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全治560日とは?完治ではない理由と急性硬膜下血腫の深刻さを解説

全治560日の意味と急性硬膜下血腫の深刻さを解説するアイキャッチ画像

| 読了時間:約7分

全治560日は約1年半の治療が必要という意味だ。
ただし全治は「完全に治る」ことではない。
被害者には記憶障害が残り、事件から約2年たった今もリハビリが続いている。

 

 

 

全治560日は約1年半――「治る」とは限らない重傷の実態

全治560日は約1年6ヶ月半にあたる。
赤ちゃんが生まれてから歩き始めるまでの期間と同じくらい長い。


2024年3月、東京・中野区の飲食店で事件は起きた。
日テレNEWS NNNの報道によると、二本柳大和容疑者、斉藤こと小高裕樹容疑者、光岡元気容疑者の3人が40代の男性の顔を殴るなどの暴行を加えた。

男性は急性硬膜下血腫きゅうせいこうまくかけっしゅで全治560日と診断された。
記憶障害も併発し、現在もリハビリ中だという。

📝 事件の概要

動機は、光岡容疑者が経営する飲食店に勤務する女性をめぐるトラブルとみられている。3人はいずれも容疑を否認している。(日テレNEWS NNN)

全治と完治はまったくの別物

560日たてば元どおりになる。
そう思った人は多いだろう。

ところが、全治と完治はまったく別の概念だ

旭川あおぞらクリニックの解説によると、全治とは治療を要する期間を指す用語にすぎない。
治療が終わっても痛みや障害が残ることは珍しくない。

  全治 完治
意味 治療に要する期間 元の健康な状態に戻ること
後遺症 残ることがある 残らない
今回のケース 560日間の治療期間 記憶障害が残り達成されていない

被害男性は全治560日だが、事件から約2年が経過した現在もリハビリを続けている。
560日≒約1年半をすでに超えている

つまり治療期間が終わっても、ケガの影響は消えていない。

飲食店での口論やもめごとは、他人事ではないだろう。
だが一歩間違えれば、被害者は一生消えない障害を背負うことになる。

では、急性硬膜下血腫とはどんなケガで、なぜ記憶障害という深刻な後遺症が残るのか。

 

 

 

急性硬膜下血腫の深刻さ――死亡率30~80%、殴るだけで脳が壊れる

殴っただけで命に関わるケガになるのか。
答えはイエスだ。

Medical DOCの医師解説記事によると、急性硬膜下血腫の死亡率は30~80%に達する。
頭のケガの中でも最も重い部類に入る。


そもそも急性硬膜下血腫とは何か

脳は硬膜こうまくという厚い膜に覆われている。
頭部に強い衝撃が加わると、脳の表面の血管が破れることがある。

すると硬膜と脳の間に血液が急速にたまっていく。
この血のかたまりが脳を圧迫し、意識障害や麻痺を引き起こす。

📖 慶應義塾大学病院 脳神経外科の解説

慶應義塾大学病院脳神経外科によると、脳損傷をともなうことが多く、「記憶障害、判断力低下などの高次脳機能障害こうじのうきのうしょうがい、運動麻痺などの後遺症を残すことがあります。特に脳腫脹をともなった場合には死に至る可能性が比較的高い外傷」とされている。

 

 

 

命が助かっても7割以上に後遺症が残る

死亡率の高さだけではない。
命が助かった人でも、完全に回復する人は全体の3割以下にとどまる。

つまり7割以上の人に何らかの後遺症が残る計算だ。

後遺症の内容は損傷した脳の部位によって異なる。
記憶障害、運動麻痺、言語障害、てんかんなどがある。

後遺症の種類 主な症状
記憶障害 数分前の会話を忘れる、新しいことが覚えられない
運動麻痺 片側の手足が動かしにくくなる
高次脳機能障害 集中力・判断力の低下、感情のコントロールが難しくなる
てんかん けいれん発作が繰り返し起きる

被害男性が併発した記憶障害について、Medical DOCは「記憶障害は完全には治りにくい後遺症の一つ」と指摘している。
数分前に聞いた話を忘れてしまい、同じ質問を何度も繰り返すような症状が出ることもある。

事件から約2年たっても回復しきっていない現状は、まさにこの医学的知見と一致する。

これほどの重傷を負わせた加害者には、どのような刑罰が科されるのか。

 

 

 

