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18〜29歳の未婚男女のうち62.6%が「子どもが欲しくない」と答えた。
ロート製薬が2026年3月2日に公表した「妊活白書2025」の結果で、初めて6割を超えた。
しかも女性が初めて男性を逆転している。
経済的理由だけでは語れない背景と、それでも残された希望の芽を、調査データから読み解く。
この記事でわかること
5年で44%→62.6%——「子どもが欲しくない」若者の急増ペース
「子どもが欲しくない」若者は、5年前の1.4倍に膨れ上がった。
ロート製薬の公式発表によると、調査対象は18〜29歳の未婚男女400人。
2025年12月にインターネットで実施され、全体サンプルは30,568人にのぼる。
📊 妊活白書2025の核心データ
「将来、子どもが欲しいかどうか」に対して、欲しい37.4%、欲しくない62.6%と回答
——ロート製薬「妊活白書2025」
この設問が始まった2020年から毎年上昇を続けている。
年ごとの推移を並べると、加速ぶりがはっきりする。
| 調査年 | 「欲しくない」割合 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2020年 | 44.0% | ——(初回) |
| 2022年 | 49.4% | +5.4pt(2年間) |
| 2023年 | 55.2% | +5.8pt |
| 2024年 | 56.6% | +1.4pt |
| 2025年 | 62.6% | +6.0pt |
※2020年・2022年のデータは妊活白書2022、2023年はHuffPost報道、2024年は妊活白書2024による
注目すべきは2024年→2025年の変化だ。
前年は1.4ポイントの微増にとどまっていた。
それがたった1年で6.0ポイント跳ね上がった。
過去最大の上昇幅である。
5年前を振り返ると、「欲しくない」は44%。
10人中4人台で、過半数はまだ「欲しい」側にいた。
それが2025年には10人中6人超。
「欲しい」と答える若者のほうが少数派に転落した。
出生数の過去最少と同じ週に発表された意味
この調査発表の4日前、厚生労働省が2025年の出生数速報値を公表している。
70万5,809人。10年連続で過去最少を更新した。
意識の数字
62.6%が「欲しくない」
現実の数字
出生数70万5,809人
意識と現実が、同じ週に「過去最悪」を同時に更新した。
偶然のタイミングだろう。
だが若者の意識と社会の現実が同じ方向に加速している構図を、この同時発表は象徴的に映し出している。
急上昇の背景には何があるのか。
今回の調査で初めて浮かび上がったのは、経済的負担とは異なるもうひとつの壁だった。
「キャリアか、子どもか」——女性が男性を初めて上回った構造
「子どもが欲しくない」と答えた女性の割合が、初めて男性を上回った。
女性64.7%、男性60.7%。
調査開始の2018年以来、この数字は常に男性のほうが高かった。
8年目にして初めて逆転した事実は、単なる数値の上下では片づけられない。
📋 ロート製薬の分析
男性よりも女性が、子どもを産み・育てることによる「経済的な負担」と「仕事のキャリアへの支障」をより不安視しています。その差は、女性がおよそ10ポイント高い結果に。
——ロート製薬「妊活白書2025」
経済的理由だけでは説明がつかない
「子どもが欲しくない」と聞くと、「お金の問題」を真っ先に思い浮かべる人が多い。
たしかに経済的負担は男女共通の不安材料で、従来の調査でも常に上位だった。
ところが今回浮かび上がったのは、経済的理由がすべて → 女性が男性より約10ポイントも高く抱える「仕事のキャリアへの支障」という壁だ。
お金の問題とは質が違う。収入が上がっても解決しない構造的な不安である。
既婚男女への調査でも傾向は同じだった。
女性の64.1%が「子どもを持つとキャリアに支障が出る」と感じている。
さらに66.8%が「出産・育児のために転職や異動を視野に入れている」と答えた。
第一子希望年齢の後ろ倒し——女性は半減
2018年の調査では、20代のうちに第一子を望む女性は約2人に1人、51.8%いた。
2025年にはそれが24.3%へ半減した。
男女合わせた第一子希望年齢の平均は31.3歳。
大学卒業から約9年後にあたる。キャリアを積む時期と出産の適齢期が重なる。
⚠ 職場での相談率
職場で妊活を相談できている人は約4%。男性3.8%、女性4.2%にすぎない。
4割以上が誰にも相談していない。
キャリアへの影響を最も心配しているのに、職場には打ち明けられない。
この矛盾が、「産む前から諦める」意識を強めているのではないか。
個人の価値観の変化だけでなく、職場の構造そのものが影を落としている——そう見るのが自然だろう。
では、「子どもが欲しくない」という回答は、本当に一生変わらない結論なのだろうか。
「欲しくない」は最終結論ではない——意識変化と知識不足の落とし穴
「欲しくない」は、必ずしも永遠の答えではない。
妊活白書2024が興味深いデータを残している。
妊活を経て子どもを授かった人のうち、かつて消極的だった人の約50%が意識を変えていた。
「以前は欲しいかどうかわからなかった」「以前は欲しくなかった」と振り返る人が合わせて約半数にのぼる。
