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鈴鹿市スリランカ人事故「日本語わからない」のになぜ運転できる?免許制度と報道の温度差

鈴鹿市スリランカ人事故と外国人運転免許制度の問題を示すアイキャッチ画像

| 読了時間:約8分

日本語がわからなくても、日本で車を運転する方法は存在する。
国際免許制度がそれを合法にしている。

2026年2月17日、三重県鈴鹿市で起きた事故がSNSで炎上した。
逮捕されたスリランカ国籍の男の「日本語がわからない」という発言。
だが報道を比べると、伝えられていない事実がある。

免許制度の仕組み、外国人事故の実態、そして始まったばかりの制度改革を追った。

 

 

 

鈴鹿市の交差点で10歳女児がはねられた――報道でわかっていること

2月17日午後4時ごろ、鈴鹿市岡田三丁目の交差点で10歳の女の子が軽自動車にはねられた。

📰 通報内容

通りかかった男性が「信号無視の軽自動車が横断歩道上で女の子をはねた」と110番通報。
東海テレビの報道による。

午後4時は下校の時間帯だ。
横断歩道は、子どもが信号を守って安全に渡れるはずの場所である。

女の子は腰や左足を打ったが、命に別条はない
CBCテレビの報道によれば、小学校4年生で、ケガは軽傷だった。

逮捕された男の「認否」が報道で食い違う

警察はその場で、スリランカ国籍のジュナイディン・モハマド・ターリック容疑者(54)を現行犯逮捕した。
容疑は過失運転致傷かしつうんてんちしょう
運転中の不注意で人にケガをさせた罪だ。

東海テレビは容疑者が「日本語がわからない」と話していると報じた。
認否には触れていない。

SNSではこの一言が強い反発を呼んだ。
「反省していない」「謝る気がない」という声が殺到した。


ところがCBCテレビの報道では、事情が異なる。

⚡ CBCテレビの報道

調べに対し、容疑者は「信号のある交差点で交通事故を起こし、横断歩道を歩いていた女の子にけがをさせたことに間違いありません」と容疑を認めている。

つまり、通訳を介した取り調べのなかで、容疑を認めているのだ。
「日本語がわからない」は反省拒否ではなく、取り調べでの言語対応に関する事実だった。

反省も謝罪もしていない通訳を介して容疑を認めている
報道内容に温度差がある
1社の報道だけでは見えない情報が、別の社の記事には書かれていた。

なお、警察は車側の信号が赤だったとみて調査を続けている。
信号無視が確定したかどうかは、2月18日時点では未確認だ。

そもそも、日本語がわからない外国人がなぜ日本で車を運転できるのか。

 

 

 

「日本語がわからない」のになぜ運転できるのか

日本語がわからなくても、日本で合法的に車を運転する方法がある。

多くの人が「日本語ができなければ免許は取れない」と思っている。
実際は違う。
外国人が日本で運転するルートは3つある。

ルート 条件 有効期間
日本の運転免許証 学科試験+実技試験に合格 通常の更新制
国際運転免許証 ジュネーブ条約の締約国が発行 上陸から1年間
外免切替がいめんきりかえ 外国の免許を日本の免許に書き換え 通常の更新制

スリランカの国際免許は日本で使える

スリランカ国際免許の解説サイトによると、スリランカはジュネーブ条約の締約国だ。
つまりスリランカ発行の国際免許証は、日本で有効である。

日本語をまったく話せなくても、この免許を持っていれば日本の道路を走れる。
制度としてそう決まっている。


さらに、日本の運転免許を一から取りたい場合でも、学科試験はシンハラ語で受験できる。
警視庁の公式ページによると、2024年から学科試験が20言語に対応した。
シンハラ語もその一つだ。

 

 

 

「外免切替」のハードルは驚くほど低かった

3つ目のルートである外免切替がいめんきりかえは、外国の免許を日本の免許に書き換える制度だ。

くるまのニュースの記事によると、この手続きの知識確認はわずか10問
しかもイラスト付きの○×形式で、7問正解すれば合格だった。
2024年には約6万8,600人がこの制度で日本の免許を手にしている。

この数字は小さくない。
毎年7万人近い外国人が、10問の○×テストで日本の道路に出ているということだ。

📊 警察庁の統計(2025年上半期)

外国人運転者による死亡事故は22件、重傷事故は236件
全重大事故の約2.1%を占める。

ただし冷静に見ると、日本の在留外国人の人口比は約2.5%だ。
事故比率2.1%は人口比より低い。
「外国人だから事故が多い」とは、この数字だけでは言い切れない。

鈴鹿市で繰り返される事件

事故が起きた鈴鹿市は、外国人が多い街でもある。

三重県の統計によれば、2024年末時点で鈴鹿市の外国人住民は10,242人
市民のおよそ20人に1人が外国人という計算になる。

そして2026年1月、同じ鈴鹿市で別のスリランカ人2名が逮捕されたばかりだ。

⚠ 2026年1月の事件

CBCテレビの報道によると、自動車買取販売会社のヤードに侵入しトラックからバンパーを盗もうとした男と、無免許で車を運転して逃走しようとした男がそれぞれ逮捕された。
2人ともスリランカ国籍だった。

1月にも鈴鹿市で別のスリランカ人2名が逮捕されている。
今回の事故と直接の関係はないが、同じ地域で短期間に事件が重なっている事実は無視できない。

こうした制度の"穴"に対し、国はどう動いているのか。

 

 

