物と、その後の始末に関わった人物は別人であることがある。
そうした場面では、両者が別々に処罰の対象になりうる。
この「運んだ人物」を特定する手がかりとして、警察が注目しているのがスマートフォンの行方だ。
消えたスマホは何を意味するのか
被害者のスマートフォンが、 自宅からも周辺からも見つかっていない 。
捜査本部は、事件の発覚を遅らせる目的で何者かがこの端末を 持ち去った可能性がある とみて、調べを進めている。
自宅から発見現場までの約2キロという距離と重ねると、この端末も、遺体が運ばれた経路のどこかで処分されたのかもしれない。
あわせて読みたい事件・事故・08/23続けて読む →「スマホが無い」という空白も、廊下に血痕が残っていないという事実と同じように、警察が追う手がかりの一つになっている。
もし遺体の運搬への関与が確かめられたとすれば、その人物は殺人とは別に、どんな罪に問われることになるのだろうか。
運搬に関われば、殺人罪と別に何の罪か
刑法では、人を殺す罪と、死体を処理する罪は、別々に数えられる。
刑法190条は、死体を遺棄した者を 3年以下の拘禁刑 (旧・懲役)に処すると定めている。
判例では、殺人罪とこの死体遺棄罪は一体のものとしてではなく、それぞれ別々に処罰される関係にあるとされる。
また、刑法103条は罪を犯した人物をかくまった人物を、104条はその証拠を隠した人物を、それぞれ処罰の対象にしている。
法定刑は、 3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 である。
仮に、 実行した人物をかくまう目的や証拠を消す目的があったと認められれば 、 これらの罪も別に問われうる 。
本件で運搬に関わったとされる人物は、8月26日時点で特定されていない。
これらの罪が実際に問われるかどうかは、今後の捜査にかかっている。
かみ砕くと、殴った罪と死体を運んだ罪は、法律の上では別々の請求書のようなものだ。
ひとつにまとめて数えられるわけではない、ということになる。
命を奪われた被害者自身がどのような人物だったのかも、明らかになっている。
被害者はどんな人物で、家族は何を語ったか
ラジバンシ・ラクスミさんは、2023年に留学生として日本へ来た 。
福岡市内の専門学校で国際ビジネスを学びながら、市内の飲食店でアルバイトをしていた。
この来日の時期は、福岡でネパール人留学生が増え始めた局面と重なっている。
遺体の腕には、身を守ろうとした際にできる複数の傷が確認されている。
これは「防御創」と呼ばれる傷で、刃物や硬いもので攻撃された際に手や腕でかばおうとしてできる。
事件の際に 抵抗があったことを示している 。
かみ砕くと、防御創とは攻撃を受けた人が手や腕で身をかばおうとしてできる傷のことで、抵抗した跡だと考えられている。
テレビ西日本 によると、ネパールで暮らす両親は取材に応じ、心情を語っている。
母親
「ラクスミが死んだ」と聞いて信じられなかった
父親
「日本の警察を信頼しています。
とにかく娘の顔が見たいです」
被害者が身を置いていたこの留学生コミュニティは、いまどれほどの規模で福岡に広がっているのだろうか。
福岡でネパール人留学生が急増する背景
福岡のネパール人留学生は、この 5年ほどで3倍以上 に増えた。
全国の外国人留学生は2025年度に 40万8069人 と過去最多を更新し、このうちネパール国籍は10万239人だった。
これは前年度比で3万5423人、 54.7% の増加にあたる。
過去最多
かみ砕くと、1年で3万5千人以上、5割を超える伸びで、それだけ多くの人が新しく日本へ来ているということだ。
福岡市でも、日本で学ぶことを選ぶネパール人留学生が5年ほどで3倍以上に増え、国籍別で最多になっている。
あなたの職場や学校にも、同じ時期に日本へ来た留学生がいるかもしれない。
福岡県を含む九州管区8県全体では、令和7年の殺人事件の認知件数が前年より24件少ない。
こうした状況を踏まえて、いまあなたにできることは何だろうか。
目撃情報や相談はどこに寄せればよいか
事件は、まだ解決していない 。
もしあなたに心当たりがあれば、その 情報が捜査を前に進める手がかりになるかもしれない 。
事件に関する情報や心当たりがある場合は、捜査本部が置かれた福岡県警察中央署や、県警の情報提供窓口に連絡することができる。
公式情報 福岡県警察 情報提供窓口 事件に関する目撃情報や心当たりを警察に伝えられる 開いて確認する
被害者と同じ立場にある外国人住民に向けては、多言語対応の相談窓口がある。
福岡県国際交流センター の窓口はネパール語にも対応し、生活やトラブルの相談を無料で受け付けている。
公式情報 FUKUOKA IS OPEN 相談窓口 ネパール語を含む多言語で生活やトラブルの相談ができる 開いて確認する
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ福岡はネパール人留学生に選ばれているのか?
