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なぜ18年自首しなかった?八尾6歳女児コンクリ詰め事件 叔父が語った3つの理由

八尾市6歳女児コンクリート詰め事件の裁判で叔父が語った暴行の理由と18年間の沈黙の背景を解説するアイキャッチ画像

| 読了時間:約8分

飯森憲幸被告(42)は3月3日の法廷で、亡くなった姪の岩本玲奈さんに「つらくて、痛かったと思う。申し訳ない」と謝罪した。
裁判で語られたのは、叔父ひとりの犯行とは言い切れない家族の姿だった。

 

 

 

「怒りのコントロールができなかった」──被告が法廷で語った暴行の理由

飯森被告は暴行の理由をこう述べた。
「怒りのコントロールができなかった」。

事件当時、被告は23歳。
大学を出たばかりの年齢で、子育ての経験はなかった。

なぜ6歳の姪を育てることになったのか。
その経緯から振り返る。

母が去り、祖父が拒み、23歳の叔父に託された6歳

産経新聞の初公判報道によると、岩本玲奈さんは2000年10月に八尾市で生まれた。
父親はいない。母親と祖父のもとで暮らしていた。

2004年ごろ、母親が家を出た。
ABCニュースの法廷報道では、母親は「住み込みで仕事をする」と言い残して去ったとされる。

法廷での証言

被告は法廷で「父に面倒をみてほしいとお願いしたが、お前がみろと断られた。このままだと叩く回数が増えると思った」と述べた(MBS 3月2日報道)。

玲奈さんを引き取ったのは2006年9月ごろ。
祖父も面倒を見きれなくなった末の判断だった。

事件の時系列

  1. 2000年10月 玲奈さん、八尾市で誕生(父親不在)
  2. 2004年ごろ 母親が「住み込みの仕事」を理由に家を出る
  3. 2006年9月ごろ 祖父が養育を拒否。飯森被告(当時23歳)が引き取る
  4. 2006年12月〜2007年1月ごろ 飯森被告が暴行を加え、玲奈さんが死亡
  5. 2024年11月 被告が衣装ケースを八尾市の集合住宅に移動
  6. 2025年2月 祖父の退去後、管理者が遺体を発見
  7. 2025年3月1日 飯森被告を死体遺棄したいいき容疑で逮捕
  8. 2026年2月26日 大阪地裁で裁判員裁判さいばんいんさいばんの初公判

引き取りからわずか3か月ほどで、玲奈さんは命を落とした。

 

 

 

なぜ暴力はエスカレートしたのか

MBSの3月3日報道によると、被告は暴行の背景をこう語った。
「入院した祖母やアルコール依存症の母の面倒に加え、慣れない子育てで怒りがピークになった」。

一方で被告は、玲奈さんへの感情についてもこう述べている。
「玲奈のことはかわいくて大事な子だと思って接していた」。

⚠️ ここからは推測です

児童虐待の研究では、孤立した養育者がストレスを抱え込むと暴力が段階的に悪化するという指摘がある。被告の証言が事実であるとすれば、家族の誰にも頼れないまま追い詰められていった構図が浮かぶ。

弁護側は初公判で「衝動的な暴行だった」と主張し、情状酌量じょうじょうしゃくりょうを求めている。
検察側は「顔や体を殴ったり蹴ったりしたことが原因で死亡した」と指摘した。

 

 

 

18年間、ランドセルを見るたびに

事件から18年間、被告はどう過ごしていたのか。

読売テレビの報道によると、被告は「罪悪感があり、いつ警察が来るのか恐怖感があった」と述べた。
姪を引き取ったことについては「甘い考えだった。普通に教育できると思った」と振り返っている。

MBSの報道が伝えた証言はさらに具体的だ。

被告の証言

「玲奈さんを学校に行かせてあげられなかった。同い年くらいの子がランドセルを背負っているとつらくなった」(MBS 3月3日報道)

