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エルニーニョが来ると夏は涼しくなる。
その常識、もう古い。
2026年6月10日、 気象庁 は「春からエルニーニョ現象が発生している」と正式に認めた。
その翌日、アメリカの気象機関 NOAA も同じ結論を出した。
ところが両機関はそろって「今年の夏は高温になる」と予報している。
エルニーニョなのに猛暑。
この矛盾に見える現象の裏には、気候が変わったことを示す構造が隠れている。
この記事でわかること

気象庁とNOAAが同時に「発生した」と宣言
NOAAが 63% 、気象庁が「発生確定」。
4週間前は 37% だった。
気象庁「エルニーニョ現象が発生しているとみられます」 によると、令和8年春からエルニーニョ現象が発生しているとみられるという。
NOAA は翌6月11日、2026年11月から2027年1月にかけて「非常に強いエルニーニョ」が発生する確率を 63% と発表した。
さらに「 1950年以降で最大のエルニーニョの一つになる可能性がある 」と指摘している。
ここで注目したいのは、確率が跳ね上がった速度だ。
NOAAが5月14日に示した確率は約 37% だった。
それが 4週間後に63%まで上昇 している。
事態の加速ぶりを物語っているのではないか。
ところで「スーパーエルニーニョ」という言葉、実は気象庁の正式な用語ではない。
予報担当者たちが海面水温(海の表面の温度)の偏差(平年との差)が平年より 2℃ 以上高くなるほどの強いエルニーニョを指して使う俗称だ。
このレベルの現象が確認されたのは、観測史上で 1982〜83年 ・ 1997〜98年 ・ 2015〜16年 の 3回 だけだ。
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ところで、エルニーニョが来ると「日本の夏は涼しくなる」と思っていなかっただろうか?
エルニーニョなのに「冷夏にならない」の、なぜ?
教科書どおりなら今年の夏は涼しいはず。
でも気象庁の予報は真逆だ。
太平洋高気圧の張り出しが弱まり、日本の夏は涼しくなりやすいとされてきた
気象庁は「日本付近は高温になる可能性が高い」と予報。
定説と真逆の方向だ
前回エルニーニョが発生した2023年の夏を振り返ると、 日本気象協会tenki.jp「エルニーニョ現象発生で日本への影響どうなる」 によれば、日本の夏の平均気温は基準値(1991〜2020年の30年平均)から +1.76℃ という高さだった。
統計開始以来2024年と並んで 2位タイの高温 だ。
「エルニーニョが来たから冷夏になる」という期待は、 2023年時点でもう裏切られていた 。
地球温暖化によるベースライン(基準となる気温の底)の上昇が、エルニーニョ本来の冷却効果を打ち消し始めているという見方が広がっている。
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では、なぜ温暖化がエルニーニョの冷却効果を「上書き」してしまうのか。
その構造を掘り下げてみよう。
「冷夏の定説」が崩れた本当の理由
地球全体の「平均気温の床」が毎年上がり続けている。
エルニーニョが冷やす力より、温暖化が温める力が勝り始めた。
気象庁「エルニーニョ現象が発生しているとみられます」 は「エルニーニョ現象は冬にかけて発達して最盛期を迎えることが多い」とも述べている。
つまり今夏はまだ序章にすぎず、 影響のピークはこれから来る 。
ここで一つ、考えてみてほしい構図がある。
エルニーニョが「太平洋の一部を冷やす力」は、局所的で数カ月スケールの現象だ。
一方、温暖化による「地球全体の底上げ」は、地球規模で数十年にわたって積み上がってきた変化だ。
この二つが競合したとき、スケールの大きいほうが勝つのではないか。
地球全体の「 平均気温の床 」が毎年上昇し続けているため、エルニーニョが多少気温を下げる方向に働いても、そのぶんを差し引いてもなお高温になってしまう構造に入りつつあるのではないか。
エルニーニョは昔と同じように冷やそうとしているけれど、 温暖化で地球の「底」が上がりすぎて、冷やしてもまだ暑い状態 になってきているらしい。
「エルニーニョが来れば冷夏になる」という定説は、地球全体の平均気温が比較的安定していた時代に成立したルールだった。
温暖化で底が上がり続ける今の気候では、 その前提が崩れているのかもしれない 。
猛暑だけではない。
エルニーニョは台風のかたちも変えてしまう。
しかもその変わり方が「数が増える」ではなく「より強く、より遅く」という方向なのだ。
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台風は「数より質」が怖い理由
台風の予測発生数は 28個 。
平年より 3個 多い程度だ。
しかし怖いのはその中身のほうだ。
ウェザーニューズ「スーパーエルニーニョ発生予想の今年、台風発生数は平年より多い『28個』」 によると、2026年の台風発生数は 28個 前後(平年 25.1個 )、日本へ接近する台風は 14個 程度と予測されている。
