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SNS副業詐欺41人逮捕、料理アカウント転売の法的空白とは

| 読了時間:約5分

長年フォローしていた料理アカウントが、別人に売られていた。

2026年6月10日、大阪府警は男女41人を詐欺容疑で一斉逮捕した。

被害者がフォローしていたのは投資系でも怪しい副業系でもなく、日常のお弁当レシピを紹介する生活系アカウントだった。

そのアカウントは元の所有者からひっそりと業者に売られ、さらに詐欺グループの手に渡っていた。

なぜ「あの料理の人」が詐欺の入口になったのか。

そして、なぜこれを止められる法律が日本に存在しないのか。


SNS副業詐欺41人逮捕、料理アカウント転売の法的空白とは

41人一斉逮捕、被害2300人の全容

2,300人

しかし逮捕の容疑となったのは、たった 3人 への詐欺だった。

関西テレビ によると、2025年1年間だけで全国の被害者は約 2,300人 、被害の総額は約 6億5,000万円 にのぼるとみられている。

今回の逮捕容疑は、大阪府内の30〜50代の女性3人から受講料名目で計約85〜88万円を詐し取ったというものにとどまる。

2,300
被害者数
2025年1年間・全国
6.5 億円
被害総額
2025年1年間推計
41
逮捕者数
2026年6月10日

逮捕されたのは、大阪市に本社を置く 「株式会社Unity」 の代表・ 松村真吾容疑者(29) と、その会社の従業員ら男女合わせて41人だ。

逮捕容疑の被害額と実際の被害規模の差は、あまりにも大きい。

今回の摘発は、被害全体のほんの「入口」にすぎないのではないかという見方が広がっている。

逮捕容疑は 2025年11月から2026年3月 にかけての犯行だ。

大阪府警は府内の複数の拠点を家宅捜索し、スマートフォンやパソコンなど 1,000点 以上を押収した。

全容解明はまだ続いている。

 

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なぜこれほど多くの人が同じ手口に騙されたのか。

その入口にあったのは、誰もが信頼する「あの料理アカウント」だった。

料理アカウントがなぜ詐欺の舞台になったか

副業の勧誘は投資系アカウントからしか来ない 、と思っている人は多い。

実際に悪用されたのは、 お弁当や料理レシピを紹介する生活系の人気アカウント だった。

投資でも稼ぎ系でもなく、日常の料理を発信していたアカウントが詐欺の舞台になった。

これが今回の事件を読み解く最初の「逆転」だ。

関西テレビの報道 によると、その手口はこうだ。

まず、フォロワーの多いインフルエンサーが自分のアカウントを業者に売却する。

業者はそのアカウントを松村容疑者に転売する。

アカウントを手に入れた松村容疑者は、「アフィリエイト(成果報酬型広告)で高額な利益を生み出している。

スクールを受講したおかげだ」などと投稿したとみられる。

フォロワーはその投稿を信じ、受講を申し込んでしまった。

1
インフルエンサーが業者にアカウント売却
2
業者が松村容疑者に転売
3
副業成功者を装い投稿→フォロワーが受講申込

なぜ 料理系のアカウントが狙われた のか。

副業や投資に関係のないジャンルだからこそ、フォロワーの警戒レベルが下がりやすい。

長年「この人のレシピが好き」と思ってフォローしていた相手が、突然「副業で稼げた」と語り始めても、「騙そうとしている」とは思いにくい。

フォロワーは、アカウントの持ち主が変わっていたとは気づけなかっただろう。

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では、なぜこのような「アカウントの中身だけ入れ替え」が合法のまま行われたのか。

じつは日本には、これを止められる法律が存在しない。

SNSアカウント売買を禁じる法律が日本に存在しない理由

Instagramの規約違反だが、日本の法律では違法ではない。
この「隙間」が舞台装置だった。

日本には SNSアカウントの売買を禁止する法律が現在存在しない

Instagramの利用規約はアカウントの譲渡・売買を禁じているが、それを取り締まる国内の法律はない。

SNSアカウントという「ネット上の権利」を売買する行為への法的な解釈・整備が、まだ追いついていないためだ。

この問題は今に始まったことではない。
内閣府消費者委員会は2022年9月にすでに建議を行い 、「SNSのメッセージを通じた情報商材・転売ビジネスの消費者被害に対して、 特定商取引に関する法律(特商法) (消費者を守るために通信販売や訪問販売のルールを定めた法律)の執行を強化すること」を国に求めていた。