留学から就職までの道筋が整った街として知られていることが背景にあるとされる(出典:テレビ朝日)。
Q2. 福岡県警中央署に電話で連絡するには?
電話092-734-0110(福岡県警察中央署)に直接連絡できる(出典:福岡県警察)。
Q3. 外国人向けの相談窓口の電話番号は?
0120-279-906(FUKUOKA IS OPENセンター)でネパール語を含む多言語相談ができる(出典:福岡県国際交流センター)。
📚 参考文献
- 読売新聞「福岡市・天神の川で発見された女性遺体、県警が殺人事件と断定…ネパール国籍の専門学校生で頭部に多数の傷」 (2026年8月20日)
- 読売新聞「福岡市・那珂川の女性遺体はネパールの専門学校生、アルバイト先を出た後に行方不明…部屋に争ったような形跡」 (2026年8月21日)
- 朝日新聞「福岡・天神の川に25歳女性の遺体、県警が殺人と断定 自宅には血痕」 (2026年8月20日)
- テレビ朝日(ANN)「「ケンカしたと…」父親に“トラブル”報告 ネパール人留学生殺害 複数の人物が関与か」 (2026年8月22日)
- テレビ西日本(FNN/TNC)「「犯人を早く見つけて」ネパール在住の両親が悲痛な思い語る 川から女性の遺体が発見されて1週間」 (2026年8月26日)
- テレビ西日本(FNN)「ネパール人女性殺害 腕に複数の“防御創” 犯人が執拗に襲ったか 福岡市」 (2026年8月21日)
- テレビ西日本(FNN)「川に浮いていた女性遺体はネパール人の25歳専門学校生 頭部に多数の傷」 (2026年8月20日)
- テレビ朝日(ANN)「福岡市の那珂川で成人女性の遺体を発見 事件・事故の両面で捜査」 (2026年8月19日)
- TBS NEWS DIG(RKB毎日放送)※元記事「遺体の運搬に複数人が関与したか 部屋に血痕、見つからないスマホ 事件から1週間 福岡市」 (2026年8月26日)
- テレビ朝日(ANN)「寝室に“争った跡”福岡・天神に留学生の遺体…殺人事件と断定し捜査」 (2026年8月20日)
- 福岡TNCニュース「ネパール国籍の留学生殺害事件 被害者のスマホ見つからず 犯人が持ち去ったか 福岡市」 (2026年8月24日)
- JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)「2025(令和7)年度外国人留学生在籍状況調査結果」 (2026年5月29日)
- 読売新聞「日本への留学生「40万人」で過去最多、ネパールやミャンマー増加…」 (2026年5月29日)
- e-Gov法令検索(デジタル庁) (2025年6月1日)
- 福岡県警察 中央警察署(公式)「中央警察署トップページ」
- 福岡県警察(公式)「情報提供のお願い」
- 福岡県庁(公式)「相談窓口一覧(7 警察)」 (2026年3月18日)
- 警察庁九州管区警察局「九州管区内の犯罪情勢(令和7年・確定値)」
- (公財)福岡県国際交流センター(公式)
リアルタイムニュースNAVI 編集部
reaitimenews.com
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