数字だけ見ると「そんなに変わらない」と感じるかもしれない。
重要なのは発生する場所の変化だ。
エルニーニョが発生すると、台風が生まれやすい海域が通常より 南東にずれる 傾向がある。
すると日本へ向かう台風は、海上を通る距離が普段より長くなる。
海の上にいる時間が長いほど、台風は勢力を蓄えやすい。
つまり「 強い勢力のまま日本に近づきやすくなる 」という話だ。
台風シーズンの後半、9月以降はスーパーエルニーニョに発展する可能性があり、台風が発生しやすい領域が平年より南東にシフトするとされる。
「台風の数が増える」より「 1個1個が強くなって来る 」という変化は、防災の観点では見落とされやすい危険といえる。
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「強い台風が来やすくなる」とは、具体的にどれくらいの被害を想像すれば良いのか。
前回2015年のスーパーエルニーニョが起きたとき、日本で何が起きたかを振り返ってみよう。
前回・2015年は何が起きたか
時速290キロの風が島を直撃し、1000キロ離れた関東では川の堤防が崩れた。
これが前回のスーパーエルニーニョが残した傷跡だ。
日本気象協会tenki.jp「エルニーニョ現象発生で日本への影響どうなる」 によると、スーパーエルニーニョが発生した2015年は台風が 27個 発生し、そのうち 16個 が非常に強い勢力に達した。
なかでも台風21号の影響は特に深刻だった。
与那国島 で観測された最大瞬間風速は 81.1m/s (メートル毎秒)。
これを時速に換算すると約 292km/h (81.1×3.6)で、新幹線「のぞみ」の最高速度(約 285km/h )を上回る。
そのほどの風が島全体に吹き荒れた。
【風速の換算】81.1 m/s × 3.6 = 約292 km/h
新幹線「のぞみ」最高速度:約285 km/h
→ 新幹線より速い風 が与那国島を直撃した計算になる
さらに同年9月、台風18号から変わった温帯低気圧と台風17号の影響が重なり、 関東・東北 で記録的な豪雨が発生した。
茨城県常総市 では 鬼怒川の堤防が決壊 し、甚大な被害をもたらした。
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過去最強クラスのスーパーエルニーニョが、地球温暖化で底上げされた2026年の海水温の上で発生するとすれば、 被害の規模は2015年を超える可能性があるのではないか 。
では2026年の夏、あなたの生活には具体的にどんな影響が降りかかってくるのか。
今夏、あなたの生活にどう降りかかるか
猛暑と台風と豪雨が同じシーズンに重なる。
これが今年の夏に想定されるシナリオだ。
気象庁「エルニーニョ監視速報(No.403)」 では、夏のエルニーニョ発生確率を 70% と示している。
エルニーニョは冬にかけて発達して最盛期を迎えることが多く、今夏はあくまでも始まりの段階だ。
気象庁がエルニーニョ発生を正式確認。
NOAAも翌日に発表。
確率は 63% に急上昇
日本全域で高温予報。
台風は 28個 発生、接近 14個 の予測。
勢力の強い台風に注意
スーパーエルニーニョに達するかどうかが秋の観測で判明。
台風後半シーズンが最大の山場
エルニーニョは冬にかけて発達・最盛期を迎える。
影響が最大化する可能性がある時期
スーパーエルニーニョに達するかどうかが確定するのは 2026年秋以降の観測次第 で、最も影響が大きくなるのは2026年末から2027年初頭の可能性がある。
つまり「今夏はまだ助走」という見方もできる。
猛暑・台風・豪雨の三つが重なるシーズンとなれば、熱中症のリスクと台風による大規模な停電・浸水が同時期に起きる夏になるという見方もある。
気象庁 のエルニーニョ監視速報は毎月更新される。
秋以降の観測データが出る前から、エアコンの点検・台風対策の準備・ハザードマップの確認を済ませておくことが、現実的な選択肢になる。
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エルニーニョが来ても冷夏にならなくなった今、「今年は涼しくなるはず」という期待は、 もはや防災計画の根拠には使えない 。
まとめ
- 気象庁は2026年6月10日にエルニーニョの発生を正式確認。NOAAは同現象が「1950年以降最大級」になる可能性を63%と発表した
- 「エルニーニョ=冷夏」という定説は2023年時点でも崩れており、2026年夏も気象庁が高温を予報している。温暖化によるベースラインの底上げが、エルニーニョの冷却効果を上回り始めているためという見方が広がっている
- 台風のリスクは「数の増加」より「発生場所の南東シフトによる勢力の維持」にある。強い台風が日本に直接ぶつかりやすくなる
- 前回2015年のスーパーエルニーニョでは、与那国島で時速292km相当の最大瞬間風速を記録し、鬼怒川の堤防が決壊した。2026年の海水温はその当時より高い
- スーパーエルニーニョへの発展が確定するのは秋以降。影響のピークは2026年末から2027年初頭になりうる
よくある質問(FAQ)
Q1. スーパーエルニーニョとは何ですか?
