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LGモニターがWindows Updateで広告アプリを勝手に配信していた

| 読了時間:約5分

ケーブルを挿しただけで、勝手にアプリが入って広告が出た。

それも、あなたが操作したわけでも、同意した覚えもない。

テック系検証チームが実機で試したところ、 32回 起動したうち 31回 、同じ広告が繰り返し表示された。

しかも起きているのは、届いたばかりの新品だけではない。

モニターというハードウェアは、いつの間にか 「広告配信の入口」に姿を変え始めている 可能性がある。

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LGモニターがWindows Updateで広告アプリを勝手に配信していた

ケーブル挿しただけで広告が出る異変

32回起動して31回、McAfeeの広告が出た。

PC系検証で知られるYouTubeチャンネル Gamers Nexus が、LGの「UltraGear 34GX900A-B」というモニターを実機で試した結果だ。

モニターを電源とケーブルにつなぎ、Windows 11の起動を繰り返しただけ。

それだけで、右下から画面いっぱいの McAfee (マカフィー・大手のウイルス対策ソフト会社)の広告が飛び出してきた。

しかも ユーザーがアプリを入れた覚えはない

流れはこうだ。

モニターを接続すると、Windows Update(Windowsの自動更新)がLG製のドライバーパッケージを取得する。

約1分後、Microsoftストア経由で「 LG Monitor App Installer 」という管理アプリがPCに現れる。
GIGAZINE によると、同意を求めるダイアログは1度も表示されない。

The Verge によれば、Gamers Nexusの検証では、その後 32回 連続で起動を試して 31回 、McAfeeの30日間無料体験を勧めるポップアップが出た。

単純計算すると、毎日1回PCを起動する人は1カ月で約 29日 、同じ広告に出会う頻度になる(32分の31×30日)。

31 /32
起動時広告
≒97%
約29
月換算
単純計算
約1
導入時間
接続後

もっとも、こうした報告自体は突然出てきたものではない。

海外のPCフォーラムでは少なくとも 2024年 から同じ挙動を訴えるユーザーの投稿があった。

それが一気に世間の目に触れたのは、Gamers Nexusが 2026年7月17日 に検証動画を公開してからだ。
すまほん!! などが伝えているように、動画は公開3日で約 80万回 再生を超え、この事案は一部の個別クレームから、コミュニティ全体が共有する事件へと広がっているとされている。

▶ タップで再生(音声OFF)
DO NOT BUY: LG’s Spyware TVs, Monitors, and Wiretapping Concerns

では、そもそもケーブルを挿しただけで、なぜあなたのPCにアプリが降ってくる仕組みになっているのか。


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Windowsの正規機能が広告配信路になった

Windows 8から続く「便利機能」が広告配信の裏口だった。

この配信を可能にしているのは、「 デバイスメタデータ 」というWindowsの正規機能だ。

周辺機器の識別情報(メーカー名やモデル名など)にひも付いたアプリを、Microsoftストア経由で自動的に配信する仕組みで、 Windows 8以降ずっと搭載されている

デバイスをPCに挿すと、Windowsは自動でその機器のメタデータをMicrosoftのサーバーに問い合わせに行く。

もし対応するアプリが登録されていれば、そのままダウンロードして入れてしまう。

今回のLG Monitor App Installerも、この経路に乗って配信されている。


デバイスメタデータとは

周辺機器の識別情報(メーカー名やモデル名など)にひも付いたアプリを、Microsoftストアから自動的に配信するWindowsの仕組み。

本件では、この仕組みの上で「LG Monitor App Installer」がユーザーの同意なしにPCへ届けられる導線として使われている。

見過ごせないのは、 Microsoft 自身がこの動きを事前に予告していた点だ。
GIGAZINE によれば、開発者向けの公式ドキュメントには 「自動インストール機能はユーザーに通知を表示しないため、一部のユーザーは混乱して不満を感じ、アプリに悪い評価を与える可能性がある」 という警告文が明記されている。

作った側は、読者と同じ「なにこれ勝手に入ってる」という反応が起きることを、あらかじめ想定していたわけだ。

それでも同意プロンプトを設ける仕様変更は入らなかった。

Microsoftが摩擦を予見しながら、通知を出す設計に踏み切らなかった構造そのものが今回の火種になっているという見方が広がっている。

バグに引っかかったのでも、悪意あるハッカーに突破されたのでもない。

仕様どおりに動いた結果、あなたのPCにMcAfeeの広告が出ている。

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では、この仕組みで実際にどの機種が、いつから影響を受けているのか。

3年前のモニターにも後追いで入ってくる

3年前に買った旧モデルにも、同じ広告が出た。

Gamers Nexusが再現に使った約 1200ドル (当時レートで約19万円)の高価格モデル「 UltraGear 34GX900A-B 」だけの話ではない。
GIGAZINE によれば、同じチームは 2023年 に購入した「 LG UltraFine 32UN880-B 」でも同種のポップアップを確認している。

