リアルタイムニュースNAVI

話題の出来事をリアルタイムで深掘り

ゾススクール炎上の全容──叱責動画は「告発」ではなく自社発信だった

ゾススクール公開叱責動画の炎上を象徴するイメージ画像

| 読了時間:約16分

 

「クビじゃね!?」——大学1年のインターン生に、衆人環視の中で罵声が飛ぶ。
この動画が2,000万回以上閲覧され大炎上した。

 

2026年2月、グローバルパートナーズ株式会社が運営する無料ビジネススクール「ZOSS School(ゾススクール)」で、営業目標に届かなかった学生が事業部長に激しく叱責される動画がXで拡散した。

 

滝沢ガレソ氏が取り上げたことで爆発的に広まり、会社側は謝罪声明を出す事態に追い込まれている。

 

ところが叱責された本人は「自分が100%悪い。良い刺激になりました」と感謝のコメントを投稿し、議論はさらに過熱した。

 

叱責した23歳の事業部長とは何者なのか。「雇用関係ではない」という釈明は通用するのか。そして叱責された本人の感謝は本心なのか。

 

動画の全容から運営会社の正体、パワハラ専門家の見解、そして「本人が許しても法は許さない」理由まで、あらゆる角度から検証する。

 

 

 

 

 

「クビじゃね!?」衝撃の公開叱責動画──ゾススクール炎上の全容

2026年2月7日、グローバルパートナーズが運営する無料ビジネススクール「ZOSS School」で、営業目標に届かなかったインターン生が衆人環視の中で激しく叱責される動画がXで拡散し、大炎上した。

 

coki.jpの報道によると、動画では指導者がこう言い放っている。

 

「目標40万円に対し6万円。いてもいなくても変わんない」


「どうこれ? クビじゃね!?」

 

テストに例えれば100点満点中15点
オフィスのオープンスペースで直立不動のまま立たされた若者に、容赦のない言葉が浴びせられた。

 

指導者は周囲にも「どう思う?こいつダメだよな?」と同意を求めている。
逃げ場はない。反論も許されない。

 

もし自分がまだ大学1年で、入ったばかりのインターン先でこの場に立たされていたら——そう想像するだけで胃が痛くなる人は少なくないだろう。

 

この動画を見た多くの人は、内部告発や流出した映像だと感じたはずだ。
パワハラの証拠を誰かがこっそり撮影した、と。

 

ところが事実は違う。

 

この動画は、叱責した本人・塚原太郎氏の公式Xアカウントから投稿されたものだ。
内部告発で流出した動画スクール側が「指導風景」として自ら公開したコンテンツだった。

 

 

つまり、あの公開叱責を「教育」として当然だと思っていた
だからカメラを回し、堂々とSNSに載せた。これが組織の日常だったわけだ。

 

 

 

 

ではZOSS Schoolとは何なのか。

 

エンゲージの公式求人情報にはこう書かれている。

 

「学費無料でZOSSスクールに入校し、別途業務委託契約ぎょうむいたくけいやくを締結のうえ、成果に応じた報酬をお支払いします」

 

「無料スクール」とうたいながら、実態は業務委託契約を結んで営業活動を行わせる仕組みだ。
生徒は営業ノルマを背負い、成果を出せなければ「クビじゃね」と詰められる。

 

公式サイトの謳い文句

「失敗を歓迎する文化」

動画に映っていた現実

失敗者を大勢の前で吊るし上げ

 

建前と実態のこの落差こそ、炎上を決定的にした要因だろう。

 

では、あの動画で叱責していた人物は何者なのか。
そしてこのスクールを動かしている組織の正体とは。

 

 

 

 

叱責した23歳の事業部長と「光通信の遺伝子」──ゾススクールの正体

動画で叱責していたのはZOSS School事業部長の塚原太郎氏。23歳。わずか1年半前まで自身もインターン生だった人物だ。

 

「ベテラン上司がパワハラしている」と思った人は多いだろう。
しかし塚原氏は2002年生まれ、入社は2025年4月。番組画面の情報によると、年収は500万円ペースで、入社3ヶ月で主任に昇格している。

 

さらに遡ると、2024年6月のグローバルパートナーズ公式サイトの対談記事には、当時まだ大学4年だった塚原氏がインターン生として登場し、社長の山本康二氏と「組織にぶら下がらずに生きる」というテーマで語り合っている。

 

注目ポイント

インターン生として対談に出た人物が、わずか1年半後には後輩のインターン生を「クビじゃね!?」と衆人環視で詰める側に回っている。このスピード感がこの組織の本質を映している。

 

ではこのスクールを率いるグローバルパートナーズとは何の会社なのか。

 

所在地は東京都豊島区池袋2丁目40-13 池袋Duplex B's 6F。代表は山本康二氏だ。

 