海の表面の温度が平年より2℃以上高くなるほど強いエルニーニョのこと。
気象庁の正式用語ではなく俗称で、過去に発生したのは1982〜83年・1997〜98年・2015〜16年の3回だけです。
Q2. エルニーニョが来ると冷夏になるはずなのに、2026年はなぜ猛暑なのですか?
エルニーニョには本来冷夏をもたらす働きがありますが、地球温暖化で地球全体の気温の底が毎年上がっているため、その冷却効果が打ち消されつつあるという見方が広がっています。
前回の2023年も同じことが起きました。
Q3. 2026年のスーパーエルニーニョはいつ確定しますか?
スーパーエルニーニョに達するかどうかは2026年秋以降の観測次第です。
NOAAによると2026年11月〜2027年1月に非常に強いエルニーニョが発生する確率は63%で、最も影響が大きくなるのは2026年末から2027年初頭の可能性があります。
Q4. 2026年の台風はどうなりますか?
ウェザーニューズは台風の年間発生数を28個(平年25個)、日本への接近数を14個と予測しています。
数より怖いのは発生場所の変化で、南東にずれることで強い勢力のまま日本へ近づきやすくなるとされています。
Q5. 過去にスーパーエルニーニョが起きたとき日本はどうなりましたか?
2015年のスーパーエルニーニョでは台風が27個発生し16個が非常に強い勢力に。
与那国島で歴代最大の最大瞬間風速81.1m/s(時速約292km)を記録。
9月には鬼怒川の堤防が決壊するなど甚大な被害が出ました。
Q6. スーパーエルニーニョで食料や物価への影響はありますか?
大規模なエルニーニョは世界各地で干ばつや豪雨をもたらし、農業生産に打撃を与えることが知られています。
2026年のスーパーエルニーニョが発展した場合、食料供給や物価への影響が出る可能性があるという見方もあります。
Q7. エルニーニョとラニーニャはどう違うのですか?
エルニーニョはペルー沖の太平洋の海水温が平年より高くなる現象、ラニーニャは同じ海域で逆に低くなる現象です。
どちらも世界各地の天気に影響しますが、日本への影響は異なります。
2025〜26年冬はラニーニャに近い状態でした。
📚 参考文献
- 気象庁「エルニーニョ現象が発生しているとみられます」 (2026年6月10日)
- 気象庁「エルニーニョ監視速報(No.403)2026年3月の実況と2026年4月〜2026年10月の見通し」 (2026年4月10日)
- AFP「エルニーニョ現象が発生 過去最大級の可能性 米海洋大気庁」 (2026年6月12日)
- 日本気象協会tenki.jp「エルニーニョ現象発生で日本への影響どうなる 台風にも影響か 過去には記録的豪雨も」 (2026年6月13日)
- ウェザーニューズ「スーパーエルニーニョ発生予想の今年、台風発生数は平年より多い『28個』」 (2026年6月2日)
- Yahoo!ニュース(女性自身)「2026年夏『スーパーエルニーニョ』発生で日本は『40℃超え』が当たり前に!専門家は『台風ノロノロ化』も指摘」 (2026年5月)
- nikkei.com
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