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女に給料払いたくない」は犯罪だ。なぜ違法になるのか

「女に給料払いたくない」は犯罪だ。なぜ違法になるのか

| 読了時間:約7分

「女の人にこんなに給料払いたくないですわ」——この発言、実は刑事罰の対象になる。

兵庫県在住の40代女性エンジニアが、20年近く前の体験を明かした。派遣から正社員への登用交渉で、総務部長から面と向かって放たれた言葉だ。手取り14〜16万円という最低限の要求を、性別を理由に渋られた。

この発言がなぜ「犯罪」なのか。そして差別した側の会社は今どうなっているのか。データが示す答えは、思ったより重い。

「女だから給料は安くていい」は刑事犯罪である

この発言は、労働基準法に明確に違反する。

「法律的にはグレーゾーンかも」と思っていないだろうか。実は、労働基準法第4条ろうどうきじゅんほうだいよんじょうは「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と定めている。

⚠️ 罰則:刑事事件になる

jinjer HRブログ(労基法4条解説)によると、男女間で差別的な賃金の差を設けると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

道義的にアウト刑事事件になる話だ。

 

 

 

 

「発言だけ」と「実際の差別」では何が違うのか

厳密に言うと、発言だけでは直ちに犯罪にはならない。問題は、その発言が実際の賃金に反映されたかどうかだ。

 

  1. 発言のみ→ ジェンダーハラスメントに該当しうる。ただし刑事罰の直接対象外
  2. 発言+実際に賃金格差が生じた労基法4条違反(6か月以下の懲役)
  3. 発言+昇進・降格など雇用条件に影響男女雇用機会均等法違反

 

今回のケースは「正社員登用の賃金交渉」の場での発言だ。条件設定に直結する場面なので、労基法4条の問題になりうるといえる。


「間接的な理由」でも違法になる

もうひとつ見落とせない事実がある。

「女性は勤続年数が短いから」「女性は家計を主に支えていないから」——一見もっともらしく聞こえる。しかしjinjer HRブログによると、こうした間接的な理由による賃金差別も労基法4条違反となる。

📌 実際の判例

岩手銀行事件(平成4年)では、女性行員にだけ家族手当を支払わない慣行が違法と判決された。内山工業事件(平成13年)でも、女性専用の低い賃金表の適用が違法とされた。

理由がどれだけ合理的に見えても、根底に「女性だから」がある限り違法だ。「昔の話」ではない。法律は今も生きている。

では、その法律が守られている職場は今どれだけあるのか——数字は、少し暗い現実を見せてくれる。

 

 

 

2025年、それでも「女の給料は安くていい」職場が残っている

あなたの職場に、こんな上司はいないだろうか。

2025年2月、女性618名を対象にした女の転職typeの調査によると、約6割の女性が今も職場でジェンダーギャップを感じていると答えた。「女性であること」を理由に経験したこととして最も多かったのは「給料が低い」で、40.0%に上った。


管理職になれば格差は消える——は幻想だった

「平社員なら格差があっても、管理職まで上がれば関係ない」。そう思っているとしたら、データが覆してくれる。

 

役職 男性月額 女性月額 年間差(概算)
部長級 63万6,400円 54万9,900円 約104万円
課長級 52万2,400円 45万8,100円 約77万円
係長級 39万6,300円 35万4,000円 約51万円

出典:労働政策研究・研修機構 2024年賃金構造基本統計調査

 

役職が同じ「部長」でも、男女間に年約104万円の差がある。毎年「ボーナス1回分丸ごとなし」に近い差が、役職者にも存在する。


「男性が12か月で稼ぐ金額」を女性は約16か月かけて稼ぐ

同調査によると、一般労働者の月額賃金は男性36万3,100円に対し、女性は27万5,300円だ。

男性 月額

36万3,100円

女性 月額

27万5,300円

男性が12か月で稼ぐ金額を、女性が同じだけ稼ごうとすると約15.8か月かかる計算になる。1年と4か月近く余分に働かなければ、同じ収入に届かない。

世界に目を向けると、より鮮明になる。2025年のジェンダーギャップ指数で、日本は148か国中118位だ。G7のなかで最下位で、OECD加盟国のなかでも男女賃金格差は3番目に大きい。20年前の「払いたくない」発言は、今も構造として残っている。

では、こういう体質の会社は長続きするのか——答えはすでに出ている。

 

 

 

「給料出し渋ったらそうなる」——差別した会社の末路

体験者の女性は現在、すでにその会社を辞めている。個人事業主として独立し、電子機器の製造業を営んでいる。

元いた会社については、こう語った。

💬 体験者の言葉

「人材不足に嘆いているようですが、給料出し渋ったらそうなるでしょうねという感じですね」

——キャリコネニュース掲載の体験談より

この言葉は、一企業だけの話ではない。


「給料を出し渋った会社」が今、倒産している

東京商工リサーチの調査によると、2025年に「人手不足」を原因とする企業倒産は過去最多の397件に達した。前年比35.9%増で、4年連続の増加だ。

📉 内訳:何が原因で倒産したか

従業員退職」が前年比54.9%増(1.5倍増)、「人件費高騰」が43.3%増と大幅に増えた。同調査は「賃上げが難しい企業では、人手不足から失注し、業績にも影響を及ぼしている」と指摘している。

