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2月28日夜、高市首相は金沢から急きょ帰京した。
NSC=国家安全保障会議の四大臣会合を開くためだ。
米国とイスラエルがイランへの大規模な軍事攻撃を始め、イランは周辺国に報復ミサイルを撃ち返している。
首相は会議に先立ち、邦人の安全確保や経済的影響の洗い出しなど5つの指示を関係省庁に出した。
NSCで何が話し合われたのか。
そしてこの攻撃は、私たちのガソリン代や航空便にどう響くのか。
この記事でわかること
高市首相が出した5つの指示——NSC四大臣会合の全容
高市首相は2月28日夜、NSC四大臣会合で今後の対応を協議した。
ただ、首相の動きは会議より前に始まっている。
ロイターによると、首相は午後10時15分ごろに官邸で記者団に応じ、すでに以下の5項目を指示済みだと明かした。
| 指示内容 | 対象 |
|---|---|
| 情報収集の徹底 | 関係省庁 |
| 現地に残る邦人の安全確保 | 関係省庁 |
| 周辺国の邦人安否把握 | 関係省庁 |
| 海路・空路の状況把握 | 関係省庁・事業者 |
| 経済的影響の洗い出し | 政府内 |
現時点で邦人の被害は報告されていない。
金沢で第一報——「飛行機に乗るか迷った」
FNNプライムオンラインが伝えた時系列は、緊迫していた。
① 午後:金沢出張に出発する直前、「イスラエルがイランを攻撃した」との第一報
② 直後:「どうも米軍も参戦したらしい」との続報。「飛行機に乗るかどうかだいぶ迷った」
③ 午後4時:官邸に「イラン情勢に関する情報連絡室」を設置
④ 金沢講演中:移動中も逐次報告を受け、追加の指示を出す
⑤ 夜:帰京し、首相官邸でNSC四大臣会合を開催
TBSの高市総理コメント全文でも「道中でも逐次報告を受け、追加的に必要な指示を出しておりました」と語っている。
NSC開催前にすでに対応は動いていた。
会議は、一連の対応の出発点ではなく「まとめ」の場だった。
NSC四大臣会合とは何か
日テレNEWSによると、今回の出席者は茂木敏充外相と小泉進次郎防衛相ら。
自民党の公式解説では、NSCは「総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣が定期的に集まり、外交・安全保障政策の基本方針などを決める」中核会議と位置づけられている。
NSC四大臣会合の構成
首相・官房長官・外相・防衛相の4人で外交・安保の方針を決める最重要会議。
今回は高市首相、木原稔官房長官、茂木外相、小泉防衛相が出席した。
なお、NSC会合で協議された具体的な決定事項の詳細は、本稿執筆時点では未確認だ。
では、首相がここまで急いで動いた背景には何があるのか。
米国とイスラエルによるイラン攻撃の規模は、想像以上に大きい。
「大規模な戦闘作戦」——米イスラエルのイラン攻撃で何が起きているか
攻撃はイランの国内だけでは収まらなかった。
BBC日本語版によると、UAE国防省は自国が「イランの弾道ミサイルによるあからさまな攻撃」を受けたと発表した。
アブダビの住宅地に破片が落下し、民間人1人が亡くなっている。
バーレーンやカタールの米軍基地にもイランからの報復攻撃があった。
戦場はイランだけではない
「ドバイは安全」「戦争はイランの中だけの話」 → UAE自体が弾道ミサイルで撃たれ、民間人が亡くなった
トランプ大統領が呼びかけた「体制転覆」
トランプ大統領は自らのSNSに8分間の動画を投稿し、「大規模な戦闘作戦」が進んでいると表明した。
BBCによれば、トランプ大統領はイラン国民に向けて「私たちがやり終えたとき、あなた方は自分たちの政府を奪い取りなさい」と語った。
軍事攻撃と同時に、現政権の転覆まで呼びかけるのは異例だ。
イスラエルのネタニヤフ首相も「存亡の危機を排除する作戦に着手した」と声明を出した。
カッツ国防相は「先制攻撃を実施した」と発表し、イスラエル全土に非常事態を宣言している。
2025年6月の「12日間戦争」とは何が違うのか
前回との比較で、今回の深刻さが浮き彫りになる。
| 比較項目 | 2025年6月 | 2026年2月 |
|---|---|---|
| 攻撃の主体 | イスラエル単独 | 米国+イスラエル共同 |
| UAEへの攻撃 | なし | 弾道ミサイル被弾 |
| 民間人被害 | なし | 1人死亡 |