玲奈さんが生きていれば、今年で25歳になっていた。
通学路でランドセルを背負う子どもの姿は、誰にとっても見慣れた日常の一コマだ。

被告にとってその光景は、18年間ずっと自分が奪ったものを突きつけてくるものだったという。

被告は法廷で「出頭しようとした」とも語った。
だが、それを止めた人物がいる。

 

 

 

「コンクリートで固めよう」──提案したのは叔父ではなく祖父だった

コンクリート詰めの発案者は、被告ではなかった。

多くの人は、叔父がすべてを自分の判断で行ったと受け取っていただろう。
6歳の姪を殺害し、コンクリートに埋めた。その残忍さは叔父ひとりの悪意に見える。

ところが3月2日の被告人質問で明かされた事実は違った。
MBSの報道によると、「遺体をコンクリートで固めよう」と提案したのは被告ではなく、その父親だった

被告は「すぐに返事ができなかった。やり方がむごいから」と述べている。


「遺体を処理せえ」──出頭を阻んだ祖父

ABCニュースの報道は、さらに衝撃的な事実を伝えた。
被告が警察に出頭すると父親に伝えたところ、「一緒に捕まってしまう」と止められたという。

法廷での証言

「遺体を処理せえ」と父親に言われ、コンクリート詰めにした(ABCニュース 3月2日報道)

コンクリート詰めを提案し、出頭を阻止し、18年間の隠蔽を主導した祖父。
産経新聞の報道によると、この祖父(82)は死体遺棄容疑で逮捕されたが、不起訴になっている。

不起訴の理由は公表されていない。
ただ、死体遺棄罪の公訴時効こうそじこう3年だ。

コンクリート詰めにした行為が2006〜2007年ごろであれば、2009〜2010年には時効が成立する。
祖父が遺体処理に関わっていたとしても、この罪では起訴できなくなっていたのではないか。

関係者 立場 法的な状況
飯森憲幸被告(42) 叔父(母の異母弟) 傷害致死しょうがいちし+死体遺棄で起訴。公判中
柴田朱里被告(37) 飯森被告の交際相手 死体遺棄罪で起訴。公判中
祖父(82) 玲奈さんの祖父 死体遺棄容疑で逮捕→不起訴
母親 玲奈さんの実母 法的処分なし

 

 

 

住民票が消え、玲奈さんも「消えた」

事件が18年も発覚しなかった背景には、もうひとつの問題がある。

産経新聞の報道によると、祖父は八尾市に「母親と玲奈さんが行方不明になった」と虚偽の申し出をした。
市はこれを受け、2004年9月に職権消除しょっけんしょうじょを行った。

住んでいる実態がない人の住民票を、行政が強制的に削除する手続きだ。

住民票の削除で、玲奈さんは制度上「存在しない子」になった。

MBSの特集報道によると、八尾市は「玲奈さんの所在がわからなくなったことを警察や児童相談所に通報した記録は残っていない」と答えている。

市関係者の証言

「借金から逃れるために住所変更しないまま行方をくらます人は珍しくはなかった」「機械的に職権消除していたのではないか」(産経新聞)

産経新聞の別の報道によると、2024年度の学校基本調査で把握されている居所不明児童きょしょふめいじどう・生徒は全国で74人
だが、この数字には住民票を削除されたケースは含まれない。

朝日新聞の調査では、住民票を削除された後に行方がわからなくなっている子どもが少なくとも197人いるとされる。
小学校の1学年分に近い数だ。


隠蔽を始めたのも祖父なら、結果的にその隠蔽を終わらせたのも祖父の行動だった。
祖父が集合住宅を退去し、残された衣装ケースを管理者が不審に思ったことで、18年越しに遺体は発見された。

この事件の背景には、家族全員が機能不全に陥っていた構造がある。
では、3月13日の判決でどのような量刑が見込まれるのか。

 

 

 

