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神保大輔はなぜナチュラルに寝返ったか 闇アプリと900万円の指紋

捜査班リーダーが裏切り者だった衝撃――元警視庁警部補のナチュラルへの情報漏えい事件を図解

| 読了時間:約8分

元警視庁暴力団対策課の警部補・神保大輔被告(43)が、初公判で全面的に認罪した。
自宅から押収された現金900万円にはナチュラル関係者の指紋がついていた。

捜査の中核にいた人物がなぜ寝返ったのか。
冒頭陳述で浮かび上がった「裏切り」の実態を追う。

 

 

 

「全て認めます」初公判で明らかになった漏えいの全容

2026年2月26日、東京地裁。
神保被告は起訴内容を全面的に認めた。

法廷での発言

「情報漏えいしたことに間違いありません。全て認めますし争いません」
――日テレNEWS NNNの報道より、神保被告の法廷での発言

情報を漏らした相手は、国内最大規模の風俗スカウトグループ「ナチュラル」だ。
メンバー約1500人、提携する風俗店は全国約4000店舗にのぼる。

警察庁が壊滅を目指す「匿名・流動型犯罪グループ」、いわゆるトクリュウの代表格とされる組織である。

捜査情報を漏らしたのは、末端の警察官ではなかった。
時事通信の報道によると、神保被告は昨年1月の一斉家宅捜索で、ナチュラルのトップ・小畑寛昭容疑者の自宅や車両を捜索する班の責任者で、取り調べも担当する予定だった

つまり、末端の捜査員壊滅作戦の中核にいた人物が裏切り者だった。


起訴状が示す漏えいの中身

産経新聞によると、起訴状の内容は以下のとおりだ。

① 2025年4〜5月
警視庁がナチュラルの関係先に設置した捜査用カメラ計6台の映る範囲がわかる画像を送信

② 2025年7月
カメラの撮影場所23カ所の住所などを記載した一覧表を提供

検察側の冒頭陳述ぼうとうちんじゅつでは、さらに踏み込んだ事実が明かされた。

 

 

 

yakuza-news.jpの詳報によると、神保被告の携帯電話にナチュラルが独自開発したアプリが2024年5月にインストールされていた。
起訴対象の漏えい行為は2025年4月以降だから、少なくとも1年前から接触が始まっていたことになる。

そして、自宅から押収された現金900万円からナチュラル関係者の指紋が検出された。
金銭の授受を直接証明するものではないが、金銭の流れを強くうかがわせる事実だ。


14年間のベテランが歩んだ道

神保被告のキャリアを時系列で整理する。

時期 出来事
2004年 警視庁に採用
〜2020年 計約14年、組織犯罪捜査を担当
2020年12月 暴力団対策課に着任
2023年頃〜 ナチュラル捜査に従事
2024年5月 携帯にナチュラル独自アプリがインストールされる
2025年1月 一斉家宅捜索でトップ捜索班の責任者
2025年4月 配置換えでナチュラル捜査の担当を外れる
2025年4〜7月 捜査用カメラの画像・リストを漏えい
2025年11月12日 地方公務員法違反容疑で逮捕
2025年12月3日 再逮捕
2025年12月23日 懲戒免職ちょうかいめんしょく
2026年2月26日 初公判で全面認罪

注目すべきは、2025年4月にナチュラル捜査の担当を外れた後に漏えいが行われている点だ。

では、担当を外れた人間がどうやって捜査資料にアクセスし、どんな手段で情報を送ったのか。

 

 

 

「闇アプリ」と900万円――捜査員が取り込まれた手口

神保被告は、ナチュラル独自の秘匿アプリで情報を流していた。

このアプリの実態がすごい。
FNNの独自解析によると、見た目はごく普通のニュースアプリだった

右下のボタンをタップすると電卓画面が表示される。
さらに特定の操作をするとスカウト求人や逮捕対策マニュアルが次々に現れる。

FNN報道によるアプリの機能

「不明者報告」「出退勤登録」「給与明細」「通話機能」「Q&A掲示板」などの機能が確認された。
開発には数千万円が投じられたとみられる。

開発に関与したとみられる企業は、バルト海に面するエストニアに本社を置いていた。
ただし、この会社はペーパーカンパニーの疑いが強いとFNNは報じている。

創設者の名前が、ナチュラル会長の関係者と同姓同名だったという。


なぜ担当を外れても情報を抜けたのか

情報を流す「道具」があっても、元の情報にアクセスできなければ漏えいは起きない。

産経新聞の再逮捕時の報道によると、神保被告は2025年4月にナチュラル捜査の担当を外れていた。
にもかかわらず、貸与されたパソコンから捜査情報にアクセスする権限が残ったままだった。

 

 

 

この権限を使い、捜査資料を閲覧してカメラ設置場所のリストを作成していた。

身近に置き換えると

会社に例えれば、異動した元社員のIDカードが無効化されず、前部署の機密フォルダを自由に見られる状態が続いていたようなものだ。

ある警察幹部は産経新聞の取材に「わきが甘すぎる」と憤った。
同僚の捜査員たちにも「衝撃と落胆」が広がったと報じられている。


ナチュラルの「ウイルス対策課」という異常

ナチュラルの組織構造そのものが、捜査員の取り込みを想定したつくりになっていた。

Wikipediaのナチュラルの記事によると、ナチュラルの内部には「ウイルス対策課」と呼ばれる部門がある。
「ウイルス」とは警察の隠語だ。

風俗店との契約を担う「契約課」と並んで、警察への対策を専門に行う部署が組織の中に正式に存在している。

情報セキュリティの視点

情報セキュリティの世界では「インサイダー・スレット」という概念がある。
外部からの攻撃ではなく、組織内部の人間がアクセス権限を悪用して情報を持ち出す脅威のことだ。
ナチュラルは、まさにこの脅威を意図的に作り出す仕組みを備えていたのではないか。

