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浜松市の飲食店でノロウイルス食中毒が発生し、10人中7人が下痢や嘔吐の症状を訴えた。
原因はクラゲ刺しなどの食事で、店は2月20日から営業禁止となっている。
この記事では、食中毒の詳しい経緯と、冬に急増するノロウイルスの正体、そして自分の身を守る方法まで伝える。
浜松市の飲食店で何が起きたのか
クラゲ刺しなどを食べた10人中7人が食中毒になった。
静岡新聞の報道によると、2月13日に浜松市中央区田町の飲食店で食事をした2グループ10人のうち、20歳〜29歳の男女7人が下痢・発熱・嘔吐を発症した。
患者の便からはノロウイルスGIIが検出されている。
提供された食事と患者の状況
提供された食事はサラダ、クラゲ刺し、青じそガリトマト、唐揚げなど。
入院した患者はおらず、全員が快方に向かっている。
(出典:浜松市 報道発表資料)
注目すべきは、浜松市の報道発表資料にある検査結果だ。
患者の便5検体すべてからノロウイルスGIIが出た。
それだけではない。
従事者の便1検体と、施設のふき取り1検体からもノロウイルスGIIが検出された。
つまり、店のスタッフや調理環境そのものにウイルスがいた。
一方、食品3検体はすべて陰性だった。
食材そのものからウイルスは見つかっていない。
営業禁止処分の内容
浜松市の公表によると、店舗名は「がぶ飲み処 鬼ぞりゴリラ 浜松店」。
運営は株式会社ファイブグループ。
2月20日から衛生状況の改善が確認されるまで営業禁止処分となった。
食品からウイルスが出なかったのに、なぜ食中毒と断定されたのか。
その理由は次のセクションで明らかになる。
浜松市で2ヶ月に2件、なぜ続くのか
浜松市での食中毒は、2026年に入ってこれが2件目だ。
1件目は1月。
静岡新聞の報道によると、1月11日に別の飲食店で牡蠣などを食べた21人のうち10人が発症した。
こちらも原因はノロウイルスGII。
1月21日から営業禁止になっている。
| 1件目(1月) | 2件目(2月) | |
|---|---|---|
| 発生日 | 1月11日 | 2月13日 |
| 原因食品 | 牡蠣・刺身など | クラゲ刺し・サラダなど |
| 患者数 | 10人/21人中 | 7人/10人中 |
| 病因物質 | ノロウイルスGII | ノロウイルスGII |
| 処分 | 営業禁止 | 営業禁止 |
1件目は牡蠣、2件目はクラゲ刺し。
食材はまったく違う。
それなのに、どちらもノロウイルスGIIが原因だった。
浜松市の報道発表には、2ヶ月で2件17名という数字が記されている。
昨年の同時期は2件116名だったので、件数は同じだが患者数は大きく減っている。
ノロウイルスは牡蠣のイメージが強い。
しかし2件目のクラゲ刺しが示すように、特定の食材が危ない → どんな食材でも感染者の手を経由すれば汚染される。
2件目では食品3検体すべてが陰性だったのに、従事者の便と施設のふき取りからウイルスが出た。
食材が問題なのではなく、調理する人の手が問題だった。
これは全国的なデータとも一致する。
冬の食中毒の正体、ノロウイルスとは
食中毒は夏のもの → 実はノロウイルスは冬が本番だ。
厚生労働省によると、年間の食中毒患者数の約半分はノロウイルスが原因だ。
その約6割は11月〜2月に集中している。
令和6年のデータでは、食中毒患者14,229人のうち8,656人がノロウイルスだった。
たった10〜100個で感染する
ノロウイルスの最大の特徴は、感染力の異常な強さだ。
ほとんどの食中毒菌は、1,000個〜1億個が体に入らないと発症しない。
ノロウイルスはわずか10〜100個で感染が成立する。
一般的な食中毒菌
1,000個〜1億個
ノロウイルス
10〜100個
感染者の便1グラムには数億〜数十億個のウイルスが含まれる。
手洗いが不十分なまま食材に触れれば、ごく微量のウイルスが食品に移る。
食べた人はたった数十個のウイルスで発症してしまう。
8割は食材ではなく「人の手」から
ノロウイルス食中毒と聞くと、牡蠣や二枚貝を思い浮かべる人が多いだろう。
しかし厚生労働省のWEBマガジンによると、ノロウイルス食中毒の感染経路のうち、感染した調理者を介して汚染された食品が原因となった事例が約8割を占めている。
今回の浜松のケースでもこのパターンが当てはまりそうだ。
食品検査は陰性、従事者の便からはウイルスが出た。
