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代替関税15%はいつから?なぜ違法判決後12日で関税が上がるのか

| 読了時間:約6分

米代替関税が今週15%に上がる。
最高裁の違法判決から12日で何が起きたのか。

ベッセント米財務長官は3月4日、全世界に課している代替関税を今週中にも15%に引き上げると表明した。
2月20日に最高裁が違法判決を出してからわずか12日。
異例の速さで通商政策が動いている。

最高裁判決から今日までの全経緯と、今後の焦点となる「7月の期限」の意味を整理する。



ベッセント財務長官「今週中にも15%に引き上げ」――最高裁の違法判決から12日の急展開

共同通信の報道によると、ベッセント財務長官は3月4日、CNBCテレビで「今週中にも15%に引き上げる」と語った。

「最高裁で違法と判断されたなら、関税は下がるのでは」。
そう思った人は多いだろう。
ところが現実は逆だった。

12日間の急展開

2月20日の最高裁違法判決から3月4日まで、12日間で法的根拠が2回変わり、税率は3回変動した
関税は下がるどころか、上がる方向に動いている。

12日間に何が起きたのか

時系列で振り返る。

① 2月20日:米連邦最高裁がIEEPAアイーパ(国際緊急経済権限法)に基づく相互関税を6対3で違法と判断。BBCの報道によると、トランプ氏は判事らを「愚か者」と非難した

② 2月20日(同日):トランプ氏が通商法122条に基づく全世界一律10%の新関税に署名。法的根拠が1回目の変更

③ 2月21日:トランプ氏がSNSで「15%に引き上げる」と表明。CNNの報道によると、「完全に許容され法的にも検証済みの15%へ引き上げる」と投稿した

④ 2月24日ロイターの報道によると、10%の税率で徴収が始まった。15%の大統領令は未署名のままだった

⑤ 3月4日:ベッセント財務長官が「今週中にも15%」と改めて表明

注目すべきは、2月24日に10%で発動された点だ。
トランプ氏は前日に「15%にする」と言ったのに、税関・国境警備局は10%で徴収を始めた。



ロイターの報道によると、ホワイトハウス当局者は「15%にする考えに変更はない」と述べつつ、変更時期は示さなかった。
つまり、大統領のSNS発言と実際の大統領令の間にズレが生じていた。


BBCが取材した英産業会議所の通商政策責任者は、こう語っている。

「関税をめぐる変更が絶え間なく繰り返され、明確さや確実性が欠けているため、へきえきとした疲労感が広がっている」

「関税が下がるかも」という期待は世界中の企業が抱いていた。
だが現実には、法的根拠を変えてでも関税を維持するというトランプ政権の強い意志が浮き彫りになった。

では、そもそもトランプ氏が持ち出した通商法122条とはどんな法律なのか。
そこには3つの重大な制約がある。



通商法122条とは何か――「史上初の発動」に3つの制約

トランプ氏が代替関税の根拠とした通商法122条は、1974年に制定されて以来、半世紀以上にわたり一度も発動されたことがなかった

「大統領が自由に関税を課せる強力な法律」と思うかもしれない。
だがこの法律には、きわめて厳しい縛りがある。

3つの制約とは

LOGISTICS TODAYの分析が、122条の制約を端的にまとめている。

制約 内容
時間 150日間(約5カ月)の時限措置。延長には議会の承認が必要。2月24日起算で7月下旬に期限切れ
税率 上限15%。これ以上は課せない
適用範囲 全世界一律。国ごとに税率を変えられない

BBCによると、122条は「国際収支の深刻な赤字」への対処を目的とする法律だ。
議会の承認がなければ150日後に失効する。

前例のない法律

LOGISTICS TODAYは「過去に一度も発動されたことがなく、実務上の運用に関する判例も行政慣行も存在しない」と指摘している。
前例のない法律で前例のない関税を課しているわけだ。



なぜ122条は「つなぎ」にすぎないのか

トランプ氏がもともと使っていたIEEPA、今回の122条、そして今後使うとされる301条
この3つの法律は性格がまったく異なる。

項目 IEEPA(旧) 122条(現在)
現状 最高裁で違法・無効 2月24日に発動中
期限 なし(→違法化) 150日(7月下旬)
税率上限 なし 15%
国別設定 可能だった 不可(一律)
項目 301条(今後の本命)
現状 調査を開始済み
期限 なし
税率上限 なし
国別設定 可能

122条には150日の期限があり、税率も15%が天井だ。
一方、301条は期限も上限もない。

ピクテ・ジャパンの分析によると、トランプ政権は「通商法122条を活用し150日間の関税を課し、その後は通商法301条による恒久こうきゅう課税化を図る意向」だという。
つまり122条は、301条の調査が完了するまでの「つなぎ」にすぎない