独自アプリの開発、警察対策の専門部署、そして組織犯罪捜査のベテランに対する長期間の接触。
これらは単独犯の思いつきではなく、組織的な計画だったとみるのが自然だろう

では、ここまで大がかりな内部崩壊を引き起こした事件は、ナチュラルの壊滅にどう影響し、元警部補にはどんな処罰が下るのか。

 

 

 

ナチュラル壊滅作戦への影響と今後の焦点

情報漏えいは深刻な打撃だったが、壊滅作戦は止まっていない。

ナチュラルのトップ・小畑寛昭容疑者は2025年1月の一斉捜索の直前に逃走した。
しかし2026年1月、鹿児島県・奄美大島に潜伏しているところを警視庁が逮捕した。

2月には職業安定法しょくぎょうあんていほう違反(有害業務紹介)の容疑で再逮捕されている。

⚠️ 逃走と情報漏えいの因果関係について

小畑容疑者が逃走したのは2025年1月中旬。
一方、起訴対象となった漏えい行為は2025年4月以降だ。
つまり、起訴された漏えいが逃走の直接の原因とは言えない。
ただし、起訴対象外の時期にも情報が渡っていた疑いは否定できず、捜査への影響は引き続き調べられている。

この事件は国会にまで波及した。
2025年11月の参院予算委員会で、赤間二郎国家公安委員長は「国民の信頼を損なうものであり、言語道断であり、極めて遺憾だ」と述べている。


懲戒免職と10人超の処分

警視庁は2025年12月23日、神保被告を懲戒免職とした。
処分はそれだけにとどまらない。

直属の上司だった係長を戒告の懲戒処分とし、当時の暴力団対策課長や組織犯罪対策部の参事官ら計10人超にも訓戒や口頭注意が出された。

担当を外れた後もアクセス権が残っていた管理態勢の問題が、組織全体の責任として問われた形だ。

 

 

 


法定刑は「最高でも懲役1年」という現実

では、神保被告にはどんな刑が科されるのか。

ここで多くの人が驚く事実がある。
地方公務員法ちほうこうむいんほうの守秘義務違反の罰則は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金だ。

国会質問にまで発展し、ナチュラルの壊滅作戦に打撃を与えた事件にしては、法定刑が著しく軽い

事件の重大性

国会質問に発展
捜査カメラ23カ所流出

法定刑

懲役1年以下
又は罰金50万円以下

地方公務員法は、あくまで一般的な守秘義務違反を想定した法律だ。
組織犯罪の捜査員がトクリュウに情報を渡す事態までは想定されていない。

神保被告が全面的に認罪しており、すでに懲戒免職も受けていることから、執行猶予が付く判決になるのではないだろうか。

⚠️ ここからは推測

もし今後、自宅の現金900万円が情報漏えいの「対価」だったと立証されれば、贈収賄など別の罪が追加される展開もありうる。
ただ、現時点では現金と指紋の関係が間接証拠にとどまっており、起訴状に金銭授受は含まれていない。

なお、2025年11月には石川県警でも暴力団組員に捜査情報を漏らした巡査部長が書類送検・懲戒免職になっている。
警察官による情報漏えいは神保被告の事件だけの問題ではなく、組織犯罪捜査が抱える構造的なリスクだといえる。

 

 

 

まとめ

  • 神保大輔被告は2026年2月26日の初公判で起訴内容を全面的に認めた
  • ナチュラルのトップ捜索班の責任者が、独自の秘匿アプリを使い捜査情報を流していた
  • 自宅の現金900万円からナチュラル関係者の指紋が検出された
  • 担当を外れた後もアクセス権が残り、情報を抜き続けていた
  • 法定刑は最高でも懲役1年。金銭授受が立証されれば別の罪に発展する余地がある

ナチュラルのトップはすでに逮捕・再逮捕されており、壊滅作戦は進んでいる。
今後の裁判では、漏えいの動機と金銭の流れがどこまで解明されるかが最大の焦点となる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 神保大輔被告の経歴は?

2004年に警視庁採用。約14年間組織犯罪捜査を担当し、2020年12月から暴力団対策課に所属していた。

Q2. 地方公務員法の守秘義務違反の刑罰は?

1年以下の懲役又は50万円以下の罰金。

Q3. ナチュラルとはどんな組織か?

国内最大規模の風俗スカウトグループ。メンバー約1500人、提携風俗店は全国約4000店舗とされる。

Q4. ナチュラルのトップはどうなった?

会長の小畑寛昭容疑者は2026年1月に奄美大島で逮捕され、2月に職業安定法違反容疑で再逮捕された。

Q5. 神保被告はどうやって情報を漏らした?

ナチュラルが独自開発した秘匿通信アプリを携帯にインストールし、捜査用カメラの画像やリストを送信した。

Q6. 神保被告の判決はいつ出る?

2026年2月26日の初公判で全面認罪したが、判決期日は未定。続報を待つ必要がある。

Q7. 他にも警察の内通者はいるのか?

ナチュラルのメンバーが「まだまだいる」と証言した報道はあるが、公式に確認された事実はない。

Q8. ナチュラルの闇アプリとは何か?

見た目はニュースアプリだが、特定操作でスカウト求人や逮捕対策マニュアルが表示される秘匿通信アプリ。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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