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戸塚優斗なぜ金メダル?平昌の担架から8年、3度目で頂点に立てた理由

戸塚優斗ミラノ五輪ハーフパイプ金メダル——担架から8年、なぜ3度目で頂点に立てたのか

| 読了時間:約8分

平昌の担架から8年。
24歳の戸塚優斗がミラノ五輪で95.00点の金メダルをつかんだ。

2026年2月13日、ミラノ・コルティナ五輪スノーボード男子ハーフパイプ決勝。
3度目の五輪に挑んだ戸塚は、直前に組み替えたルーティンで大技を次々決め、悲願の頂点に立った。

16歳で担架に乗った少年が、なぜ3度目の五輪で金メダルを手にできたのか。
その答えは、天才が基礎からやり直した4年間と、五輪直前の"賭け"にある。

 

 

 

95.00点の衝撃——戸塚優斗がミラノ五輪ハーフパイプで金メダル

Olympics公式の決勝結果によると、戸塚優斗は2本目で95.00点を叩き出し金メダルを獲得した。

日本勢の男子ハーフパイプ金メダルは、2022年北京五輪の平野歩夢に続き2大会連続となる。
決勝の舞台はイタリア・リビーニョ。
予選を突破した12人が3本滑り、最高得点で競う。

順位 選手名 得点
🥇 戸塚優斗(日本) 95.00
🥈 スコッティ・ジェームズ(豪州) 93.50
🥉 山田琉聖(日本) 92.00
4位 平野流佳(日本) 91.00
7位 平野歩夢(日本) 86.50

1回目から日本勢がトップ3を独占

1回目、19歳の山田琉聖が92.00点で首位に立った。
続く戸塚は91.00点で2位、平野流佳が90.00点で3位。
この時点で日本勢がトップ3を独占する。

📊 日本勢が一時トップ4を独占

BBCの報道によると、2回目で平野歩夢が86.50点をマークした時点で、上位4人すべてを日本勢が占めるという快挙も一時的に生まれた。

勝負が動いたのは2回目だ。
戸塚は大技トリプルコークたてに3回転・よこに4回転1440の連続コンボを冒頭から成功させ、95.00点に到達した。

銀メダルのスコッティ・ジェームズも93.50点で追いすがったが、届かなかった。

 

 

 

金ネイルと脱帽——勝者のふるまい

表彰台に上がった戸塚の指先が光っていた。
右手薬指と左手中指に金色のラメ入りネイル。
ほかの指は銀色だ。

✨ 本人コメント

BBCのインタビューで戸塚はこう語った。
「昨日やってもらって、金メダル取れるように、2本の指だけ金色にしてもらった。すごく合っているんじゃないですかね、このメダルと」

表彰式では君が代が流れると、戸塚と山田がニット帽を脱いだ。
それに気づいた銀メダルのジェームズも脱帽し、敬意を示している。

THE ANSWERの報道によれば、ジェームズはその後、4位に終わり泣き崩れる平野流佳のもとへ駆け寄り、膝をついて背中をさすった。


戸塚は涙をこらえきれなかった。
「何回もやめようやめようと思ったんですけど、そのたびにいろんな人に支えられて、ここまで来れた」

この金メダルには8年間の苦闘が凝縮されている。
始まりは2018年平昌五輪、16歳の戸塚が担架で運ばれた日だった。

 

 

 

担架の平昌、10位の北京——「何回もやめようと思った」8年間の苦闘

11歳でプロ資格、15歳でW杯初優勝。戸塚優斗は誰もが認める「天才」だった。
ところが、その天才の五輪史は挫折の連続だった。

16歳の平昌、担架で退場

2018年平昌五輪。
16歳で決勝に進んだ戸塚は、2本目で悲劇に見舞われる。

⚠️ 平昌五輪での転倒

日刊スポーツの報道によると、「戸塚優斗(16=ヨネックス)が2回目の途中で転倒し体を強打。起き上がることができずそり式の担架で運ばれた」。
3本目は棄権。結果は11位。

スノーボード専門メディアBACKSIDEの記事は、6m近い高さからパイプの縁に弾かれ、そのまま硬いボトムまで叩きつけられたと伝えている。
ビルの2階から落ちるような衝撃だ。


4年後の2022年、北京五輪。
今度こそと臨んだ戸塚だったが、3本とも構成を完遂できなかった。

Olympics公式で本人が振り返るとおり、「平昌、北京ってオリンピックに出てきて、決勝で自分の納得いく滑りをしたことがなかった」。
結果は10位だ。

 

 

 

天才が「やめよう」と思った2年間

北京五輪の後、トリプルコーク1440がトップ選手の必須技となった。
戸塚も大会でこの技に挑むが、失敗が続く。

📉 北京後の苦悩

サンスポの取材によれば、「北京後の2年間は自分が思い描いたような滑りができず、雪の上に上がるのが嫌になり、『ナショナルチームの基準を満たせなくなったらやめようと思っていた』」。

スポーツ報知の記事には、「何がダメかもわかんない」と迷路に迷い込んだ当時の様子が描かれている。
仕事でも勉強でも、そういう行き詰まりに覚えのある人は少なくないだろう。


戸塚は原因を「技に対する不安感」だと自覚した。
そこで選んだのが、遠回りに見える方法だった。

苦手な技を低回転から一つ一つ練習し直す。
基礎の再構築だ。

🔑 金メダルへの転換点

産経新聞の解説によると、戸塚は4方向あるスノーボードの回転方向を偏ることなく回せるようにした
正面・背面×通常スタンス・逆スタンスの4パターンすべてを均等に練り上げたのだ。

