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警察庁キャリア・坂ノ上圭佑が不同意わいせつで書類送検された。
人事院指針では「免職又は停職」が標準だが、下された処分は「減給」だった。
2026年2月20日、警視庁は前サイバー犯罪対策課長の坂ノ上圭佑警視(36)を不同意わいせつ容疑で東京地検に書類送検した。
坂ノ上警視は容疑を認めており、同日付で減給の懲戒処分を受けて依願退職している。
この記事でわかること
坂ノ上圭佑とは何者か——29歳で県警課長、サイバー犯罪対策のエリートが転落
坂ノ上圭佑は2013年4月に警察庁へ入庁したキャリア官僚だ。
キャリア官僚とは?
国家公務員試験の総合職に合格して採用された幹部候補のこと。
入庁時から将来の幹部ポストが想定され、数年ごとに全国の警察本部や警察庁の要職を転々とする。
警察官の人事異動によると、坂ノ上氏の前任は神奈川県警交通規制課長と警視庁サイバー犯罪対策課長だった。
📅 坂ノ上圭佑の経歴
① 2013年4月:警察庁に入庁(キャリア採用)
② 2019年頃:29歳で神奈川県警交通規制課長に就任
③ 2024年〜2025年7月:警視庁サイバー犯罪対策課長
④ 2025年7月:警察庁外事課に異動(課長補佐)
⑤ 2026年2月20日:書類送検・減給処分・依願退職
注目すべきは、入庁わずか6年で県警の課長に就いている点だ。
神奈川新聞は当時、29歳での交通規制課長就任を報じている。
ノンキャリアの警察官が警視の階級に達するには、最速でも20年以上かかる。
定年までたどり着けない人も多い。
坂ノ上氏は入庁4年目ですでに警視だった。
キャリア制度がいかに特別な仕組みかがわかる。
容疑の内容は、そのエリート経歴とは裏腹に単純だ。
FNNプライムオンラインによると、坂ノ上氏は警視庁サイバー犯罪対策課長だった2025年、知人女性の体を同意なく触るなどのわいせつ行為をした疑いが持たれている。
TBS NEWS DIGも同様の報道をしている。
サイバー犯罪対策課は、不正アクセスやフィッシング詐欺などネット犯罪の捜査を統括する部署だ。
犯罪を取り締まる側のトップが、犯罪容疑者になった。
坂ノ上氏は任意の事情聴取に対し、容疑を認めている。
では、このエリート官僚に下された処分はどの程度のものだったのか。
「減給」は妥当か——人事院指針が示す標準は「免職又は停職」
坂ノ上氏への処分は「減給」だった。
懲戒処分には4段階ある。
軽い順に戒告・減給・停職・免職だ。
減給は下から2番目にあたる。
不同意わいせつという容疑の重さに対して、この処分は妥当なのか。
| 処分の種類 | 内容 | 退職金 |
|---|---|---|
| 戒告 | 文書で注意 | 支給あり |
| 減給(←今回) | 一定期間、給料を減額 | 支給あり |
| 停職 | 一定期間、出勤停止・無給 | 支給あり |
| 免職 | 強制的にクビ | 不支給 |
人事院の指針は何と書いているか
人事院の懲戒処分の指針には、わいせつ行為に関する処分基準が明記されている。
(14)セクシュアル・ハラスメント
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
この条項に当てはめれば、標準は免職又は停職だ。
ところが、坂ノ上氏に下された処分は減給にとどまった。
指針の標準より明らかに軽い。
なぜ減給で済んだのか
⚠️ ここからは推測を含みます
以下の分析は報道された事実と人事院指針を照らし合わせた推測です。
ひとつの手がかりは、指針の別の条項にある。
公務外の非行として「痴漢行為」の項目では、標準処分が「停職又は減給」と定められている。
今回の行為が「職場内のセクハラ」ではなく「公務外の非行」として扱われたなら、減給という処分が指針の範囲内に収まる余地はある。
ただし、それでも標準は「停職又は減給」であり、減給は下限ギリギリだ。
ポイント
人事院指針のどの条項を適用したかで、標準処分は変わる。
しかしいずれの条項でも、「減給」は指針が想定する最も軽い処分にあたる。
もうひとつ見逃せない事実がある。
警察官の人事異動によると、警察庁は処分と退職の理由を明らかにしなかった。
なぜ減給なのか、どの条項を適用したのか。
外部からは検証できない状態にある。
東京新聞によれば、坂ノ上氏は処分と同日に依願退職した。
減給+依願退職
退職金あり
免職の場合
退職金なし
処分の重さの差は、金銭面でも大きな違いを生む。
民間企業であれば、同様の行為は懲戒解雇に直結するケースがほとんどだろう。
警察庁キャリアの性犯罪は、今回に限った話ではない。
繰り返されるキャリアの性犯罪——2025年の337人処分と構造的な問題
2025年2月にも、キャリア官僚の性犯罪が発覚していた。
南日本新聞によると、鹿児島県警の捜査2課長だった安部裕行警視(当時29歳)が、知人女性に対する不同意性交容疑で書類送検された。