法整備の必要性は 4年 前から指摘されていたのだ。

後光効果(ハロー効果)とは

ある対象への好印象が、関連する別の評価にまで影響を与えるという心理的な現象。

アメリカの心理学者エドワード・ソーンダイクが1920年に命名した、確立されたバイアスの一つ。

今回の事件では、フォロワーが「長年の投稿履歴そのもの=そのアカウント」を信頼していたため、所有者が変わっても信頼が残ったままになっていたと考えられる。

ここで一つ、心理学の話を挟みたい。

「後光効果(ハロー効果)」という認知バイアス(ものの見方のクセ)がある。

人はある対象への好印象が、関連する別の評価にまで影響を与えるという現象だ。

フォロワーが「あの料理の人」を信頼してきたのは、投稿の内容ではなく、長年の投稿によって積み上げた「そのアカウントへの信頼感」そのものだったと考えられる。

つまり信頼は、人ではなくアカウントに紐づいていた。

アカウントの所有者が変わっても、その信頼は残ったままだ。

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アカウントに蓄積された信頼が、後光効果によってアカウントそのものに帰属しているため、 法的な空白のもとでは「信頼ごと購入・悪用できる」状態 が生まれていると考えられる。

心理的なメカニズムと制度的な空白が重なった時、詐欺師は最もコストの低い方法で最大の信頼を手に入れられるのではないか。

また、情報商材を「スクール受講料」として通信販売形式で購入させる仕組みには別の問題もある。
通信販売での購入は、クーリングオフ(一定期間内の無条件解約制度)の対象外になりやすい。

消費者が被害に気づいても、返金を求める手段が限られてしまうのだ。

吹田市のビルには、約30人が静かにパソコンに向かっていた。


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「30人がパソコンで作業」組織の内側

「パソコンがいっぱい置いてあるのを見た。

中には 30人 くらい人がいたと思う」——拠点ビルで働いていた人物の証言が、組織の規模感を物語る。

これは個人が一人でやっていた詐欺ではない。
関西テレビの報道 によると、警察はグループ内でそれぞれに役割があったとみている。

情報商材のデータを送る担当、フォロワーからの質問に返答する担当など、作業が細かく分かれていた可能性がある。

押収されたスマートフォンやパソコンは 1,000点 以上にのぼった。

個人詐欺
一人で完結・小規模
組織型詐欺
役割分担・30人規模

大阪府警はさらに、このグループに 「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」 の関与を疑い、捜査を進めている。

トクリュウとは、SNSなどを使って実行役を緩やかに集め、役割を細分化しながら犯罪を繰り返す集団のことだ。

メンバーが固定されていないため、摘発されても組織が壊れにくいという特徴がある。
「詐欺師一人の悪行」ではなく、「産業として動く組織犯罪」 として見る必要がある。

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ここまで読んで、「自分がフォローしているアカウントは大丈夫か」と気になっている人もいるはずだ。

実は、転売アカウントにはいくつかの共通するサインがある。

今フォローしているアカウントを見分ける3つの変化

転売アカウントは「投稿の中身」が変わる前に、 「投稿の雰囲気」が変わる。

被害者たちは、長年フォローしていた料理アカウントが突然副業やアフィリエイトの話を始めた時点で、違和感を持てなかった。

アカウントの見た目は同じで、フォローしたままの状態が続いていたからだ。

しかし、所有者が変わったアカウントには、いくつかの変化が現れやすい。

次の 3点 が同時に起きている場合、アカウントの所有者が変わっている可能性があるだろう。


  • 投稿ジャンルが突然転換する (料理→副業・アフィリエイトなど)
  • 過去の投稿と文体や絵文字の使い方、口調が変わる
  • 「スクール受講」や「情報商材の購入」への誘導が始まる

確認する方法もある。

そのアカウントの他のSNS(X・YouTubeなど)や公式サイトが存在する場合は、そちらでも同じ発信がされているか照合するとよい。

朝日新聞の報道 によると、今回の被害者は「もとのアカウント所有者であるインフルエンサーが投稿を続けていると信じ」て騙された。

逆に言えば、 「本人が別の場所でも発信しているか」を確かめることが、最初の防御線になる。

もしすでに受講料を払ってしまっていた場合、お金を取り戻す手段はあるのだろうか。


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払ったお金は戻るのか、相談できる窓口

情報商材の購入に クーリングオフは原則使えない。
しかし、返金の道がゼロではない。

通信販売の形式で販売された情報商材は、 特定商取引法 (消費者を守るために通信販売や訪問販売のルールを定めた法律)上のクーリングオフの対象外になりやすい。

これは法律の仕組み上の問題であり、詐欺に遭った側の落ち度ではない。

ただし別のルートがある。
消費者契約法 という法律には、「不実告知(嘘の説明で契約させること)」や「断定的判断の提供(必ず稼げます、という断言)」を根拠に契約を取り消せる規定がある。