利き足が逆の平野歩夢の映像を反転させて研究するなど、手本にし続けた姿勢もスポーツ報知は伝えている。
戸塚にとって平野歩夢はライバルであると同時に、ヒーローだった。

天才がプライドを捨てて基礎に戻った結果、どの方向にも安定して回れるようになった。
技の組み合わせの選択肢は飛躍的に増える。
この地道な積み重ねが、金メダルの夜に最大の武器として発動する。

 

 

 

合宿最終日の"賭け"——金メダルのルーティンはなぜ直前に生まれたのか

金メダルに輝いた2本目のルーティンは、実のところ五輪直前の合宿で急遽生まれた構成だった。

公開練習3日で1回しか成功していない

当初、戸塚はトリプルコーク1440の2連続を後半に配置する予定だった。
しかし後半はスピードが落ちるため、成功率が下がる。

⚡ 直前の構成変更

産経新聞によると、ルーティンは直前合宿の最終日にコーチと相談して急遽変更された。
トリプルコーク1440の2連続を冒頭に移す"賭け"だった。

しかも冒頭に置いたキャブ逆スタンスでのトリプルコーク1440は、公開練習の3日間でわずか1回しか成功していない。

「抜けた瞬間にこれはうまく踏み切れたと」思えたのが決勝2本目だったと産経は伝えている。


つまり、あの95.00点の演技は五輪決勝が事実上の"初成功"に近い。
完成された構成を安全に決めたのではなく、勝つために本番で初めてそろえた賭けだった。

 

 

 

トリプルコーク1440の連続はハーフパイプ史上初

この「賭け」の中身も前例がない。

🏆 ハーフパイプ史上初

スポーツナビの専門コラムによれば、トリプルコークの連続は、ハーフパイプ史上初だった。
しかもキャブ(逆スタンス)とフロントサイド(正スタンス)という異なる方向での2連続だ。

トリプルコーク1440とは、斜め軸に縦3回転・横4回転する大技だ。
2022年北京五輪で平野歩夢がこの技を決め、金メダルを獲得している。

それを「1発」ではなく「2方向で連続」成功させたのが戸塚のルーティンだった。
さらに続けてアリーウープ進行方向と逆に飛ぶ技の複合技を挟んでいる。

  戸塚(金) ジェームズ(銀)
冒頭の技 キャブTC1440→FSTC1440(2連続) スイッチBSDC1440
構成の特徴 異なる方向のTC連続+アリーウープ DC連続+安定した完成度
得点 95.00 93.50
設計思想 難度×独創性の両立 高難度の安定成功

戸塚がこの"初挑戦"の構成を五輪本番で決められた理由。
それは北京後の2年間、4方向の回転を均等に練り直した基礎固めにある。

どの方向からでも安定して回れるからこそ、キャブとフロントサイドのトリプルコーク連続が組める。
技の引き出しが多いからこそ、直前の構成変更にも対応できる。

💬 本人の言葉

サンスポの取材で戸塚はこう語った。
ルーティンを組み替えられるのは自分の強み。それを最大に生かしてメダルを取れた」

基礎を一から積み上げたからこそ、ルーティンを自在に組み替えられる。
天才だから順当に勝った天才が"遠回り"した基礎固めこそが金メダルへの最短距離だった

 

 

 

まとめ

  • 決勝の結果:2本目で95.00点。日本勢は金・銅を含むトップ4に3人が入った
  • 8年間の苦闘:平昌で担架、北京で10位、「やめよう」と思った2年間を経て復活
  • 金メダルの鍵:基礎の再構築で手にした「ルーティンの組み替え力」が直前変更を可能にした

Olympics公式のインタビューで戸塚はこう締めくくっている。
「自分の決めたことないルーティンで、点数がどれぐらい出るかまったく分からない状況でやった。そこを信じて、この舞台でできたことが本当にうれしい」

担架の上から始まった8年間は、「信じて飛ぶ」ための準備期間だったのだろう。

 

 

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 戸塚優斗はミラノ五輪で何点で金メダルを取った?

決勝2本目で95.00点を記録し金メダルを獲得。銀はジェームズ93.50点、銅は山田琉聖92.00点。

Q2. 戸塚優斗は何回目のオリンピック?

2018年平昌、2022年北京に続く3回目の五輪出場で悲願の金メダルを獲得した。

Q3. 平野歩夢はミラノ五輪ハーフパイプで何位だった?

1月のW杯で骨盤を骨折し痛みを抱えての出場となり、86.50点で7位に終わった。

Q4. トリプルコーク1440とはどんな技?

斜め軸に縦3回転・横4回転する大技。2022年北京五輪で平野歩夢が成功させ金メダルを獲得した技。

Q5. 戸塚優斗はなぜ直前にルーティンを変更した?

後半はスピードが落ちTC連続の成功率が下がるため、合宿最終日にコーチと相談し冒頭に移した。

Q6. 戸塚優斗の平昌五輪での怪我はどんなもの?

16歳で出場した決勝2本目で転倒し体を強打。起き上がれず担架で搬送され3本目を棄権、11位。

Q7. 表彰式でジェームズが脱帽したのはなぜ?

君が代が流れた際に戸塚と山田が脱帽し、それに気づいたジェームズが敬意を込めて合わせた。

Q8. 戸塚優斗の経歴は?

2001年生まれ横浜市出身。11歳でプロ資格取得、15歳でW杯初優勝。世界選手権2021年金メダル。

Q9. 戸塚優斗のネイルは何色だった?

右手薬指と左手中指を金色、他の指を銀色にしたラメ入りネイル。前日にゲン担ぎで施した。

Q10. ミラノ五輪のスノーボード日本勢のメダル数は?

男子ハーフパイプでは戸塚が金、山田琉聖が銅。トップ4のうち3人を日本勢が占めた。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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