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プロジェクトを壊す3つの地雷ワード——DX・現場判断・やってから考える

| 読了時間:約5分

「プロジェクトはなぜ失敗した?」——答えは、最初の会議にすでにあった。

製造業でデータ分析を担ってきたある実務者は、こう指摘する。

失敗の原因は技術でも予算でもなく、プロジェクトで使われる「言葉」だ、と。

「DX」「現場(ユーザー)判断」「やってから考える」——この3つのワードが出たプロジェクトは、高確率で途中で止まる。

しかも、成功したDXプロジェクトはそもそもプロジェクト名に「DX」を使わない、という逆説がある。


プロジェクトを壊す3つの地雷ワード——DX・現場判断・やってから考える

失敗の原因は技術でも予算でもなかった

「また予算が足りなかったから」「技術者のスキルが足りなかったから」——失敗の後に語られる言葉は、いつも同じだ。

プロジェクトが行き詰まったとき、多くの人は 技術や資金の問題 を真っ先に挙げる。

しかし、それは本当に正しいのだろうか。

製造業でデータ分析を担う実務者・ ぶんちん は、 Speaker Deck「プロジェクト失敗につながる地雷ワード」 の中でこう断言している。

プロジェクトの障害となる原因は技術課題ではなく組織課題だ 」と。

実際、プロジェクト管理の分野でも「 コミュニケーション不足・計画の曖昧さ・リスク管理の欠如 」が失敗原因として繰り返し挙げられるという。

技術以外の要素が、失敗の大部分を占めていると考えられている。

では、組織の問題はどこに最初に現れるのか。

答えは意外なほど単純だ。

会議室で交わされる「言葉」の中に、すでに潜んでいる。

組織の問題が言葉に出るとはどういうことか。

最もわかりやすい例が、プロジェクト名そのものだ。


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「DX」と名乗った瞬間、失敗が始まる

DXプロジェクト 」と名付けた会議室では、参加者それぞれが別のゴールを描いている。

DX (デジタル技術を使った仕事や事業の変革)」という言葉だけでは、具体的な成果をイメージできない。

目的・重要度・要件が人によってバラバラになる。

日経クロステック「失敗プロジェクトの共通点」 は、 頓挫するプロジェクトの名称の多くに「DX」や「データマネジメント」が含まれる と伝えている。

なぜそうなるのか。

「DX」という言葉が目的の代わりに使われると、関わる人それぞれが「僕の考えた最強のDX」を主張するだけになってしまうのではないか。

ビジョンの具体化ができないまま、 問題だけが先送りされる

ここに、驚くべき逆説がある。

実は、 成功しているDXプロジェクトはプロジェクト名に「DX」という表現を使わない。

内容(成果獲得のイメージ)が具体的だからこそ、抽象度の高い名前を必要としないのだ。

「DXプロジェクト」と名乗ることは、問題解決の開始ではなく、 問題の隠蔽 になりうる。

失敗例
「DX推進プロジェクト」

目的が曖昧。

各自が別のゴールを描き、責任の所在も不明確なまま走り出す。

成功例
「受発注処理の自動化」

成果が具体的。

「DX」と名乗る必要がないほど、やることが最初から決まっている。

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では、バズワード(中身が曖昧なまま広がった流行り言葉)を避けさえすれば、プロジェクトは安全か。

もう一つの地雷は、もっと巧妙だ。

「現場に任せる」は責任の消去ボタンだった

「良いものを作ったから、あとは現場判断で使え」——この一文が、ツールを永遠に使われないものにする。

Speaker Deck「プロジェクト失敗につながる地雷ワード」 によると、「 現場(ユーザー)判断」という言葉の本質は「責任の丸投げ」 だ。

提案者側が「良いものを作ったから使うかどうかはあなたたちの責任で」と言っているに等しい。

責任を相手に押しつけると何が起きるか。

想定可能な使い方・判断基準・アクション・トラブルへの対応が、事前に整理されないまま現場に届く。

「そんなこと言われても」と思った現場は、 責任を取れないから使わない。


責任分散効果(Diffusion of Responsibility)

集団において責任の所在が曖昧になると、誰も行動しなくなる心理現象。
1968 年に心理学者のダーリーとラタネが実験で示した。

プロジェクトで「現場に任せる」と言った瞬間、その場の全員が「自分の責任ではない」とスイッチを切るとも考えられる。

なぜこうなるのか、一歩深く考えてみよう。

表面上は「現場に裁量を持たせた」ように見える。

しかし構造を見ると、 提案者が「想定可能な使い方・判断基準・起きうるトラブルの洗い出しと対応」を事前に具体化していないことが原因だ。

「現場判断に任せる」という言葉は、提案者が事前設計を省略したという構造上の問題を隠蔽しながら、同時に受け手側の責任感をゼロにする二重の機能を果たしているとも考えられる。

