リアルタイムニュースNAVI

話題の出来事をリアルタイムで深掘り

読了 0%
𝕏 新着ニュースを受け取る×

SNSの賭博スパムが消えない理由——禁止法なのに罰則がない構造の正体

| 読了時間:約5分

法律で禁止されたのに、今日も流れてくる。

2025年9月 、SNSでオンラインカジノに誘う投稿を禁じる法律が施行された。

ところが、その法律を読むと奇妙なことに気づく。

禁止行為を明記しながら、違反した人を直接罰する条文がないのだ。

禁止≠罰則 」という日本の立法の構造が、この問題の核心にある。

違法と知らずにやってしまう人が4割いる

4割 が違法と知らない。

しかし知らなかったでは済まないのが日本の賭博法だ。

「海外のサーバーにあるサイトだから、日本の法律は関係ない」——そう思っている人は少なくない。

だがこれは、 よくある誤解 だ。

⚠️ 「海外サイトだから合法」は通用しない

警察庁 が明示しているとおり、海外で合法的に運営されているサイトであっても、 日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪 にあたる。

日本の刑法は「どこのサーバーか」ではなく、「日本から接続したかどうか」を基準にするからだ。

では、具体的にどんな罰則があるのか。

50万円
以下
単純賭博
刑法185条
3年
以下
常習賭博
拘禁刑・刑法186条
107人
 
2023年検挙数
利用・広告・決済含む

政府広報オンライン によると、 2023年 だけで利用者・決済関与者・広告した者など 107人 が検挙されている。

「無料ボーナスから始めたら本物の賭博扱いになってしまうのではないか」と弁護士会の相談窓口では懸念が寄せられているとされる。

「無料だから大丈夫」という感覚が、最初の入口になりやすい。

広告

 

これだけの人が検挙されているなら、実際の被害の規模はどのくらいなのか。

警察庁がはじき出した数字は、想像を超えていた。

XのSNS投稿で賭博に誘われる人の規模感

1日あたり約34億円 ——これが日本の違法賭博に流れている金額の概算だ。

警察庁 の調べでは、国内の利用者は 337万人 、年間の賭け金は 1兆2400億円 に上るという。

単純計算すると1日あたり約34億円が違法賭博に流れていることになるだろう。

ℹ️ 337万人という数字の実感

337万人 を成人人口に当てはめると、 約32人に1人 の割合だ。

職場や学校のクラス、あるいは身近なコミュニティに少なくとも1人は該当する計算になる。

「他人事」という感覚がいかに危ういかが分かる。

さらに問題なのは、利用者の意識だ。
日本経済新聞 の報道によれば、 違法性の認識がない人が4割を占めている という。

規模がこれほど大きくなっても、知らずに関わっている人が多いままなのだ。

広告

 

これだけの規模になって、2025年ようやく法律が動いた。

ところが、その法律には不思議な空白がある。

「禁止」したのに罰則がない法律の正体

禁止された。

でも罰則はない。

これが 2025年9月施行の新法の実態 だ。

2025年6月 改正ギャンブル等依存症対策基本法 (令和7年法律第76号)が成立し、同年 9月25日 に施行された。

この法律は、SNS上でオンラインカジノのリンクを投稿したり宣伝したりする行為を、禁止行為として明示している。

警察庁 が掲載する禁止行為の一覧には、「○○カジノ 登録はこちら」のような誘導文言を含む投稿も対象になると書かれている。

では、違反したら直接この法律で罰せられるのか。

そうではない。

一般の誤解
禁止 → 即逮捕・罰金
実際の仕組み
既存刑法を使いやすくする設計

改正法には独自の罰則規定がなく、既存の刑法(賭博の手助けをした罪= 賭博ほう助 など)が適用される仕組みになっているのではないかと法律の専門家は指摘する。

💡 「法律で禁止」と「罰則がある」は別のことだった

日本の立法では、「 理念法(基本法) 」という形式で禁止行為を明示し、罰則は既存の刑法を援用するパターンがある。

新法は「罰則を新しく作った」のではなく、「 禁止行為を明示することで既存の刑法を使いやすくした 」と考えるのが実態に近いだろう。

犯罪を思いとどまらせるためには、罰則の「存在」だけでなく、「確実に捕まるかどうか」が重要だと犯罪学では一般に知られている。

罰則の確実性が曖昧なままでは、投稿者の行動を変えるには不十分と考えられ、 スパムが法施行後も減らない理由の一端はここにある だろう。

平たく言えば——「法律で『やめろ』とは書いたけど、『捕まえる仕組み』は別にあって、そこが弱いからスパムは止まらない」ということだ。


広告

 

法律が間接的にしか機能しないなら、スパム投稿が消えないのも当然かもしれない。

ただ、そこにはもう一つ、法律とは別の巧妙な仕掛けがある。

スパム投稿が消えない本当の理由

𝗧𝗚 𝒐𝒖𝒙𝒊𝟖𝟖 ——この奇妙な文字の正体は、 フィルタ回避のための偽装 だ。

X(旧Twitter)などのSNSでは、スパム投稿を自動的に検出・削除するフィルタが動いている。

ところが違法賭博の誘導投稿には、数学記号や装飾書体の文字(見た目は普通のアルファベットだが、コンピュータ上では別の文字コードとして扱われる)が混ぜ込まれていることが多い。