| トランプ大統領 | 停戦仲介 | 攻撃の当事者 |
2025年6月は、イスラエルが核関連施設を単独で攻撃した。
UAEは被弾せず、空域閉鎖も数時間で解除された。
今回は米国とイスラエルが共同で攻撃し、イランの報復は周辺国にまで広がっている。
トランプ大統領は仲介者ではなく、当事者だ。
国際法上の疑問——「先制」は成り立つのか
ロイターが伝えた国際社会の反応の中で、ノルウェーのアイデ外相はこう指摘した。
「予防的攻撃には差し迫った脅威が存在する状況が求められる」——ノルウェー・アイデ外相
イスラエルは今回の攻撃を「先制」と呼んでいる。
だが先制攻撃が国際法上正当化されるには、差し迫った脅威の存在が前提になる。
BBCの国際編集長は「差し迫った脅威に対する反応ではない。これはあえて選んだ戦争だ」と分析している。
法的評価は今後の国際社会の議論を待つ必要があるが、「正当防衛」と呼べるかどうかには疑問符がつくだろう。
この攻撃が日本の暮らしに及ぼす影響は、思った以上に直接的だ。
焦点は、イランの目の前にあるホルムズ海峡の行方にある。
ガソリン代・航空便・株価——日本の暮らしに迫る3つの影響
日本は2019年以降、イラン産原油をほぼ買っていない。それなのに、影響は甚大だ。
これだけ聞くと、影響は小さく見える。
ところが、日本が輸入する原油タンカーの8割はホルムズ海峡を通っている。
サウジアラビアやUAEから買っている原油も、この幅34km——東京から横浜ほどの距離——の海峡を経由する。
あなたが先週ガソリンスタンドで入れた燃料も、その大半はこの海峡を通って届いたものだ。
原油価格はどこまで上がるのか
ロイターの情報BOXによると、イランはOPEC第3位の産油国で、世界の石油供給の約4.5%を占める。
原油生産量は日量約330万バレルにのぼる。
中東原油依存度
約94%
ホルムズ海峡経由
約8割
10本のタンカーのうち9本以上が中東から来ている計算になる。
⚠️ ここからは推測です
日経新聞はホルムズ海峡が封鎖された場合、原油が1バレル90ドルを超える展開もあり得ると報じている。
産経新聞の報道では、封鎖が現実になれば日本のGDP3%押し下げ——約16兆円の経済損失——になるとの試算もある。
ガソリン代、電気代、ガス代、そして食品の輸送コストまで連鎖的に上がるだろう。
ただし、OPECプラスが増産の拡大を検討しているとロイターは報じている。
短期間で停戦が成立すれば、原油価格が急落する展開も十分にあり得る。
JALドーハ便は欠航——ドバイ空港は全便停止
原油だけではない。空の便にも影響が出ている。
TRAICYによると、ドバイ国際空港とアル・マクトゥーム国際空港が全便の発着を当面停止した。
エミレーツ航空もカタール航空も運航を止めている。
日本の航空便への影響
JALの羽田〜ドーハ便は2月28日〜3月3日まで欠航が決まった。
ドバイ経由で欧州やアフリカに向かう便も影響を受けている。
外務省はUAE全土の危険レベルを「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」に引き上げた。
わずか6週間前にレベル1が出たばかりだった。
もう一つの数字——イランの「海上備蓄2億バレル」
ロイターによると、イランは米国の攻撃を見越して石油を海上に退避させていた。
その量は過去最高の約2億バレル。世界が約2日で消費する量に相当する。
イランはこの日のために備えていた。
そして日本は、原油の94%を中東に頼るという構造を変えられないまま、この日を迎えた。
まとめ
- 高市首相はNSC四大臣会合に先立ち、情報収集・邦人安全確保・経済的影響の洗い出しなど5項目を指示。金沢出張中も移動しながら逐次対応した
- 米国とイスラエルがイランを共同で攻撃。イランの報復でUAEも弾道ミサイルで被弾し、民間人1人が死亡した。2025年6月とは質的に異なる段階に入っている
- 日本はイラン産原油をほぼ買っていないが、原油タンカーの8割がホルムズ海峡を経由。JALのドーハ便は欠航し、ドバイ空港は全便停止中
- 週明けの原油価格と株式市場の動向に注目が集まる。OPECプラスは3月1日に会合を予定している
中東への渡航を予定している人は、外務省海外安全ホームページで最新の危険情報を確認してほしい。
在外邦人は在外公館への連絡と「たびレジ」への登録を。
よくある質問(FAQ)
Q1. NSC四大臣会合とは何ですか?