社長名鑑Wikipediaによると、山本氏の経歴はこうなる。

 

山本康二氏の経歴

  • 1971年埼玉県生まれ
  • 1995年、株式会社光通信に入社
  • 1999年、28歳で取締役に就任
  • 2008年、常務取締役に就任。1万人の組織を構築し、売上累計1兆円
  • 2009年、光通信・ソフトバンク・アリババの合弁でアリババマーケティング設立
  • 2013年、グローバルパートナーズに名称変更

 

 

 

 

光通信といえば、1990年代後半から2000年代にかけて猛烈な営業スタイルで知られた企業だ。
「ゾス」という挨拶は、山本氏が光通信時代から使っていた「お疲れ様です」の短縮形に由来するとされている。

 

ZOSS Schoolは2025年8月に開校した。
1期生は8名、2期生10名、3期生14名と規模を拡大している。

 

ここで浮かび上がるのは、光通信の体育会系文化がひとつの流れとして受け継がれている構図だ。

 

山本康二氏は光通信で「絶対達成」の精神を叩き込まれた。
その山本氏がZOSS Schoolを作り、塚原太郎氏を育てた。
塚原氏は入社わずか数ヶ月でその指導スタイルを体得し、今度は自分が後輩を同じやり方で詰めている。

 

組織行動論ではこれを「文化の再生産」と呼ぶ。
上の世代の価値観や行動パターンが、次の世代にそのまま複製される現象だ。
光通信のDNAが、山本康二→塚原太郎→次のインターン生へと、世代をまたいでコピーされている——そう見るのが自然ではないだろうか。

 

では、この炎上に対して会社側はどう動いたのか。
そして叱責されたインターン生がとった「予想外の行動」とは。

 

 

 

 

「雇用関係ではない」公式声明と、叱責された学生の感謝の真意

会社はどう弁明し、叱責された本人はどう反応したのか。ここが今回の炎上で最も議論を呼んだ部分だ。

 

2月9日、グローバルパートナーズ取締役・人事広報部長の手島絵理子氏がXで謝罪声明を出した。全文はこうだ。

 

「当該動画は、当社グループが運営するスクールにおける生徒様への振り返りの場であり、雇用関係に基づくものではございません

 

「動画内で見られる指導者の感情的な発言は不適切であり、誤解を招く内容となりましたことを深く反省しております」

 

「当該指導者へは厳重注意と再教育を徹底し、スクール全体の指導体制を速やかに見直して再発防止に全力を尽くしてまいります」

 

ポイントは「雇用関係に基づくものではない」という一文だ。
つまり、あの学生は社員ではなくスクールの生徒だから、法的なパワハラには当たらない——そういうロジックで防衛線を張ったわけだ。

 

ここに矛盾がある

すでに見たとおりエンゲージの公式求人には「業務委託契約を締結のうえ、成果に応じた報酬をお支払いします」と明記されている。

自社の求人ページが、自社の謝罪声明を否定する格好になっている。

 

業務委託契約を結んでいるなら、純粋な「スクールの生徒」とは言いにくい。

 

 

 

 

さらに事態を複雑にしたのが、叱責された本人の反応だ。

 

まとめダネが伝えたXの投稿によると、動画で罵倒されていた山本空氏はこう書いている。

 

「怒られているきっかけは自分が作っているので、自分が100%悪いです」


「この会社はインターンのような形で入っておりましたが、この日付で辞めました」


「ここまで言ってくれる上司は今の時代珍しく、とても良い刺激になりました。今までありがとうございました」

 

大勢の前で「いてもいなくても変わんない」と言われた人物が、感謝を述べている。

 

ネット上では「メンタルが強すぎる」と驚く声がある一方、ハム速のコメント欄では「言わされてる感がすごい」「火消しコメを強要してないだろうな」という疑念も噴出した。

 

ここに組織内の温度差も露呈している。

 

手島氏は丁寧に謝罪した。
しかしcoki.jpの報道によれば、叱責した当人の塚原太郎氏はその後も開き直った態度をとっていたと指摘されている。
山本康二社長はこの場面を「特訓」と位置づけているとの見方もある。

 

人事・手島氏

丁寧に謝罪

当事者・塚原氏

開き直り

社長・山本氏

「特訓」と位置づけ

 

この温度差そのものが、組織の体質を物語っている。

 

「雇用関係ではないから問題ない」——この釈明は法的に成り立つのか。
「本人が感謝しているからパワハラではない」は本当なのか。

 

 

 

 

パワハラ専門家が「明確なパワハラ」と断定──本人が許しても法は許さない

「本人が良い刺激だったと言っているのだから、外野がとやかく言う話ではない」——こう感じた人もいるだろう。しかし、法的な結論はまったく異なる。

 

coki.jpの報道によると、パワハラの専門家である新田龍氏はこの動画について次のように断じた。

 

