リアルタイムニュースNAVI

話題の出来事をリアルタイムで深掘り

詐欺犯が「警察署に行け」と指示したなぜ?大分250万円詐取事件の異様

| 読了時間:約4分

「それなら最寄りの警察署に行け」──詐欺犯が被害者に放った、常識を覆す一言が波紋を呼んでいる。

2026年4月9日、大分県警別府署は別府市に住む20代の男性が警察官を装った詐欺グループに現金250万円を騙し取られたと発表した。
犯人は被害者に対し、自ら「本物の警察署に行け」と指示したのだ。

なぜ詐欺犯は、通常であれば最も避けるはずの「警察署への訪問」を被害者に命じたのか。
そこには現代の特殊詐欺が辿り着いた冷酷な実態が隠されている。

- PR -  

「所持金がない」と訴えたら「なら警察署に行け」──犯人が自ら本物の警察行きを指示した異様な結末

詐欺犯は通常、被害者が警察に相談することを徹底的に妨害する。
しかし今回、犯人は自ら「それなら最寄りの警察署に行け」と被害者に指示した。

事件は2026年3月21日に始まった。
被害者の携帯電話に国際電話がかかった。携帯電話会社を名乗る男から「あなたの電話番号が犯罪に使われている」と告げられた。
その後「♯11を押せ」と指示された。警視庁けいしちょう捜査二課そうさにかの警察官を名乗る男に電話がつながった。

男はビデオ通話機能があるアプリで警察手帳のようなものを見せた。「あなたの口座が詐欺事件の共犯者として。名前があがっている」「優先的に捜査してもらいたければお金を払え」と要求。
被害者は恐怖から3月26日にかけて指定された口座に計250万円を振り込んだ。

OBS大分放送の報道(2026年4月9日)

3月26日にかけて、指定された口座に計250万円を振り込んだ。
OBS大分放送

だが犯人の要求は止まらない。
所持金が尽きた被害者が「お金を支払うことができない」と訴えると、犯人はこう言い放った。
「それなら最寄りの警察署に行け」。

多くの人は「犯人は信頼を得るためにあえて警察署に行かせたのではないか」と考えるだろう。
警察を装う犯人が本物の警察に行けと言うのは矛盾しているように見えるからだ。

犯人の発言は「切り捨て」だった──所持金尽きた直後の一言

しかし犯人の発言は、被害者が「もうお金がない」と訴えた直後のものだった。

ここから読み取れるのは。犯人が被害者を「これ以上金を引き出せない客」と見切った。文字通り「切り捨てた」可能性だ。

つまり犯人は被害者の経済的限界を冷静に見極めた。金銭的価値がなくなれば関係を断つという判断を下したのではないか。

この手口は従来の「警察を避けさせる」詐欺とは一線を画す。
被害者の支払い能力をリアルタイムで評価し、限界に達すれば即座に見限る。
その冷酷さが現代の特殊詐欺の実態を浮き彫りにしている。


しかしなぜこの事件の被害者は20代だったのか。
実は別府市では、同じような若者を狙った詐欺が相次いでいる。

被害者はなぜ20代?別府市で1週間以内に2件発生、若者を狙う新たな詐欺の実態

「詐欺被害=高齢者」という常識はもはや通用しない。
今回の事件では20代の若者が標的になった。

実は別府市では、今回の250万円事件のわずか1週間前にも同様の被害が発生していた。

2026年4月3日、別府署は別の20代男性が警視庁八王子署の警察官を名乗る偽電話詐欺に遭い。199万円を騙し取られたと発表した。
2件の被害額は合計449万円に達する。
いずれも「警視庁」を名乗る手口だった。

西日本新聞の報道(2026年4月3日発表)

別府市の20代男性が警視庁八王子署の警察官を名乗る偽電話詐欺に遭い、199万円をだまし取られた。
西日本新聞

この短期間での連続発生は偶然ではないだろう。
犯行グループが意図的に若年層をターゲットにしている可能性が高い

大分県警の統計によれば、2025年の特殊詐欺被害は400件。被害額は約8億2500万円と過去最悪を記録した。
このうち警察官騙りのオレオレ詐欺が全体の約8割を占めている。

- PR -  

全国的に見てもSNS型投資詐欺の被害は40代から60代が中心だが。電話を使った警察官騙り詐欺は20代にも及んでいる。
若者は「自分は騙されない」という油断があり、それが犯人の思うツボになっているのかもしれない。

年齢・職業問わず誰もが標的になる現実

別府市で起きた2件の事件は、もはや年齢や職業に関係なく誰もが標的になり得るという厳しい現実を示している。

ではこの巧妙化する手口から身を守るにはどうすればいいのか。
警察が警告する「絶対に見破るべきポイント」を次にまとめた。

「警察官がアプリで手帳提示することは絶対にない」──騙されないための3つの鉄則

警察は「警察官がアプリで警察手帳を示したった。金銭の支払いを要求したりすることは絶対にありませんと強く警告している。

この一言を知っているだけで被害を防げる可能性は大きく高まる。
具体的な防衛策を3つに整理した。

  1. 【鉄則1】警察官がアプリで警察手帳や逮捕状を見せることは絶対にない

    警視庁の公式サイトには「警察官がトークアプリで警察手帳や逮捕状を示すことはありません」と明記されている。
    もしビデオ通話で手帳を見せられたら、それは100%詐欺だ。