その結果、 ツールは存在するのに誰も使わない「動くが死んでいるシステム」 が生まれるのではないか。

「現場に任せる」と言った瞬間に提案者も受け手も同時に「自分の責任じゃない」スイッチが入るから、 誰も使わないシステムが量産される。

「現場に任せられること」は、想定外の事象が生じた場合に連絡を依頼する程度にすぎない、というのが著者の主張だ。

この構造は「みんなで決めよう」「チームで管理しよう」という言葉にも同じように潜んでいる可能性がある。

バズワードで問題を隠し、責任を分散させる。
3つ目の地雷 は、さらに直接的にプロジェクトの中身そのものを空洞にする。


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「やってみてから」は評価基準のない実験だ

「とりあえずやってみよう」——その一言が出た時点で、ゴールは誰の頭の中にも存在しない。

「やってから考える」は一見フレキシブルな姿勢に見える。

しかし実態は 「評価基準のない実験」 だ。

良い結果と悪い結果の区別すら、誰も決めていない状態で走り出すことになる。

ここにも、見落とされがちな事実がある。

統計量の算出・データの可視化・予測モデルの作成——これらはどれも、指標や良いとき・悪いときの結果を 事前に想定できる 作業だ。

「やらないとわからない」が成立するのは、 実はごく一部にすぎない。
それなのに「やってから考える」と言ってしまうのは、事前にできることをやっていないだけだ、と著者は指摘している。

メンバーズデータアドベンチャー「データ分析プロジェクトは、なぜ失敗ばかりなのか。

も同じ構造を指摘している。



「このデータで何かできないかな?」という 課題なき出発 が、データ分析プロジェクトの典型的な失敗パターンだという。

課題が先にあるべきところを、データや手段から考え始めてしまうのだ。

評価基準のない実験は、失敗ではなく消耗だ。
最終的な着地点を見出せずに延々と続くか、途中で頓挫してしまう。

今走っているプロジェクトに、結果の良し悪しを判断する基準はあるか。

それに今すぐ答えられるかどうかが、プロジェクトの健全度を測る一つの目安になる。

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3つの地雷ワードはどれも、考えるべきことを後回しにしたときに口をついて出る言葉だ。

では、あなたの会議室は安全か?

あなたの会議室にも地雷は埋まっている

DX、現場判断、やってから考える ——この 3 ワードが出たら、それは「手を抜いた」サインだ。

Speaker Deck「プロジェクト失敗につながる地雷ワード」 の著者は、3つの地雷ワードをこう総括している。

きちんと考えるべきことを後回しにして、手抜きすると出てくるワード 」だ、と。

  • DX (抽象バズワード):目的を曖昧にして問題を先送りする言葉。具体的な成果イメージを持たないまま走り出すサイン。
  • 現場(ユーザー)判断 (責任消去):提案者が事前設計を省略し、責任ごと現場に押しつけている言葉。誰も動かない状態を作る。
  • やってから考える (評価基準なし):何をもって成功・失敗とするかを決めずに動き出している言葉。消耗するだけで終わる。

考えるべきことを後回しにしたとき、人はこの3つの言葉に無意識に逃げ込むのではないか。

つまりこれらのワードは、 プロジェクトの行き詰まりを「予告」している。

次の会議でこの3ワードが出てきたとき、「誰かが何かを省略した」という読み方ができれば、問題は始まる前に察知できる。

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言葉は、組織の思考の深さをそのまま映し出す鏡だ。

まとめ

  • 「DX」という名称をプロジェクトにつけること自体が、目的の代わりにバズワードで問題を隠している証拠になりうる——成功したDXプロジェクトは、そもそも名前に「DX」を使わない
  • 「現場(ユーザー)判断に任せる」は責任の丸投げであり、社会心理学の責任分散効果によって誰も動かない状態を意図せず作り出す可能性がある
  • 「やってから考える」が成立するのはごく一部の場面に限られ、ほとんどの作業は事前に評価基準を決められる——決めていないのは省略しているだけだ
  • この3つの地雷ワードは、考えるべきことを後回しにしたときに必ず口をついて出る言葉という共通点を持つ

会議室から消えない言葉が変わらない限り、プロジェクトの結末も変わらない。

よくある質問(FAQ)

Q1. プロジェクト失敗の本当の原因は何ですか?

技術や予算の問題ではなく、組織の問題が原因になることが多い。

特に会議で使われる言葉の中に、失敗の予告が潜んでいるとされる。

Q2. 「DX」という名前をプロジェクトにつけるとなぜ失敗しやすいのですか?

「DX」だけでは具体的な成果がイメージできず、関わる人それぞれが別のゴールを描く。

成功したDXプロジェクトは内容が具体的なのでDXという言葉をプロジェクト名に使わないとされる。

Q3. 「現場判断に任せる」とプロジェクトが失敗するのはなぜですか?

責任の所在が曖昧になり、誰も行動しなくなる。

社会心理学の「責任分散効果」と同じ構造で、「自分の責任ではない」とスイッチが切れるためとも考えられる。

Q4. 「やってから考える」はなぜ危険なのですか?

評価基準のない状態で動き出すことになるため。

データ分析や予測モデルはほとんどの場合、事前に良し悪しの基準を決められる。

決めないのは省略しているだけとされる。

Q5. プロジェクト失敗の予兆を見分けるにはどうすればいいですか?

「DX」「現場判断」「やってから考える」の3ワードが会議で出たときが警戒のサイン。

これらはきちんと考えるべきことを後回しにしたときに出てくる言葉とされる。

Q6. プロジェクト炎上の原因は何ですか?

計画や要件が曖昧なまま進むことが多い。

「何を達成したら成功か」を最初に決めずに動き出すと、途中で方向が変わったり止まったりしやすい。

Q7. データ分析プロジェクトが失敗するパターンは何ですか?

「このデータで何かできないかな?」という課題なき出発が典型的な失敗パターンとされる。

課題が先にあるべきところを、データや手段から考え始めてしまうことが原因とされている。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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