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交際していた女性の腹部を蹴った疑いで、男が逮捕された。
兵庫県警 葺合署 は8月4日、傷害などの疑いで、神戸市中央区に住む飲食店経営の男(23)を逮捕した。
男は 「事実ではないです」 と容疑を否認している。
容疑となっているのは、7月24日午前7時半〜8時半ごろ、交際していた女性(22)の自宅で腹部を蹴り、軽いけがを負わせたというもの。
恋人同士の間で起きたことが、なぜ刑事事件になったのか。
そして本人が否定しているこの事件は、この先どう扱われるのか。
ひとつだけ先に言えるのは、暴行を受けたとされる当日の午後、女性はもう署に相談していたということだ。
この記事でわかること
葺合署が交際相手への傷害容疑で男を逮捕
「事実ではないです」 ——男は容疑を否認した。
否定しているのに逮捕された。
そこに引っかかる人は多いはずだ。
逮捕は罪が確定したことを意味しない。
捜査のために身柄を押さえる手続きであり、本人が認めているかどうかとは別に進む。
今回、 葺合署 が動いたきっかけは、被害を受けたとされる女性からの相談だった。
男は神戸市中央区で飲食店を営む23歳。
逮捕容疑は、7月24日の朝、交際相手の女性の自宅で腹部を蹴るなどして軽いけがを負わせた、というものだ。
相手は22歳の交際女性。
ふたりの間に何があったのか、動機は明らかにされていない。

男・女性・葺合署の間で何がいつ起きたかを一枚で示す(※イメージ図)
そもそも、交際している相手への暴力が、なぜ「傷害」という犯罪として扱われるのだろうか。
恋人への暴力も同じ「傷害」になる
恋人同士のいさかいと、刑事事件の境目は薄い。
相手が配偶者でも、恋人でも、赤の他人でも、人の体を傷つければ成立するのが 傷害罪 だ。
刑法204条 は「人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」と定めている。
拘禁刑とは、刑務所などで身柄を拘束する刑のことで、2025年の法改正で懲役と禁錮をひとつにまとめた新しい呼び方だ。
ここで大事なのは、 相手との関係が罪の成立を左右しない という点だ。
「痴話げんかだから」「付き合っていたから」という事情は、傷害罪が成立するかどうかそのものには関係しない。
恋人だから許される、という線引きは法律にはない。
では、今回のように「軽いけが」で済んだ場合、刑もごく軽くなるのだろうか。
「軽傷」でも刑の重さは殺人未遂の隣
法定刑の上限は 15年 。
けがが軽くても、この枠は変わらない。
傷害罪に法律が用意している刑の重さ(法定刑)は、拘禁刑なら上限が 15年 だ。
これは、結果として相手を死なせなかった暴力の中では、かなり重い部類に入る。
けがの程度が軽いか重いかで、この「枠」そのものが下がるわけではない。
軽傷でも重傷でも、裁く土俵の広さは同じなのだ。

軽傷でも枠は重く、実際の処分は事情で大きく振れる(一般統計)(※イメージ図)
ただし、実際に言い渡される刑は、この枠の中で大きく振れる。
弁護士法人若井綜合法律事務所 によると、令和7年版の犯罪白書をもとにした統計では、傷害の罪で有罪となり刑を言い渡された人のうち、 およそ65% が執行猶予、およそ35%が実刑だった。
執行猶予とは、有罪でも一定の期間問題を起こさなければ刑務所に入らずに済む制度のことだ。
単純に言えば、傷害で刑を受けた人のおよそ3人に2人は、その場ですぐ刑務所に入ってはいない。
つまり、法律の上では重い刑もありうる一方で、実際の処分はけがの程度や当事者どうしの話し合いといった事情で大きく動く。
「軽傷だから軽く済む」 とも、 「逮捕されたから即実刑」 とも、どちらとも言い切れないのが実情だ。
なお、この統計はあくまで傷害事件全体の傾向であって、今回の事件がどうなるかを示すものではない。
もっとも、今回の男は容疑そのものを認めていない。
否認は、その後の手続きをどう変えるのだろうか。
否認していても捜査はこの先へ進む
否認は「終わり」ではなく、入り口にすぎない。
「事実ではない」 と述べても、それで捜査が止まるわけではない。
警察は被害を受けたとされる人の相談を起点に裏付けを固め、身柄を検察へ送り、検察官が起訴するかどうかを判断する。
本人が認めていなくても、この流れ自体は進んでいく。

