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札幌で「雪の下に子どもの手足」と通報があった。
消防が駆けつけると、子どもはいなかった。
倒れていたのは70代の男性で、落雪もなかった。
2日前には同じ札幌市内で落雪により1人が亡くなっている。
この事案の背景には、今シーズン北海道を襲った記録的な雪害がある。
「子どもの手足が見える」通報——現場にいたのは70代男性だった
2026年2月20日午後5時20分ごろ、札幌市北区あいの里1条3丁目の住宅敷地内で「雪の下に子どもの手足が見える」と119番通報があった。しかし消防が駆けつけると、倒れていたのは70代の男性で、落雪の事実もなかった。
📰 各社の報道内容
STV NEWSによると、通報の内容は「住宅の敷地内で落雪があり、雪の下に子どもの手足が見える」というもの。
北海道ニュースUHBは「雪の下に子どものパジャマと手足が見える」と報じている。
落雪で子どもが埋まった——。
2日前に白石区で落雪死亡事故が起きたばかりだ。
通報を受けた消防は緊張して現場に向かっただろう。
ところが、消防が到着して確認したのは、まったく異なる光景だった。
HBC NEWSによると、落雪の事実はなく、倒れていたのは70代の男性だった。
男性は雪の上に倒れており、体に雪が積もった状態で見つかった。
意識不明の重体で病院に搬送されている。
| 通報の内容 | 実際の状況 | |
|---|---|---|
| 当事者 | 子ども | 70代の男性 |
| 原因 | 落雪に巻き込まれた | 落雪の事実なし |
| 状態 | 雪の下に埋まっている | 雪の上に倒れ、体に雪が積もっていた |
UHBの報道では、男性には着衣があり、表立った外傷はみられないという。
警察はなぜ男性が倒れていたのか、調べを進めている。
通報内容と実態が、これほど食い違った事案はめずらしい。
では、通報した住民はなぜ「子ども」と見間違えたのか。
なぜ「子ども」と見間違えたのか
通報者がでたらめを言ったわけではない。むしろ状況を考えると、誰でも同じように感じたのではないだろうか。
⚠️ ここからは推測です
見間違えの原因について、公式な説明はまだ出ていません。以下は状況から考えうる分析です。
まず、時間帯の問題がある。
2月下旬の札幌は午後5時10分ごろに日没を迎える。
通報があった午後5時20分は、すでに薄暗い時間帯だ。
💡 「パジャマと手足」の描写が意味すること
UHBは通報内容を「子どものパジャマと手足が見える」と報じている。「パジャマ」の柄まで識別しているということは、かなり近い距離で見ていたはずだ。
それでも「子ども」と判断したのは、雪に覆われた体の大部分が隠れ、手足など露出した一部分だけで判断せざるを得なかったためだろう。
もうひとつ見逃せないのが、心理的な背景だ。
FNNプライムオンラインによると、わずか2日前の2月18日、札幌市白石区で屋根の雪下ろし中に3人が落雪に巻き込まれ、60代男性1人が亡くなっている。
今シーズンの北海道では、雪に関する事故が連日のように報じられてきた。
こうした報道に繰り返し触れていると、雪の中に人影が見えたとき、真っ先に「落雪で埋まったのではないか」という方向に思考が引っ張られる。
心理学でいう確証バイアス——一度「そうだ」と思い込むと、それを裏付ける情報ばかりに目が向く現象だ。
薄暗い中、雪が積もった人影を見て「子どもが埋まっている」と感じる。
連日の落雪報道を見てきた住民なら、それは自然な反応だったのではないだろうか。
ここまでは見間違えの背景を推測したが、確かな事実もある。
男性がなぜ倒れていたかは現時点で不明だ。
STV NEWSによると消防は通報者とやり取りができている状態で、警察が原因を調べている。
この事案自体は落雪事故ではなかった。
しかし背景にあるのは、今シーズンの北海道を覆う深刻な雪害だ。
今季50件超の雪害事故——「最も危険な時期」はこれからだ
北海道の雪害は、すでに深刻な数字に達している。
🚨 今シーズンの雪害データ
