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2026年7月29日、韓国の株価が2日続けて強制的に止まった。
値動きが激しすぎて、取引所が市場ぜんたいの売買を丸ごと止める「サーキットブレーカー(株価が急落したときに働く非常ブレーキ)」が、2日連続でかかったのだ。
引き金は、半導体の大型株が一斉に投げ売られたこと。
しかも、有価証券市場でこのブレーキが2営業日続けて発動したのは、 制度が始まって以来はじめて だった。
直前まで、韓国株は世界で一番値上がりしていた市場だったとされている。
その最強だったはずの市場が、なぜ一番激しく止まったのか。
この記事でわかること
韓国株が2日連続で止まった7月29日
29日昼、韓国の株価は坂道を転げ落ちるように下がった。
中央日報 によると、 韓国取引所(KRX) はこの日の午後0時19分にKOSDAQ市場で、続いて午後0時32分には有価証券市場でも、第1段階のサーキットブレーカーを発動した。
前日の28日にも両市場は大きく下げていて、非常ブレーキが2日にまたがって作動した形になる。
主役は半導体だった。
この日は半導体大手 SKハイニックス の決算発表日で、株価は一時 9〜10% 台まで沈んだ。
もう一方の雄 サムスン電子 も9%台の下落となり、株価は「20万ウォン」の大台を割り込んだ。
指数を引っ張ってきた2つの看板銘柄が、そろって崩れたのだ。
ニュースの見出しで「サーキットブレーカー」の5文字を見て、ざわっとした人もいるはずだ。
取引が止まるという響きは、なんだか不吉に聞こえる。
ではそもそも、この「止まる」とは、いったい何がどう止まる仕組みなのだろう。
8%下落で市場が自ら踏む急ブレーキ
株価が8%落ちると、市場は自ら急ブレーキを踏む。
サーキットブレーカーは、株価指数が前の日より 8% 以上下がった状態が 1分間 続くと発動する。
すると債券を除くほぼすべての銘柄で、売り買いと新しい注文の受け付けが 20分間 ストップする。
再開したあとも10分間は、みんなの注文を一つの値段にまとめる特別な売買で慌ただしさを抑える。

8%の急落が引き金となり、市場は20分間まるごと止まる。(※イメージ図)
これは市場が壊れたサインではない。
むしろ逆だ。
パニックのまま売りが売りを呼ぶ悪循環を断ち切り、 いったん頭を冷やす時間をつくるための安全装置 なのである。
もとをたどれば、1987年に米国で株価が1日で2割以上も崩れた「ブラックマンデー」をきっかけに生まれ、そこから各国の取引所へ広がった仕組みだ。
つまり非常ブレーキが作動したこと自体は、下げの深さを示す事実であって、市場の終わりを告げる鐘ではない。
踏まれたら「かなりの急落だ」と受け止めればいい。
ではその安全ブレーキを何度も踏ませたほどの下げは、そもそもなぜ起きたのか。
世界最強だった市場が一番激しく落ちた
年初から一時ほぼ2倍。
その最強市場が急落した。
韓国のKOSPIは2026年、年初来で一時ほぼ2倍に膨らみ、6月には史上最高値をつけた「世界最強」の市場だったとされている。
弱った市場がずるずる落ちた のではない。
世界で一番勢いよく駆け上がっていた市場が、今度は一番激しく転げ落ちた のだ。
その落ち方の激しさには、韓国株ならではのからくりがある。
KOSPIという指数は、サムスン電子とSKハイニックスの半導体2社だけで時価総額の およそ半分 を占めている。
指数を買えば幅広く分散されて安心、というのが投資の常識だ。
ところが韓国では、指数を買うことが実質的にこの2社を買うことに近かった。

指数を買うことは、実質サムスンとSKハイニックスを買うことだった。(※イメージ図)
だから半導体株が売られると、そのまま市場ぜんたいが同じ方向へなだれ込む。
上げるときは世界一の勢いを生み、下げるときは非常ブレーキを踏ませるほどの急落になる。
強さと脆さは、同じ一枚のコインの裏表だったわけだ。
この落ち方は、過去の金融危機と比べてどれほど異例なのだろう。
リーマンでも起きなかった史上初の連続停止
過去15回。
だが2日連続は一度もなかった。
有価証券市場でサーキットブレーカーが発動したのは、記録上これで 15回目 になる。
それでも2営業日続けて発動した例は、制度が導入されて以来ただの一度もなかった。
ChosunBiz によると、2008年に世界を揺らしたリーマンショックのときも、2011年に米国の国の借金の格付けが下げられたときも、この市場は連続停止までは至らなかった。
新興企業向けのKOSDAQ市場ですら、連続発動は過去2回だけで、今回が3回目となる。