クラゲやサラダが問題だったのではなく、それを盛り付けた手にウイルスがいたのだろう。
ノロウイルス食中毒の核心
ノロウイルス食中毒は「何を食べたか」より「誰が作ったか」が決定的に重要。
調理者の手洗いと健康管理が最大の防御線になる。
自分の身を守る4つのポイント
ノロウイルスにワクチンはなく、アルコール消毒も効きにくい。
政府広報オンラインは、ノロウイルス予防の4原則として「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」を掲げている。
| 原則 | 具体的にやること |
|---|---|
| 持ち込まない | 下痢や嘔吐の症状があるときは調理しない |
| つけない | 調理前・食事前・トイレ後に石けんで手を洗う |
| やっつける | 食品は中心温度85℃〜90℃で90秒以上加熱する |
| ひろげない | 嘔吐物は乾燥前に処理し、塩素消毒液で拭き取る |
飲食店だけの話ではない。
家庭の台所でも同じことが起きる。
石けんそのものにノロウイルスを殺す力はない。
しかし手の脂や汚れと一緒にウイルスを洗い流す効果がある。
指の間、爪の中、手首まで丁寧に洗うのがコツだ。
もうひとつ知っておきたいのが、ノロウイルスは症状が治まった後も、便から1週間〜1ヶ月ほどウイルスが排出され続けるという点だ。
「もう治った」と思ってすぐに料理をすると、家族にうつしてしまう。
⚠️ 回復後も要注意
症状が消えてもウイルスは体内に残っている。
回復後もしばらくは食品を直接扱わず、手洗いを徹底すること。
浜松市保健所も「冬場はノロウイルスが流行しやすい時期のため、調理前や飲食の前には手洗い等の対策を徹底してほしい」と呼びかけている。
2月はまだ流行期の真っ只中だ。
今日の夕食を作る前に、まず手を洗おう。
まとめ
- 浜松市中央区の飲食店で2月13日にクラゲ刺しなどを食べた10人中7人がノロウイルス食中毒を発症した
- 店舗は2月20日から営業禁止処分。浜松市で2026年2件目の食中毒となった
- 食品からウイルスは検出されず、従事者の便と施設のふき取りから検出。調理者の手を介した汚染が疑われる
- ノロウイルスは10〜100個で感染し、食中毒患者全体の約半数を占める冬場最大の食中毒原因
- 予防の基本は手洗い。石けんで指の間・爪・手首まで丁寧に洗い、症状回復後もしばらくは調理を控える
よくある質問(FAQ)
Q1. 浜松市で食中毒が起きた店はどこ?
浜松市中央区田町の「がぶ飲み処 鬼ぞりゴリラ 浜松店」。運営は株式会社ファイブグループ。
Q2. クラゲ刺しの食中毒の原因は何?
ノロウイルスGII。食品検査は陰性で、従事者の便と施設ふき取りからウイルスが検出された。
Q3. ノロウイルスの症状はどんなもの?
主に下痢・嘔吐・腹痛・37〜38℃の発熱。潜伏期間は24〜48時間で、症状は1〜2日で治まる。
Q4. ノロウイルスにアルコール消毒は効く?
効きにくい。石けんと流水での手洗いが最も有効。調理器具は85℃以上の熱湯か塩素消毒液で消毒する。
Q5. ノロウイルスは何個で感染する?
わずか10〜100個で感染が成立する。ほとんどの食中毒菌が1,000個以上必要なのと比べて桁違いに少ない。
Q6. 食中毒になった店はいつから営業禁止?
2026年2月20日から、衛生状況の改善が確認されるまでの間、営業禁止処分。
Q7. ノロウイルスは治った後もうつる?
症状が消えても便から1週間〜1ヶ月ほどウイルスが排出され続ける。回復後も手洗いの徹底が必要。
Q8. 浜松市の2026年の食中毒は何件?
2月20日時点で2件17名。1件目は1月に牡蠣が原因で10人が発症した。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- 静岡新聞「クラゲ刺しなどを食べた7人が食中毒の症状 ノロウイルス検出で当該店舗は当面の営業禁止」(2026年2月20日)
- 浜松市「食中毒等の公表(第2号)」(2026年2月20日)
- 浜松市「食中毒発生速報第(2)号について」(PDF)(2026年2月20日)
- 静岡新聞「浜松市1件目の食中毒報道」(2026年1月21日)
- 厚生労働省「食中毒の原因(細菌以外)」
- 厚生労働省「WEBマガジン ノロウイルスによる食中毒に要注意」
- 政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」