 

制度はどう変わったのか――外免切替の厳格化と捜査体制

外免切替は、2025年10月に大きく変わった。

「外国人は簡単に免許が取れる」「事故を起こしても通訳が足りず不起訴になる」。
こうした声はSNSに根強い。
だが制度はすでに動き始めている。

合格率は9割から4割へ

くるまのニュースの記事によると、2025年10月から外免切替は以下のように変わった。

項目 厳格化前 厳格化後
問題数 10問 50問
合格基準 7問正解(7割) 45問正解(9割)
住所確認 宿泊先でも可 住民票が原則必要
観光客の取得 可能だった 原則不可

読売新聞の2026年1月の報道によれば、合格率は約9割から約4割へ激減した。
10人受けて4人しか通らない。
制度は明らかに引き締められた。

厳格化前

合格率 約9割

厳格化後

合格率 約4割

5倍に増えた問題数と9割の正答率。
ホテル住所での取得も封じられた。
「ザル」と批判されてきた外免切替は、別の制度と言っていいほど変わっている。

 

 

 

通訳不足による不起訴は過去の話か

もう一つ、捜査の現場も変わった。

「外国人は日本語がわからないと言えば不起訴になる」。
この言説はSNSで広く信じられている。
2025年の自民党総裁選で高市早苗氏が「通訳の手配が間に合わず不起訴にせざるを得ない」と発言したことも、拡散を後押しした。

だが2025年7月1日、警察庁は大きな一手を打った。

✅ 制度の改善

遠隔通訳が2025年7月から導入された。
取調室に通訳人がいなくても、オンラインで通訳を介した取り調べが可能になった。

通訳不足の問題がゼロになったわけではない。
だが「物理的に通訳が来られない」という理由で捜査が止まる事態は、制度上は解消に向かっている。

今回の事件でも、CBCテレビの報道で容疑者が詳細に供述している事実は、通訳を介した取り調べが機能していることを示しているのだろう。


今回の事件はどうなるのか

容疑は過失運転致傷だ。
刑事事件弁護士ナビの解説によれば、法定刑は拘禁刑こうきんけい7年以下または罰金100万円以下
ただし傷害が軽いときは刑が免除される場合もある。

今回、被害者は軽傷で命に別条はない。
初犯であれば罰金刑で終わるケースが多い。

⚠️ ここからは推測

もし信号無視が立証された場合、罪名が「危険運転致傷きけんうんてんちしょう」に切り替わる可能性がある。
赤信号を殊更に無視した場合に適用され、法定刑は15年以下の懲役と大幅に重くなる。
警察が車側の信号を重点的に調べているのは、この判断に直結するためだろう。

容疑者の免許の種類(国際免許か、外免切替か、あるいは無免許か)は2月18日時点で公表されていない。
無免許だった場合はさらに罪が重くなる。
続報を待つ必要がある。


この事件の背景には、外国人労働者の増加と制度整備のタイムラグがある。

鈴鹿市のように外国人比率が5%を超える自治体では、運転の需要と制度の不整合が事故という形で表面化しやすい。
外免切替の厳格化や遠隔通訳の導入は、その不整合を埋めるための一歩ではある。
だが、国際免許で入ってくるドライバーへの対策は手つかずのままだ。

制度は変わり始めている。
足りていない部分も見えている。

 

 

 

この事件のポイント

  • 2026年2月17日、鈴鹿市で10歳女児が軽自動車にはねられ、スリランカ国籍の男が現行犯逮捕された
  • 容疑者は「日本語がわからない」と話す一方、CBCテレビの報道では容疑を認めている
  • スリランカは国際免許が日本で有効な国であり、日本語不要で運転できる制度が存在する
  • 外免切替は2025年10月に厳格化され、合格率は約9割から約4割に低下した
  • 遠隔通訳の導入で、「通訳不足による不起訴」問題も制度的には改善に向かっている

1社のニュースだけでは見えない事実がある。
制度の仕組みを知れば、感情だけでなく構造で語れるようになる。
信号無視の有無や免許の種類など、続報で明らかになる情報にも注目してほしい。

よくある質問(FAQ)

Q1. 日本語がわからない外国人でも日本で運転できるのか?

スリランカなどジュネーブ条約締約国の国際免許は日本で有効。学科試験もシンハラ語含む20言語に対応している。

Q2. 鈴鹿市の事故で逮捕された容疑者は容疑を認めているのか?

CBCテレビの報道では「間違いありません」と容疑を認めている。東海テレビでは認否に触れていない。

Q3. 外免切替とは何か?

外国の運転免許を日本の免許に書き換える制度。2025年10月に厳格化され、合格率は約9割から約4割に下がった。

Q4. 過失運転致傷の罰則はどのくらいか?

7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。傷害が軽い場合は刑が免除されることもある。

Q5. 外国人は通訳不足で不起訴になるのか?

2025年7月から遠隔通訳が導入され、オンラインで通訳を介した取り調べが可能になっている。

Q6. 鈴鹿市にはどのくらい外国人が住んでいるのか?

2024年末時点で10,242人。市民のおよそ20人に1人が外国人にあたる。

Q7. 信号無視が確定したら罪はどう変わるのか?

危険運転致傷罪が適用される可能性があり、法定刑は15年以下の懲役と大幅に重くなる。

Q8. スリランカは親日国なのか?

サンフランシスコ講和条約で日本への戦後賠償を自発的に放棄した伝統的な親日国とされている。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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