安部氏は2018年入庁のキャリア官僚だった。
坂ノ上事件と安部事件が2年連続で起きた形になる。
両事件を並べてみる。
| 坂ノ上圭佑 | 安部裕行 | |
|---|---|---|
| 年齢 | 36歳 | 29歳(当時) |
| 入庁年 | 2013年 | 2018年 |
| 容疑 | 不同意わいせつ | 不同意性交 |
| 当時の役職 | サイバー犯罪対策課長 | 捜査2課長 |
| 処分 | 減給→依願退職 | 停職1ヶ月→異動 |
| 起訴 | 未定 | 不起訴 |
共通するのは、どちらもキャリア官僚であり、どちらも20代〜30代で県警の課長級ポストに就いていた点だ。
そして安部氏は不起訴となり、刑事的な責任が問われないまま幕引きとなった。
この2件は氷山の一角なのだろうか。
産経新聞によると、2025年に懲戒処分を受けた全国の警察官・警察職員は過去10年で最多の337人にのぼった。
前年から98人増え、処分理由の最多は「異性関係」で104人。
30代以下が全体の5割を超えている。
1日あたり約1人の警察官が懲戒処分を受けている計算になる。
見逃せないデータ
キャリアの性犯罪が2年連続で発覚し、警察全体の懲戒処分も過去10年最多。
個人の問題として片づけるには、数字が大きすぎる。
⚠️ ここからは推測です
以下はデータに基づく考察であり、確定した事実ではありません。
キャリア制度は、20代のうちから県警の課長級ポストという大きな権限を与える仕組みだ。
早期に権限を持つことで実務能力は鍛えられる。
一方で、周囲が上司として指導しにくい構造が生まれるのではないか。
29歳の課長に面と向かって苦言を呈せる部下は、そう多くないだろう。
この仕組み自体にチェック機能の弱さがあるとすれば、不祥事は個人の資質だけでは説明がつかない。
まとめ
- 書類送検されたのは警察庁キャリアの坂ノ上圭佑氏(36)。前・警視庁サイバー犯罪対策課長
- 2025年にサイバー犯罪対策課長在任中、知人女性へのわいせつ行為の容疑。本人は認めている
- 処分は「減給」。人事院指針の標準(免職又は停職)より軽い
- 処分理由は非公表。同日付で依願退職し、退職金は支給される
- 2025年の鹿児島県警事件に続き、キャリアの性犯罪が2年連続で発覚
今後は東京地検が起訴するかどうかが焦点となる。
安部裕行事件では不起訴だった前例がある。検察の判断次第で、この事件の評価は大きく変わる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 坂ノ上圭佑とはどんな経歴の人物ですか?
2013年警察庁入庁のキャリア官僚。29歳で神奈川県警課長、その後警視庁サイバー犯罪対策課長を歴任した。
Q2. 坂ノ上圭佑は何の容疑で書類送検されましたか?
2025年にサイバー犯罪対策課長在任中、知人女性の体を同意なく触った不同意わいせつの疑い。本人は容疑を認めている。
Q3. なぜ免職ではなく減給の処分だったのですか?
人事院指針では不同意わいせつは免職又は停職が標準。公務外非行の痴漢行為として扱われた場合、停職又は減給となる余地がある。
Q4. 依願退職なら退職金はもらえるのですか?
免職なら退職金は不支給だが、減給処分での依願退職なら退職金は支給される。
Q5. 書類送検と逮捕の違いは何ですか?
書類送検は身柄を拘束せず書類のみで事件を検察に送ること。逮捕は身柄を拘束した上で送致する。
Q6. 坂ノ上圭佑は起訴されるのですか?
東京地検の判断次第。2025年に類似事案の鹿児島県警キャリアは不起訴となった前例がある。
Q7. 警察庁のキャリア官僚とは何ですか?
国家公務員試験(総合職)に合格して採用された幹部候補。入庁時から幹部ポストが約束されたルートを歩む。
Q8. 2025年の警察懲戒処分はどのくらいありましたか?
過去10年で最多の337人。処分理由の最多は異性関係で104人だった。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- FNNプライムオンライン「警察庁キャリアを不同意わいせつ疑いで書類送検」(2026年2月21日)
- TBS NEWS DIG「知人女性に不同意わいせつか 警察庁の30代キャリア警察官を書類送検」(2026年2月20日)
- 日本経済新聞「警察庁キャリアを書類送検 知人に不同意わいせつ疑い」(2026年2月20日)
- 東京新聞「警察庁の36歳外事課課長補佐を書類送検」(2026年2月20日)
- 最新・警察官の人事異動「警察庁 2月20日付」(2026年2月21日)
- 最新・警察官の人事異動「警察庁 7月14日付」(2025年6月30日)
- 神奈川新聞「交通規制課長に坂ノ上氏就任へ」
- 人事院「懲戒処分の指針について」
- 産経新聞「10年で最多337人 処分理由セクハラなど『異性関係』最も多く104人」(2026年2月5日)
- 南日本新聞「捜査の秘密を女性に漏らしたとして書類送検」(2025年4月15日)