「パワハラが成立する3要素をすべて満たしている」

 

新田氏は厚生労働省ハラスメント対策企画委員を務める専門家だ。
同氏が指摘した3つの要素を整理する。

 

パワハラ成立の3要素

① 優越的な関係
指導者とインターン生という明確な上下関係が存在する。


② 業務の適正範囲を超えた言動
「いてもいなくても変わんない」は人格の否定であり、具体的な改善指導ではない。周囲に同意を求めて孤立させる手法も適正な指導とは言えない。


③ 働く環境を害する
衆人環視での公開叱責は、本人だけでなくその場にいた全員の心理的安全を壊す。

 

では「雇用関係ではない」という会社側の主張はどうか。

 

⚠️ ここからは推測を含む分析

 

労働法の世界では、契約の名称ではなく「実態」で判断する原則がある。
たとえ契約書上は業務委託でも、指揮命令を受けている、勤務時間や場所が決められている、営業ノルマを課されているといった実態があれば、法律上は「労働者」として扱われる余地がある。

 

 

 

 

ZOSS Schoolの場合、公式求人に「業務委託契約」と記載がある一方で、動画では明確に営業ノルマが課され、未達を理由に叱責されていた。
この実態を見れば、「雇用関係ではない」という主張は法的には苦しいと言わざるをえないだろう。

 

もうひとつ。「本人が感謝しているならパワハラにはならない」という認識も誤りだ。

 

パワハラの成否は行為そのものの客観的な評価で決まる。
被害者が「気にしていない」と言っても、行為が3要素を満たしていればパワハラは成立しうる。
これは被害者を守るための仕組みであり、加害側が「本人は了承していた」と言い逃れできない構造になっている。

 

ここで確認した事実に戻ろう。

 

では、山本空氏の感謝コメントそのものをどう読み解くべきか。

 

心理学には認知的不協和にんちてきふきょうわという概念がある。
人は自分の行動と感情が矛盾したとき、行動を変えるのではなく感情のほうを書き換えて辻褄を合わせてしまう

 

自分で選んで入ったスクールで、厳しい叱責を受けた。
「自分で選んだのに辛い」という矛盾を解消するために、「あれは良い刺激だった」と解釈を変える——認知的不協和の典型的なパターンにも見える。

 

もちろん、山本空氏が本心から感謝している可能性は否定できない。
厳しい環境を糧にできる人間は確かに存在する。
しかし、あの場にいた全員が同じように受け止めたかどうかは別の話だ。

 

法的にも心理学的にも問題が指摘されるこの構造。
しかし、もっと根深い問題がある。「自分で選んだんだから仕方ない」という擁護論の危うさだ。

 

 

 

 

「自分で選んだんだから」は通用しない──ゾススクール炎上が映す構造的問題

「厳しい環境に自分から飛び込んだのだから、外野が口を出す問題ではない」。擁護派はこう主張する。

 

coki.jpの報道で紹介された現役生の天藍氏は、「これで炎上してる日本の社会ほんとにぬるいよ」「結局こうやって普段から公開してるゾススクールに入ったのも自分」と投稿した。

 

この理屈は一見、筋が通っている。
誰かに強制されたわけではない。自分の意思で入った場所だ。嫌なら辞めればいい。

 

しかし「自分で選んだ」という言葉は、選択の前提条件が対等であってはじめて成り立つ

 

ZOSS Schoolの公式サイトには「失敗を歓迎する文化」「挑戦と成長」といった言葉が並ぶ。
求人情報にも「営業を学ぶスクール」とある。
だが、入ってみたら実態は営業ノルマ付きの業務委託で、目標に届かなければ大勢の前で「クビ」と詰められる——この落差を、入校前の大学1年生が正確に見抜けるだろうか

 

情報の非対称性じょうほうのひたいしょうせいがあるとき、「自分で選んだ」は免罪符にはならない。

 

 

 

 

もうひとつ注目したいのは、先ほど触れた塚原太郎氏の変遷だ。

 

2024年6月、グローバルパートナーズ公式サイトの対談で塚原氏はこう語っていた。

 

「食わせてもらってるっていうのがシンプルにちょっとかっこ悪いなと思って」

 

「自らが立てた目標を自分なりに試行錯誤して達成して、それで得たお金で大切な人を養ったり親孝行したりするのがかっこいい」

 

山本康二社長はこう応じている。

 

「飯、自分で探せよ。敵、自分で逃げろよ。そんなふうに、いかに野生で生き抜く術を身に付けさせるかが、僕の教育の仕方であり愛情です

 

