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福岡・産婦人科クリニックで無免許ペルー人男性が医療行為、3年間発覚しなかった本当の理由

| 読了時間:約5分

出血がなければ、無資格の「医師」は今も診察していたかもしれない。

2023年の夏、福岡市の産婦人科クリニックで出産した30代の女性が、産後に大量出血を起こした。

搬送された別の病院で、スタッフが疑問を口にした。

「担当の医師はどこに?」。

その一言が、 3年近くにわたって続いていた医療行為の真相 を引き出すことになった。

報道では「腹部を押す行為」と書かれているが、実際に行われた施術の危険性と、なぜこれほど長期間発覚しなかったのかを整理していく。


福岡・産婦人科クリニックで無免許ペルー人男性が医療行為、3年間発覚しなかった本当の理由

逆子を直す施術が、命取りになった

胎児死亡リスクが0.02% ——緊急帝王切開が必要になる確率は最大 3%

しかしこの施術が「腹を押しただけ」と報じられている。

今回問題となった医療行為のひとつが「 胎児外回転術 」だ。

逆子(骨盤位)の赤ちゃんを、お腹の外から手で押して頭が下になるよう回転させる施術のことを指す。

国立成育医療研究センター によると、この施術には一過性の胎児心拍数異常( 6.1% )、破水( 0.22% )、常位胎盤早期剥離(胎盤が出産前に剥がれてしまう状態、 0.18% )といった合併症がある。

最悪の場合には胎児死亡( 0.02% )も報告されており、緊急帝王切開が必要になる割合は最大 3% に達する。

⚠️ 胎児外回転術 は「この施術をするには、すぐ手術室に移れる体制が整った場所でのみ行うべき」というのが医療の現場での常識だ。
「お腹を押すだけ」ではなく、緊急事態と隣り合わせの高度医療行為 だろう。

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では実際に、この施術を無資格の男性が行った結果、患者にどれほどの被害が出たのか。

出血量は通常出産の7倍超、ICUに3日

通常の分娩での出血量は 500mL

この女性の体から出た血は、その 7倍以上 だった。

KBC九州朝日放送 によると、医療行為を受けた女性は出産後に 3700mL 以上の大量出血を起こした。
弛緩出血 (出産後に子宮がうまく収縮せず、血が止まらなくなる状態)と脳梗塞を発症し、救急搬送された後にICU(集中治療室)で 3日間 治療を受けた。

命に別状はなかったという。

【出血量の計算】
成人女性の全血液量(体重 50kg の場合)≒ 4000mL
今回の出血量: 3700mL 以上
→ 全血液量の約 92% が失われた計算になる

成人女性の全血液量は体重50kgの場合で約 4000mL とされており、 3700mLという数値はその約92%に相当する 計算になる。

ほぼ全ての血液が失われた状態に近かったのではないか。

TNCテレビ西日本 の取材に対し、被害女性は「医師免許がない人が働いていることはおかしいので、正しく運営してほしい」と話している。

これほどの事態を引き起こした男性が、なぜ 3年 近くも医師として働き続けられたのか。

その答えは、発覚のきっかけを知ると見えてくる。


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3年間バレなかった「本当の理由」

発覚の経緯は偶然によるものだった。
RKB毎日放送の報道 によると、通院していた女性が産後に出血し、別の病院に搬送された際、 医師が同伴していないことを指摘されたことがきっかけ で無免許が発覚した。

院内の定期チェックや行政の検査ではなく、患者が他院に運ばれるという偶発的な状況によって初めて露見した。

同報道によると、疑いが持たれている行為は 2023年5月から8月 にかけて継続していたとされる。

院長は男性を「通訳スタッフ」として雇用していたと説明している。
入職の段階で日本の医師免許が確認されていれば、無免許は当初から弾かれていたはずだろう。

院内に免許を確認する仕組みが十分に機能していなかった可能性がある。

ここには、 ふたつの問題が重なっている のかもしれない。

ひとつは、医療機関の雇用者が「入職時に免許を確認する義務」を明確に課されていたかという 制度上の問題




もうひとつは、小規模なクリニックという閉鎖的な環境では、スタッフが「おかしい」と気づいても 声を上げにくい組織の問題 だ。



「発覚が偶然だった」のは院長個人の問題だけではなく、 制度と組織の構造の両方に盲点があったからこそ、3年近くにわたって継続した のかもしれない。

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では、院長は今どう説明しているのか。

その言い訳が法律的に通用するかどうか、一度整理してみよう。

「助手をさせただけ」は通用するか

医療行為ではなく、助手をしてもらっただけ 」——院長はそう説明した。

TNCテレビ西日本 によると、院長は「ペルー国籍の男性の医師免許がなかったのは事実だが、医療行為ではなく助手をしてもらっただけ」と述べている。

一見すると言い訳に聞こえるが、法律上どう判断されるのかを確認しておく必要がある。

医師法17条の「医業(いぎょう)」とは

医師の医学的な判断と技術なしに行えば人体に危害を及ぼすおそれのある行為を、 繰り返し行うこと を指す。

今回の件でいえば、胎児外回転術はまさにこの定義に該当するとみなされる可能性が高い施術だ。

文部科学省の審議会資料 でも同様に定義されており、 医師法 に違反した場合の罰則は 拘禁刑3年以下または100万円以下の罰金 だ。


院長の主張
「助手・通訳に過ぎない」
医師法の定義
行為の危険性で判断する

胎児外回転術は、先述の通り緊急帝王切開への即時移行が前提とされる施術だ。

「医師の医学的判断なしには危険を伴う行為」に該当するとみなされれば、 「助手」という説明が法的に通る可能性は低い のではないか。

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そもそも、外国から来た医師が日本で合法的に医療行為をするには何が必要なのか。

