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都内の落とし物454万件で過去最多、現金45億円はどこへ消えた?

都内の落とし物454万件で過去最多、現金45億円はどこへ消えた?

| 読了時間:約8分

東京のどこかで、1日1235万円の現金が「落とし物」として届けられている。

警視庁遺失物センターのまとめによると、2025年に都内で届けられた落とし物は約454万件、現金は約45億円。
いずれも統計開始の1940年以来、過去最多を更新した。

なぜ、キャッシュレス時代に現金の落とし物が過去最高になったのか。
そこには「セルフレジの釣銭」「羽田空港」「消えた傘」という3つのキーワードが浮かび上がる。

 

 

 

1日1235万円が消える街——2025年、都内の落とし物が過去最多を更新

2025年に東京都内で届けられた落とし物は453万8244件、現金は45億882万4075円
いずれも1940年の統計開始以来、過去最多を更新した。

財布やスマホを落としてヒヤッとした経験は、きっと誰にでもあるだろう。

警視庁の公式統計によると、2025年の拾得件数は前年比3.0%増。
現金は前年比0.5%増だった。

📊 1日あたりに換算すると

1日あたり約1万2400件、金額にして約1235万円が「落とし物」として届けられている計算になる。
毎分8.6件。この記事を読んでいるあいだにも、都内のどこかで届け出が続いている。

1件の最高額は2700万円
産経新聞の報道が伝えている。


「コロナ後の回復」では説明がつかない増え方

落とし物の件数は右肩上がりで増えている。
ただし、その伸び方は単なるコロナからの回復ではない。

落とし物件数 現金総額
2020年 約280万件
2023年 約408万件 約44億円
2024年 約440万件 約44.9億円
2025年 約454万件 約45億円

コロナ禍で280万件まで落ち込んだ件数は、わずか5年で1.6倍に膨らんだ。
コロナ前の2019年でも約400万件だったから、いまの数字は「元に戻った」のではなく「超えた」ことになる。

「落としました」という遺失届いしつとどけも約110万件と過去最多を記録している。
TBS NEWS DIGによると、落とし物そのものが増えているだけでなく、届け出る人も増えている。

では、なぜ落とし物はここまで増えたのか。
その背景には「令和ならでは」の3つの要因があった。

 

 

 

セルフレジ・インバウンド・ワイヤレスイヤホン——「令和の落とし物」3つの正体

過去最多の背景について、警視庁は3つの要因を挙げた。
訪日外国人の急増、都市再開発による人の流入、そしてワイヤレスイヤホンなど小型電子機器の普及だ。

落とし物件数1位の警察署は「羽田」だった

都内で落とし物件数が最も多い警察署はどこだろう。
新宿か、渋谷か。

FNNプライムオンラインの報道によると、件数が最も多かったのは東京空港署12万8892件
羽田空港を管轄する署だ。

2位は立川署の12万2597件、3位は新宿署の10万839件だった。

📈 インバウンドの急増が背景に

トラベルボイスによると、2025年の訪日外国人は4268万人で過去最多を記録した。
日本の空の玄関口に落とし物が集中するのは、この急増を映している。

空港では慣れない環境でパスポートや財布を置き忘れる人が多いのだろう。

 

 

 

現金落とし物の「7割」は路上ではなく店の中で届けられる

「道に現金が落ちていた」——落とし物と聞くと、そんな場面を思い浮かべる人は多い。

ところが実態は違う。
産経新聞によると、現金の拾得届しゅうとくとどけのうち施設からの届け出が7割以上を占めていた。

スーパーのセルフレジで釣り銭が取り忘れられるケースが典型だという。

読者のイメージ

路上で誰かが拾う

実際のデータ

7割超が施設内の届出

キャッシュレス決済が広がっても、セルフレジには現金投入口がある。
むしろ機械任せの会計だからこそ、お釣りを取らずに立ち去ってしまう。

キャッシュレス時代に現金の落とし物が増える逆説は、ここに理由があるのではないだろうか。


傘がランク外に転落した理由

品目別で最も多いのは免許証やマイナンバーカードなどの証明書類で約82万点。
次に定期券や商品券などの有価証券類が約47万点と続く。

順位 品目 数量
1位 証明書類(免許証・マイナカード等) 約82万点
2位 有価証券類(定期券・商品券等) 約47万点
3位 衣類・履物類 約46万点
4位 電気製品類(ワイヤレスイヤホン等) 約40万点
5位 財布類 約34万点

