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きのくに信金で7827万円着服、5年間見抜けなかった理由

| 読了時間:約5分

和歌山の信用金庫で、客の定期預金7827万円が消えた。

抜いていたのは、湯浅支店の営業担当だった 30代の男性元職員 だった。

令和3年8月から令和8年4月までの5年近くをかけて、少しずつ解約されていた。

手口の核心は「複数の定期預金を1つにまとめる」と客に説明して証書を預かり、無断で解約していたこと。

しかも払い戻しの書類には、 客本人の署名と押印がそろっていた

本人のサインがある書類が並んでいたのに、なぜ支店は5年近くも不正に気づけなかったのか。
きのくに信用金庫 は7月21日付でこの元職員を懲戒解雇し、7月30日に会見を開いて公表した。


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きのくに信金で7827万円着服、5年間見抜けなかった理由

顧客14人から7827万円、月137万円ペースの着服

7827万円

だが被害に遭ったのは、わずか 14人 だった。

きのくに信用金庫 の発表によると、着服の被害総額は7827万円にのぼる。

件数は27件、口座の数にして34口座。

被害を受けた客は40代から90代までの14人、10世帯だった。

特定の窓口の客だけが、5年近くにわたって狙われていたことになる。

この金額を期間で割ると、規模がもっとはっきりする。

令和3年8月から令和8年4月まではおよそ4年9か月、月にすると57か月。

単純計算で7827万円を57か月で割ると、月あたりおよそ 137万円 が抜かれ続けた計算になる。

会社員の月給に近い額が、毎月ひとりの職員によって消えていた。

わずか14人から5年近く、月およそ137万円ペースで抜かれ続けた
わずか14人から5年近く、月およそ137万円ペースで抜かれ続けた(※イメージ図)

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これだけ長く続いたのに、支店はなぜ止められなかったのか。

顧客本人の署名があったから見抜けなかった

解約の書類には、客本人の署名と押印があった。

FNNプライムオンライン によると、元職員は客に対し、「複数ある定期預金を1つ、あるいは数口座にまとめる」などと説明していた。

これは客にとって親切な提案に見える。

そう言って手続きに必要な預金証書(定期預金を預けた証明になる書類)を預かり、その一部を無断で解約して解約金を自分のものにしていた。

定期預金の書き換え手続きのときに、客が出した証書を持ち去って解約したケースもある。

問題は、払い戻しを求める書類に 客本人の署名と押印がそろっていた ことだ。

だから事務手続きをした支店では、着服に気づかなかった。

書類の形式だけを見れば、正規の手続きと区別がつかなかったからだ。

本人の署名・押印が揃っていたため、形式上は正規の手続きに見えた
本人の署名・押印が揃っていたため、形式上は正規の手続きに見えた(※イメージ図)

ここに、5年近く不正が続いた理由がある。

書類の形式が正しいほど、人は「いつも通りだ」と感じて疑わなくなってしまう。

署名と押印という本来は安全のための仕組みが、正規の手続きを装われたことで、かえって不正を見えにくくした面があったのではないか。

安全装置そのものが、油断を生む入り口になっていた。


書類がちゃんとしているほど「大丈夫でしょ」と気がゆるむ。
そのすき間を突かれて、5年近くバレなかった ——ここが今回のいちばんの落とし穴だ。

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では、5年近く止まらなかった着服は、何をきっかけに表に出たのか。

止めたのは監査でなく顧客家族の一本の照会

気づいたのは、金庫でなく客の家族だった。

朝日放送テレビ の報道によると、着服が続いたのは令和3年8月から令和8年4月まで。

これが発覚したのは、令和8年5月15日のことだった。

きっかけは、客の家族から預金の残高について問い合わせがあったことだ。

金庫の内部監査(会社が自分で不正をチェックする仕組み)ではなく、外から寄せられた一本の照会が、5年近い不正を止めた。

止めたのは内部監査でなく、顧客家族からの一本の照会だった
止めたのは内部監査でなく、顧客家族からの一本の照会だった(※イメージ図)

社内の聞き取りに対し、元職員は犯行を認めている。

着服したお金は、 借金の返済やギャンブル に使っていたと説明した。

5年近く誰にも見つからずに続いた不正の終わりが、窓口の警戒ではなく客側の気づきだったという事実は、金融機関のチェックのあり方に重い問いを残す。

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解雇された元職員の責任は、これで終わりではない。

懲戒解雇は終わりでなく、被害届も出ている

「本当にこの度はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」—— 田谷節朗理事長 は会見で頭を下げた。