リーマン危機でも起きなかった連続停止が、はじめて起きた。(※イメージ図)
さらに気になるのは頻度だ。
有価証券市場での発動は、今年に入ってこれで 9回目 にのぼる。
1年の半分あまりで9回、単純に均せば月に1回を超えるペースで、本来めったに踏まれないはずの非常ブレーキが鳴っている計算になる。
「最終手段」だったはずのブレーキが、すっかり日常の風景になりつつある。
なぜ、ここまでブレーキが常態化したのか。
表向きの引き金は半導体株の投げ売りだ。
だがその奥には、AIと半導体という一点に、世界中のお金も期待も集まりすぎた市場のかたちがある。
期待が大きくふくらんだ分だけ、少しの失望で反動も大きくなる。
非常ブレーキが月に1回を超えて鳴り続ける異常さは、AI・半導体という一点にお金と期待が集まりすぎた市場が、上げも下げも実際以上に増幅してしまう、その裏返しではないか。
かんたんに言えば——韓国株は「指数」といっても中身はほぼサムスンとSKハイニックスの2社。
そこがコケると、市場ごと急ブレーキがかかるのだ。
この韓国発の揺れは、海を越えて日本の株にも届くのだろうか。
日本株にも火の粉は飛ぶのか
韓国の1日の下げは、日経なら数千円安に相当する。
Seoul Economic Daily によると、29日のKOSPIは、取引時間中に前の日より一時およそ1割( 約10.8% )下がった。
この下落率をそのまま日経平均株価に当てはめてみよう。
仮に日経平均を6万2000円とすると、単純計算で1日に 約6700円 もの値下がりに相当する(62,000×0.108≒6,700)。
数字の桁を並べるより、この換算のほうが揺れの大きさが体に伝わるはずだ。

韓国の1日の下げを日経に当てはめると、その規模が体感できる。(※イメージ図)
そして日本にとって、これは対岸の火事とは言い切れない。
日本にも半導体やAIに関わる大型株は多く、韓国と同じテーマで世界の資金が行き来している。
韓国株の急落が、同じ土俵にいる日本の半導体関連株の値動きへ 波及することは十分にありうる 。
あなたが少しでも半導体関連の株や投資信託を持っているなら、それは遠い国の話ではない。
とはいえ、慌てて売買ボタンを押す前に思い出してほしい。
非常ブレーキは相場の終わりの合図ではなく、頭を冷やすための時間だった。
この先ニュースで「サーキットブレーカー」の文字を見かけたら、まずは「かなりの急落が起きたのだな」と仕組みごと落ち着いて受け止める。
その一呼吸が、あなたの資産を守る最初の一歩になる。
まとめ
- 有価証券市場でサーキットブレーカーが2営業日連続で発動したのは、制度導入以来はじめて。リーマンショックや米国の格下げ時ですら起きなかった異例の事態だ。
- 引き金はサムスン電子とSKハイニックスの急落。この半導体2社だけでKOSPI時価総額の約半分を占め、指数を買うことが実質2社を買うことに近い構造になっていた。
- KOSPIは年初来で一時ほぼ2倍に駆け上がった「世界最強」の市場だったとされ、その反動が今回の激しい下げにつながった。
- 今年の有価証券市場での発動は9回目。月1回を超えるペースで、本来「最終手段」の非常ブレーキが常態化しつつある。
- 29日の一時約1割の下げは、日経平均なら1日で約6700円安に相当する規模。同じ半導体・AIというテーマを共有する日本株にも波及しうる。
サーキットブレーカーは、下げを止められない絶望の装置ではなく、走りすぎた市場に一呼吸を強いる冷却装置だ。
その一呼吸の意味を知っているかどうかで、荒れた相場の見え方はまるで変わってくる。
よくある質問(FAQ)
Q1. サーキットブレーカーとは何ですか?
株価指数が前日より8%以上下がった状態が1分続くと、市場全体の取引を20分間止める安全装置です。
Q2. なぜKOSPIは暴落したのですか?
サムスン電子とSKハイニックスの半導体2社が一斉に売られ、その2社だけで指数の約半分を占めるため市場全体が急落しました。
Q3. 2日連続の発動はなぜ史上初なのですか?
有価証券市場では過去15回発動しましたが、2営業日連続は今回が初。
2008年のリーマン危機でも起きませんでした。
Q4. 韓国株の暴落は日本株に影響しますか?
十分にありえます。
日本にも半導体・AI関連の大型株が多く、同じテーマで資金が動くため値動きが連動しやすいのです。
Q5. 今年、韓国で非常ブレーキは何回発動しましたか?
有価証券市場では2026年に入って9回目です。
月1回を超えるペースで、本来まれなはずの発動が常態化しています。
Q6. サーキットブレーカーとサイドカーの違いは何ですか?
サイドカーは先物が5%動くとプログラム売買だけを短時間止める予備の仕組み。
サーキットブレーカーはより強力で市場全体を止めます。
📚 参考文献
- 中央日報 日本語版「KOSPI・KOSDAQ急落で…史上初、2日連続でサーキットブレーカー発動」 (2026年7月29日)
- ChosunBiz「KOSPIとKOSDAQが急落 サーキット2日連続発動」 (2026年7月29日)
- Seoul Economic Daily「Korean Stocks Plunge; KOSPI, KOSDAQ Trigger Circuit Breakers for Second Straight Day」 (2026年7月29日)
- ロイター「韓国KOSPIが7%急落、世界的な半導体株売りで」 (2026年7月28日)
- upi.com
- money1.jp
- phemex.com
- jioinc.jp
- ideco-ipo-nisa.com
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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