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クビアカツヤカミキリ被害3万7000本、毎日約100本の衝撃

| 読了時間:約5分

叩いても叩いても、来年また同じ木から出てくる虫がいる。

サクラやウメを内側から食い荒らす特定外来生物(生きたままの持ち運びが法律で原則禁じられた外来の生き物)「 クビアカツヤカミキリ 」。

その被害が全国で相次いでいる。

NHK が全国の自治体に取材したところ、昨年度に確認されただけで 少なくとも3万7000本 を超えていた。

手を打っても被害が減らない理由は、外を飛ぶ成虫ではなく、木の“中”にある。

自分の近所や庭の木は大丈夫なのか、もし見つけたらどうすればいいのか。

まずは、その数字の重さから見ていきたい。


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クビアカツヤカミキリ被害3万7000本、毎日約100本の衝撃

昨年度3万7000本超は毎日約100本

昨年度だけで 3万7000本

それも確認できた分にすぎない。

この数字がどれくらいのペースなのか。

単純計算すると、 1日あたり約101本 (3万7000本÷365日)が新たに確認された計算になる。

毎日、街のどこかで100本規模の木が食害を受けていることになる。

厄介なのは、この増え方が「じわじわ」ではない点だ。
名古屋市 の資料によると、市内の被害は2019年度の 48本 から2024年度には 435本 へと跳ね上がった。

5年でおよそ 9倍 (435÷48≒9.06)である。

ある年を境に、坂道を転がるように増えていく。

昨年度の被害は確認分だけで毎日約100本ペース、名古屋は5年で急増。
昨年度の被害は確認分だけで毎日約100本ペース、名古屋は5年で急増。(※イメージ図)

農林水産省 によると、発生が確認された地域は2026年7月時点で 19都府県 に広がっている。
2012年に愛知県で初めて見つかってから十数年で、被害は列島の広い範囲に届いた。

これほど広がる相手が、そもそもどんな虫なのか。


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首だけ赤い虫が桜の中で1000個産む

首の部分だけが赤い黒い甲虫が、桜の幹の中で静かに増えている。

体長は 2.5〜4センチ ほど。

全身は黒く、名前のとおり首に見える胸の部分だけが赤い。

成虫は木の外側にいて、6〜8月ごろに活動する。

捕まえても人を刺すことはなく、 人体への危険はない

だから見た目の派手さのわりに、成虫そのものはさほど怖い相手ではない。

本当に厄介なのは、木の中にいる幼虫のほうだ。
埼玉県環境科学国際センター の資料によると、メス1匹が 1,000個近い卵 を産むこともある。

かえった幼虫は、木の内部を 2〜3年 かけて食べ進む。

厄介なのは外の成虫より、木の中で育つ幼虫のほうだ。
厄介なのは外の成虫より、木の中で育つ幼虫のほうだ。(※イメージ図)

外から見れば元気そうな木でも、幹の中は坑道だらけになっていく。

やがて木は弱り、枝が落ち、倒れるおそれが出てくる。

2018年1月には特定外来生物に指定され、生きたまま運ぶことなどが禁じられた。

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外にいる成虫を叩けば済みそうに思える。

だが現場は、そう単純ではない。

叩いても来年また出てくる本当の理由

成虫を叩いても、来年また同じ木から出てくる。

一度しっかり駆除すれば片づく ——そう思われがちだが、実際はそうならない。

成虫が飛ぶ初夏に薬をまく。

それ自体は正しい。

けれど、そのとき木の中にいる幼虫には、薬がなかなか届かない。

ここに、この虫が止まらないからくりがある。

幼虫は木の中で1〜3年を過ごし、それぞれ別の年に成虫になって外へ出てくる。

つまり、木の内部に残った幼虫が、 来年・再来年の発生源、いわば“在庫” として残る。

表面の成虫だけを叩いても、この在庫がある限り、翌年もまた新しい成虫が羽化してくる。

今年の数字が減っても安心できないのは、このためだ。

成虫を叩いても木の中の幼虫が残り、毎年振り出しに戻る。
成虫を叩いても木の中の幼虫が残り、毎年振り出しに戻る。(※イメージ図)