今回のような「スクールを受講すれば必ず高額な収益を生み出せる」という勧誘は、この規定に当てはまるケースがあるだろう。

取り消し権は、気づいた時から 1年 ・契約から 5年 が行使できる期間の目安だ。

まず相談すべき窓口は 「消費者ホットライン(電話番号:188)」 だ。

全国共通の番号で、近くの消費生活センターにつながる。

土日も相談できる窓口がある。
内閣府消費者委員会の建議 でも指摘された通り、SNS型の消費者被害への対応強化は公的機関の課題として認識されている。


⚠️ 時間が経つほど返金の可能性は下がる。
被害に気づいた時点で、できるだけ早く消費者ホットライン(188)か弁護士に相談することが重要だ。

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「信頼できる人の言葉」と思って買ったものが、その人ではない誰かの言葉だったという構造は、アカウントを売買できる法的空白が残り続ける限り、繰り返されるだろう。

まとめ

  • 大阪府警は2026年6月10日、株式会社Unity代表・松村真吾容疑者(29)ら男女41人を詐欺容疑で逮捕した。逮捕容疑は女性3人から約85〜88万円の詐取だが、2025年1年間の被害は全国で約2,300人・約6億5,000万円にのぼるとみられている。
  • 詐欺に悪用されたのは料理・お弁当レシピを紹介する生活系の人気アカウントだった。インフルエンサーが業者に売却したアカウントが転売され、「フォロワーの信頼ごと」詐欺グループに渡った。
  • 日本にはSNSアカウントの売買を禁じる法律が存在しない。内閣府消費者委員会は2022年時点でSNS型情報商材被害への法執行強化を建議しており、法整備の遅れは4年前から指摘されていた。
  • 警察庁の2025年確定統計では、副業詐欺の認知件数は2,036件・被害額は35.4億円。1件あたりの平均被害額は約174万円にのぼる。「小さな詐欺」ではなく、人生に関わるレベルの被害だ。
  • フォローしているアカウントが「ジャンルの転換」「文体の変化」「スクール誘導」の3点を同時に示した場合は、所有者が変わっている可能性がある。被害を受けた場合は消費者ホットライン(188)への相談が最初の一歩だ。

よくある質問(FAQ)

Q1. 副業詐欺とはどんな手口ですか?

SNSで「スクールを受講すれば高額収入が得られる」と誘い、受講料名目で現金をだまし取る手口です。

今回は料理系の人気アカウントを購入してインフルエンサーになりすまし、フォロワーを勧誘しました。

Q2. インスタのアカウント売買は違法ですか?

日本の法律ではアカウント売買を禁止する規定が現在存在しません。

Instagramの利用規約には違反しますが、それを取り締まる国内法がないため、売買自体は法律上の問題にはなりません。

Q3. 副業詐欺で払ったお金は返金してもらえますか?

通信販売での情報商材購入はクーリングオフの対象外になりやすいです。

ただし消費者契約法の「不実告知」や「断定的判断の提供」を根拠に契約取り消しが認められるケースがあるだろうと考えられます。

Q4. 副業詐欺にあったらどこに相談すればいいですか?

まず「消費者ホットライン(電話番号:188)」に電話してください。

全国共通で近くの消費生活センターにつながり、土日も対応している窓口があります。

時間が経つほど返金の可能性は下がるため、早めの相談が重要です。

Q5. フォローしているアカウントが転売されたか見分ける方法は?

「投稿ジャンルが急に副業・アフィリエイト系に変わった」「文体や絵文字の使い方が変わった」「スクール受講への誘導が始まった」の3点が重なる場合、所有者が変わっている可能性があるだろうとみられます。

他のSNSや公式サイトと照合することも有効です。

Q6. 今回逮捕された副業詐欺グループの被害規模は?

大阪府警によると、2025年1年間だけで全国の被害者は約2300人、被害総額は約6億5000万円にのぼるとみられています。

逮捕容疑は女性3人から計約85〜88万円の詐取ですが、実際の被害はその数百倍以上の規模です。

Q7. 副業詐欺とトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の関係は?

大阪府警は今回のグループにトクリュウの関与を疑い捜査を進めています。

トクリュウとはSNSで実行役を集め、役割を細分化しながら犯罪を繰り返す集団です。

メンバーが固定されないため摘発されても組織が壊れにくいという特徴があります。


📚 参考文献

N

リアルタイムニュースNAVI 編集部

reaitimenews.com

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