122条のタイムリミット

122条の期限は7月下旬。トランプ政権はその間に301条の調査を進め、期限なし・上限なしの関税体制に移行しようとしている。

この150日のカウントダウンが始まったなか、日本にとっての焦点は何か。
80兆円を投じた日米合意の行方だ。



7月が"次の山場"――150日後の行方と80兆円投資は損だったのか

80兆円も投資して15%にしてもらったのに、一律15%になったら日本は損したのでは?」

Yahoo!知恵袋にも同じ疑問が複数寄せられている。
だが、この問いに対する答えは単純ではない。

日米合意の核心は「自動車関税」にある

2025年7月の日米合意の骨格を振り返る。
日本は5500億ドル(約80兆円)の対米投資を約束し、代わりに2つの恩恵を得た。

相互関税(合意前)

24%

相互関税(合意後)

15%

自動車関税(合意前)

27.5%

自動車関税(合意後)

15%

このうちIEEPAに基づく相互関税は最高裁判決で消滅し、122条の代替関税(一律15%)に置き換わった。


ところが、232条に基づく自動車関税は今回の判決の対象外だ。
BBCの報道によると、「1962年の通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム・自動車への関税は、今回の無効判断の対象外」と明記されている。

つまり、日米合意の最大の恩恵である自動車関税の引き下げ(27.5%→15%)は、代替関税とは別枠で維持される構造になっている。
80兆円投資は「損」だったのか――全部無駄とは言えないだろう。

⚠️ 不透明な部分もある

ただし、代替関税の下で日米合意が完全に維持されるかは公式に確認されていない。ブルームバーグによると、グリアUSTR代表は「合意を順守できる立場を維持しつつ、執行もできるようにする」と述べたが、具体的な方法は示していない。



150日後のシナリオ

7月下旬に122条の期限が切れた後、3つの道が考えられる。

シナリオ 内容 見通し
① 議会承認で延長 122条関税をそのまま継続 不透明
② 301条に移行 国別・品目別の恒久関税に切り替え 有力
③ 関税失効 122条が切れて代替措置なし きわめて低い

ピクテ・ジャパンは②のシナリオが有力とみている。
ただしLOGISTICS TODAYは「301条調査には通常9カ月以上かかるとされ、7月までに完了するかは不透明だ」と指摘している。


もう一つ見逃せない動きがある。
最高裁判決で無効になったIEEPA関税の還付問題だ。

ロイターの報道によると、27兆円規模の関税収入が返還対象になりうるとの試算が出ている。
すでに数百社が返還を求めて訴訟を起こした。

今後の焦点

7月の期限切れが次の山場になる。301条への移行が間に合うか、日米合意が維持されるか。この2つが今後の焦点だ。



まとめ

  • ベッセント財務長官が3月4日、代替関税を今週中にも15%に引き上げると表明した
  • 根拠法の通商法122条は150日限り・上限15%・全世界一律の制約を持つ「史上初の発動」
  • 7月下旬の期限切れ後、301条への移行が焦点になる
  • 日米合意(80兆円投資)の核心である自動車関税の引き下げは別枠で維持されているが、合意全体の行方は不透明

よくある質問(FAQ)

Q1. 代替関税15%はいつから適用されますか?

ベッセント財務長官が3月4日に「今週中にも」と表明しました。正式な大統領令の署名日は未定です。

Q2. 代替関税と相互関税の違いは何ですか?

相互関税はIEEPAが根拠で最高裁に違法とされました。代替関税は通商法122条が根拠で、150日限定・上限15%・全世界一律という制約があります。

Q3. 通商法122条とはどんな法律ですか?

国際収支の深刻な赤字に対処するため最大15%の関税を150日間課せる法律です。1974年制定以来、一度も使われたことがありませんでした。

Q4. 150日後の7月に代替関税はどうなりますか?

議会承認がなければ失効します。トランプ政権は通商法301条に基づく期限なしの関税への移行を準備中とみられます。

Q5. 日米合意の80兆円投資はどうなるのですか?

グリアUSTR代表は「合意を順守する立場を維持する」と発言しましたが、具体策は示されていません。

Q6. 相互関税が違法になったのに関税が下がらないのはなぜ?

トランプ氏が最高裁判決の同日に通商法122条を発動し、別の法的根拠で新たな関税を課したためです。

Q7. IEEPA関税の還付は受けられますか?

約27兆円規模が返還対象になりうるとの試算があります。すでに数百社が訴訟を起こしましたが手続きには数年かかる見込みです。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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