注目すべきは、前年4位だった傘がランク外に転落したことだ。
産経新聞は「降水量が少なかったことも影響」と報じている。

天気が落とし物のランキングを変える。
考えてみれば当然だが、面白い事実だ。


一方で現金が最も多く届けられた警察署は渋谷署で約1億4800万円
件数トップの東京空港署とは顔ぶれが違う。

落とし物から街の性格が浮かび上がる。
こうして届けられた45億円の現金は、そのあとどうなるのだろうか。

 

 

 

45億円のゆくえ——現金の72%が戻り、6.8億円は「東京都の収入」に

届けられた45億円のうち、約72%にあたる約32億3000万円が持ち主のもとへ戻った
一方、持ち主が現れなかった約6億8200万円は東京都の歳入となった。

落とした現金はほとんど戻ってこない実際は72%が返還されている
そう思っている人は多いだろうが、2025年の実績は違う。

警視庁の統計FNNの報道が一致してこの数字を示している。

💰 届けられた現金45億円の行き先

約32億3000万円(72%)…持ち主に返還
約5億9000万円(13%)…拾った人に引き渡し
約6億8200万円(15%)…東京都の歳入

持ち主不明の6.8億円は東京都の「臨時収入」に

持ち主が3ヶ月以内に現れないと、落とし物の所有権は拾った人に移る。
さらに拾った人も受け取りに来なかった場合、現金は東京都のものになる。

2025年はこのルートをたどった現金が6億8239万円
物品の売却代金約3億2000万円を合わせると、落とし物から東京都に流れ込んだ金額は約10億円にのぼる。

知らない間に「東京都への寄付」をしていた人が相当数いることになる。

 

 

 

拾った人には「5%〜20%のお礼」を受ける権利がある

落とし物を届けた人にも権利がある。

警察庁の公式ページによると、拾った人は落とし物の価値の5%から20%の報労金ほうろうきんを持ち主に請求できる。
ただし、拾ってから7日以内に届け出なければこの権利は消える。

駅やデパートなど施設内で拾った場合は、施設側と折半になるため2.5%〜10%になる。

📱 遺失届はオンラインでも出せる

落とし物をしたときは遺失届を出すことが返還への第一歩になる。
警視庁では「警視庁行政手続オンライン」から、スマホやパソコンで遺失届を提出できる。
産経新聞によると、遺失物センターの荘司春海所長は「いつでも手軽にできる申請のシステムをぜひ活用してほしい」と呼びかけている。

海外では「落とし物が戻ってくる国」として日本がたびたび話題になる。
返還率72%という数字は、交番の存在や遺失物法いしつぶつほうの整備、「拾ったら届ける」という教育の積み重ねが生んだ結果だろう。

ただ、その裏側では毎年6億円超の現金が宙に浮いている。
落としたらすぐ遺失届を出す。拾ったら7日以内に届ける。
この2つを覚えておくだけで、45億円の行き先は変わる。

 

 

 

まとめ

  • 2025年の都内の落とし物は約454万件・現金約45億円で、いずれも1940年の統計開始以来の過去最多
  • 背景にはインバウンド急増・セルフレジ普及・ワイヤレスイヤホン増加の3つの要因がある
  • 現金の約72%は持ち主に返還。一方、持ち主不明の約6.8億円は東京都の歳入に
  • 落としたらすぐ遺失届(オンライン可)、拾ったら7日以内に届け出が鉄則
  • 報労金として落とし物の価値の5%〜20%を請求できる権利がある

よくある質問(FAQ)

Q1. 落とし物をしたらどこに届け出ればいい?

最寄りの交番・警察署のほか、「警視庁行政手続オンライン」からスマホやパソコンで遺失届を提出できる。

Q2. 落とし物は警察にいつまで保管される?

警察での保管期間は3ヶ月。その後、持ち主が現れなければ拾得者に所有権が移る。

Q3. 拾った人はお礼(報労金)をもらえる?

落とし物の価値の5%〜20%を持ち主に請求できる。施設内で拾った場合は施設側と折半で2.5%〜10%。

Q4. 落ちていたお金を届けなかったらどうなる?

占有離脱物横領罪に問われ、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される場合がある。

Q5. 持ち主が現れなかった現金はどうなる?

3ヶ月経っても持ち主が現れず拾得者も受け取らなかった現金は、東京都の歳入になる。2025年は約6.8億円。

Q6. なぜ都内の落とし物が過去最多になった?

警視庁は訪日外国人の増加、都市再開発による人の流入、ワイヤレスイヤホンなど小型電子機器の普及を要因に挙げている。

Q7. 落とし物で最も多い品目は?

免許証やマイナンバーカードなどの証明書類が約82万点で最多。次いで有価証券類、衣類・履物類の順。

Q8. セルフレジの釣銭取り忘れは落とし物になる?

なる。施設からの現金届け出が7割以上を占めており、セルフレジの釣銭取り忘れが典型例として報告されている。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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