TechSpot によれば、海外の掲示板ではゲーミング向けの「27GP83B」や「27GN800」の所有者も、後追いでMcAfee広告が出るようになったと報告している。

「新品を買った人が気をつければいい話」では終わらない。

  • UltraGear 34GX900A-B(新品・約19万円)
  • UltraFine 32UN880-B(2023年購入・約3年経過)
  • UltraGear 27GP83B(Reddit報告分)
  • UltraGear 27GN800(Reddit報告分)

問題は、このアプリに与えられている権限の広さだ。
The Verge によれば、LG Monitor App Installerは 「すべてのシステムリソースの使用」 「インターネット接続」 を要求する。

Microsoftストアのアプリ説明からリンクされたLGのプライバシー方針には、氏名、電話番号、生年月日、性別、オンライン上の活動データ、端末情報などが収集対象として並ぶ。
「モニターの明るさや配色を管理するアプリ」に対して振られた権限としては、明らかに広い。

3年前に買ったハードウェアが、あとから広告アプリを配信する容器に変わる。

買うときに読んだ商品ページや保証書と、いまPCの中で動いている中身は同じ製品と言い切れるのか。

購入時の理解と現在の製品仕様のあいだにズレが生まれつつあるだろう。

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これは事故なのか、それとも最初から狙っていたことなのか。

「更新履歴」に書かれていた本音

「オンラインの安心をお届けする」——LG自身の更新履歴が本音を書いていた。

海外テックメディア Windows Latest が公開したスクリーンショットによると、LG Monitor App Installerの直近アップデートの更新履歴(changelog)には、 McAfee 「追加アプリ(Additional App)」として正式に記載 され、 30日間 無料体験の案内が組み込まれていた。

リリースノートは「オンラインでの安心をオールインワンでお届けする」といった趣旨の説明を添えている。

McAfeeの表示は、誤って入ってしまったバナーでも、外部から差し込まれた広告でもない。

LGが自社アプリの機能として、そう書いた。


LGの動きを「モニターの話」だけで見ると読み損なう。

LGはテレビ事業で、画面に映る内容を自動で識別する技術(ACR)を通じた視聴データの収益化を長く運用してきた業界の一員として知られている。

テレビでは「映像を見せながらデータを取り、広告に還元する」仕組みが確立していた。

その回路をモニターに横流ししていると考えると、Windows Updateを経由した強制インストールも、changelogでのMcAfee明記も、線がつながる。

かつては「一度売って終わり」だったモニターというハードウェアが、購入後もずっと広告収入とデータを吸い上げ続けるビジネスの入口に接続され直したことを示している可能性がある。


ここで見えてくるのは、LGだけを見ていては説明のつかない構図だ。

その結果として起きているのが、毎日約 29日 ぶんの広告表示だ。

The Verge が伝えるとおり、1カ月のうち1日を除いてMcAfee 30日体験の案内が出る計算になる。

これは 「たまに広告が出る」 水準ではない。

デスクの向こうに、あなたが起動するたび毎回顔を出す小さな営業マンが1人、常駐している 状態と言っていい。

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では、この設計思想はLGだけのものか、それとも業界全体で共有されているのか。

同じ経路をDellやASUSも使っている

Alienwareでも、ASUSマザーボードでも、同じことが起きている。

Dell はWindows Updateを使い、対応する Alienware ブランドのモニターや周辺機器をPCが検出すると「Alienware Command Center」を自動的にインストールしてくる。
VideoCardz.com は、自社で新しく入手したAlienwareモニターをDisplayPortでつなぐと、同じアプリのインストールが繰り返し発動したと伝えている。

今回のLGとまったく同じ、デバイスメタデータ経由の配信経路だ。

ソフトの名前と提供元が違うだけで、 仕組みは共通している

LG
Monitor App Installer
→ McAfee広告
Dell
Alienware Command Center
→ 同経路で自動導入

同じ流れはマザーボード側にもある。
ASUS のマザーボードは、UEFI(PCの起動を管理する土台の仕組み)から自社アプリ「Armoury Crate」をWindowsに送り込む機能で以前から知られていた。

周辺機器メーカーが 「OSやハードウェアの正規機能」を自社アプリの導線として使う 流れが業界に広がっているという見方が広がっている。

「LGだけが特別に変なことをしている」という話では、もはやない。

そう考えると、部屋のなかにあるモニター、キーボード、マザーボード、USBハブといった「本来は静かに動いてくれるはずの部品」の一つひとつが、メーカーの営業窓口として振る舞い始めている。