「野生に生きる」ことに憧れたインターン生が、その組織の価値観を内面化し、1年半後には後輩を同じ手法で追い詰める指導者に変わった

 

これはひとりの若者の変化であると同時に、光通信で培われた文化が世代を超えて複製されるメカニズムの縮図でもある。
光通信で「絶対達成」を叩き込まれた山本康二氏がスクールを作り、塚原氏がその文化を吸収し、今度は自分の後輩にまったく同じ手法を再現する。この連鎖を「文化の再生産」と呼ぶ。

 

ここにこの炎上の本質がある。

 

個々の発言が不適切だったかどうか、という表面的な話ではない。
「失敗を歓迎する」と掲げながら失敗者を吊るし上げ、「雇用関係ではない」と言いながら営業ノルマを課し、「自分で選んだ」と言いながら判断材料を十分に渡さない——こうした構造的な矛盾が、ひとつの動画に凝縮されて世に出た。

 

この騒動は、コンプライアンス意識が高まった社会と「昭和的な厳しさこそ成長の糧」という価値観の衝突でもある。
どちらが正しいかという単純な話ではなく、厳しさを掲げるなら最低限、情報を対等に開示し、参加者に真に自由な撤退手段を保証する——その設計がなければ、「教育」はいつでも「支配」に転落する。

 

 

 

 

まとめ

  • 動画は告発ではなく自社発信だった。叱責を「教育」として日常的に公開していた組織体質そのものが問題の根源
  • 叱責した事業部長は23歳、1年半前のインターン生。光通信文化が山本康二→塚原太郎→次のインターン生へと世代を超えて複製される「再生産構造」が浮かび上がった
  • 「雇用関係ではない」という釈明を、自社の求人ページが否定している。業務委託契約で営業ノルマを課す実態と、「純粋なスクール生徒」という主張は両立しない
  • パワハラ専門家が3要素充足を明言。本人が許していようと、法的にはパワハラは行為の客観的評価で判断される
  • 「自分で選んだ」論には限界がある。情報が対等に開示されていない環境で、「自己責任」を問うのは構造的に無理がある

もしこれからインターンやビジネススクールへの参加を検討しているなら、契約書の中身を隅々まで読んでほしい。「無料」の裏に何があるのか、成果が出なかったときに何が起きるのか。その答えが契約書に書かれていないなら、入る前にもう一度立ち止まるべきだ。

 

 

 

 

よくある質問(FAQ)

Q1. ZOSS School(ゾススクール)とは何ですか?

グローバルパートナーズが運営する無料ビジネススクールです。業務委託契約を結び、実際の営業活動を通じて稼ぐ力を学ぶ実践型のプログラムとして設計されています。

Q2. グローバルパートナーズはどんな会社ですか?

元光通信常務の山本康二氏が代表を務める企業です。東京都豊島区池袋に所在し、デジタルマーケティングや海外進出支援、ZOSS Schoolの運営を手がけています。

Q3. 山本康二(ゾス山本)の経歴は?

1971年生まれ。光通信に入社し28歳で取締役、常務として1万人の組織と売上累計1兆円を構築。2009年にアリババマーケティングを設立し、2013年に現社名に変更しました。

Q4. ゾススクールの叱責動画でパワハラは成立するの?

パワハラ専門家の新田龍氏が、優越的関係・業務の適正範囲超え・環境を害する行為の3要素すべてを満たすと指摘しています。

Q5. 叱責された本人が感謝しているならパワハラにならない?

ならないとは言えません。パワハラの成否は行為の客観的評価で判断され、被害者の主観は成立要件ではありません。

Q6. 「雇用関係ではない」という会社の釈明は通用する?

公式求人に業務委託契約で成果報酬と明記されており、営業ノルマも課されているため、純粋なスクール生徒とは言いがたい実態があります。

Q7. 叱責動画に映っている事業部長は誰?

ZOSS School事業部長の塚原太郎氏です。23歳で、2024年6月時点ではインターン生として公式サイトの対談に登場していた人物です。

Q8. ゾススクールは無料なのになぜ営業ノルマがある?

学費は無料ですが、別途業務委託契約を結んで実際の営業活動を行い、成果に応じた報酬を受け取る仕組みになっています。

Q9. ゾススクールの炎上後、会社はどう対応した?

取締役の手島絵理子氏がXで謝罪声明を発表。指導者の不適切な発言を認め、厳重注意と再教育、指導体制の見直しを約束しました。

Q10. 「ゾス」とはどういう意味?

山本康二氏が光通信時代から使っていた挨拶で、「お疲れ様です」の短縮形に由来するとされています。スクール名のZOSSもここから来ています。

 

N

リアルタイムニュースNAVI 編集部

最新ニュースをわかりやすく、いち早くお届けします。

 

📚 参考文献