HTB北海道ニュースによると、道警の集計で今シーズンの雪関連事故は2月18日までに少なくとも50件。10人以上が死亡している。
2月18日の白石区の事故では、男性4人が高さ3メートルほどの倉庫の屋根で雪下ろしをしていた。
そのうち3人が落雪に巻き込まれ、60代の合田末松さんが亡くなった。
当日の札幌の気温は、3月上旬並みの2.9℃。寒さが緩んだ日の事故だった。
ここに、直感に反する事実がある。
最も雪が多い時期が最も危険 → 気温が上がり始める時期のほうが落雪は起きやすい。
📊 春先の雪はなぜ危険か
HTBの報道によると、今の時季の雪は溶けたり凍ったりを繰り返し、固く締まっている。
その重さは1立方メートルあたり最大500kg。軽自動車に匹敵する重さの塊が、屋根から一気に滑り落ちる。
気温が上がって雪の表面が溶け出すと、それが起きる。
そして、これからさらに気温は上がる。
北海道新聞によると、道内は2月21日から23日にかけて気温が急上昇し、4月下旬から5月上旬並みの暖かさになる見通しだと報じられている。
では、身を守るにはどうすればよいのか。
HTBの取材に対し、北海道科学大学の千葉隆弘教授は意外な見解を示している。
「北海道の建造物は構造的に雪による倒壊リスクは極めて低い。ほとんどの屋根が滑りやすい金属板でできており、屋根の雪おろしをする必要はない」。
✅ 身を守るための対策
無理に屋根に上がることがかえって事故を招いている。
道警も「気温が上昇した日は建物の軒下に近づかないこと」を呼びかけている。
まとめ
- 札幌市北区あいの里で「子どもの手足が見える」と通報があったが、実際は70代男性が倒れていた
- 落雪の事実はなく、男性がなぜ倒れたかは警察が調査中
- 今シーズンの北海道では雪の事故が50件超、10人以上が死亡
- 21日以降の気温上昇で落雪リスクはさらに高まる
- 屋根の雪おろしは基本不要。軒下に近づかないことが最善の対策
よくある質問(FAQ)
Q1. 札幌あいの里の通報で子どもは埋まっていたのですか?
子どもはいませんでした。倒れていたのは70代の男性で、落雪に巻き込まれた事実もありません。
Q2. 70代男性はなぜ倒れていたのですか?
原因は不明で、警察が調査中です。着衣があり外傷はみられないと報じられています。
Q3. なぜ通報者は子どもだと見間違えたのですか?
公式な説明はありませんが、日没後の薄暗さと体に雪が積もった状態が影響したのではないかとみられます。
Q4. 今シーズンの北海道の雪害事故は何件ですか?
道警によると2月18日時点で少なくとも50件発生し、10人以上が死亡しています。
Q5. 落雪はいつ最も起きやすいですか?
気温が上昇する時期です。溶けたり凍ったりで固く重くなった雪が滑り落ちやすくなります。
Q6. 屋根の雪おろしはした方がいいですか?
北海道科学大学の千葉教授は、北海道の建造物は構造的に雪おろし不要と述べています。
Q7. 札幌市北区あいの里で落雪事故はあったのですか?
落雪の事実はありませんでした。警察と消防が確認しています。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
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📚 参考文献
- STV NEWS「【続報】高齢男性が意識不明 体の上に雪が積もった状態 落雪や人が埋まった事実なし 札幌市北区」(2026年2月20日)
- HBC NEWS(TBS NEWS DIG)「『雪山に子どもの手足が見える』119番通報は70代くらいの男性が意識不明で倒れていたと判明」(2026年2月20日)
- 北海道ニュースUHB「『雪の下に子どものパジャマと手足が見える』付近住民が消防通報」(2026年2月20日)
- HTB北海道ニュース「【オシプラ!】落雪や雪下ろし事故多発!!大雪のあとはグチャグチャ道路で泥はねも」(2026年2月20日)
- FNNプライムオンライン「【大雪余波】札幌で落雪死亡事故、青森では除雪遅れで住民悲鳴」(2026年2月19日)