判決は3月13日──傷害致死と殺人で量刑はどう変わるのか

飯森被告に対する判決は、2026年3月13日に大阪地裁で言い渡される。
裁判長は伊藤寛樹氏。裁判員裁判として進行中だ。

ここでひとつ、見落とされがちな事実がある。
被告は「殺人罪」ではなく「傷害致死罪」で起訴されている。

傷害致死と殺人──法定刑の差は大きい

傷害致死と殺人の最大の違いは「殺意があったかどうか」だ。

被告は取り調べの段階から殺意を否認している。
検察も殺人ではなく傷害致死で起訴した。

項目 傷害致死罪 殺人罪
殺意 なし あり
法定刑 懲役3年〜20年 死刑・無期懲役・懲役5年以上
執行猶予の割合 約6%(2021年) ほぼなし

法律専門サイトの解説によると、傷害致死罪の法定刑は懲役3年以上20年以下
初犯の場合、量刑は懲役3年から8年が多いとされる。

 

 

 

量刑を左右する3つの要素

この裁判では、量刑を重くする要素と軽くする要素が入り混じっている。

重くする方向

被害者が6歳の子ども
18年間の隠蔽
死体遺棄の併合

軽くする方向

起訴内容の全面認否
23歳で子育て経験なし
家族のサポート欠如

弁護側は「何の協力もしなかった家族など周りの人たちにも非があることは否定できない」と情状酌量を求めた。
検察側は「強い非難に値する」と厳しい姿勢を示している。

⚠️ ここからは推測です

傷害致死に死体遺棄が加わり、18年間にわたる隠蔽、被害者が6歳の子どもであることをあわせると、初犯の相場(3〜8年)を上回る判断が出ても不思議ではないだろう。一方で、弁護側が主張する家族の責任を裁判員がどう受け止めるかも、刑の重さに影響するとみられる。

この裁判は裁判員裁判だ。
法律の専門家ではない市民が、家族の機能不全という複雑な背景をどう量刑に反映するか。

3月13日の判決が注目される。

 

 

 

この事件のポイント

  • 飯森憲幸被告は3月3日の法廷で「怒りのコントロールができなかった」と暴行の理由を語り、玲奈さんに謝罪した
  • コンクリート詰めを提案したのは被告ではなく、父親(玲奈さんの祖父)だった
  • 祖父は死体遺棄容疑で逮捕されたが不起訴。出頭の阻止や住民票の虚偽申請にも関わっていた
  • 住民票の職権消除により、玲奈さんは18年間「存在しない子」として制度の外に置かれた
  • 判決は2026年3月13日、大阪地裁で言い渡される

よくある質問(FAQ)

Q1. 八尾市コンクリート詰め事件の判決はいつ?

2026年3月13日に大阪地裁(伊藤寛樹裁判長)で言い渡される予定です。

Q2. コンクリート詰めを提案したのは誰?

被告の父親(被害者の祖父)が「遺体をコンクリートで固めよう」と提案したと、被告が法廷で証言しました。

Q3. なぜ祖父は不起訴になったのか?

不起訴理由は非公表です。死体遺棄罪の公訴時効は3年で、時効が成立していた可能性があります。

Q4. 飯森憲幸被告の罪名は何?

傷害致死罪と死体遺棄罪です。殺人罪ではなく、殺意がなかったとされる傷害致死で起訴されています。

Q5. 傷害致死罪の刑罰は懲役何年?

法定刑は懲役3年以上20年以下です。初犯の場合、量刑は3年から8年が多いとされています。

Q6. 母親はなぜ逮捕されないのか?

2004年ごろに家を出ており、玲奈さんの死亡への直接関与がないため法的処分はなされていません。

Q7. 柴田朱里被告とは誰?

飯森被告の交際相手で、死体遺棄罪で起訴され現在公判中です。

Q8. 住民票の職権消除とは?

住んでいる実態がない人の住民票を行政が強制的に削除する手続きです。玲奈さんは2004年に削除されました。

Q9. 事件はどうやって発覚した?

祖父が集合住宅を退去した後、残された衣装ケースを管理者が不審に思い通報したことがきっかけです。

Q10. 飯森憲幸被告の量刑の見通しは?

量刑が争点です。弁護側は家族の責任も考慮すべきと主張し、検察は「強い非難に値する」と指摘しています。

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リアルタイムニュースNAVI 編集部

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