きのくに信用金庫は、着服の発覚後に一連の対応を進めている。

事件が発覚したのは5月15日。

その後、7月21日付で元職員を懲戒解雇(会社が処分として強制的にクビにすること)にした。

同時に、 産経ニュース によると、和歌山県警へ被害届(被害に遭ったと警察に届け出る書類)を提出している。

会見での公表は7月30日だった。


懲戒解雇はあくまで 社内の処分 にすぎない。

仕事で預かったお金を自分のものにする業務上横領という犯罪は、刑法の定めで10年以下の拘禁刑にあたる。

クビになったから一件落着、という話ではない。

金庫が被害届を出した以上、今後は警察の捜査が動くことになる。
TBS NEWS DIG など被害届の容疑を「詐欺」とする報道もあり、罪名は捜査中でまだ確定していないという。

この手口は、あなたの定期預金でも起こりうるのか。


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あなたの定期預金は、証書と残高で守れる

被害に遭った14人の預金は、すでに元に戻っている。

WBS和歌山放送 によると、きのくに信用金庫は被害を受けた客に事実を説明したうえで、預金を 解約前の状態に回復 させた。

そのうえで再発を防ぐ手立ても示している。

一定額以上の現金を客に届けるときは職員2人の同行を義務づけ、記録に残すことをルール化した。

あわせて再発防止の対策チームを立ち上げるとしている。

今回の手口を思い出すと、身を守る手がかりが見えてくる。

狙われたのは、客が職員に預けた預金証書だった。

だからこそ、自分の定期預金の証書がどこにあるか、残高がいつも通りかを自分の目で確かめる意味がある。

証書を職員にそのまま預けたままにしない、通帳や残高を定期的に見る。

それだけで、書類の形式に紛れた不正に自分から気づける可能性が上がる。

自分の預金に不審な点があれば、金庫の窓口で確かめられる。

きのくに信用金庫は今回の件について、客向けの問い合わせ先を公式サイトの案内で示している。


自分の預金に不審な点があるとき

きのくに信用金庫 お客さまお問い合わせ窓口 で、自分の預金についての照会ができる(営業統括部・平日9〜17時)。

書類のサインが正しいほど「大丈夫だ」と気がゆるむ。

その油断のすき間で、ひとりの職員が5年近く、客のお金を抜き続けていた。

自分の証書と残高を自分の目で確かめること——それが、同じ手口に狙われないための、いちばん確実な一歩になる。


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まとめ

  • 着服の被害は27件34口座・7827万円で、被害者はわずか14人。単純計算で月あたりおよそ137万円が5年近く抜かれ続けた計算になる。
  • 支店が気づけなかったのは、払い戻しの書類に客本人の署名と押印がそろい、正規の手続きと見分けがつかなかったから。
  • 5年近い不正を止めたのは金庫の内部監査ではなく、客の家族から寄せられた残高の問い合わせだった。
  • 懲戒解雇は社内処分にすぎず、和歌山県警への被害届提出で刑事の責任は別に進む。被害届の容疑を「詐欺」とする報道もある。
  • 狙われたのは客が預けた預金証書。自分の証書の在りかと残高を自分で確かめることが、同じ手口への備えになる。

書類のサインが正しいほど「大丈夫だ」と気がゆるむ——その油断のすき間で、ひとりの職員が5年近く、客のお金を抜き続けていた。

よくある質問(FAQ)

Q1. きのくに信用金庫の着服は、なぜ5年近くも見抜けなかったの?

払い戻しの書類に客本人の署名と押印がそろい、正規の手続きと見分けがつかなかったためです。

Q2. きのくに信用金庫の着服の被害額はいくら?

被害総額は7827万円です。
27件・34口座にのぼり、被害者は40代から90代の14人・10世帯でした。

Q3. どんな手口で着服したの?

「複数の定期預金を1つにまとめる」と説明して証書を預かり、無断で解約して解約金を自分のものにしていました。

Q4. 着服はどうやって発覚したの?

令和8年5月15日、客の家族から預金の残高について問い合わせがあったことがきっかけで判明しました。

Q5. 被害に遭った人の預金は戻ってきたの?

戻っています。

金庫が被害者に事実を説明したうえで、預金を解約前の状態に回復させました。

Q6. 懲戒解雇された元職員は刑事責任も問われるの?

懲戒解雇は社内処分にすぎません。

金庫は和歌山県警へ被害届を提出しており、被害届の容疑を詐欺とする報道もあります。

罪名は捜査中で確定していません。

Q7. 自分の定期預金を同じ手口から守るにはどうすればいい?

狙われたのは客が預けた預金証書です。

証書の在りかと残高を自分で確かめ、不審な点があれば金庫の窓口に照会してください。

📚 参考文献

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

reaitimenews.com

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