    警視庁公式サイト「特殊詐欺対策」より

    警察官がトークアプリで警察手帳や逮捕状を示すことはありません。
    警視庁公式サイト

  2. 【鉄則2】警察官が「捜査のためにお金を払え」と言うことは絶対にない

    今回の事件でも「優先的に捜査してもらいたければお金を払え」という要求があった。
    しかし捜査費用を個人に請求する仕組みは存在しない。
    金銭を要求する警察官は全て偽物だ。

  3. 【鉄則3】「+1」から始まる国際電話からの着信には要注意

    警視庁は海外からの電話に心当たりがない場合、出ない・かけ直さないよう注意を促している。
    また不安を感じたら警察相談専用電話「#9110」に連絡すること。

2025年大分県の特殊詐欺被害──過去最悪を更新

2025年の大分県の特殊詐欺被害は400件・約8億2500万円
前年を大きく上回り過去最悪を記録した。

この「3つの鉄則」を知っていれば被害に遭うリスクは格段に下がる。
しかし知識だけでは不十分だ。


詐欺犯はなぜ「切り捨て」を選んだのか──「ビジネス」と化した特殊詐欺の冷酷な進化

ここで視点を変えて考えてみたい。
なぜ犯人は「最寄りの警察署に行け」という選択をしたのか。

従来の詐欺の特徴 今回の手口の特徴
警察への接触を徹底的に避ける 自ら警察署に行くよう指示する
被害者を最後まで騙し続けようとする 金銭的価値が尽きれば即座に見限る
感情的に被害者を支配しようとする 冷徹なコスト意識で行動を決める

この比較から浮かび上がるのは、特殊詐欺が「感情的な犯罪」から「合理的なビジネスモデル」へと進化している姿だ。

犯人は被害者の支払い能力を常に評価している。
そして「この被害者からこれ以上金を引き出せない」と判断した瞬間、関係を断つ。
その「切り捨て」の手段として「警察署に行け」という言葉を選んだのではないか。

詐欺は「感情犯罪」から「ビジネスモデル」へ進化した

つまり今回の事件は、詐欺が個人の心理的弱みにつけ込む犯罪から。効率性と収益性を追求する「ビジネス」へと変貌を遂げた象徴的な事例と言えるだろう。

犯人は被害者を「人」としてではなく、収益を生み出す「顧客」として見ている。
その顧客価値がゼロになれば、顧客対応を打ち切る。
その冷酷な判断が「最寄りの警察署に行け」という言葉に表れているのだ。

だとすれば我々に必要なのは「自分は騙されない」という根拠のない自信ではない。
誰もが「顧客」として狙われるかもしれないという現実認識と、具体的な防衛知識なのだ。

- PR -  

今回の事件が教えてくれる3つのこと

  • 犯人は被害者の支払い能力を冷静に見極めている:金銭的価値が尽きれば即座に「切り捨てる」。もはや感情的な犯罪ではない。
  • 若者も例外なく標的になっている:別府市では1週間以内に20代男性2人が被害に遭った。年齢に関係なく誰もが狙われる。
  • 「警察官がアプリで手帳提示・金銭要求は絶対にない」という知識が最大の防御策:この一言を知っているだけで被害を防げる可能性は格段に高まる。

不審な電話は一人で判断せず #9110 へ

不審な電話を受けたら、一人で判断せず必ず家族や警察(#9110)に相談すること。
あなたの冷静な行動が被害を防ぐ最大の武器になる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 詐欺犯が「警察署に行け」と言うのはなぜですか?

所持金が尽きた被害者を「これ以上金を引き出せない」と見切り、切り捨てた可能性が高い。

Q2. 警察官がビデオ通話で警察手帳を見せることはありますか?

絶対にない。
警視庁は「警察官がアプリで手帳を示すことはない」と明言している。

Q3. 警視庁捜査二課を名乗る詐欺電話の手口は?

国際電話で「犯罪に使われている」と不安を煽り、ビデオ通話で偽手帳を見せ金銭を要求する。

Q4. なぜ20代の若者が詐欺被害に遭ったのか?

別府市では1週間以内に20代男性2人が被害に遭っており、若者も標的になっている。

Q5. 詐欺被害に遭わないための対策は?

アプリで手帳提示・金銭要求する警察官は偽物。
不審な電話はすぐに切り#9110へ相談を。

Q6. 特殊詐欺の被害額はどのくらいですか?

2025年の大分県の特殊詐欺被害は400件・約8億2500万円で過去最悪を記録した。

Q7. 警察官を名乗る詐欺電話がかかってきたらどうすればいい?

一度電話を切り、正しい警察署の番号にかけ直して確認する。
一人で判断しない。

Q8. 国際電話からの詐欺はなぜ増えているのか?

海外から発信すれば日本の警察の捜査が及びにくく、犯人の特定が困難なため。

Q9. 別府市で発生した詐欺事件の被害総額は?

今回の250万円と4月3日発表の199万円を合わせ、約1週間で計449万円に達する。

Q10. 詐欺の被害に遭ったらどこに相談すればいい?

最寄りの警察署または警察相談専用電話「#9110」にすぐ連絡すること。

N

リアルタイムニュースNAVI 編集部

reaitimenews.com

話題のニュースを「なぜ?」の視点で深掘りするニュースメディアです。
法律・心理学・経済など専門分野の知識をもとんだ。報道だけではわからない背景や理由をわかりやすく解説しています。