首相・官房長官・外相・防衛相の4人で外交・安全保障の基本方針を決める日本の最重要会議です。
Q2. ホルムズ海峡が封鎖されたら日本はどうなる?
日本の原油タンカーの8割が通る海峡で、封鎖されればGDP3%押し下げとの試算もあります。
Q3. 日本はイランから原油を輸入していますか?
2019年以降ほぼ輸入を停止していますが、中東全体への依存度は約94%と極めて高い状態です。
Q4. NSC四大臣会合の出席者は誰ですか?
高市早苗首相、木原稔官房長官、茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相の4人です。
Q5. 高市首相はイラン攻撃にどう対応しましたか?
情報収集の徹底・邦人安全確保・経済的影響の洗い出しなど5項目を関係省庁に指示しました。
Q6. JALの中東便は欠航していますか?
羽田〜ドーハ便が2月28日〜3月3日まで欠航。ドバイ空港も全便発着を当面停止しています。
Q7. 原油価格はどこまで上がりますか?
ホルムズ海峡封鎖なら1バレル90ドル超の見通し。OPECプラスの増産判断が焦点です。
Q8. 2025年6月のイラン攻撃と何が違うのですか?
前回はイスラエル単独でUAE被弾なし。今回は米国との共同作戦でUAEにも弾道ミサイルが被弾しました。
Q9. 外務省のUAEへの危険レベルは?
2月28日にレベル2「不要不急の渡航は止めてください」に引き上げられました。
Q10. イラン攻撃で日本のガソリン代は上がりますか?
ホルムズ海峡が封鎖されればガソリン・電気・ガス代が連鎖的に上がるとの見方があります。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- ロイター「高市首相、経済的な影響の洗い出し指示 イラン情勢で」(2026年2月28日)
- TBS NEWS DIG「イラン攻撃に高市早苗総理コメント全文」(2026年2月28日)
- FNNプライムオンライン「アメリカのイラン空爆うけ高市首相『飛行機に乗るかどうかだいぶ迷った』」(2026年2月28日)
- BBC日本語版「アメリカとイスラエル、イランを攻撃と発表」(2026年2月28日)
- ロイター「情報BOX:米・イスラエルがイラン攻撃、国際社会の反応」(2026年2月28日)
- ロイター「情報BOX:イラン攻撃の影響は、世界石油供給の約4.5%」(2026年2月28日)
- 日テレNEWS「高市首相『現地の邦人安全確保に万全の措置を講じるよう指示』」(2026年2月28日)
- 自由民主党「日本版NSC法成立『4大臣会合』を中核に」(2013年12月4日)
- TRAICY「ドバイの2空港、全便の発着を当面停止」(2026年2月28日)
- リアルタイムニュースNAVI「ドバイ空港が全便停止」(2026年2月28日)