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50分に1社が倒産──2025年度、企業倒産が2年連続で1万件を超えた
2025年度の企業倒産件数は1万505件だ。
前年度から3.5%増え、50分に1社のペースで倒産が発生した計算になる。
ところが負債総額は33.9%減の1兆8645億円。
なぜ件数増と総額減が同時に起きているのか。
この記事でわかること
1万505件の衝撃──増える倒産、減る負債の「歪み」
2025年度の企業倒産は1万505件。
1日約29社、50分に1社が倒れた計算だ。
2025年度の企業倒産件数は1万505件。
東京商工リサーチ(TSR)が2026年4月8日に発表した数字だ。
2年連続で1万件を超えた。2013年度以来12年ぶりの高水準となった(毎日新聞、時事通信)。
1日約29社──50分に1社の倒産ペース
1日あたり約29社。
計算上は50分に1社が倒れたことになる。
しかしここで注目すべきは別の数字だ。
倒産が増えている → 負債総額は前年度比33.9%減の1兆8645億円。
倒産件数が増えているのに、負債総額が3割以上減っている。
この「歪み」が示すのは。大型倒産が減り、小規模企業の倒産が中心になっているという現実だ。
実際、2025年度に倒産した企業の約9割が従業員10人未満だった。
街の小さな工務店、個人経営の飲食店、家族経営の運送会社。
そうした「顔の見える会社」が静かに姿を消している。
TSRによれば、負債額1000万円以上5000万円未満の小規模倒産が全体の6割超を占める(TSR公式)。
このペースが続けば、2026年度はさらに件数が積み上がるだろう。
では、なぜこれほど小規模企業の倒産が相次いでいるのか。
「人がいない」が会社を殺す──過去最多442件の内実
2025年度、人手不足倒産は442件。
前年度比43%増で過去最多を更新した。
2025年度、「人手不足」を原因とする倒産は442件に達した。
前年度の309件から43%増。
過去最多を大幅に更新した(TSR公式)。
多くの人は「人手不足はどの業界も同じようなもの」と思うだろう。
だが、倒産に直結している業種には明確な偏りがある。
| 業種 | 人手不足倒産件数 | 主な要因 |
|---|---|---|
| 建設業 | 104件(最多) | 職人の高齢化・若手不足 |
| サービス業 | 86件 | 求人難・採用コスト増 |
| 運輸・通信業 | 48件 | 2024年問題・ドライバー不足 |
建設業では職人の高齢化と若手不足が深刻だ。
工期遅延や受注機会の喪失が経営を直撃している。
運送業では2024年問題以降のドライバー不足が止まらない。
荷物はあっても運ぶ人がいない。
一方、飲食業で目立つのは「人件費高騰倒産」だ。
TSRによれば、人件費高騰を理由とする倒産は195件で前年度比77.2%増。
最低賃金の引き上げやパート・アルバイトの時給上昇だ。売上の多くを人件費が占める小規模飲食店は採算ラインを維持できなくなっている。
同じ「人手」でも、建設は絶対的不足。飲食はコスト増という質の違いがある。
さらに帝国データバンクによると、物価高倒産も過去最多の949件(2025暦年)に達した。
円安による輸入原材料高、エネルギーコスト上昇。
価格転嫁できない小規模企業が利益を削られて限界を迎えている(ダイヤモンド)。
人手不足と物価高。
この二重苦に加え、2026年度は新たな懸念材料が浮上している。
イラン情勢が火に油?──原油高が直撃する「見えない連鎖」
イラン情勢悪化で原油・ナフサ高騰。
TSRは「倒産は増勢をたどる可能性が高い」と警告する。
東京商工リサーチの見解(TBS NEWS DIG 4月8日付)
「イランへの攻撃以降、原油やナフサなどの供給に懸念が生じ。企業倒産は増勢をたどる可能性が高い」
(TBS NEWS DIG)
イラン情勢と日本の中小企業倒産。
一見無関係に見えるこの二つは、実は太いパイプでつながっている。
イランは原油やナフサ(プラスチック原料)の主要産出国だ。
情勢悪化による供給不安は、川上の原材料価格を押し上げる。
日本企業が直接影響を受けるのはプラスチック・重油・ヘリウムなど。
プラスチック製品製造業。重油を使う運輸・農業、半導体製造に必要なヘリウム。
いずれも中小企業が多くを占める業種だ(ダイヤモンド)。
大手企業は在庫や価格交渉力で一定期間は耐えられる。
しかし、すでに物価高と人手不足で疲弊した中小企業にとっては「最後の一押し」になりかねない。
TSRは「現時点で中東情勢悪化による倒産は発生していない」としつつ。一部中小企業ではすでに在庫減少が報告されていると明かす。
