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北海道日高町のバーの壁の中から28歳の看護師の遺体が見つかった事件は、交際トラブルが引き金だった。
2026年2月20日、松倉俊彦被告(49)が殺人と死体遺棄の罪で起訴され、タイヤ袋に遺体を入れ粘着テープで巻くという遺棄の手口が新たに明らかになった。
起訴で判明した遺棄手口と事件の時系列
札幌地検は2026年2月20日、松倉俊彦被告を起訴した。罪名は殺人と死体遺棄。起訴によって、遺体の隠し方の詳しい手口が初めて公になった。
FNNの報道によると、遺体はタイヤ袋に入れられ、粘着テープで巻きつけた状態で壁の中から見つかった。
タイヤ袋とは車のタイヤを保管するための大型の袋で、人ひとりが入る大きさがある。
逮捕時の報道では「壁の中に遺棄」とだけ伝えられていた。
起訴状でその具体的な方法が明らかになった。
起訴状の内容(FNN報道より)
起訴状などによると、松倉被告は2025年12月31日ごろ、知人で日高町に住む看護師の工藤日菜野さん(当時28)の自宅で、工藤さんの首を絞め殺害した。遺体はタイヤ袋に入れられ粘着テープで巻きつけた状態で見つかった。
――FNN(北海道文化放送)2026年2月20日
年末年始の3日間に何が起きたか
事件は年末年始のわずか3日間で、殺害から営業再開まで進んでいる。
FNNの起訴報道によると、松倉被告は大みそかに殺害し、元日に遺体を車で運び、2日には営業を再開していた。
事件の時系列
① 12月31日(大みそか)
工藤さんの自宅で首を絞めて殺害
② 1月1日(元日)
遺体を車で自身の店に運搬、壁の中に遺棄
③ 1月2日
店の新年営業を開始。たこ焼きパーティーを開く
④ 1月3日
警察による任意の事情聴取が始まる
⑤ 1月10日未明
壁の中から遺体を発見。死体遺棄容疑で逮捕
⑥ 1月30日
殺人容疑で再逮捕
⑦ 2月20日
殺人と死体遺棄の罪で起訴
HBCの報道によると、松倉被告は2日の営業中に空気清浄機を4〜5台稼働させていた。
一般の家庭ならリビングに1台で十分な台数だ。
客に「何か臭いしますか?」と尋ねていたという。
壁一枚隔てた場所に遺体が隠されていたとは、年始に店を訪れた客は知る由もなかった。
スマホの履歴はなぜ消えていたか
もうひとつ、起訴とあわせて注目すべき事実がある。
HBCの別の報道によると、松倉被告は自身のスマートフォンから12月31日以前の発着信履歴を削除していた。
理由を問われると「客からの着信でいっぱいになるため消した」と釈明している。
だが殺害についてはほぼ一貫して黙秘しており、この点だけ説明した不自然さが残る。
注目ポイント
警察は証拠隠滅を図った疑いもあるとみて捜査を進めていた。殺害については黙秘しながら、スマホ削除だけ釈明した矛盾が浮かぶ。
起訴状は殺害と遺棄の事実を示したが、2人の間に何があったのかは明らかにしていない。
大みそかの数時間に何が起きたのか。2人の関係をたどる。
大みそかの「空白の2時間半」と2人の関係
事件前日、工藤さんは祖母にこう話していた。「あす(大みそか)は彼氏とゆっくり過ごす。元日は仕事に行く」。穏やかな年越しを思わせる言葉だった。
防犯カメラが映した最後の姿
文春の報道が伝えた防犯カメラの記録は、大みそかの「空白の2時間半」を浮かび上がらせている。
午後4時ごろ
工藤さんが自宅近くで
買い物をする姿
午後6時半ごろ
松倉被告とみられる人物が
アパートから出てくる
この2時間半に何があったのか。
起訴状は、この間に殺害が起きたとしている。
穏やかな大みそかの日常は、ほんの数時間で暗転した。
バーの常連から「誰が見ても恋人同士」へ
2人の接点はバー「LADY LUCK」だった。