傷害罪で懲役何年?全員否認の3人に待ち受ける裁判の行方

傷害罪しょうがいざいの法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金だ。

刑事事件弁護士ナビの解説による。
全治560日・記憶障害という結果の重さを考えると、罰金で済む事案ではないだろう。


なぜ殺人未遂ではなく傷害罪なのか

ここまでの重傷なら殺人未遂ではないのか。
そう感じた人も多いのではないか。

上原総合法律事務所の解説によると、傷害罪と殺人未遂を分けるのはケガの重さ殺意があったかどうかだ。

⚖️ 殺意の判断基準

殺意とは「相手を殺そうと思った」か「死んでもかまわないと思った」かどうか。凶器を使わず顔を殴った今回のケースでは、殺意の認定は難しいとみられる。

凶器の使用、攻撃部位、暴行の回数などが総合的に判断される。
素手で顔面を殴った行為から「殺すつもりだった」と立証するのは、検察にとってハードルが高いのではないか。

 

 

 

3人全員否認――裁判はどう進むのか

もう一つの注目点は、3人全員が容疑を否認していることだ。

⚠️ ここからは推測です

以下の内容は報道された事実ではなく、公開情報に基づく推測を含みます。

否認事件では、裁判が長引く傾向がある。
検察は物的証拠や目撃証言、防犯カメラの映像などで犯行を立証する必要があるだろう。

飲食店が現場のため、店内の防犯カメラ映像や他の客の証言が決め手になるのではないか。

加えて、被害者が記憶障害を負っている点も争点になりうる。
被害者本人の証言能力が制限される状況で、検察がどこまで立証できるかが裁判の鍵を握るとみられる。


事件が起きたのは2024年3月で、逮捕は2026年2月。
約2年の時間がかかった背景には、こうした立証の難しさがあったのだろう。

量刑について、傷害罪の相場は懲役6ヶ月~3年に集中するとされる。
ただし全治560日という異例の重傷、後遺症の残存、3人による共犯という悪質さを考えると、相場を大きく上回る実刑になってもおかしくないのではないだろうか。


飲食店で知人と口論になる。
それ自体は珍しいことではない。

だがこの事件では、面識のある者同士のトラブルが全治560日という取り返しのつかない結果を生んだ。
女性をめぐる感情的な対立が暴力に発展し、被害者は記憶障害という一生つきまとう障害を負った。

感情に任せた暴力がどれほどの結果を招くか。
この事件はそれを突きつけている。

 

 

 

まとめ

  • 全治560日は約1年6ヶ月半の治療期間を意味する。ただし「全治」は治療期間であり「完治」とは異なる
  • 急性硬膜下血腫は死亡率30~80%の重傷で、命が助かっても7割以上に後遺症が残る
  • 被害者は記憶障害を併発し、事件から約2年が経過した今もリハビリ中
  • 傷害罪の法定刑は15年以下の懲役。3人全員が否認しており、裁判の行方が注目される
  • 傷害罪か殺人未遂かは「殺意の有無」で決まり、ケガの重さだけでは判断されない

よくある質問(FAQ)

Q1. 全治560日は何年何ヶ月?

約1年6ヶ月半にあたる。ただし全治は治療期間であり、完全に治ることを意味しない。

Q2. 全治と完治の違いは?

全治は治療に要する期間のこと。完治は元の健康な状態に完全に戻ること。意味がまったく異なる。

Q3. 急性硬膜下血腫の死亡率は?

報告により30~80%とされる。命が助かっても完全に回復する人は全体の3割以下にとどまる。

Q4. 急性硬膜下血腫の記憶障害は治る?

完全には治りにくい後遺症の一つ。個人差はあるが長期化・永続化するケースが多いとされる。

Q5. なぜ殺人未遂ではなく傷害罪?

傷害罪と殺人未遂を分けるのは殺意の有無。ケガの重さだけでは殺人未遂と認定されない。

Q6. 傷害罪の刑罰はどのくらい?

法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金。被害の重さや行為の悪質さで量刑が変わる。

Q7. 中野区の暴行事件の動機は?

光岡容疑者が経営する飲食店に勤務する女性をめぐるトラブルとみられている。

Q8. なぜ事件から約2年後に逮捕された?

詳細は公表されていないが、3人全員が否認しており立証に時間を要したとみられる。

Q9. 全治560日の傷害事件で懲役何年になる?

傷害罪の量刑相場は懲役6ヶ月~3年だが、全治560日の重傷・共犯の事案では相場を上回る実刑になりうる。

Q10. 急性硬膜下血腫はどんなケガ?

頭部への衝撃で脳を覆う膜と脳の間に血液がたまる外傷。頭のケガの中で最も重い部類に入る。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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