ケーブルを挿すという行為が、PCと機器のあいだで完結する物理的な接続ではなくなり、 そのメーカーのオンラインカウンターにあなたを接続する行為 に変わりつつある。

では、あなたのPCで今この症状が起きているかどうか、どこを見れば分かるのか。


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あなたのPCで今すぐ確認すべき3か所

スタート画面の「おすすめ」に、見覚えのないLGのタイルはないか。

まず1か所目。
「設定」→「アプリ」→「スタートアップ」 を開く。

ここに「 LG Monitor App Installer 」の項目が並んでいれば、あなたのPCも今回の対象機に含まれている可能性が高いとされる。

オンのままだと、PC起動のたびにこのアプリが立ち上がってMcAfeeの案内を表示する。

項目のスイッチをオフにすれば、少なくとも毎回のポップアップは止められる。


  1. 「設定」→「アプリ」→「スタートアップ」 を開き、LG Monitor App Installer のスイッチをオフにする(毎回のポップアップを止める)
  2. 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」 から、同じアプリ名を探してアンインストールする(本体を削除)
  3. Windows Proのみ:gpedit.msc で「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「システム」→「デバイスのインストール」を開き、「デバイスメタデータに関連付けられたアプリの自動ダウンロードを禁止する」を有効化する(再インストール自体を封じる)

TechSpot によれば、このアプリはMicrosoftストア画面からは削除できないケースがあり、Windowsの設定画面からの操作が必要になる。
3か所目はやや上級者向けだが、gpedit.msc の設定を有効にすれば再インストールの入口自体を閉じられる。

過度に怖がらないための2つの留保

Cybernews によれば、現時点でLGはこの件について公式声明を出していない。

セキュリティ検査サイトVirusTotalでは中国のウイルス対策ベンダー Jiangmin 1社だけ がこのアプリを悪性と判定しているが、他社は反応しておらず、これだけで「マルウェアだ」と断定するのは早い。

ただ、次にモニターやマザーボードをレジに持っていくとき、 「これはただの箱ではなく、私のPCに何を入れる権利を持った箱なのか」と1秒だけ考える理由 はできた。

モニターはもう、あなたのPCから絵を映し出すだけの「ただの画面」ではなく、あなたのPCに何かを流し込む「入口」でもあるのかもしれない。

▶ タップで再生(音声OFF)
DO NOT BUY: LG’s Spyware TVs, Monitors, and Wiretapping Concerns

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まとめ

  • Gamers Nexusは約1200ドルのLG UltraGear 34GX900A-Bを32回起動し、31回でMcAfeeの広告が表示されたことを実機で確認している
  • 配信の正体はWindows 8以降の正規機能「デバイスメタデータ」で、Microsoft自身が「通知しないためユーザーは混乱する可能性がある」と公式ドキュメントに事前警告していた
  • 影響は新品だけでなく、2023年購入のLG UltraFine 32UN880-Bなど過去モデルにも遡って発生している
  • LG Monitor App Installerの更新履歴にはMcAfee 30日体験が「Additional App」として明記されており、事故ではなく仕様として設計された振る舞いだ
  • DellはAlienware Command Centerを同じWindows Update経路で自動配信しており、「モニターがアプリ配信の入口になる」構図はLG固有ではない

よくある質問(FAQ)

Q1. LG Monitor App Installerとは何ですか?

LG製モニターを接続するとWindows Update経由で同意なく入るLG公式アプリで、McAfee 30日体験の案内などを表示するものだ。

Q2. なぜLGモニターを繋いだだけでMcAfeeの広告が出るのですか?

Windowsの正規機能デバイスメタデータを使い、LG純正アプリが自動で入り、その中にMcAfee案内が組み込まれているためだ。

Q3. LG Monitor App Installerを削除するにはどうすればいいですか?

設定のアプリからアンインストールし、スタートアップからも項目をオフにする。

TechSpotによれば設定画面からの削除が必要だ。

Q4. 再インストールを防ぐ方法はありますか?

Windows Proでgpedit.mscを開き、デバイスメタデータに関連付けられたアプリの自動ダウンロードを禁止する設定を有効にすればよいとされる。

Q5. 対象になっているLGモニターの機種は?

UltraGear 34GX900A-B、UltraFine 32UN880-B、27GP83B、27GN800などで報告があり、全機種一覧は公表されていない。

Q6. このアプリはスパイウェアなのですか?

VirusTotalではJiangmin 1社のみが悪性判定しており、他社は反応していないため、現時点でマルウェアと断定はできない。

Q7. Dellや他社モニターでも同じことは起きますか?

DellはAlienware Command Centerを同じWindows Update経路で配信しており、モニター経由の自動導入はLGだけではないとされている。

Q8. LGは公式に何か発表していますか?

執筆時点で本件に関するLGの公式声明は出ていないと海外メディアは伝えている。


📚 参考文献

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

reaitimenews.com

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