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自動運転バス事故、なぜ別の2車両まで延期?半年で3度目の東京都

自動運転バス事故で都営バス実証実験が延期になった経緯を解説するアイキャッチ画像

| 読了時間:約7分

2月27日、東京都が江東区新木場で運行する自動運転バスが縁石に接触した。
ケガ人はいなかったが、翌日から始まるはずだった都営バス初の自動運転実証実験が延期に追い込まれた。

事故を起こしたバスと実験用のバスは、メーカーもサイズも別の車両だ。
なぜ片方の事故でもう片方まで止まったのか。
そこには、自動運転ならではの構図がある。

 

 

 

新木場で何が起きたのか——縁石に接触、ケガ人なし

2月27日午後4時20分頃、江東区新木場の区道で自動運転バスの右前輪が中央分離帯の縁石に接触した。乗客2人と運転手1人にケガはなかった。

日テレNEWSの報道によると、事故は海の森公園から新木場駅へ向かう帰り道に起きた。
ほかの車の通行にも支障はなかったという。

事故車両の情報

事故車両はティアフォー製の小型電動バスMinibus 2.0
立ち乗りを含め最大27人が乗れる。
自動運転レベルは、運転手が乗車して必要に応じて手動で操作する「レベル2」だった。

ここでひとつ、見落とせない事実がある。
事故当時、自動運転だったか手動だったかは不明だ。
現時点では調査中とされている。

「自動運転バスの事故」と聞くと、自動運転中にシステムが誤動作したと想像しがちだ。
だが今回は、そもそもどちらのモードで走っていたかすら分かっていない。
原因の特定はこれからになる。


このバスは2025年7月に運行を始めた。
東京都港湾局の発表によると、運行事業者はティアフォーで、日立自動車交通に運行を再委託していた。
2026年3月31日までの期間限定の予定だった。

事故を受けて、このルートでは自動運転機能のない車両に変更して運行を続けるという。
路線そのものが止まるわけではない。
海の森公園への足は維持される。

都営バスの実証実験も延期

東京都交通局は2月28日、3月1日から予定していた都営バスの自動運転実証実験の延期を発表した。
「同じ自動運転システムを用いた他の実証において事故が発生した」ことが理由だ。

事故を起こした小型バスと、実験に使うはずだった大型路線バス。
この2つがなぜ「同じシステム」なのか。

 

 

 

小型EVと大型路線バス——車体は別物なのに「同じ頭脳」

事故を起こしたバスと同じ車両の実験が止まった——そう思った人は多いだろう。ところが、実態は違う。

2つの車両を並べてみよう。

事故車(海の森ルート)

ティアフォー製
Minibus 2.0
小型電動バス・最大27人

実験車(都営バスルート)

いすゞ自動車製
ERGA(エルガ)
大型路線バス

メーカーもサイズも全く異なる車両だ。
小型のEVバスと、ふだん街中で見かけるような大型路線バス。
見た目の共通点はほぼない。

では、なぜ片方の事故でもう片方が止まるのか。


共通するのは「自動運転ソフトウェア」

自動運転バスは、車体というハードウェアと、カメラやセンサーの情報を処理してハンドルやブレーキを制御するソフトウェアの組み合わせで動く。

東京都交通局は延期の理由を「同じ自動運転システムを用いた他の実証において事故が発生した」と説明した。
海の森ルートのMinibus 2.0はティアフォーが運行事業者であり、ティアフォー製の自動運転システムが搭載されている。

都営バスの実証実験について、東京都交通局の特設ページには車両提供がいすゞ自動車、委託事業者が日本工営と記されている。
自動運転システムの開発元は明記されていないが、「同じ自動運転システム」という公式表現と、いすゞとティアフォーが提携している経緯から、こちらにもティアフォーのシステムが搭載されているのだろう。

スマホのOSに例えると

サムスンのスマホもソニーのスマホも、見た目や大きさは違う。
だが中身のOS(Android)が同じなら、OSのバグは両方に影響する。
車体が違っても頭脳が同じなら、片方の不具合はもう片方にも波及する
今回の連鎖延期は、そういう構図だ。

 

 

 

半年前の八王子事故と同じ流れ

東京都の自動運転バスで事故が起きたのは、今回が初めてではない。

東京都の発表によると、2025年8月29日、八王子市高尾町の国道20号で実証実験中の自動運転バスが走行中に左へ急旋回し、街路樹に衝突した。
乗客3人が軽傷を負った。