外国人医師が日本で働くために必要なこと

母国で医師免許があっても、 日本の国家試験に受かるまで医療行為はできない。

GemMed によると、日本で医師として医療行為を行うには 日本の医師国家試験 に合格する必要がある。

外国の医学部を卒業した人、または外国で医師免許を取得した人が受験するには、さらに 厚生労働大臣 の認定審査を受けなければならない。

1
厚労大臣の認定審査
2
審査試験・日本語診療能力調査
3
医師国家試験に合格

つまり、母国でどれほど優秀な医師であっても、 日本では厚労大臣の認定→審査試験→国家試験という複数の関門をクリアするまで、一切の医療行為は認められない。

今回のペルー国籍の男性が母国で医師免許を持っていたかどうかは、現時点の報道からは確認できていないだろう。

ただ、そうした事情があったとしても、日本国内での医療行為には日本の免許が必要という事実は変わらない。

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では実際に、今自分が通っているクリニックの医師が本当に有資格者かどうか、患者が確認する手段はあるのだろうか。

今通っているクリニックの医師は本物か

産婦人科の先生が本当に医師かどうか、 確かめる方法はある。

厚生労働省 が運営する「 医療情報ネット(ナビィ) 」では、診療所ごとの医師情報(氏名・専門医資格など)を検索できるとされている。

今回のような事態が「他院搬送という偶然」なしには発覚しなかったことを踏まえると、患者自身が確認する手段を知っておくことには意味があるだろう。

ℹ️ 医療情報ネット(ナビィ)の使い方
厚生労働省の公式サービスで、クリニック名や地域から医療機関を検索し、在籍する医師の氏名や専門医資格などを確認できるとされている。

ただし全ての情報が完全に網羅されているわけではなく、あくまで参考として活用する手段だろう。

ただし、このシステムだけで全てを確認できるわけではない。

最終的には、 クリニック側の運営体制と患者側の意識が両方あって初めて安全が保たれる のではないか。

産婦人科というのは、出産という人生でも特別な場面を預ける場所だ。

今回の事件は「たまたま別の病院に運ばれた日に発覚した」という偶然がなければ、今も続いていた可能性がある。

自分が受診するクリニックの担当医について、一度確認してみることをすすめたい。

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「発覚が偶然だった」という事実は、 クリニックへの信頼が「運」によって支えられていた可能性 を示している。

まとめ

  • 福岡市の産婦人科クリニックで、日本の医師免許を持たないペルー国籍の60代男性が「胎児外回転術」など腹部への医療行為を行った疑いで、院長(70代)とともに2026年6月5日に書類送検された。
  • 施術を受けた30代の女性は産後に3700mL以上の大量出血と脳梗塞を発症。通常の分娩出血量500mLの7倍以上に相当し、ICUで3日間の治療を要した。
  • 無免許の発覚は院内の管理ではなく、患者が別院に救急搬送された際に「医師が同伴していない」と指摘されたという偶然によるもので、行為は少なくとも2023年5月から8月にかけて継続していた疑いがある。
  • 院長は「助手をさせただけ」と主張しているが、胎児外回転術は緊急帝王切開への即時移行が前提の施術であり、医師法上の「医業」に該当する可能性が高い。
  • 外国人が日本で医師として働くには厚労大臣認定→審査試験→国家試験という複数の関門が必要で、母国の医師免許は日本では通用しない。

よくある質問(FAQ)

Q1. 胎児外回転術とはどんな施術ですか?

逆子の赤ちゃんをお腹の外から手で押して頭が下になるよう回転させる施術。

緊急帝王切開が可能な施設でのみ行うべきとされる高リスクな医療行為で、胎児死亡リスクも報告されている。

Q2. 医師法違反の罰則はどのくらいですか?

医師免許なしに医療行為を行った場合、拘禁刑3年以下または100万円以下の罰金が科される。

医師を名乗った場合はさらに刑が重くなり、罰金の上限は200万円以下となる。

Q3. なぜ無免許の医療行為が3年間も発覚しなかったのですか?

院内の定期チェックや行政の検査ではなく、患者が別の病院に緊急搬送された際に「医師が同伴していない」と指摘されたことが発覚のきっかけだった。

偶然の出来事がなければ継続していた可能性がある。

Q4. 院長の「助手をさせただけ」という主張は法的に通りますか?

医師法上の「医業」は、医師の判断なしに行えば人体に危害を及ぼすおそれのある行為を指す。

胎児外回転術はその定義に該当するとみなされる可能性が高く、「助手」という説明が通る可能性は低いのではないか。

Q5. 外国人は自分の国の医師免許があれば日本でも医療行為ができますか?

できない。

日本で医師として医療行為を行うには日本の医師国家試験に合格する必要がある。

外国医学部出身者は厚生労働大臣の認定審査を経た上で受験資格が与えられる。

Q6. 書類送検とはどういう意味ですか?逮捕と何が違いますか?

逮捕せずに容疑者の書類を検察に送る手続きのこと。

在宅のまま刑事手続きが進む。

逮捕は身柄を拘束するが、書類送検は生活を続けながら捜査が行われる点が異なる。

Q7. かかりつけのクリニックの医師が本当に免許を持っているか確認する方法はありますか?

厚生労働省が運営する「医療情報ネット(ナビィ)」で診療所ごとの医師情報を検索できるとされている。

ただし全情報が網羅されているわけではないため、あくまで参考として確認する手段のひとつだろう。


📚 参考文献

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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