価格転嫁力の弱い小規模企業ほど、この波に飲み込まれるリスクが高い。
では、具体的にどの業種で警戒が必要なのか。
あなたの業界は大丈夫か──業種別「倒産リスクマップ」
2025年度、倒産最多はサービス業の2503件。
建設業1944件、小売業1444件と続く。
2025年度、倒産件数が最も多かったのはサービス業の2503件だ。
次いで建設業1944件、小売業1444件と続く(TSR)。
業種によって倒産理由は大きく異なり、2026年度のリスク要因も変わってくる。
建設・運輸──人手不足の直撃度が最も高い
建設業は人手不足倒産が104件で最多。
運輸・通信業も48件に上る。
2024年問題の影響が続く運輸業では。ドライバー不足による機会損失と人件費上昇のダブルパンチだ。
建設業は職人の高齢化に歯止めがかからず、小規模工務店を中心に廃業・倒産が相次ぐ。
飲食・小売──物価高と人件費高騰の板挟み
飲食業は食材費と人件費の二重苦。
価格転嫁できずに息切れするケースが目立つ。
人件費高騰倒産は前年度比77%増と急伸した。
小売業は円安による仕入れ値上昇と消費者の節約志向の狭間で苦戦が続く。
製造業──イラン情勢による原材料高の影響大
プラスチック製品、金属加工、化学製品など。川上のコスト上昇を販売価格に反映できるかが生存の分かれ目になる。
TSRは「価格転嫁力の有無が明暗を分ける」と分析する。
帝国データバンクによれば、2025年度の倒産の82.5%は不況型倒産。
売上低迷や赤字累積によるものだ(lnews)。
倒産リスクはサービス業・建設業・小売業・製造業に拡大中
倒産リスクは特定業種に限らない。
サービス業・建設業・小売業・製造業。
広範な業種で危機が進行している。
2025年度企業倒産の要点
- 2025年度倒産件数:1万505件(TSR)。2年連続1万件超、12年ぶり高水準
- 負債総額:33.9%減。大型倒産は減少し、倒産の約9割が従業員10人未満の小規模企業
- 人手不足倒産:過去最多442件。建設で絶対的不足、飲食で人件費高騰と業種で質が異なる
- 2026年度見通し:イラン情勢悪化で原油・ナフサ高騰。価格転嫁力の有無が明暗を分ける
よくある質問(FAQ)
Q1. 2025年度の企業倒産件数は何件ですか?
東京商工リサーチ発表で1万505件。
2年連続1万件超、12年ぶりの高水準。
Q2. 倒産が増えている原因は何ですか?
人手不足と物価高が主因。
人件費高騰や仕入れ値上昇を価格転嫁できない小規模企業が苦境に。
Q3. 人手不足倒産とは何ですか?
求人難・従業員退職・人件費高騰を原因とする倒産。
2025年度は過去最多442件を記録。
Q4. どの業種で倒産が増えていますか?
サービス業2503件、建設業1944件、小売業1444件。
建設・運輸は人手不足、飲食は人件費高騰が深刻。
Q5. 2026年度の倒産見通しはどうなっていますか?
東京商工リサーチはイラン情勢悪化で原油・ナフサ高騰が続き、倒産は増勢をたどると予測。
Q6. イラン情勢は日本の企業倒産にどう影響しますか?
原油・ナフサ高騰でプラスチックや重油の価格が上昇。
製造・運輸業の中小企業を直撃する懸念。
Q7. 倒産増加の割に負債総額が減少しているのはなぜですか?
大型倒産が減り、従業員10人未満の小規模企業の倒産が約9割を占めるため。
リアルタイムニュースNAVI 編集部
reaitimenews.com
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📚 参考文献
- 毎日新聞「25年度の企業倒産、2年連続1万件超 物価高、人手不足が重荷」(2026年4月8日)
- 東京商工リサーチ「2025年度(2025年4月-2026年3月)全国企業倒産状況」(2026年4月8日)
- 東京商工リサーチ「2025年度『人手不足』関連倒産 過去最多を更新」(2026年4月8日)
- 時事通信「企業倒産、2年連続1万件超=25年度、物価高・人手不足で」(2026年4月8日)
- TBS NEWS DIG「倒産1万505件、2年連続で前年上回る 円安や利上げも重なり増勢たどる可能性」(2026年4月8日)
- ダイヤモンド・オンライン「2025年の『物価高倒産』は過去最多を更新、人手不足倒産も400件超え」(2026年1月14日)
- lnews「2025年度の企業倒産、件数は3.5%増の1万425件 10年ぶり高水準/TDB」(2026年4月8日)
- tsr-net.co.jp
- tdb.co.jp
- nikkei.com
- tdb.co.jp