約1日に1社以上が「人が来ない」「人が辞める」で倒産した計算になる。賃金を出し渋った会社が、市場から退場しているのだ。


被害を受けたら、どこに相談できるか

もし今、職場で性別を理由に賃金差別を受けているなら、泣き寝入りしなくていい。

✅ 相談できる窓口

  • 都道府県労働局 雇用環境・均等部こようかんきょう・きんとうぶ(室):性別を理由とした差別の申告ができる(厚生労働省 均等法Q&A
  • 総合労働相談コーナー:全国の労働基準監督署内に設置。電話相談も可能
  • 労働条件相談ほっとライン:0120-811-610(夜間・休日対応)

相談する前に、発言の日時・内容・状況をできる限り記録しておくことが力になるといわれている。メモでも、メールでも残しておこう。

体験者の女性が最終的に条件を勝ち取れたのは、派遣先企業が「会社ごと撤退する」と圧力をかけたからだ。交渉には力がいる。法律と窓口は、その力になる。

 

 

 

この発言が暴いた、もっと深い問題

⚠️ このセクションについて

ここからは事実に基づく考察であり、確定情報ではありません。筆者の考察として読んでください。

報道されている文脈では、これは「呆れた上司の暴言エピソード」だ。総務部長が面と向かって「女の人に給料払いたくない」と言い放ち、派遣先の圧力で条件が通った——その話だ。


「個人の暴言」ではなく「構造の露出」だった

この発言が20年近く前のものであるにもかかわらず、今も共有され反響を呼んでいる理由は何か。

それは「過去の珍事」ではなく、「今も続いている構造が、たまたま言語化されたもの」という見方ができるのではないだろうか。前述のとおり、2025年の調査でも女性の40%が「給料が低い」体験をしている。発言は消えても、構造は残っている。

発言が「珍しい」のではなく、発言が「可視化された」のが珍しいのだ。多くの職場では、同じ意識が態度や制度として静かに続いているという見方もある。


「言えなかった時代」から「言える時代」への転換

もうひとつ、別の読み替えができる。

20年前、多くの女性は「言っても無駄だ」と泣き寝入りしたのではないだろうか。今、体験者はSNSとデジタルメディアで発信できる。それを受け取る読者も増えた。この記事が話題になること自体が、労働者の発言力が高まった証拠といえそうだ。

さらに、人手不足の深刻化が「労働者の交渉力」を底上げしているという側面もあるだろう。企業が人を選べない時代には、人が企業を選ぶ。「給料を出し渋る会社」は選ばれなくなるし、選ばれなければ倒産する。市場原理が、法律の代わりに差別を淘汰しつつあるという見方もできる。

あなたならどう動くか

この話を「昔の変な上司の話」で終わらせるのは、少しもったいない。

20年分のデータが示しているのは、「構造は変わりにくいが、個人の行動と時代の変化が少しずつ動かしている」という事実だ。体験者は資格を取り、独立し、気がつけば元の会社より豊かな立場にいる。差別をした総務部長の会社は、人材不足に嘆いている。

あなたが今いる職場は、20年後にどちら側にいるだろうか。

📝 まとめ

  • 「女だから給料を安くしたい」は労働基準法第4条違反。6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されうる
  • 2025年の調査でも、約6割の女性が職場でジェンダーギャップを感じている。「給料が低い」体験は女性の40%が経験
  • 管理職でも格差は消えない。部長級でさえ男女差は月8万6,500円・年約104万円
  • 差別した会社の末路は人手不足倒産。2025年は過去最多の397件(前年比35.9%増)
  • 被害を受けたら、都道府県労働局の雇用環境・均等部に相談できる

よくある質問(FAQ)

Q1. 「女だから給料を安くしたい」という発言は法律違反ですか?

労働基準法第4条に違反します。実際に賃金差が生じた場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

Q2. 男女同一賃金違反の罰則は何ですか?

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金です。労働基準法の中で3番目に重い罰則に当たります。

Q3. 「女性は勤続年数が短いから」という理由での賃金差別は合法ですか?

違法です。間接的に性別を理由とした賃金差別も、労働基準法第4条違反に該当します。

Q4. 職場で性別を理由に給料差別を受けた場合、どこに相談できますか?

都道府県労働局の雇用環境・均等部、または全国の労働基準監督署内の総合労働相談コーナーに相談できます。

Q5. 日本の男女賃金格差は今どのくらいですか?

2024年のデータで男性月額36万3,100円、女性27万5,300円です。同じ部長職でも年約104万円の差があります。

Q6. 管理職になれば男女の賃金格差はなくなりますか?

なくなりません。部長級でも月8万6,500円、年約104万円の差があります。役職では格差は解消されません。

Q7. 今も職場で性差別的な発言をする上司はいますか?

2025年の調査では約6割の女性が職場でジェンダーギャップを感じており、偏見発言の1位は「男性上司」です。

Q8. 給料を出し渋る会社は人材不足になりますか?

なりやすいといわれています。2025年の人手不足倒産は過去最多の397件で、前年比35.9%増でした。

Q9. 男女雇用機会均等法と労働基準法4条は何が違いますか?

労基法4条は賃金差別のみ禁止します。均等法は採用から退職まで性別差別を幅広く禁止する法律です。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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