装飾文字フィルタ回避とは

「𝗧𝗚」は太字風の装飾フォントで表示されるが、コンピュータの内部では「TG」とは 別の文字コード として扱われる。

スパムフィルタが「TG」という文字列を検出するように学習しても、文字の「中身」が違えば 同じ単語と認識されない

これが、違法賭博の誘導投稿が「文字を変えるだけ」でフィルタをすり抜け続けられる理由だ。

法律が取り締まり対象を定義する速さより、 投稿者が文字デザインを変える速さのほうが速い
政府広報オンライン でも、スマホに流れてくる広告で誘導され、違法とも気づかずに手を出してしまうケースが増えていると指摘されている。

プラットフォームが対応するより、投稿側が手口を変えるほうが速い構造がある限り、法律だけでは止まりにくいのかもしれない。

広告

 

では、この状況で自分が取れる行動はあるのか。

実は警察庁が用意している窓口を、ほとんどの人が知らない。

「違法サイトに誘われた」と思ったらすること

違法な誘導投稿を見かけたとき、 スルーだけが選択肢ではない

警察庁 は「 匿名通報ダイヤル 」というサービスを設けており、オンラインカジノに関する情報を受け付けている。
警察庁のページ でもこの窓口への通報が呼びかけられている。

匿名で情報を提供できるため、「自分が巻き込まれていないか不安だが、どこに相談すべきか分からない」というときの入口として使える。

💡 今すぐできる3つの行動

  • リンクは踏まない ——アクセスした時点で「利用した」と判断される余地がある
  • 匿名通報ダイヤルに情報提供する ——改正法で誘導投稿は禁止行為として明示された
  • 周囲に伝える ——違法性の認識がない人が 4割 いる。
    身近な人への情報共有が被害を防ぐ

改正法により「誘導投稿は禁止行為」と法律上で明示されたことで、通報の根拠がより明確になった。

広告

 

「禁止した」と「止まった」のあいだには、まだ埋まりきっていない距離がある。

それでも、法律の整備と個人の通報という二つの動きが重なったとき、スパムの海に少しずつ変化が生まれるのかもしれない。

まとめ

  • 海外のオンラインカジノサイトであっても、日本から接続して賭博をすれば日本の刑法が適用される。「海外だから合法」は誤解だ
  • 警察庁の推計では国内利用者は337万人、年間賭け金は1兆2400億円とされ、約32人に1人が関わっている計算になる
  • 2025年9月施行の改正法はSNS誘導投稿を禁止行為と明示したが、独自の罰則規定はなく、既存の刑法(賭博ほう助など)の適用を補強する設計になっている
  • スパムが消えない背景には、装飾文字コードを使ったフィルタ回避という技術的な手口があり、法執行より投稿側の手口変更のほうが速い構造がある
  • 違法投稿を見かけたときは、警察庁の匿名通報ダイヤルへの情報提供という選択肢がある

よくある質問(FAQ)

Q1. 海外のオンラインカジノを日本から使うのは違法ですか?

違法です。

海外サーバーのサイトでも、日本国内から接続して賭博をすれば日本の刑法が適用されます。

「海外だから合法」という考えは誤りです。

Q2. オンラインカジノのSNS広告を投稿したら罪になりますか?

2025年9月施行の改正法で禁止行為と明示されました。

独自の罰則規定はありませんが、既存の刑法(賭博の手助けをした罪など)が適用される可能性があります。

Q3. オンラインカジノで逮捕された人はいますか?

います。

警察庁によると、2023年だけで利用者・決済関与者・広告した者など107人が検挙されています。

Q4. オンラインカジノのスパム投稿はなぜ消えないのですか?

法律の罰則が間接的にしか機能しないことに加え、投稿者が装飾文字などを使ってプラットフォームの自動フィルタを回避しているためと考えられます。

Q5. 違法な賭博サイトへの誘導投稿を見かけたらどうすればいいですか?

警察庁が運営する匿名通報ダイヤルに情報提供できます。

リンクは踏まず、通報という選択肢を使うのが賢明です。

Q6. 「無料ボーナス」でオンラインカジノを試すのも違法ですか?

違法になる可能性があります。

無料版・ボーナスを使った場合でも、オンライン上で賭博を行う行為として賭博罪に問われうると警察庁は示しています。

Q7. 改正ギャンブル等依存症対策基本法とは何ですか?

2025年6月に成立し、同年9月25日に施行された法律です。

SNSでのオンラインカジノ誘導投稿などを禁止行為として明示しましたが、この法律自体に直接の罰則規定はありません。

N

リアルタイムニュースNAVI 編集部

reaitimenews.com

話題のニュースを「なぜ?」の視点で深掘りするニュースメディアです。法律・心理学・経済など専門分野の知識をもとに、報道だけではわからない背景や理由をわかりやすく解説しています。

広告