工藤さんは松倉被告の店の常連客だった。
FNNの報道によると、狩猟に興味を持っていた工藤さんと狩猟免許を持つ松倉被告は、趣味を通じて親交を深めたとみられている。
常連客の証言(NEWSポストセブン)
「二人で寄り添いながら飲んでいましてね、誰がみても恋人同士の雰囲気でした」
松倉被告は周囲に「この子、うちの前妻との娘と同じ歳なんだよ、かわいいだろ」と話していた。
――NEWSポストセブン
工藤さんは浦河に住んでいたころ、わざわざ1時間半かけて車で松倉被告の店に通っていたという。
2025年7月に日高町へ転居し、平取町の病院で看護師として働き始めた。
ただし、ここにひとつ気になる事実がある。
同じNEWSポストセブンの取材で、松倉被告は猟友会に入ったが、猟をしたことは一度もないと知人が証言している。
工藤さんと同じタイミングで入会したとも伝えられている。
狩猟そのものが目的ではなかった様子がうかがえる。
「交際関係をめぐるトラブル」
関係の深まりと裏腹に、2025年秋ごろからは影が差していた。
TBS NEWS DIG(HBC)の報道によると、松倉被告は周囲に「交際関係をめぐりトラブルになっている」という趣旨の話をしていた。
STVの報道でも、逮捕前の任意聴取で「工藤さんとの関係で揉めている」と話していたことが明かされている。
松倉被告には妻子がいた。
集英社オンラインの取材では、地元で金銭トラブルの噂もあったと報じられている。
家庭を持つ49歳の男と、28歳の看護師。
交際の中で何が積み重なったのか、動機の全容はまだ明らかになっていない。
起訴状は「首を絞めて殺害」という事実を示すが、「なぜ殺害に至ったか」は語らない。
ただ、遺体を壁に隠して営業を続けた異様な行動には、犯罪心理学者がひとつの分析を示している。
なぜ壁の中に隠して営業を続けたのか
遺体を壁の中に隠したまま客を迎え入れ、たこ焼きパーティーまで開く。そんな行動は用意周到な計画犯にしかできないと感じる人は多いだろう。
殺害後の一連の流れを見れば、冷酷に証拠を隠し続けたようにも映る。
ところが、犯罪心理学に詳しい東京未来大学の出口保行教授は違う見方を示した。
HBCの報道の中で、出口教授はこの事件を計画的な犯行 → 「突発的な感情爆発によって起きた事件」と分析している。
犯罪心理学者の分析(HBC取材より)
計画性が低く、遺体の処理を瞬時に判断できなかった。自分の視線から早く消したいという心理で、手近な壁の中に押し込んだのではないか。
――出口保行教授(東京未来大学)
計画性がないからこそ遺体の扱いに頭が回らず、場当たり的な隠し方になった。
同じ報道で出口教授は、営業を続けた理由についても「店を閉めれば不自然に思われる」という心理が働いたと指摘している。
つまり、平然と振る舞っていたのではなく、発覚を恐れるあまり日常を繕い続けるしかなかったということだ。
空気清浄機を4〜5台も回し、客に「臭いしますか?」と聞いた行動もこの文脈で読み解ける。
冷静な犯罪者なら、わざわざ臭いに注意を向ける発言はしない。焦りが異常な行動としてにじみ出ていた。
裁判はどうなるのか
札幌地検は松倉被告の認否を明らかにしていない。
逮捕前には殺害をほのめかしていたが、その後は黙秘に転じたとHTBが報じている。
死体遺棄については認めていたものの、殺人については沈黙を続けている。
殺人罪で起訴された事件は、裁判員裁判の対象となる。
殺人罪の法定刑は死刑・無期懲役・5年以上の懲役と幅が広い。
| 争点になりうるポイント | 内容 |
|---|---|
| 殺意の有無 | 殺すつもりだったのか、争いの末の事故か |
| 計画性 | 事前に殺害を計画していたかどうか |