虫は木の中で数年がかりで育つのに、対策や予算は1年ごとで回りがちだ。

この時間軸のズレが、被害を毎年振り出しに戻しているのではないか。

数年がかりで攻めてくる相手に、こちらは1年ごとの勝負を挑んでいる。

だからいつまでも終わらない。

守るには、一度の作業で終わらせず、翌年以降もフラス(幼虫が出す木くずとフンが混ざったもの)が出ないかを見続け、出たら手を入れ直す。

地味だが、この積み重ねに勝る近道はない。

構造が分かったところで、身近な一本を守るために踏める手はある。


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見つけたら持ち帰らずその場で駆除

「見つけたらその場で駆除を」——各地の自治体はそう呼びかける。

手がかりは、木の根元に積もる木くずのようなかたまりだ。

うどん状やかりんとう状のフラス(幼虫が出す木くずとフンの混ざったもの)が根元にあれば、中に幼虫がいるサインになる。

散歩や通勤の途中、公園や街路樹のサクラの足元を見てみてほしい。

もし成虫を見つけても、あわてる必要はない。

刺されることはないからだ。

ただし、良かれと思って持ち帰るのは避けたい。

特定外来生物は、生きたまま運んだり飼ったりすることが原則として禁じられている。

個人が生きたまま運ぶと、 法律違反として罰則の対象になりうる とされる(具体的な内容は 環境省 など公的機関の案内での確認が必要だ)。

群馬県 など各地の自治体がすすめるのは、見つけた場所での駆除と、写真を撮って市町村へ知らせることだ。
JAcom によると、埼玉県では、市民が発見を報告する参加型の調査も始まっている。

あなたの一枚の写真が、その地域の被害地図を一つ埋めることになる。

見つけたら持ち帰らず、その場で駆除して市町村へ知らせる。
見つけたら持ち帰らず、その場で駆除して市町村へ知らせる。(※イメージ図)

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自分で踏める一歩の先に、費用や国レベルの支えはあるのか。

駆除費は誰が持つ国と自治体の動き

駆除や伐採の費用は、誰が持つのか。

被害が深刻なのは、桜の名所を抱える自治体と、果樹を育てる農家だ。
日本農業新聞 によると、和歌山県では園地が全滅するような深刻な例も出ており、伐採や伐根に 1本あたり3万円 を補助する動きがある。

個人や現場だけに負担が丸投げされているわけではない。

国も動いている。

環境省によると、自治体が行う防除には 交付金や特別交付税による支え がある。

2026年に入ってからは、被害の広がりを受けて対策の枠組みづくりが政治の側でも動き出したという(設置の詳細は公的な発表での確認が必要だ)。

CBC の報道によると、名古屋市内では被害が過去最悪のペースで広がり、桜並木の一部で伐採が行われた。

一方で、木の幹を特定の色に塗ると産卵が抑えられるといった研究や、振動を使う新しい防除の試みも進んでいる。

手をこまねいているわけではない。

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身近な一本の足元を見て、木くずに気づき、市町村へ一報を入れる。

その小さな一歩が、全国3万7000本という数字を止める最初の一手になる。

まとめ

  • 昨年度の被害は確認分だけで3万7000本超。単純計算で1日あたり約101本という新規確認ペースになる。
  • 名古屋市では2019年度の48本が2024年度に435本へと、5年でおよそ9倍に急増した。
  • 成虫は人を刺さず無害だが、メス1匹が1,000個近く産卵し、幼虫が木の中で2〜3年食害する。
  • 叩いても減らないのは、木の内部に残った幼虫が翌年以降の発生源“在庫”として残るからだ。
  • 和歌山県では伐採・伐根に1本3万円の補助があり、国も交付金・特別交付税で自治体の防除を支えている。

数字が毎年更新されるこの虫は、街路樹の足元という、いちばん身近な場所から静かに広がっている。

よくある質問(FAQ)

Q1. クビアカツヤカミキリの被害は今どこまで広がっている?

昨年度に確認されただけで全国で3万7000本超。

農林水産省によると2026年7月時点で19都府県に発生が広がっています。

Q2. クビアカツヤカミキリを見つけたらどうすればいい?

生きたまま持ち帰らず、その場で駆除してください。

人を刺さないので触っても危険はなく、写真を撮って市町村へ知らせるのが基本です。

Q3. なぜ駆除しても毎年被害が増えるの?

成虫を叩いても、木の中に残った幼虫が翌年以降の発生源として残るためです。

幼虫は木の内部で2〜3年かけて育ってから成虫になります。

Q4. サクラ以外にも被害はあるの?

サクラのほか、ウメ・モモ・スモモなどバラ科の木が食害されます。

和歌山県では桃や梅の果樹園で園地が全滅するような深刻な例も出ています。

Q5. 駆除や伐採の費用に補助金は出る?

和歌山県では伐採・伐根に1本あたり3万円を補助する動きがあります。

国も交付金や特別交付税で自治体の防除を支えています。

Q6. そもそも特定外来生物とは?持ち帰ると違法なの?

生態系などへの被害が大きく、飼育や生きたままの持ち運びが法律で原則禁じられた外来生物です。

個人が生きたまま運ぶと罰則の対象になりうるとされます。

📚 参考文献

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

reaitimenews.com

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