💡「欲しくない」の裏側にある声
・約4人に1人が「授かれる体の状態は維持したい」
・妊活経験者の約50%が、かつては消極的だった
さらに「欲しくない」と答えた若者のうち約4人に1人は「将来考えが変わったとき、授かれる可能性は残しておきたい」と答えている。
完全な拒否ではなく、未来に余地を残す「妊活備え派」が一定数いる。
知識不足が「手遅れ」を生んでいる
問題は、意識が変わったときに間に合うかどうかだ。
妊活経験者の女性のうち約3人に1人(34.0%)が、「希望より妊活開始が遅れた」と答えている。
30代女性に限ると4割以上だ。
遅れた理由の1位は「情報不足や不安」で37.9%。
2位は「仕事やキャリアアップの優先」で24.1%。
妊活白書2023のHuffPost記事によると、妊活を始めてから子どもを授かるまでの平均期間は13.6ヶ月。
年齢が上がるほど長くなる。
| 出産時年齢 | 妊活から授かるまで |
|---|---|
| 18〜24歳 | 6.7ヶ月 |
| 25〜29歳 | 10.3ヶ月 |
| 30〜34歳 | 14.6ヶ月 |
| 35〜39歳 | 16.4ヶ月 |
| 40〜44歳 | 19.5ヶ月 |
※妊活白書2023のデータ
「いつか欲しくなるかも」と思ったときには、体の条件が変わっている。
知識がないまま先送りにした結果、選択肢が狭まるリスクがある。
プレコンセプションケアという具体策
ここで注目したいのがプレコンセプションケアという取り組みだ。
こども家庭庁はこれを「性別を問わず、適切な時期に性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザインを考えて健康管理を行うこと」と定めている。
子どもを望む人だけでなく、望まない人にも関係する考え方だ。
🏢 ロート製薬の具体的アクション
ロート製薬は調査結果を受け、2026年4月から新入社員向けにプレコンセプションケア研修を開始する。
妊活白書のデータをもとにした課題共有と、保健師によるライフプラン・キャリア設計の基礎知識がプログラムの柱になる。
制度をつくるだけでは足りない。
「キャリアか子どもか」の二者択一を迫られる構造そのものを変えなければ、数字は動かないだろう。
ただ、「知識を持つこと」は個人にできる最初の一歩になる。
「欲しくない」と感じている今の自分と、5年後・10年後の自分が同じ答えを出すとは限らない。
そのとき選択肢が残っているかどうかは、いま何を知っているかにかかっている。
まとめ
- 「子どもが欲しくない」18〜29歳の未婚男女は62.6%。5年前の44%から18.6ポイント上昇し、初めて6割を超えた
- 女性(64.7%)が初めて男性(60.7%)を上回った。背景には「キャリアへの支障」という経済的理由とは異なる不安がある
- 職場で妊活を相談できる人はわずか4%。構造的な孤立が「産む前から諦める」意識を強めている
- ただし「欲しくない」は最終結論とは限らない。過去の調査では、かつて消極的だった人の約半数が後に考えを変えている
- 意識が変わったときに間に合うよう、早い段階で体やライフプランの知識を持っておくことが、将来の選択肢を守る
よくある質問(FAQ)
Q1. 妊活白書2025で「子どもが欲しくない」割合は何%?
18〜29歳の未婚男女400人のうち62.6%が「欲しくない」と回答し、調査開始以来初めて6割を超えた。
Q2. なぜ女性の「子どもが欲しくない」割合が男性を上回ったのか?
女性は「経済的負担」に加え「仕事のキャリアへの支障」を男性より約10ポイント高く不安視しているため。
Q3. 「子どもが欲しくない」割合の年次推移は?
2020年44.0%→2022年49.4%→2023年55.2%→2024年56.6%→2025年62.6%と5年で18.6pt上昇した。
Q4. 2025年の日本の出生数は?
厚生労働省の速報値で70万5,809人。前年比2.1%減で10年連続の過去最少更新となった。
Q5. プレコンセプションケアとは何か?
性別を問わず妊娠・出産を含むライフデザインを考え健康管理を行う取り組み。こども家庭庁が推進している。
Q6. 「子どもが欲しくない」と答えた人は一生変わらないのか?
妊活白書2024では、かつて消極的だった妊活経験者の約50%が後に考えを変えていたと報告されている。
Q7. 妊活を始めてから子どもを授かるまでの平均期間は?
全体平均13.6ヶ月。25〜29歳で10.3ヶ月、35〜39歳で16.4ヶ月と年齢が上がるほど長くなる。
Q8. 職場で妊活を相談できている人の割合は?
男性3.8%、女性4.2%とごくわずか。4割以上が誰にも相談していない。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- ロート製薬「妊活白書2025 公式プレスリリース」(2026年3月2日)【一次情報源】
- ロート製薬「妊活白書2024 公式プレスリリース」(2025年3月4日)【権威】
- ロート製薬「妊活白書2022 公式プレスリリース」(2023年3月29日)【権威】
- ロート製薬「妊活白書2024 詳細ページ」【権威】
- HuffPost「18歳から29歳の未婚男女『将来、子どもを欲しくない』が半数」(2024年3月2日)【専門】
- こども家庭庁「はじめよう プレコンセプションケア」【権威】