| 動機 | 交際トラブルの具体的な内容 |
| 遺棄の悪質性 | タイヤ袋+粘着テープで隠蔽した行為の評価 |
⚠️ ここからは推測です
過去の類似事件を見ると、交際トラブルから発展した殺人で計画性が認められない場合、懲役15年前後の判決が出ているケースがある。ただし、壁の中に遺体を隠して営業を続けた行為は遺棄の中でも悪質性が高いと判断される余地がある。スマホの履歴削除も証拠隠滅の一環とみなされれば、量刑に影響しうる。
初公判の日程は2026年2月21日時点で公表されていない。
松倉被告が法廷で何を語るのか、事件の核心である動機が明かされるのは、裁判の場になる。
まとめ
- 2026年2月20日、松倉俊彦被告(49)が殺人と死体遺棄の罪で起訴された
- 遺体はタイヤ袋に入れられ粘着テープで巻きつけた状態で壁の中から発見された
- 殺害は2025年大みそか。翌元日に遺体を運び、2日には営業を再開していた
- 2人は交際関係にあり、2025年秋ごろから交際トラブルが起きていた
- 犯罪心理学者は「計画的犯行」ではなく「突発的な感情爆発」と分析している
動機の全容は明らかになっていない。
松倉被告が黙秘を続ける中、真相が語られる場は裁判に移る。
よくある質問(FAQ)
Q1. 壁の中の遺体はどうやって見つかったのか?
2026年1月1日に安否確認の届出があり、警察が捜査を進めた結果、1月10日未明に店内の壁の中から発見された。
Q2. 営業中に遺体の臭いで客は気づかなかったのか?
松倉被告は空気清浄機を4〜5台稼働させ、客に「何か臭いしますか?」と尋ねていた。客が気づいたという報道はない。
Q3. なぜ広い北海道で壁の中に遺体を隠したのか?
犯罪心理学者は「突発的な犯行で処理に頭が回らず、自分の視線から早く消したい一心で手近な壁に押し込んだ」と分析している。
Q4. 松倉被告と工藤さんはどんな関係だったのか?
バーの常連客と経営者の関係から狩猟を通じて親密になり、周囲からは「誰が見ても恋人同士」と認識されていた。
Q5. 松倉被告は罪を認めているのか?
死体遺棄は認めていたが殺人については黙秘。起訴後の認否も札幌地検は明らかにしていない。
Q6. 松倉被告の裁判はいつ始まるのか?
2026年2月21日時点で初公判の日程は公表されていない。殺人罪での起訴のため裁判員裁判の対象となる。
Q7. 裁判員裁判になるのか?
殺人罪で起訴されたため、裁判員裁判の対象となる。
Q8. 松倉被告の量刑はどのくらいになるか?
殺人罪の法定刑は死刑・無期懲役・5年以上の懲役。交際トラブルが動機の場合、計画性の有無や遺棄の悪質性で大きく変わる。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- FNN(北海道文化放送)「元バー経営者を殺人と死体遺棄罪で起訴」(2026年2月20日)
- FNN「起訴報道(遺体運搬日の詳細)」(2026年2月20日)
- STV(日本テレビ系)「遺体をタイヤ袋に入れて遺棄 殺人罪などで49歳男を起訴」(2026年2月20日)
- UHB「起訴報道(ロープ押収の詳細)」(2026年2月20日)
- TBS NEWS DIG(HBC)「28歳女性の遺体"壁の中"に遺棄」(2026年2月20日)
- NEWSポストセブン「常連客・知人証言」(2026年1月18日)
- 文春オンライン「防犯カメラの時系列」(2026年1月)
- HBC「犯罪心理学者が松倉容疑者の心理を読み解く」(2026年1月13日)
- HBC「スマートフォンの履歴削除」(2026年2月)
- 集英社オンライン「金銭トラブルの噂」(2026年1月)
- HTB北海道テレビ「殺人と死体遺棄の罪で起訴」(2026年2月20日)