否認しても手続きは進み、帰結は今後の判断で決まる(※イメージ図)
その先、実際に起訴されるのか、起訴された場合にどんな刑になるのかは、 現時点では決まっていない 。
捜査はまだ続いている段階だ。
否認しているという事実は、あくまで今後の捜査や裁判で吟味される材料のひとつであって、それ自体が有罪も無罪も決めるものではない。
なお、交際相手からの暴力というと、裁判所が相手に近づくことを禁じる「保護命令」を思い浮かべる人もいるだろう。
ただ、この制度が同居していない恋人どうしで使えるかどうかは、条件があるため一概には言えない。
加害を疑われた側の話が続いたが、被害を受けたとされる側は、いつ動いたのか。
蹴られたその日に、女性は相談していた
暴行を受けたとされる当日の午後、女性はもう署にいた。
ここまでの事実を、被害を受けた側の時間軸で並べ直してみる。
7月24日の朝、女性は自宅で腹部を蹴られたとされる。
そしてその同じ日の午後、彼女は 葺合署 に相談を持ちかけている。
逮捕はそこから 約11日後 の8月4日。
つまり事件は、被害当日の一本の相談から動き出していた。

被害当日に動いた一本の相談が、約11日後の逮捕につながった(※イメージ図)
援助希求(ヘルプ・シーキング)
心理学や社会福祉の分野で使われる考え方で、困りごとを抱えた人が、まわりの人や公的な機関に助けを求める行動を指す。
とりわけ親しい相手からの暴力では、関係を壊したくない、自分にも落ち度があったのかもしれない、といった思いから、相談が遅れがちになることが知られている。
その意味で、今回のように被害を受けたとされる当日に動くのは、決してあたりまえのことではない。
腹部を蹴られたその日の午後に相談したという事実は、心理の面では「助けを求める一歩を早く踏み出した」行動にあたるのではないか。
そして手続きの面では、相談を受けた警察が裏付けを進め、逮捕へとつなげる起点になったと見ることもできる。
被害を受けたその日に相談したことは、勇気であると同時に、証拠が新しいうちに手続きを動かす現実的な一歩でもあったのではないか。
早く声を上げるほど、記憶も痕跡もまだ鮮明なうちに話が前へ進む。
これは今回の事件に限った話ではない。
恋人からであれ、家族からであれ、暴力を受けたときに 「その日のうちに相談していい」 というのは、誰にとっても使える現実的な選択肢だ。
配偶者やパートナーからの暴力に悩んだとき、全国共通の電話番号「#8008」にかければ、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながる。
今すぐ助けが必要なときは110番、緊急でない相談なら警察相談専用電話「#9110」という窓口もある。
まとめ
- 傷害罪は相手が恋人でも他人でも成立する。刑法204条の法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、「けがが軽い」ことだけで枠そのものは下がらない。
- 一方で実際の処分は事情で大きく振れ、傷害で刑を言い渡された人のおよそ65%は執行猶予だった(傷害事件全体の統計で、本件の見通しではない)。
- 「事実ではない」と否認しても捜査は止まらず、起訴するかどうかは検察官がこれから判断する。現時点で帰結は決まっていない。
- 被害を受けたとされる女性は、腹部を蹴られた当日の午後にはもう葺合署へ相談していた。逮捕はそこから約11日後だった。
- 親しい相手からの暴力は相談が遅れがちだが、早く動くほど痕跡が新しいうちに手続きが進む。#8008や#9110という相談先が用意されている。
否認から始まったこの事件は、被害を受けたとされる側が被害当日に踏み出した一本の相談から動いていた。
よくある質問(FAQ)
Q1. 葺合署が逮捕した交際女性への傷害事件は、この先どうなる?
起訴されるか、どんな刑になるかは現時点で決まっていません。
男は否認しており、検察官がこれから起訴の可否を判断します。
Q2. 交際相手(恋人)への暴力でも傷害罪になるの?
なります。
相手が配偶者でも恋人でも他人でも、人の体を傷つければ傷害罪が成立します。
関係は罪の成立を左右しません。
Q3. 傷害罪の刑はどのくらい重い?
刑法204条で15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています。
けがが軽くても、この刑の枠自体は下がりません。
Q4. 容疑を否認するとその後どうなる?
否認しても捜査は止まりません。
裏付けを固めて検察へ送られ、起訴するかどうかが判断されます。
否認自体が有罪も無罪も決めません。
Q5. 交際相手から暴力を受けたら、どこに相談すればいい?
全国共通の#8008にかけると最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。
緊急時は110番、緊急でない相談は#9110も使えます。
Q6. 同居していない恋人でも保護命令は使える?
条件があるため一概には言えません。
保護命令は対象や要件が定められており、状況によって使えるかどうかが変わります。
📚 参考文献
リアルタイムニュースNAVI 編集部
reaitimenews.com
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