原因は、「古い目標位置情報を誤って読み込む設計上の不備」。
さらに、制御機能から独立した衝突回避機能がなかったことも重なった。

八王子の事故を受けて東京都は改善の方向性を公表し、有識者の知見をもとに検証を進めてきた。
その途上で、今度は新木場の接触事故と都営バスの延期が起きた。

同じ東京都の自動運転事業で、半年で3度のつまずき
偶然の一致と片づけるには、重なりすぎている。

 

 

 

「やめればいい」では済まない——運転手不足と自動運転のジレンマ

事故が続くなら自動運転をやめたほうがいいのではないか。そう感じるのは自然な反応だ。だが話はそう単純ではない。

日テレNEWSは「東京都は運転手不足の課題解決のため自動運転の実用化に取り組んでいる」と伝えている。
自動運転は「面白そうだからやる」ものではなく、バスの運転手が足りないから「やらなければ路線を維持できない」段階に近づいている。

東京都は2024年3月の公表資料で、2030年までに8地区で自動運転サービスを先行導入し、2040年代には都内全域への普及を目指すと示した。

安全と推進のジレンマ

東京都は、事故のリスクを承知のうえで自動運転を進めざるを得ない立場にある。
やめれば安全かもしれないが、運転手がいなければそもそもバスが走らない。
安全確保と推進のあいだで揺れているのが現状だろう。

都営バス初の自動運転、直前で白紙に

今回の延期は、タイミングとしても痛い。

東京都は1月23日のプレスリリースで、都営バスとしては初めてとなる自動運転の実証実験を発表した。
ルートは新木場駅前から日本科学未来館まで。
いすゞのエルガを使い、一般の人が無料で乗車できる体験型のイベントだった。

予約は2月16日から受け付けが始まっていた。
乗車を楽しみにしていた人もいただろう。
その「都営バス初」が、開始前日に止まった。


再開時期は未定だ。
東京都交通局は「開始する際には、改めてご案内申し上げます」としか述べていない。

八王子の事故から半年。
改善策が固まりきらないうちに、新たな事故が起きた。
原因調査の結果次第では、再開までさらに時間がかかるのではないか。

東京都が掲げる2030年の目標と、現場で繰り返される事故。
この溝をどう埋めるかが、自動運転バスの未来を左右する。

 

 

 

まとめ

  • 2月27日、江東区新木場で自動運転バスが縁石に接触。ケガ人なし
  • 事故当時のモード(自動/手動)は不明で調査中
  • 事故車(Minibus 2.0)と都営バスの実験車(いすゞ エルガ)は別の車両だが、自動運転システムが共通しており連鎖延期に
  • 2025年8月の八王子事故と合わせ、半年で3度目のつまずき
  • 都営バスの実証実験の再開時期は未定。東京都交通局の発表を待つ必要がある

よくある質問(FAQ)

Q1. 自動運転バスの事故はいつどこで起きた?

2026年2月27日午後4時20分頃、東京都江東区新木場の区道で縁石に接触しました。ケガ人はいません。

Q2. 事故当時は自動運転中だったのか?

自動運転だったか手動だったかは不明で、調査中と発表されています。

Q3. なぜ事故を起こしたバスと別の車両の実験まで延期になった?

車体は異なりますが、搭載されている自動運転システムが共通しているためです。

Q4. 都営バスの自動運転実証実験はいつ再開する?

再開時期は未定です。東京都交通局は「改めてご案内する」としています。

Q5. 自動運転レベル2とは?

運転手が乗車し、必要に応じて手動で操作する段階の自動運転です。完全無人ではありません。

Q6. 八王子の自動運転バス事故の原因は?

古い目標位置情報を誤って読み込む設計上の不備が原因と東京都が発表しました。

Q7. 事故を起こしたバスの車両は何?

ティアフォー製の小型電動バス「Minibus 2.0」です。最大27人が乗車できます。

Q8. 都営バスの実証実験で使う予定だった車両は?

いすゞ自動車の大型路線バス「エルガ」です。新木場駅前〜日本科学未来館を走る予定でした。

Q9. 海の森公園へのバスはどうなる?

自動運転機能のない車両に変更して運行を継続しています。路線自体は維持されています。

Q10. 東京都の自動運転バスの今後の計画は?

2030年までに都内8地区で自動運転サービスを先行導入し、2040年代に全域普及を目指しています。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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